水の森公園

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仙台市水の森公園
Mizunomori Park, City of Sendai
公園の中央にある三共堤
分類 都市公園 > 特殊公園 > 風致公園
所在地
宮城県仙台市青葉区水の森四丁目、泉区上谷刈字赤坂、字堤下 ほか
座標 北緯38度18分20.7秒 東経140度51分34.3秒 / 北緯38.305750度 東経140.859528度 / 38.305750; 140.859528座標: 北緯38度18分20.7秒 東経140度51分34.3秒 / 北緯38.305750度 東経140.859528度 / 38.305750; 140.859528
面積 103.1 ha
前身 仙台自然休養林・三共地区(水の森)[1]
開園 1971年昭和46年)
設備・遊具 あずまや、ベンチ、広場
駐車場 上谷刈入口:無料 103台
水の森入口:無料 45台
告示 2003年平成15年)5月30日[1]
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水の森公園(みずのもりこうえん)は、宮城県仙台市青葉区泉区にまたがってある公園七北田川の支流に造られた丸田沢堤・三共堤の2つの池沼、および、それらを囲む森林がほとんどを占めるが、公園の各入口付近に温水プールキャンプ場などのレクリエーション施設もある。

概要[編集]

七北田丘陵北部にあり、七北田川水系高柳川を堰きとめて造られた丸田沢堤(丸田沢西堤)、および、同鳥滝川を堰きとめて造られた三共堤(丸田沢東堤)の2つの農業用ため池と、周囲の国有林仙台自然休養林・三共地区(水の森)」とによって園内の多くが占められる(標高は最も高いところで80m強、最も低い所で30m程度)。他に、園内北部に「水の森公園キャンプ場」、南部に「水の森市民センター」「水の森児童館」「TAC水の森ウォーターパーク(水の森温水プール)」「水の森コミュニティ防災センター」の一体型施設がある。

台原森林公園(面積:約60ha)と同様、周りを市街地に囲まれた孤立性の風致公園になっているが、同園が地下鉄南北線台原駅および旭ヶ丘駅の両駅に隣接し、さらに日立システムズホール仙台スリーエム仙台市科学館仙台文学館といった市の広域集客施設に隣接していて多くの利用者を集めているのに対し、当園は市内の風致公園(10箇所)の中で最大の103.1haの面積を持ち、10箇所の合計面積208.9376ha[2]の約半分を占めながもアクセスが自家用車やバスに限られており、園内施設も大規模集客施設ではない温水プールやキャンプ場などであるため、台原森林公園と比べて利用者は少なく、静かな環境となっている。

当園ではウォーキングバードウォッチング等以外の特徴的な利用として、水の森入口から徒歩圏の仙台フィンランド健康福祉センターに日本ノルディックフィットネス協会の本部がある[3]ため、当園でノルディックウォーキングの普及活動がなされたり[4]、丸田沢堤の北岸に堤焼1982年12月1日「宮城県知事指定伝統的工芸品」指定[5]2016年4月25日日本遺産」認定[6][7])の唯一の窯元があるため、キャンプ場管理棟で堤焼教室が開催されたり[8]、例年7月上旬に「水の森ほたるの会」主催によりキャンプ場の自然水路で「ほたる祭り」が開催されたりしている[9][10]

仙台市都市公園条例では、公園内で鳥獣魚類を捕獲・殺傷することを禁止している[11]ため、当園でも狩猟や釣りは禁止である。一方、同条例では公園内でのたき火・花火等を禁止している[11]が、キャンプ場では指定された場所でのキャンプファイヤーや火気の使用が認められており、芋煮会バーベキューでの利用者も見られる。なお1965年(昭和40年)頃まで[12]、園内の池沼では地元民により、釣り客向けの貸しボート営業がなされていたが、周辺の宅地開発に伴って水質が悪化し、が棲息しなくなったため数年で廃業した[13]

なお、当公園内の「水の森温水プール」については、施設命名権の導入により株式会社東京アスレティッククラブが年額100万円の3年契約を結び、2020年4月1日より「TAC水の森ウォーターパーク」の愛称が優先的に用いられる呼称となっている[14]

施設等[編集]

センターゾーン[編集]

北端の「上谷刈入口」に隣接し、駐車場(無料103台)、駐輪場、芝生に覆われた多目的広場、水の森公園キャンプ場、丸田沢堤と三共堤がある。

水の森公園キャンプ場[編集]

仙台市泉区上谷刈字堤下8にある。冬季閉鎖期間がある。「上谷刈青少年キャンプ場」として開設され、再整備によって現称に改称された。

[編集]

以下の2つの堤体がある。これらの名称はため池の名称としても使用されている。いずれも七北田川水系

  • 丸田沢堤
    • 別名:丸田沢西堤、丸田沢西沢堤[13]、丸田沢溜池。
    • 北西の長命ケ丘方面から流れ下ってくる高柳川をせき止めて造られた。
  • 三共堤

散策路等[編集]

  • 東周遊コース : 約1460m
    • センターゾーンに繋がる「かすみざくらの道」と尾根を通る「秀衡街道」で構成される。
    • 「秀衡街道」(古海道[15])は、青葉区内の区間が「仙台市道中山街道線[注 1]」に指定されている。泉区内の区間はかつて「泉市道ニツ谷東坂線」に指定されていたが、同市が仙台市に編入される1年前に廃止され、一部を除いて里道となった[15]。途中の数ヶ所で、虹の丘に下りられる。なお、「かすみざくらの道」との合流部より北側の「秀衡街道」は、途中で通行止になっている。
  • 西周遊コース : 約1730m
    • 水の森入口から桜ケ丘入口までの「えごのきの道」、続く「すずたけの道」、センターゾーンに繋がる「こならの道」で構成される。
    • 鳥滝川や沢を渡る橋の前後で大きなアップダウンがある。
  • 三共堤探勝路
    • 三共堤の周りを巡る道
  • 氷室の道
    • 途中に氷室の跡がある。
  • すぎこだちの道
  • ふれあいの道
  • あかまつの道

水の森市民センター[編集]

南端の「水の森入口」に隣接する仙台市青葉区水の森四丁目1番1号(1978年7月3日住居表示実施前は、仙台市荒巻字川平62番320号[16])にある。園内の看板では「水の森市民センター」とのみ案内されているが、以下の4つの一体型施設である。

  • 水の森市民センター
  • 水の森児童館
  • TAC水の森ウォーターパーク(水の森温水プール) - 25m(7コース)の競泳プール、および、滑り台付きの12m×6mの児童・幼児用プール[17]
  • 水の森コミュニティ防災センター

これら施設の敷地には、1965年(昭和40年)に東北水交設備(株)が開設した「荒巻娯楽センター」があり、屋内アイススケート場(国際規格)、スナックスタンド、ボウリング場(10レーン)、屋外プール(25mプールおよび子供用プール)、ゴルフ場(規模不明)、レストハウス(和洋中のレストラン)を備えた。

これを1974年(昭和49年)に仙台市が買収し、屋内アイススケート場(スナックと貸しロッカー併設)、プール、レストハウス(レストラン)、駐車場で構成される施設に変えた。同年12月29日に市営スケート場は開業し、「荒巻スケートセンター」「水の森スケートセンター」「水の森スケート場」等と呼ばれた。リンクサイズは57m×26m。例年10月から4月まで開業していたが、1984年(昭和59年)3月31日に閉鎖された。また、市営プールは「水の森プール」と呼ばれた。25m(6コース)の競泳用プールと、15m(変形)幼児用プールがあった。例年7月上旬から8月下旬まで開業していたが、市営スケート場が閉鎖された同じ年の8月31日を以って閉鎖された。跡地には1990年(平成2年)9月4日、上記施設が開館した。

歴史[編集]

東北森林管理局仙台森林管理署が管理している国有林のうち仙台市内5地区が1971年昭和46年)3月22日林野庁により「仙台自然休養林」に指定された[18][19]。その5地区のうちの1つが「三共地区」(愛称:水の森、面積:45.97ha)であり[18][19]、同年より一般開放された[1]。これが後に当園の基礎となった。なお、「三共地区」は当時、その北部が泉市内、南部が仙台市内だった。

仙台自然休養林「三共地区」(水の森)の南側に1965年(昭和40年)に開設されていた民間の「荒巻娯楽センター」を1974年(昭和49年)に市が買収し、「荒巻スケートセンター」(後の「水の森スケートセンター」)と「水の森プール」を開場。1977年(昭和52年)には、北部の泉市内に「上谷刈青少年キャンプ場」(丸田沢キャンプ場)が開場した。

1980年(昭和55年)には「水の森公園」(約49ha)が都市計画決定されて整備事業が始まった(1990年度まで)。1980年代には、「上谷刈青少年キャンプ場」への接続道路脇(現在は上谷刈入口の駐車場の一部に転用)にテニスコート(ハードコート)2面が整備された(北緯38度18分32.5秒 東経140度51分43.8秒 / 北緯38.309028度 東経140.862167度 / 38.309028; 140.862167 (廃止:テニスコート2面))。

1983年(昭和58年)に閉場した「水の森スケートセンター」の跡地において、「水の森市民センター」「水の森児童館」「水の森温水プール」の3つの機能が併設された施設が1990年平成2年)に開館した。

一方、バブル景気に入り、1987年(昭和62年)のリゾート法施行、1988年(昭和63年)の泉市の仙台市編入、1989年(平成元年)の仙台市の政令指定都市移行という経済背景の変化の中、仙台市都心部から近く、新規開通した仙台北環状線でアクセスが容易になったにもかかわらず、湖畔の豊かな環境が残る当園北側隣接の丸田沢堤周辺(旧・泉市内)において、民有地の不動産取引が活発になった[21]。宮城県の自然環境保全条例で同地が指定されている[22]とはいえ、開発を完全に禁止出来るものではないため、丸田沢堤周辺(約67ha)を当園に編入して自然環境を保全しようと1990年(平成2年)6月、仙台市の三役[注 3]が意思決定した[21]。同年9月、国が「平成記念子供のもり公園」事業を始めることが分かり、既存の当園に丸田沢堤周辺を含めた地区をもって翌1991年(平成3年)に応募した結果[21]、当園は「平成記念子供のもり公園」に指定され[21][23]、当園の面積も103.1haに拡大した。

2003年(平成15年)には、キャンプ場が再整備された[23]

経済産業省の2004年度「健康サービス産業創出支援事業」に仙台ウェルネス・コンソーシアム(仙台市・東北福祉大学東北電力などによる産学官共同事業体)の『「フィンランド型」予防福祉・健康増進プラットホームの構築』が採択された[24]のを機に、仙台フィンランド健康福祉センターに近い「水の森市民センター」および当園にてノルディック・ウォーキング (NW) 体験会やNWインストラクター養成講座などが集中的に開催されるようになり、仙台市内を初め、全国にNWが広まった[25]

なお、当園の山林は学校林としても活用されてきた(例えば、仙台市立上杉山中学校1950年から2019年まで2.625ha分を契約しており、樹木伐採による収益は二官八民で分配する)[26]

年表[編集]

アクセス[編集]

  • 駐車場
    • 上谷刈入口(北)側:無料 103台
      • 入庫時間は6:00-19:00。「水の森公園キャンプ場」利用者は夜間も駐車可。
    • 水の森入口(南)側:無料 45台
      • 「水の森市民センター」「水の森児童館」「TAC水の森ウォーターパーク」の施設利用者と併用。

指定等[編集]

  • 保安林水源かん養保安林および保健保安林)[35]
    • (a) 泉区上谷刈赤坂のうち、丸田沢堤、キャンプ場、三共堤、宮城学院に囲まれた区域(1-77小林班を除く125林班の全域)
    • (b) 青葉区水の森4丁目の一部(151林班のうち3~6小林班:(a)の南側に隣接)
  • 地域森林計画対象森林[35]
  • 「丸田沢緑地環境保全地域」(面積:124ha、1973年指定)
    • 水の森公園、宮城学院桜ヶ丘キャンパス(1978年起工・1980年竣工[36]、敷地面積:約20.9ha[37])、桜ヶ丘公園 ほか[28]
  • 森林浴の森100選」(仙台自然休養林として。1986年指定)
  • 「平成記念子供のもり公園」(水の森公園として。面積:103.1ha。1991年指定)

脚注[編集]

脚注[編集]

  1. ^ a b 仙台市道青葉431号・中山街道線(延長1919.4m、最大幅員62.00m、最少幅員3.93m)。園外の青葉区内仙台市立荒巻小学校付近から荒巻中央の交差点を経て、水の森橋を渡って水の森入口までの舗装道路(約1.3km、Google マップ)と、そこから当園に入って泉区との境界付近(虹の丘4丁目方面への分岐付近)までの一部舗装の林道(約0.6km)を合わせた約1.9km。かつては一般車も園内区間に進入可能だったが、2002年からは進入禁止になっている(東北電力等の車両は進入可)。
  2. ^ 三共地区に流入する高柳川および鳥滝川の流域および隣接地
  3. ^ 三役とは、市長助役収入役のこと。
  4. ^ 右兵衛は後に与兵衛沼も築造した。
  5. ^ 仙台市道青葉1461号・鶴ケ谷荒巻青葉山(その4)線(延長1018.4m、最大幅員58.09m、最少幅員40.01m)
  6. ^ 仙台市道泉4002号・高柳~丸田沢線(延長2622.1m、最大幅員20.00m、最少幅員3.30m)

出典[編集]

  1. ^ a b c d 園内の説明看板より。
  2. ^ 緑の現状(仙台市)
  3. ^ 日本ノルディックフィットネス協会
  4. ^ 仙台水の森(元気学校)
  5. ^ みやぎ伝統的工芸品 / 堤焼(宮城県)
  6. ^ 政宗が育んだ "伊達" な文化 (PDF)文化庁
  7. ^ 「政宗が育んだ "伊達" な文化」が平成28年度「日本遺産(Japan Heritage)」に認定されました(仙台市)
  8. ^ a b 平成23年度 事業報告書 (PDF) (仙台市公園緑地協会)
  9. ^ 加茂市民センターだより 平成26年6月1日号 (PDF) (仙台ひと・まち交流財団)
  10. ^ 業務内容(赤坂建設)
  11. ^ a b 仙台市都市公園条例(仙台市条例第32号 1965年10月15日)
  12. ^ 泉市誌 下巻(泉市 1986年11月1日発行) 第21章 観光 第1節 泉市の観光 三、水郷的観光 pp.860-861
  13. ^ a b c d e f 泉市誌 下巻(泉市 1986年11月1日発行) 第20章 民俗 第2節 水利 三、堤(溜池) pp.533-550
  14. ^ 令和元年度提案型施設命名権の優先交渉者が決定しましたー皆さまのご意見を募集します―(仙台市)
  15. ^ a b c d 荒巻地区平成風土記(荒巻地区町内会連合会 2011年3月10日) p.28
  16. ^ a b 仙台市の住居表示実施状況(仙台市)
  17. ^ 温水プール・プール <青葉区>(公益財団法人 仙台市スポーツ振興事業団「仙台スポーツ情報ナビ」)
  18. ^ a b c d e 森林へのお誘い東北森林管理局
  19. ^ a b c d e 平成27年度仙台市自然環境に関する基礎調査業務委託報告書(その2) (PDF) (仙台市「仙台市自然環境基礎調査」)
  20. ^ 仙台圏 分譲地と住宅の案内 平成19年7月1日現在 / 月刊"住まいの情報"姉妹誌(フルタプランニング 発行)
  21. ^ a b c d e f 建設水道委員会 本文 100 : ◯大根田建設局次長(仙台市議会 1991年9月13日)
  22. ^ a b 丸田沢緑地環境保全地域(宮城県)
  23. ^ a b c d みどりの歴史(仙台市)
  24. ^ 平成16年度経済産業省委託事業 健康サービス産業創出支援事業 報告書 (PDF) (日本総合研究所 2005年3月)
  25. ^ 健康サービス「ノルディックウォーキングプロジェクト」~日本ノルディックフィットネス協会の取り組み~(産学官連携ジャーナル 2010年7月号)
  26. ^ a b c d e 上杉山中同窓会報「杉山臺」第2号 (PDF) (上杉山中学校同窓会 2009年10月18日)
  27. ^ a b 三共堤・丸田沢堤(仙台市「泉史跡めぐり」)
  28. ^ a b 自然公園等区域閲覧サービス(宮城県)
  29. ^ 宮城県体育協会史(財団法人宮城県体育協会、1989年1月5日発行)p.176-186
  30. ^ a b 平成23年度 仙台市市民センター事業概要 (PDF) (仙台市中央市民センター 2011年度)
  31. ^ ノルディック・ウォーキングの体験会 2005年7月14日(仙台フィンランド健康福祉センター)
  32. ^ a b 宮城県沖地震、他の屋内プール3施設も天井パネル落下(読売新聞 2005年8月18日)
  33. ^ a b 天井パネル落下、仙台市内でさらに4施設 宮城沖地震(朝日新聞 2005年8月18日)
  34. ^ 東日本大震災(第76報) (PDF) (国土交通省 2011年6月6日10:00)
  35. ^ a b 宮城県森林情報提供システム(宮城県)
  36. ^ 沿革宮城学院女子大学
  37. ^ BCS賞受賞作品 第23回受賞作品(1982年) 宮城学院キャンパス(一般社団法人日本建設業連合会

関連項目[編集]

外部リンク[編集]