心肺停止

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
心肺停止状態から転送)
移動先: 案内検索

心肺停止(しんぱいていし)とは、心臓呼吸が止まった状態。CPAともいう(英語: Cardiopulmonary arrest の略)。

概説[編集]

心臓の動きが先に止まる場合と、の動き(呼吸)が先に止まる場合とがあるが、いずれの場合でも放置しておけば必ず両者は合併し「心肺停止状態」となる。しかし蘇生の可能性が残されているため死亡状態ではない。

血液が行かなくなるため、手遅れになるとたとえは助かっても脳死状態になる危険があるので、この状態に陥った患者に対しては、人工呼吸心臓マッサージなど、迅速な救命措置が必要である。心肺蘇生法CPR英語: Cardiopulmonary resuscitation)と呼ぶ。

心肺停止と三徴候説[編集]

欧米では三徴候説が死の診断基準として普及するまで心肺停止(瞳孔散大を除いた呼吸停止と心停止)が死の診断基準とされていた[1]。三徴候説とは呼吸停止(呼吸の不可逆的停止)と心停止(心臓の不可逆的停止)に加えて瞳孔散大という3つの徴候をもって人の死の診断基準とするものである[1]。瞳孔散大ないし対光反射の消失は脳幹機能の消失と機能的には重なる部分があり、20世紀前半にはこれを基準に加えた三徴候説が死の判断基準として普及した[1]

日本のマスメディアメディア)では自然災害事故に遭遇して死亡し、医師あるいは歯科医師による死亡確認・宣告がまだ行われていない状態の人について「心肺停止」「心肺停止状態」と表現される[2][3][4]

医学界では、実際には死亡していても、心停止と呼吸停止のほかに脈拍停止と瞳孔散大(散瞳)を確認して医師が死亡を宣告しなければ法的に確定しないとされており、医師・歯科医師以外の者(救助要員や警察官海上保安官・報道関係者など)は心停止・呼吸停止を判断することはできても、死亡を宣告することはできないことが理由である[2][3]。ただし例外として、救急隊が到着した時点で、既に死後硬直が始まっているか死斑が現れている、低体温であるなどいった状況から救急搬送する意味がもはやなくなっている場合、救急隊の判断で死亡判定がされることがある[4]

事故・災害現場において、まだ救出できておらず、医師も近づけない状態にある遺体や、病院に運ばれている途中の遺体は、医師による死亡が未宣告であり「心肺停止」とされる。

日本国外のメディアでは、日本のメディアが「心肺停止」と報じていても、海外の報道では「死亡」「遺体」に該当する語が用いられることもある[2]

関連項目[編集]

出典[編集]

  1. ^ a b c 『新版増補生命倫理事典』 太陽出版、2010年、360頁。
  2. ^ a b c “御嶽山噴火でも使われた「心肺停止」 なぜ「死亡」といってはいけないのか”. J-CASTニュース」 (ジェイ・キャスト). (2014年9月29日). http://www.j-cast.com/2014/09/29217057.html 2014年9月30日閲覧。 
  3. ^ a b “「心肺停止」と「死亡」の違い”. 毎日こどもニュース (毎日新聞). http://mainichi.jp/sumamachi/news.html?cid=20141114mul00m04000700sc 2017年4月26日閲覧。 
  4. ^ a b 清益 功浩 (2015年10月17日). “報道でよく聞く「心肺停止」と「死亡」はどう違うの?”. All About. 2017年4月26日閲覧。