ラノステロール
| 物質名 | |
|---|---|
Lanosta-8,24-dien-3β-ol | |
(1R,3aR,5aR,7S,9aS,11aR)-3a,6,6,9a,11a-Pentamethyl-1-[(2R)-6-methylhept-5-en-2-yl]-2,3,3a,4,5,5a,6,7,8,9,9a,10,11,11a-tetradecahydro-1H-cyclopenta[a]phenanthren-7-ol | |
別名 ラノステリン | |
| 識別情報 | |
3D model (JSmol) |
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| バイルシュタイン | 2226449 |
| ChEBI | |
| ChEMBL | |
| ChemSpider | |
| DrugBank | |
| ECHA InfoCard | 100.001.105 |
| EC番号 |
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| KEGG | |
| MeSH | Lanosterol |
PubChem CID |
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| UNII | |
CompTox Dashboard (EPA) |
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| 性質 | |
| C30H50O | |
| モル質量 | 426.71 g/mol |
| 外観 | 無色の固体 |
| 融点 | 138 - 140 °C (280 - 284 °F; 411 - 413 K) |

ラノステロール(英: lanosterol)は、動物や菌類に広く存在するステロイド、トリテルペノイドの一つ。化学式 C30H50O、分子量は426.7。IUPAC命名法ではラノスタ-8,24-ジエン-3-オール。別名ラノステリン。CAS登録番号は79-63-0。常温では無色の固体で、融点は138-140℃。ラノリンに多量に存在し、そこから発見されたことから命名された。
動物や菌類(オピスタコンタと総称される)のあらゆるステロイド化合物(コレステロール等)の前駆体として重要であり[1]、脊椎動物の目では、ラノステロールは天然成分であり、水晶体の健康を維持する役割を担っている。
対照的に、植物のステロイドはシクロアルテノールを介して生成される[2]。
ステロイド生合成経路において、シクロアルテノールとともに、前駆体(オキシドスクアレン)の環化によって生成する最初のステロール(プロトステロール)の一つである。すべてのステロイド化合物は、ラノステロールもしくはシクロアルテノールのその後の修飾により生成する。
生合成
[編集]ラノステロールの生合成については、盛んに研究されている[1]。
スクアレンシンターゼにより2分子のファルネシル二リン酸がNADPHによる還元で縮合してスクアレンになる。

スクアレンエポキシダーゼによりスクアレンから(3S)-2,3-エポキシスクアレン(オキシドスクアレン)が合成される。

オキシドスクアレン環化酵素(ラノステロールシンターゼ)により環化反応が起こり、プロトステロールカチオンが生成する。

水素イオンが抜けて、プロトステロールカチオンからラノステロールとなる。

動植物での合成
[編集]ラノステロールがオピスタコンタ(動物・菌類)に特徴的なステロールとして知られる一方、その他の真核生物(植物や原生生物など)ではシクロアルテノールが合成される。
ラノステロールとシクロアルテノールはすべてのステロイド化合物の出発物質であるため、両者を合わせてプロトステロールとも呼ばれる。ラノステロールおよびシクロアルテノールを生成するオキシドスクアレン環化酵素は互いに相同であり、進化的に関連している。真核生物の共通祖先はもともとシクロアルテノールを合成したと推測されており、シクロアルテノールはラノステロールよりも起源が古い。そのためオピスタコンタの共通祖先において、それまでシクロアルテノールを合成していたオキシドスクアレン環化酵素(シクロアルテノールシンターゼ)のアミノ酸配列が変異し、ラノステロールシンターゼが誕生したと考えられる。
点眼サプリメントとしての研究
[編集]ラノステロールは、眼球の水晶体に天然に豊富に含まれる分子として、水晶体の透明度の維持に関与する成分である[3][4]。その作用機序として、白内障で視界を曇らせる一因となる水晶体タンパク質の凝集を抑制することが提唱されている[3][4]。
ラノステロールは、水晶体タンパク質の凝集を阻害し、白内障を溶解する点眼薬の治療添加物としての可能性が研究されている[3][4]。しかし、点眼薬に含まれる補助的なラノステロールは、溶解性に限界があり、眼内での生物学的利用能が低いようであり、2020年現在、白内障を抑制する効果は証明されていない[3][4]。
出典
[編集]- 1 2 Nes, W. David (2011). “Biosynthesis of cholesterol and other sterols”. Chemical Reviews 111 (10): 6423–6451. doi:10.1021/cr200021m. PMC 3191736.
- ↑ Schaller, Hubert (May 2003). “The role of sterols in plant growth and development”. Progress in Lipid Research 42 (3): 163–175. doi:10.1016/S0163-7827(02)00047-4. PMID 12689617.
- 1 2 3 4 “Failure of oxysterols such as lanosterol to restore lens clarity from cataracts”. Scientific Reports 9 (1): 8459. (June 2019). doi:10.1038/s41598-019-44676-4. PMC 6560215. PMID 31186457.
- 1 2 3 4 “Advances in pharmacotherapy of cataracts”. Annals of Translational Medicine 8 (22): 1552. (November 2020). doi:10.21037/atm-20-1960. PMC 7729355. PMID 33313297.

