小悪魔ageha

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小悪魔ageha
ジャンル ギャル系
読者対象 女性
刊行頻度 隔月刊
月刊(2006年 - 2014年)
発売国 日本の旗 日本
言語 日本語
出版社 ネコ・パブリッシング
インフォレスト(2005年 - 2014年)
編集長 小泉麻理香
中條寿子(2005年 - 2011年)
刊行期間 2015年4月18日 -
2005年10月1日 - 2014年4月1日
発行部数 35万[1] - 40万[2]部(2008年 - 2009年)
ウェブサイト 公式ウェブサイト
公式ツイッター

小悪魔ageha』(こあくまアゲハ[3])は、日本ギャル系ファッション雑誌[4]。10代から20代までの女性を主な想定読者層とする月刊誌で、“姉ギャル”ならびに“姫ギャル”と呼ばれる系統に類される[4]。ファッション雑誌であると同時に、一種のライフスタイル誌でもあるとする捉え方がある[5]

最盛期(2008年)には発行40万部・実売30万部を計上[6]。この著しく高い発行部数[7]に加え、キャバクラでの勤労に従事するいわゆるホステスの女性たちを主要な想定読者層とし[4]、さらには誌面に登場するモデルらの多くも現役のホステスであるという、キャバクラの世界との密接な関わりという特色が注目されてきた[5]

社会学者の宮台真司はこの雑誌を“キャバクラ嬢の教科書”と言い表す[8]。 “キャバクラ嬢のバイブル”とする者もある[9]

来歴[編集]

ギャル界隈との馴染みを持っていた当時27歳の中條寿子を編集長に据えたうえで[9]、『Happie nuts〔ハピーナッツ〕』の特別号として2005年の10月に『小悪魔&ナッツ』という名で創刊[10]。これが『小悪魔ageha』と名を変え、2006年の10月をもって月刊誌へと生まれ変わった[10]。創刊当初の発行部数は推定22万部、これが2008年頃には35万部にまで上昇していた[11]。同年3月期における版元インフォレストの売上高は約59億4500万円を計上[12]。その2008年には姉妹誌『I LOVE mama〔アイラブママ〕』の前身にあたる『mama nuts × ageha』が派生[11]。さらに2010年には姉妹誌『姉ageha』の前身にあたる『お姉さんageha』[13]ならびに不定期刊行の姉妹誌『着物ageha』が派生した[14]

休刊[編集]

2011年11月をもって中條寿子が編集長を退任、この時期から本格的な衰退が始まったと考えられている[15]。画一的な誌面構成となり、タイアップ記事が大幅に増加、付録も導入されるに至った[16]。2014年3月号は13万部発行実売5万部で最盛期2008年の6分の1まで落ち込んだ[6]。2014年4月15日の出版元の事業停止により休刊、2014年5月号(同4月1日発売)がインフォレストが出版する本誌としての最終号となった。

復刊[編集]

2014年12月に限定復活という形の『小悪魔agehaメモリアルBook』が主婦の友社より発刊[17]桜井莉菜荒木さやか桃華絵里などの元『小悪魔ageha』モデルの面々を誌面に起用しての発刊で、発売から1週間で5万部を売り上げた[18]。2015年にネコ・パブリッシング(発行元・ダナリーデラックス)からの復刊が決定[19]。『Happie nuts』や『小悪魔ageha』の編集部員を担ってもいたライターの小泉麻理香を編集長に据え、隔月刊誌として4月18日に正式復刊した[20]

モデルとその様式[編集]

『小悪魔ageha』の専属モデルは“ageモ”と呼ばれ、不定期に登場するモデルらは“age嬢”と呼ばれる[10]。この娘たちは日本列島各地の“宵闇の街”に生きる現役のホステスが大半を占めている[21]。ハピーナッツ誌のモデルらとは違い、色黒日焼け肌であることは特には要求されず、その独特の様式は“アゲハ系”などと呼ばれ、10代から20代の女性達の間で高い人気を獲得するに至る[10]。典型的な“アゲハ系”がどのようなものであるかについては、「キャバクラという名の揺り篭の中でヤンキーのエッセンスを吸収しつつ揺籃してきた“ギャルの進化形態の一種”」とするものなどがある[5]。ライフスタイルとしての“アゲハ系”に着目するならば、傾向としての「地元志向」の色濃さが指摘されている。一般に日本のファッション雑誌の多くが東京中心主義的であるのとは対照的である[22]

『小悪魔ageha』の独自性はその誌面の雰囲気からも推し量られる。すなわち、ホステスのライフスタイルないしは日常風景を取り上げるに際して、その魅惑的な様子のみを掻き集めて並べる、などといったことはせず、あくまで極力美化することなくそれを誌面に描き出すのである[21]。更には、やはりファッション雑誌であるからして、その内容の大半は基本的にはファッション関係の事柄なのであるが[5]、この雑誌は時に「人間の心の中のヤミ(“闇”および“病”)」という深刻なテーマの取り扱いに着手することがある[10]。それぞれの“暗黒面”を軽快に語るこの雑誌のモデルたちは、しばしば自身の日常あるいは過去の“まずい秘密事項”を誌面に露にする。例として、非行、家出、ひきこもり、いじめ、裏切り、失恋、心の病、トラウマ、自殺、劣等感、性的志向、孤独感、幼少期の虐待経験、家庭内暴力、そしてアルコール中毒についてのものなどが挙げられる。ファッション雑誌といえば「終始容赦なく明るい」のが通常であることからして、これは非常に珍しい特色であるものと考えられている[5]

小悪魔agehaは創刊当初から一貫して「夜の仕事」に従事する女性らへ向けた誌面づくりを行ってきたものの、やがては読者の幅も拡大。“昼”の女性達にも広く受容されるようになった。[10]

アゲハのモデルには一種のカリスマ的な人気を獲得し、マスメディアを通しての幅広い注目を集める者も多く見られる。そのごく初期の顕著な一例にあたるのが“ももえり”こと桃華絵里である[23]。そして桃華がまさにそうであったように、自身のファッションブランドを立ち上げるモデルらもいる。「DIVAS」というブランドを立ち上げた純恋〔1987–2009〕は、その晩年にあってはモデル活動と併行しながら“DIVASデザイナー”をしばしば名乗った[24]。『Rady』を立ち上げた武藤静香も顕著な例である。この武藤のブランド『Rady』は2008年に始動したもので、2011年の4月には月商が1億円に達している[25]

モデル総覧[編集]

『ageモ/age嬢』[編集]

愛沢えみり青木美沙子あきち家村マリエ黒瀧まりあ桜井莉菜奈々子ほずにゃむ南真琴八鍬里美百合華りん・遠藤彩香・神河ひかり・貴咲愛鈴・西山りほ・姫崎クレア・藤ヶ森めぐ・吉川ぐら・吉川ぐり・愛内心愛・相川南・愛川もも・愛澤沙羅・青木葉・茜まなみ・浅香菜摘・飛鳥バネッサ・和泉こたろう・和泉まお・一条ありさ・一条京香・一ノ瀬恋・内山みなみ・漆原かな・エンジェル・桜咲姫奈・岡田なみ・オダジュン・おりもあい・かおりんご・片瀬しいな・金崎令奈・京城姫香・幸田エリカ・小宮ゆりい・近藤千尋・さーこ・さおりにゃ・桜井亜梨沙・桜さら・シャレールディアーノ・城咲美華・城咲美唯・白谷歩・新条絵里香・鈴木えりか・鈴木小百合・諏訪みお・滝沢麗奈・橘咲・東条つばさ・とっち・なみ・鳴愛知里・華沢友里奈・春菜まり・姫乃美唯・まなか・みきてぃ・美咲・水輝聖羅・水城舞・水野智世・水野有美・南はるか・みもれ・百瀬もも・山上紗和・ゆきいちご・りおん・渡辺かなえ

元『ageモ/age嬢』[編集]

早川沙世上ノ宮絵理沙椿姫彩菜紅音ほたるきんきら☆きん飯沼ももこ朝倉さくらけいこ武田アンリ・矢野涼子・緑川すず

  • 白咲姫香 - 2007年12月号で卒業
  • のりりん - 2008年に卒業
  • ねむ - 2009年に卒業
  • 桃華絵里 - 2009年に卒業
  • 純恋 - 2009年に死去
  • 荒木さやか - 2011年に卒業
  • 原崎嘉夏 - 2012年に引退
  • 鮎川りな - 2013年に卒業
  • 神子島みか - 2013年に卒業、現在は「姉ageha」のモデル
  • 武藤静香 - 2014年に卒業

関係誌[編集]

『姉ageha』[編集]

2010年の11月に刊行された小悪魔agehaの特別号『お姉さんageha』が2011年の3月に独立[13]。そうして生まれた『姉ageha』は、隔月刊行のファッション誌で、20代後半以降の女性を想定読者層としている[26]。インフォレストとしては2014年4月7日発売号が最後であったが、2014年8月7日以降、主婦の友社(medias株式会社発行・主婦の友社発売)より『S Cawaii!』増刊号として再刊[27]

『着物ageha』[編集]

小悪魔agehaの特別号として2010年の12月に創刊[14]。文字通り着物に特化したファッション誌で、不定期刊行。小悪魔agehaのモデルらがその誌面を飾っている[28]

『I LOVE mama』[編集]

小悪魔agehaとハピーナッツの共同特別号として『mama nuts × ageha』という名で2008年の9月に創刊[11]。これが2009年の3月号から『I LOVE mama』と名を変え、同時に月刊誌へと生まれ変わった[29]。いわゆる『ギャルママ』を想定読者層とする雑誌で、ギャルママに特化した雑誌はこれが史上初[11]

『LARME』[編集]

2012年創刊の『LARME』は『小悪魔ageha』の全盛期にあたる時期の編集に携わった中郡暖菜を創刊編集長に据えるファッション雑誌で、こうした創刊の経緯に加え、台頭の時期が『小悪魔ageha』没落の時期とちょうど重なっていること、ならびに、「病み」や「憂鬱感」の共感とファッション化、キャッチコピーの真剣具合、写真の修正具合、などの点から、『小悪魔ageha』との類似や差異が議論の的になることがある[30]。『キャバ嬢の社会学』などの著作で知られるライターの北条かやは、この『LARME』を“『小悪魔ageha』のDNA”を受け継ぐ雑誌にあたるとしている[31]

出典[編集]

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  1. ^ "Hostessing an honorable profession, young women say", 21 May 2008, Japan Today (英語)
  2. ^ "'Koakuma Ageha' charismatic model Sayaka Araki debuts as a DJ", March 19, 2009, Livedoor News
  3. ^ "A day in the life of a Japanese 'hostess' model" 16 September 2010, CNN (英語)
  4. ^ a b c "Koakuma Ageha", Women's Fashion Magazine Guide
  5. ^ a b c d e "Totally completed the back numbers of 'Koakuma Ageha'!!", April 30, 2009, Ebunroku Kotonoha, Hideaki Matsunaga
  6. ^ a b FRIDAY』2014年5/2号 p.86-87 「『小悪魔アゲハ』出版社が悲鳴「もうカネがない!」」
  7. ^ "Koakuma Ageha", Model Press
  8. ^ "Chugakusei Kara no Ai no Jugyo, ISBN 978-4862527363, pp.219, Shinji Miyadai, 2010
  9. ^ a b "Hisako Nakajo the chief editor of 'Koakuma Ageha' talks about 'five secrets of the ad slogan power'", August 23, 2010, Henshusha.jp
  10. ^ a b c d e f "Interview with the chief editor of 'Koakuma Ageha', there are only two things in the world : 'kawaii' or 'not kawaii'", July 14, 2009, GIGAZINE
  11. ^ a b c d "Agejo, gyaru, significantly growing women's magazine of a moderate-sized publisher" 2 October 2008, The All Japan Magazine and Book Publisher's and Editor's Association
  12. ^ 『小悪魔ageha』のインフォレストが事実上の倒産』 2014年4月16日 FASHION HEADLINE
  13. ^ a b "Older sister version of Koakuma Ageha, by Inforest & Co.", December 15, 2010, Upbeat Media Works
  14. ^ a b "'Koakuma Ageha' releases 'Kimono Ageha'", 27 December 2010, Beauty Hair News
  15. ^ 「小悪魔ageha」などを出版していたインフォレストが倒産、負債30億円』 2014年4月16日 GIGAZINE
  16. ^ 『小悪魔ageha』の版元が倒産へ、全盛期から何が変わったのか (2/2)北条かや 2014年4月16日 BLOGOS
  17. ^ 「小悪魔ageha」限定復活 黄金期の専属モデル集結で闇企画など再収録 - モデルプレス 2014年12月10日
  18. ^ 破綻しても復活、ギャル雑誌「小悪魔ageha」帝国データバンク東京支社情報部部長・藤森徹 2015年2月25日 日経カレッジカフェ
  19. ^ 「小悪魔ageha」復刊が正式決定 編集長がコメント - モデルプレス 2015年3月10日
  20. ^ 小悪魔ageha“涙”の復刊 新編集長&age嬢プロフィール総まとめ』 2015年4月13日 モデルプレス
  21. ^ a b "Analyzing 'Koakuma Ageha' and 'Mori Girl' as Lifestyles", February 20, 2010, Hideaki Matsunaga, .review
  22. ^ "Truth about 'local orientation' in 'Koakuma Ageha'" (1/2), 26 July 2011, Hideaki Matsunaga, Livedoor Blogos
  23. ^ "Ageha-jo Eri Momoka, Photo session with her son in a popular magazine, 'A day with good job'", 2 October 2008, Techinsight
  24. ^ "Good bye, Sumire.", 14 June 2009, Ebunroku Kotonoha, Hideaki Matsunaga
  25. ^ "Koakuma Ageha model Shizuka Mutoh's brand launches its new flag shop in Shinjuku after its monthly earnings exceeds 100 million yen", 3 July 2011, Fashionsnap.com
  26. ^ "Ane Ageha", Women's Fashion Magazine Guide
  27. ^ 「姉ageha」復刊、新たな発行元が正式発表 編集長コメント
  28. ^ "Kimono Ageha", Women's Fashion Magazine Guide
  29. ^ "Fake eyelash over pork meat!? Worldview of the gyaru-mama magazine 'I Love Mama'" January 2010, Cyzo Woman and "'Spring Is the Dawn Smokey', 'Tsukematrix' — 'I Love Mama' has coined new words" March 2011, Cyzo Woman
  30. ^ 「小悪魔ageha」から「LARME」へ受け継がれなかったもの(1/4)』 柴田英里 messy 2014年9月26日 ウーマンエキサイト
  31. ^ 『小悪魔ageha』のDNAはギャルの垣根をこえて、新雑誌『LARME』に受け継がれていた』 北条かや 2014年4月18日 BLOGOS

外部リンク[編集]