立法評議会 (パレスチナ)
| 立法評議会 المجلس التشريعي الفلسطيني Al-Majlis al-Tashrīʿiyy al-Filasṭīniyy | |
|---|---|
| 第2期議会 | |
| 種類 | |
| 種類 | |
| 沿革 | |
| 設立 | 1996年3月7日 |
| 廃止 | 2018年12月22日[1] |
| 役職 | |
議長 | |
| 定数 | 132 |
| 選挙 | |
| 並立制 小選挙区66議席 比例区66議席 | |
前回選挙 | 2006年1月25日 |
次回選挙 | 2026年11月1日 |
| 議事堂 | |
| ラマッラー(ヨルダン川西岸地区) ガザ市(ガザ地区) | |
| ウェブサイト | |
| pal-plc | |
立法評議会(りっぽうひょうぎかい、アラビア語: المجلس التشريعي الفلسطيني、英語: Palestinian Legislative Council、略称:PLC)は、パレスチナ自治政府の立法府。オスロ合意に基づき、暫定自治機関の議会として設けられた一院制の機関である[2]。
1996年、パレスチナ自治政府の発足に伴い立法機関として設置された。2006年、第2回総選挙の結果を受けてハマースが内閣を組織したが、翌2007年、ファタハとの武力衝突「ガザの戦闘」を経て自治政府はヨルダン川西岸地区とガザ地区に事実上分裂した。以降、評議会は定例会を開けないまま機能を停止し[2]、2018年12月、マフムード・アッバース大統領が憲法裁判所の判断に基づき評議会の解散を宣言した[1]。以来、新たな選挙は実施されておらず、評議会は再構成されていないが、アッバース大統領は2026年11月に選挙を実施する法令を発布している[3]。
概要
[編集]立法評議会は、行政権の監督、内閣の信任、予算案や法案の審議、基本法の改正を担う[2]。議員は選挙法の定める直接普通選挙により選出され、定数は132名である(2005年の選挙法改正以前は88名)。任期は当初、暫定自治の終了までと規定されていたが、2005年の基本法改正により4年と定められた[2]。
評議会は首相および閣僚の信任権を持ち、自治政府の予算を承認する[2]。一方で、自治政府の発足当初からヤーセル・アラファート大統領が権限の多くを評議会に委譲しなかったとされ、行政府と立法府の関係は当初から緊張をはらんでいた[要出典]。
選挙制度
[編集]2005年6月に採択された選挙法により、現行の選挙制度は並立制を採用している。132議席のうち66議席が複数定数選挙区における相対多数制で、残る66議席が全土を一選挙区とする比例代表制(名簿式)で選出される[4]。1996年の第1回選挙では、全議席が複数定数選挙区の単純多数制で選ばれ、定数は88であった[要出典]。
選挙制度をめぐっては、ハマースが小選挙区を含む並立制を自党に有利と見なす一方、ファタハおよびアッバースは比例代表制を選好してきたとされ、両派の対立点の一つとなってきた[2]。
歴史
[編集]第1期(1996年-2006年)
[編集]1996年1月の第1回評議会選挙はハマースがボイコットし、ファタハが88議席中62議席を獲得した[要出典]。第1期評議会は1996年3月7日に初会合を開いた。
2006年選挙とハマースの勝利
[編集]2006年1月25日に実施された第2回選挙では、投票率71.18%のもと、ハマースが「変革と改革」の名簿で得票率44.45%・74議席を獲得し、得票率41.43%・45議席のファタハを上回って勝利した[要出典]。その他、パレスチナ解放人民戦線(PFLP)が3議席、パレスチナ国民イニシアティブ(PNI)と「第三の道」が各2議席、「オルタナティブ」連合が2議席、無所属が4議席を得た[4]。
| 会派 | 比例区 | 選挙区 | 計 |
|---|---|---|---|
| ハマース(変革と改革) | 74 | ||
| ファタハ | 45 | ||
| PFLP | 3 | ||
| オルタナティブ連合 | 2 | ||
| PNI | 2 | ||
| 第三の道 | 2 | ||
| 無所属 | 4 | ||
| 合計 | 66 | 66 | 132 |
選挙後、ハマースのイスマーイール・ハニーヤを首班とする内閣が2006年3月に発足し、アズィーズ・ドゥワイクが議長に選出された[要出典]。ハマースが国際連合安保理常任理事国や欧州連合などからテロ組織と見なされていたことから、選挙結果を受けて中東カルテットは自治政府への資金援助停止を示唆するなど、国際的な対応が分かれた[要出典]。
分裂と機能停止(2007年-)
[編集]2007年6月、ファタハとハマースの武力衝突「ガザの戦闘」を経て、ハマースがガザ地区を実効支配し、自治政府はヨルダン川西岸地区とガザ地区に事実上分裂した。これ以降、立法評議会は通常会期を開けなくなった[2]。
ガザでは、ハマースの「変革と改革」会派が独自に評議会としての会合を継続した一方[2]、西岸ではアッバース大統領が基本法の規定に基づく大統領令(議会非会期中の緊急立法権)を多用して統治を進めた[2]。基本法上、2006年に選出された評議会の任期は2010年に満了したと解されるが、新選挙は実施されなかった[2]。
解散(2018年)
[編集]2018年12月22日、アッバース大統領は、ラマッラーの指導部会合の冒頭で、パレスチナ最高憲法裁判所が立法評議会の解散と6か月以内の選挙実施を命じる決定を出したと表明し、これに従う意向を示した[1][5]。
この決定に対しては、解散がパレスチナ基本法に根拠を欠き、同法第113条が評議会の解散をいかなる場合にも認めていないとして、パレスチナ市民社会組織やパレスチナ独立人権委員会が強く批判した[6]。論者からは、憲法裁判所が行政府の影響下にあり、決定がハマースを排除する政治的動機に基づくとの指摘もなされた[7]。
欧州連合の現地代表部は、評議会が2007年以来機能していなかったことを認めつつ、その解散が「自治政府唯一の選挙で選ばれた統治機関」の任期に正式に終止符を打つものであるとして、懸念を表明した[8]。一方、ハマースは解散を違法かつ違憲であるとして非難した[2]。
解散後の動向
[編集]2021年選挙の延期
[編集]2021年1月15日、アッバース大統領は同年5月22日に立法評議会選挙、7月末に大統領選挙を実施する大統領令を発した[要出典]。これは2006年以来15年ぶりの全国規模の選挙となるはずであり、36の候補者名簿が登録され、有権者登録率は約93%に達した[9]。
しかし同年4月29日、アッバース大統領は、イスラエルが東エルサレムでの投票実施を認めないことを理由に挙げ、選挙を無期限に延期すると表明した[9][10]。この決定は、ハマースのみならずPFLP・DFLPやファタハ内の反主流派からも批判され、一部のパレスチナ人からは「権力の簒奪」「憲法上の犯罪」とする声も上がった[11]。延期の背景には、世論調査でハマース優勢が示されていたことや、ファタハ内部の分裂があったと分析されている[11][10]。欧州連合は、東エルサレムを含む全パレスチナでの選挙実施をイスラエルに促すよう改めて求めた[要出典]。
2023年以降の情勢
[編集]2023年10月に始まったガザ戦争を契機として、戦後のパレスチナ統治をめぐる議論が活発化した。2024年3月、アッバース大統領はモハンマド・ムスタファを首相に任命し、自治政府の制度改革とガザ復興を担うテクノクラート内閣を発足させた[12]。
ムスタファ政権は、司法の独立強化や選挙管理委員会の独立性向上などの改革を進め、戦争終結後の議会・大統領選挙の実施に向けた準備を表明した[13]。2025年10月、アッバース大統領は、ガザでの戦争終結から1年以内に大統領選挙および立法評議会選挙を実施すると表明したが、実施は現地情勢を条件とするものであった[14]。
2026年6月14日、アッバース大統領は同年11月1日に立法評議会選挙を、2027年初頭に大統領選挙を実施する大統領令を発した[15]。
議会議長
[編集]- アフマド・クライア(1996年-1998年、ファタハ)
- アフマド・クライア(1998年-2003年、ファタハ)
- ラフィーク・アン=ナトシェ(2003年-2006年、ファタハ)
- アズィーズ・ドゥワイク(2006年-2018年、ハマース)
脚注
[編集]- 1 2 3 “President Abbas says Constitutional Court ordered dissolution of Legislative Council”. WAFA. 2018年12月22日. 2026年6月11日閲覧.
- 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 “Palestinian Legislative Council (PLC)”. European Council on Foreign Relations. 2026年6月11日閲覧。
- ↑ “President Abbas issues decree-law amending the General Elections Law”. Wafa. 2026年6月14日. 2026年6月17日閲覧.
- 1 2 “Elections: Palestinian Legislative Council 2006 General”. IFES Election Guide. 2026年6月11日閲覧。
- ↑ “Palestinian Authority President Dissolves PLC”. Asharq Al-Awsat. 2018年12月23日. 2026年6月11日閲覧.
- ↑ “Position Paper on the Decision by the Supreme Constitutional Court to Dissolve the Palestinian Legislative Council”. Al-Haq (2018年). 2026年6月11日閲覧。
- ↑ Alsarghali, Sanaa (2021年7月1日). “The Dissolution of the Palestinian Legislative Council by the Palestinian Constitutional Court: A Missed Opportunity for Reform”. IACL-AIDC Blog. 2026年6月11日閲覧。
- ↑ “Local EU statement on the dissolution of the Palestinian Legislative Council”. European External Action Service (2019年1月21日). 2026年6月11日閲覧。
- 1 2 “Abbas postpones Palestinian elections, blaming Israel over East Jerusalem impasse”. CNN. 2021年4月29日. 2026年6月11日閲覧.
- 1 2 “Abbas delays Palestinian parliamentary polls, blaming Israel”. Al Jazeera. 2021年4月30日. 2026年6月11日閲覧.
- 1 2 Abu Amer, Adnan (2021年). “Postponed Palestinian Elections: Causes and Repercussions”. Carnegie Endowment for International Peace. 2026年6月11日閲覧。
- ↑ “Palestinian President Abbas appoints Mohammed Mustafa as prime minister”. Al Jazeera. 2024年3月14日. 2026年6月11日閲覧.
- ↑ “Overhauling the Palestinian Authority: Reform Hangs in the Balance”. Wilson Center (2024年). 2026年6月11日閲覧。
- ↑ “Swift Palestinian action driving political and institutional reform”. WAFA. 2025. 2026年6月11日閲覧.
- ↑ “President Abbas issues decree-law amending the General Elections Law”. Wafa. 2026年6月14日. 2026年6月17日閲覧.
外部リンク
[編集]- المجلس التشريعي الفلسطيني(公式サイト)