栗田勇
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栗田 勇(くりた いさむ、1929年7月18日 - 2023年5月5日)は、日本のフランス文学者、美術評論家、作家、翻訳家。駒沢女子大学日本文化研究所名誉所長。
フランス象徴主義の詩人・ロートレアモン伯爵の作品を日本で初めて全訳し、レフ・トロツキーの翻訳も行った。また詩人でもあり、戯曲も書いた。多彩な創作、評論活動を展開し、仏教、寺院建築、美術等に関する日本文化論の著書を多く発表した。
経歴
[編集]1947年、東京府立第六中学校(現東京都立新宿高等学校)卒業。1953年、東京大学文学部仏文科卒業。1955年、同大学院修士課程修了。1960年より文筆活動に入る。
1962年、松田政男、山口健二、川仁宏らが企画した自立学校で、谷川雁、吉本隆明、埴谷雄高、黒田寛一、森秀人らとともに、講師をつとめる[3]。
明治大学、千葉大学、早稲田大学の講師を務める。駒沢女子大学教授、日本文化研究所所長を務め、名誉所長。
1977年、『一遍上人 - 旅の思索者』で芸術選奨文部大臣賞を受賞。1999年、紫綬褒章受章。
著書
[編集]- 『サボテン 詩集』(ユリイカ) 1955
- 『伝統の逆説』(七曜社) 1962
- 『反世界の魔 情念の中の政治』(現代思想社) 1963
- 『現代の空間』(三一書房) 1964
- 『石の寺』(淡交新社) 1965
- 『現代の教養』(三一新書) 1965
- 『都市とデザイン』(鹿島研究所出版会) 1965
- 『文学の構想 象徴の復権』(三一書房) 1966
- 『愛はやすき業か』全2部(三一書房) 1967 - 1968
- 『異貌の神々 ゴシック・バロック・ガウディの空間』(美術出版社) 1967
- 『愛奴 戯曲』(三一書房) 1967
- 「栗田勇著作集」全5巻(新書館) 1968 - 1969
- 『現代の空間 / 映像の美学』
- 『都市の文明 / デザインの思想』
- 『伝統の逆説 / 美の様式』
- 『劇的なる空間 / 建築の展開』
- 『情念の政治 / 文学の構想』
- 『青春の軌跡 対談 その思想と情念』(三一書房) 1968
- 『愛奴の系譜』(双葉社) 1968
- 『詩人トロツキー』(三一書房) 1969
- 『神秘の国の愛奴』(新書館) 1969
- 『知的正統のために』(河出書房新社) 1970
- 『生きがいの美学 知的青春論』(新書館) 1971
- 『神々の愛でし都』(中央公論社) 1972
- 『逸楽の華さく都』(中央公論社) 1973
- 『紅葉の美学』(読売新聞社) 1973
- 『一遍上人 - 旅の思索者』(新潮社) 1977、のち文庫 2000
- 『日本美の原像』(三省堂選書) 1977
- 『思想としての建築』(鹿島出版会) 1978
- 『飛鳥大和 美の巡礼』(新潮社) 1978、のち講談社学術文庫 1996
- 『アントニオ・ガウディ』(PARCO出版局) 1978
- 「栗田勇著作集」全12巻(講談社) 1979-1986
- 『日本文化論 伝統の逆説 / 美と秩序』 1979.6
- 『日本文化論 紅葉の美学 / 日本美の源流』 1979.5
- 『日本文化論 大和熊野 - 古寺巡礼 / 山岳信仰の山 - 修験の思想』 1981.6
- 『日本文化論 一遍上人と遊行 / 美の彼岸』 1986.6
- 『文明論 神々の愛でし都 / 逸楽の華さく都』 1979.7
- 『文明論 都市とデザイン / 建築と文明』 1979.12
- 『芸術論 現代の空間 / 映像の美学』 1979.8
- 『芸術論 劇的なる空間 / 聖なる空間』 1979.9
- 『思想・文芸論 反世界の魔 / 象徴の森をすぎて』 1980.2
- 『思想・文芸論 知的正統のために / 思索の風景』 1979.11
- 『思想・文芸論 神話と文学 / 感性の城』 1980.1
- 『人生論 愛することの美学 / 生きがいの美学』 1979.10
- 『熊野・高野・冥府の旅』(新潮社) 1979
- 『われらは美しき廃虚をもちうるだろうか』(ティビーエス・ブリタニカ) 1979
- 『古都往還 京都 - 時の愁い』(筑摩書房) 1980
- 『古都転生 京都2 - 水の愁い』(筑摩書房) 1980
- 『文明のたそがれ』(ティビーエス・ブリタニカ) 1980
- 『古都遍歴 嵯峨野より』(筑摩書房) 1981
- 『わがガウディ 劇的なる空間』(朝日選書) 1981
- 『孤独な日本人 いまなぜ宗教か』(サンケイ出版) 1982
- 『古都逍遥 風の旅路』(筑摩書房) 1983
- 『竹久夢二 愛と詩の旅人』(山陽新聞社) 1983
- 『道元の読み方 今を生き切る哲学 -『正法眼蔵』』(祥伝社) 1984、のち文庫 2001
- 『イスラム・スペイン建築への旅 薄明の空間体験』(朝日選書) 1985
- 『良寛入門 もっと愚かに、もっと伸びやかに生きる道』(祥伝社) 1985、のち改題文庫化『良寛の読み方』 2001
- 『神やどる大和』(新潮社) 1986
- 『女人讃歌 甲斐庄楠音の生涯』(新潮社) 1987
- 『造化のこころ 日本の自然と美のかたち』(白水社) 1988
- 『禅と日本人』(河出書房新社) 1989
- 『道元・一遍・良寛 日本人のこころ』(春秋社) 1990
- 『古寺巡礼 日本精神の風景』(春秋社) 1990
- 『千利休と日本人 いま甦る「ばさら」の精神』(祥伝社) 1990
- 『「岡田茂吉の世界」- 栗田勇氏は語る-』(エムオーエー商事) 1990
- 『美の探訪』(クレオ) 1991
- 『日本文化のキーワード 7つのやまと言葉でその宝庫を開く』(祥伝社) 1993
- 『日本文化のキーワード 七つのやまと言葉』(祥伝社新書) 2010
- 『最澄と天台本覚思想 日本精神史序説』(作品社) 1994
- 『而今の花』(作品社) 1995
- 『白隠の読み方 謎の禅師 <息>によって心身を養う「夜船閑話」の知恵』(祥伝社) 1995、のち文庫 2001
- 『盆栽発見 その日その日』(新潮社) 1997
- 『最澄』上・中・下(新潮社) 1998
- 『西行から最澄へ 日本文化と仏教思想』(岩波書店) 1999
- 『栗田勇 生きる知恵』上・下(日本放送出版協) 2001
- 『花を旅する』(岩波新書) 2001
- 『道元 いまを生きる極意』(日本経済新聞社) 2001
- 『漂民 遠藤伸樹覚書』(岩波書店) 2001
- 『捨ててこそ生きる 一遍遊行上人』(日本放送出版協会) 2001
- 『花のある暮らし』(岩波新書) 2002
- 『生きる知恵を学ぶ』(岩波書店) 2003
- 『日本の心を旅する』(春秋社) 2003
- 『良寛』(春秋社) 2005
- 『一休 その破戒と風狂』(祥伝社) 2005
- 『雪月花の心』(ロバート・ミンツァー英訳、祥伝社新書 ヴィジュアル版) 2008 - 講演録
- 『芭蕉』上・下(祥伝社) 2017
翻訳
[編集]- 『ロートレアモン全集』全3巻(ユリイカ) 1957 - 1958
- 『わが生涯』(トロッキー、澁澤龍彦, 浜田泰三, 野沢協(林茂名義)と共訳、現代思潮社) 1961
- 『コンミューンの炬火』(ブランキとプルードン, S・モリニエ, S-L・プーシュ、浜田泰三共訳、現代思潮社) 1963
- 『空間としての建築』(ブルーノ・ゼヴィ、青銅社) 1966
- 『亡命日記 査証なき旅』(トロツキー、浜田泰三共訳、現代思潮社) 1968
- 『ナジャ』(アンドレ・ブルトン、峰尾雅彦共訳、現代思潮社) 1976
関連項目
[編集]脚注
[編集]- ^ 『読売年鑑 2016年版』(読売新聞東京本社、2016年)p.449
- ^ 大塚英子『夜の文壇博物誌』117p
- ^ 森秀人『実録・我が草莽伝』(東京白川書院)P.88
- ^ “栗田勇さん死去 「一遍上人」作家、評論家”. 産経新聞. (2023年6月6日) 2023年6月6日閲覧。