対米従属論

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対米従属論(たいべいじゅうぞくろん)とは、戦後の日米関係に関する一見解である。

日本共産党の見解[編集]

1961年日本共産党第8回大会で採択された日本共産党綱領では、日本の地位を「高度に発達した資本主義国でありながら半ば占領された従属国」と位置付け、日本独占資本の支配と共に、これに反対して日本の独立を勝ち取る「反帝・反独占の人民の民主主義革命」を掲げた[1]

日本共産党のこの認識は、用語を変えながらも基本的に変化していない。この認識に対して、日本社会党の一部や新左翼各潮流からは、「米国から自立した日本帝国主義の存在を無視する論である」「社会主義革命を永遠の未来へ押しやるための口実である」などとの批判がなされた[2]

その他の論者の見解[編集]

孫崎享は、親米保守反米保守という対米従属派の観念による二元論に疑義を呈し、従米右翼という戦後日本のナショナリズムの歪さを指摘して、日本の主権を侵害している主体が米国であると指摘し[3]、中国や朝鮮半島が批判の対象になっていることに疑問を呈する旨の発言をしている[4]。そして、対米従属とされる吉田茂を代表格とする、いわゆる戦後の日本の保守本流なるものの根本は、従米であると指摘している[5]。さらに戦後、米国による裏工作で日本の対米独立派達がパージされてきた歴史的過程を指摘している[6]

在日米軍問題の専門家で沖縄国際大学教授である前泊博盛は、日米行政協定(現日米地位協定)が、米軍による日本の主権侵害を許し、対米従属をもたらしている核心的な不平等協定のみならず、原子力発電所再稼働問題や検察ファシズムといった構造的な弊害をも日本社会にもたらしている事を分析している[7]

関連文献[編集]

  • 孫崎享、木村朗編著『終わらない〈占領〉: 対米自立と日米安保見直しを提言する! 』(法律文化社、2013年)[8]
  • 関岡英之吉川元忠『国富消尽―対米隷従の果てに』(PHP研究所、2005年)
  • 田中宇『日本が「対米従属」を脱する日--多極化する新世界秩序の中で』(風雲舎、2009年)
  • 副島隆彦『属国・日本論』(五月書房、改訂版、2005年)
  • 副島隆彦『属国日本論を超えて』(PHP研究所、改訂版、2014年)
  • 末浪靖司「対米従属の正体」(高文研、2012年、 ISBN 9784874984826)
  • ガバン・マコーマック 『属国―米国の抱擁とアジアでの孤立』 (凱風社、2008年、ISBN4773632135)

脚注[編集]

  1. ^ 佐藤優「危機を克服する教養」、角川書店、2014年、P.39
  2. ^ 佐藤優「危機を克服する教養」、角川書店、2014年、pp.39-40
  3. ^ 孫崎享『独立の思考』角川学芸出版、P. 197。
  4. ^ 孫崎享『独立の思考』角川学芸出版、P. 197。
  5. ^ 孫崎享、『戦後史の正体 1945-2012』「戦後再発見」双書1)、創元社、P.56、2012年。
  6. ^ 孫崎享アメリカに潰された政治家たち」、小学館、2012年、P.16。
  7. ^ 前泊博盛『本当は憲法より大切な「日米地位協定入門」』、創元社、P.233。
  8. ^ NPJ通信. “特別寄稿日本は真の独立国家なのか 「『終わらない〈占領〉』 を問う」>対米従属”. 2013年8月28日閲覧。

関連項目[編集]