ラノステロール
ラノステロール | |
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ラノスタ-8,24-ジエン-3β-オール | |
別称 ラノステリン | |
識別情報 | |
CAS登録番号 | 79-63-0 |
KEGG | C01724 |
特性 | |
化学式 | C30H50O |
モル質量 | 426.72 g mol−1 |
外観 | 無色固体 |
融点 |
138–140 ℃ |
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。 |
ラノステロール (lanosterol) は、動物や菌類に広く存在するステロイド、トリテルペノイドの一つ。化学式 C30H50O、分子量は426.7。IUPAC命名法ではラノスタ-8,24-ジエン-3-オール。別名ラノステリン。CAS登録番号は79-63-0。常温では無色の固体で、融点は138-140℃。ラノリンに多量に存在し、そこから発見されたことから命名された。
動物や菌類(オピスタコンタと総称される)のあらゆるステロイド化合物(コレステロール等)の前駆体として重要であるが、生理学的な役割は定かでない。ステロイド生合成経路において、シクロアルテノールとともに、前駆体(オキシドスクアレン)の環化によって生成する最初のステロール(プロトステロール)の一つである。すべてのステロイド化合物は、ラノステロールもしくはシクロアルテノールのその後の修飾により生成する。
生合成
[編集]スクアレンエポキシダーゼによりスクアレンから(3S)-2,3-エポキシスクアレン(オキシドスクアレン)が合成される。
オキシドクアレン環化酵素(ラノステロールシンターゼ)により環化反応が起こり、プロトステロールカチオンが生成する。
水素イオンが抜けて、プロトステロールカチオンからラノステロールとなる。
ラノステロールがオピスタコンタ(動物・菌類)に特徴的なステロールとして知られる一方、その他の真核生物(植物や原生生物など)ではシクロアルテノールが合成される。ラノステロールとシクロアルテノールはすべてのステロイド化合物の出発物質であるため、両者を合わせてプロトステロールとも呼ばれる。ラノステロールおよびシクロアルテノールを生成するオキシドスクアレン環化酵素は互いに相同であり、進化的に関連している。真核生物の共通祖先はもともとシクロアルテノールを合成したと推測されており、シクロアルテノールはラノステロールよりも起源が古い。そのためオピスタコンタの共通祖先において、それまでシクロアルテノールを合成していたオキシドスクアレン環化酵素(シクロアルテノール・シンターゼ)のアミノ酸配列が変異し、ラノステロール・シンターゼが誕生したと考えられる。