コンテンツにスキップ

ボルボ・V60

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
V60R

V60[1][2](Volvo V60)はスウェーデンの自動車メーカー、ボルボ・カーズ[3]が製造・販売するステーションワゴンである。

概要

[編集]

2010年に登場した2代目S60のワゴンモデルとしてモンディアル・ド・ロトモビルで公開されたコンセプトカー“V60コンセプト”をルーツとしている。ボルボとしてはV70V50に続く第3のステーションワゴンで、車格は両車の中間となる。欧州では同年秋に発売を開始した。

2015年10月、V60をベースにV60 Cross Country(クロスカントリー)が発表された。

2018年2月、SPA(Scalable Product Architecture)プラットフォームを導入した2代目がストックホルムで発表された。

初代(2010年 - 2018年)

[編集]
ボルボ・V60(初代)
FB6304T
前期 フロント
前期 リア
後期 Rデザイン フロント
概要
製造国  スウェーデン
販売期間 2011年6月–2018年
ボディ
乗車定員 5名
ボディタイプ ステーションワゴン
エンジン位置 フロント
駆動方式 FF/4WD
パワートレイン
エンジン ガソリン
B4154T型
1497cc 直列4気筒DOHC 16バルブ ターボ
B4164T型
1595cc 直列4気筒DOHC 16バルブ ターボ
B420型
1968cc 直列4気筒DOHC 16バルブ ターボ
B420型
1968cc 直列4気筒 DOHC 16バルブ ターボ+スーパーチャージャー
B525型
2497cc 直列5気筒 DOHC 20バルブターボ
B6304T型
2953cc 直列6気筒 DOHC 24バルブ ターボ
ディーゼル
D4204T型
1968cc 直列4気筒 DOHC 16バルブ ターボ
最高出力 152ps-350ps
変速機 6速DCT
6速AT
8速AT
車両寸法
ホイールベース 2,775 mm
全長 4,635 mm
全幅 1,865 mm
全高 1,480 mm
車両重量 1,680 kg
テンプレートを表示

全長4,630mmx全幅1,860mmx全高1,480mm(日本仕様の場合)で、車格を考慮すると比較的大柄である。プラットフォームはS60やXC60同様にボルボ・P24プラットフォームを使用(ホイールベース2,775mmの数値はS60やXC60と同一)。

V70やV50と同じステーションワゴンとはいえ、S60やXC60同様、クーペを髣髴とさせる流麗かつ大胆なものとなっている。尚、外観デザインはチーフデザイナーのピーター・ホールバリーによるものである。インテリアに関しては他シリーズで既におなじみの「フリーフローティングセンタースタック」などボルボならではのスカンジナビアテイストを表現したデザインと、自然素材などの採用による上質さを特徴としている。

パワーユニットは、本国では1.6L・直列4気筒ならびに同直噴ターボ、2.0L・直列4気筒ターボ(B4204T)、3.0L・直列6気筒ターボ(B6304T2)、1.6L・DRIVeディーゼル、2.0L・直列5気筒ディーゼルターボ(D5244T16)、2.0L直列5気筒ディーゼルターボと豊富にラインナップされる。

安全面ではESPやフロント&サイドエアバッグなどの安全装備に加え、ボルボ独自の「WHIPS(衝撃吸収式リクライニング付フロントシート)」、「ROPS(横転保護システム)」などが装備され、V60やXC60でも採用された市街地走行時や渋滞時などの低速走行時(時速30km/h以下)における追突事故を劇的に減少させる低速用追突回避・軽減オートブレーキシステム「シティセーフティー」を全車に、前方に備えたレーダーにより歩行者などを検知し、衝突を可能な限り回避する「ヒューマンセーフティー」を標準装備ないしはオプション設定し、ドアミラーにサイドカメラを装備して死角を減らすなど、細部にわたりボルボの真骨頂ともいえる安全性を徹底させている。

日本での販売

[編集]

2011年5月9日、日本仕様が発表された。6月4日に発売[4]。グレードはS60同様「V60 DRIVe」、「V60 T6 AWD SE」、「V60 T6 AWD R-DESIGN」。なお、トランスミッションはT6系に6AT、DRIVeに6速DCTを搭載。また、T6系にはプレチャージ式電子制御AWDを組み合わせている。

2011年7月15日、2012年モデルを発売[5]。燃費性能が改善された。

2011年11月9日、200台の特別限定車「Sports」を発売。シャシーをダイナミックシャシーに変更し、18インチアルミホイールやデュアルキセノンヘッドライトやマフラーカッター、トランクスポイラー(S60)、ダークティンテッドガラス(V60)が装備される[6]

2012年5月15日、700台の特別限定車「T4 R-DESIGN」を発売[7]

2012年8月17日、2013年モデルを発売[8]。燃費性能を向上させたほか、装備を充実させた。

2012年11月5日、T6エンジン(3.0L 直列6気筒直噴ターボ、B6304T型)の能力を向上させる専用エンジン・プログラム「ポールスター・パフォーマンス・パッケージ」を発売[9]

2012年11月27日、「T4」に40台の特別仕様車「スカンジナビアン・リミテッド」を設定し発売[10]

2013年8月27日、大幅改良された2014年モデルを発売[11]。ラインナップを見直し、「T4 SE」を追加。ワイドなフロントグリルやバンパーのLEDポジションランプ、新形状のボンネットなどを採用しデザインを一新した。またリアバンパーのボディー同色部分を拡大。

2013年10月25日、スポーティーグレード「T4 R-DESIGN」「T6 AWD R-DESIGN」を発売[12]。専用デザインのフロントグリル、バンパー、アルミホイールなどを装備する。

2014年2月20日、一部改良[13]。「T5 SE」「T5 R-DESIGN」に新開発の2.0L直列4気筒直噴ガソリンターボエンジンを搭載。このエンジンは「Drive-E」シリーズの第一弾として開発され、最高出力245ps、最大トルク35.7kgmを発生する。8速ATを採用したほか、電動パワーステアリングを採用し燃費性能を向上させた。また、「LKA」と縦列駐車支援機能「パークアシスト・パイロット」を選択できる。

2014年5月1日、ポールスター社がチューニングした60台限定の特別仕様車「V60ポールスター(Polestar)」の受注を開始[14]。「T6 AWD R-DESIGN」をベースに3.0L直列6気筒ターボエンジンを、ボルグワーナー製のツインスクロールターボやインタークーラー、専用コンピューターなどでチューンし、最高出力350ps、最大トルク51.0kgmを発揮。6速ATを組み合わせ、0-100km/h加速4.9秒、最高速度は250km/h(リミッター制限)。

2014年5月23日、特別仕様車「Luxury Edition」を設定し発売。「T4 SE」をベースに「ヒューマンセーフティー」などの装備を充実させた[15]

2014年8月19日、特別仕様車「T4 R-DESIGN PLUS」を発売した[16]。「T4 R-DESIGN」をベースに安全機能が標準装備されている。

2014年10月1日、一部改良[17]。これまでオプション設定だった装備にリアビューカメラを加えた全10種類の安全装備・運転支援機能を「IntelliSafe10」として標準装備した。

2015年4月8日、特別仕様車「ラグジュアリーエディション」を設定[18]

2015年6月1日、ポールスター社がチューニングした40台限定の特別仕様車「V60ポールスター(Polestar)」の予約受注を開始[19]。2014年には日本に60台導入され、今回は40台導入される。

2015年7月23日、2.0L直列4気筒ディーゼルターボエンジン「D4」搭載モデルの導入を発表[20]。同日に販売を開始した。アイシンAW(現・アイシン)製の8速ATを組み合わせ、「D4 SE」「D4 R-DESIGN」の2グレードを展開する。

2015年10月6日、V60 Cross Country(クロスカントリー)が発表された。V60をベースに専用のエクステリアデザインと専用のサスペンションが採用され、V60比で全高が+60mmの1540mm、最低地上高が+65mmの200mm。

2015年12月28日、ディーゼル車「D4 SE」の価格を2016年1月1日より変更すると発表[21]

2016年2月1日、新しいエンジンを搭載したモデルを発売[22]。スーパーチャージャー付き2.0L直列4気筒直噴ターボエンジンを搭載する「T6 AWD R-DESIGN」が追加された。また、1.5L直列4気筒直噴ターボエンジンを搭載する「T3 SE」も設定された。

2016年8月10日、特別仕様車「D4 Dynamic Edition」の販売を開始[23]

2017年8月22日、一部仕様を変更し発売[24]。「Tack」、「Classic」グレードが追加設定された。

2017年10月27日、ポールスター社がチューニングした特別仕様車「V60ポールスター(Polestar)」の2018年モデルを30台限定で発売開始[25]。フロントスポイラー下部、サイドシル下部、ドアミラーカバー、トランクスポイラーエクステンション部(S60ポールスターのみ)に、軽量なカーボンファイバーのパーツを装備。また、専用のフロントスカッフプレートには、1から1500までのシリアルナンバーが刻まれる。2.0L直列4気筒インタークーラー付ターボ+スーパーチャージャーエンジンを搭載。最高出力367HP、最大トルク47.9kgmを発生する。

ギャラリー

[編集]

2代目(2018年 - )

[編集]
ボルボ・V60(2代目)
DBA-ZB420
T5 Inscription 前方(日本仕様)
T5 Inscription 後方(日本仕様)
T5 Inscription インテリア(日本仕様)
概要
製造国  スウェーデン
販売期間 2018年–
ボディ
乗車定員 5名
ボディタイプ ステーションワゴン
エンジン位置 フロント
駆動方式 FF/AWD
パワートレイン
エンジン
モーター 電気モーター
最高出力 65kW (88PS)
最大トルク 240N·m (24kg·m)
変速機
  • 6速AT Volvo M76 R7.0 manual
  • 6速AT Volvo M66F automatic
  • 8速AT Aisin TG-81SC
  • 8速AT Aisin TG-81SD
車両寸法
ホイールベース 2,870mm
全長 4,760mm
全幅 1,850mm
全高 1,435mm
テンプレートを表示

XC60および90シリーズ共通のSPA(Scalable Product Architecture)プラットフォームを採用。全長4,760mmx全幅1,850mmx全高1,435mm、ホイールベースは2,870mm。先代に比べ全長が125mm大きく、全幅が15mm小さくなり、全高が45mm低くなっている。FFモデルの最小回転半径は5.7m。

新世代ボルボを象徴するトールハンマー型LEDデイタイム・ランニング・ライト及びテールゲートに回り込んだリアライトもXC60同様のデザインである。ミッドサイズでありながら90シリーズ譲りの優雅で上質なインテリアとなっており、室内スペースも十分確保されている。

パワートレーンは、PHEV(プラグインハイブリッド)のT6ツイン・ガソリンエンジンAWD及びT8ツイン・ガソリンエンジンAWDの2種類[注釈 1]。ガソリンエンジンはT5またはT6の2種類。ディーゼルエンジンはD3またはD4の2種類を用意する。

安全面では、90シリーズおよびXC60で採用された最新で高度なドライバーサポートシステムは、16種類以上の先進安全・運転支援機能IntelliSafe(インテリセーフ)を標準装備。City Safety(シティセーフティー。衝突回避・軽減フルオートブレーキシステム)に新たに対向車対応機能を追加。新たにオートブレーキ機能付CTA(クロス・トラフィック・アラート)を装備し安全性を高めた。

生産はスウェーデントルスランダのボルボ工場(VCT)とベルギーゲントのボルボ工場(VCG)で行われる。

日本においては、2018年9月25日に発表・発売。直列4気筒ガソリンターボエンジン(T5)搭載車とPHEVのみで、ディーゼルの設定はない。

ギャラリー

[編集]

エンジン

[編集]
ガソリンエンジン
モデル 形式 年式 最高出力(rpm) 最大トルク(rpm) 総排気量 備考
T5 B4204T26 2018– 187 kW (254 PS) 5500 350 N⋅m (35.7 kg⋅m) 1500–4800 1968cc 直列4気筒ターボ
T6(日本未設定) B4204T29 2018– 228 kW (310 PS) 5700 400 N⋅m (40.8 kg⋅m) 2200–5100 1968cc 直列4気筒ターボ
ディーゼルエンジン
モデル 形式 年式 最高出力(rpm) 最大トルク(rpm) 総排気量 備考
D3(日本未設定) D4204T16 2018– 110 kW (150 PS) 3750 320 N⋅m (32.6 kg⋅m) 1750–3000 1968cc 直列4気筒ディーゼルターボ
D4(日本未設定) D4204T14 2018– 140 kW (190 PS) 4250 400 N⋅m (40.8 kg⋅m) 1750–2500 1968cc 直列4気筒ディーゼルターボ
プラグインハイブリッド
モデル 形式 年式 最高出力(システム出力) 最大トルク(システム出力) 総排気量 備考
T6 Twin Engine AWD B4204T46 2019- 186 kW (253 PS)+65 kW (88 PS) 350 N⋅m (35.7 kg⋅m)+240 N⋅m (24.5 kg⋅m) 1968cc ガソリンエンジン+電気モーター
T8 Twin Engine AWD B4204T34 2019– 233 kW (317 PS)+65 kW (88 PS) 400 N⋅m (40.8 kg⋅m)+240 N⋅m (24.5 kg⋅m) 1968cc ガソリンエンジン+電気モーター

脚注

[編集]

注釈

[編集]
  1. ^ プラグインハイブリッドに対応した設計を行ったため、前輪と前ドアの間が空いている。このため、本車種はエンジン横置きのFFであるが、一見するとFR車のようにも見える。

出典

[編集]
  1. ^ 新世代のボルボ・エステート The new Volvo V60 (公式サイト)
  2. ^ Volvo Cars V60 (英語)
  3. ^ Volvo Cars (英語)
  4. ^ ボルボの新型ワゴン「V60」日本上陸”. web CG (2011年5月9日). 2023年7月13日閲覧。
  5. ^ ボルボ、「S60」「V60」の2012年モデルを発売”. web CG (2011年7月15日). 2023年7月13日閲覧。
  6. ^ ボルボS60/V60/V50にスポーティーな特別限定車”. web CG (2011年11月10日). 2023年7月13日閲覧。
  7. ^ ボルボ、スポーティーなV60/S60を限定発売”. web CG (2012年5月15日). 2023年7月13日閲覧。
  8. ^ ボルボの2013年モデル、装備を改め発売”. web CG (2012年8月17日). 2023年7月13日閲覧。
  9. ^ ボルボ、直6ターボのチューニング・キット発売”. web CG (2012年11月5日). 2023年7月13日閲覧。
  10. ^ 「ボルボS60/V60」に充実装備の特別仕様車”. web CG (2012年11月27日). 2023年7月13日閲覧。
  11. ^ 外観一新、ボルボが2014年モデルを一斉発売”. web CG (2013年8月27日). 2023年7月13日閲覧。
  12. ^ 新ボルボS60/V60/XC60にスポーティーグレード”. web CG (2013年10月25日). 2023年7月13日閲覧。
  13. ^ ボルボ「S60」「V60」「XC60」に新エンジン採用”. web CG (2014年2月21日). 2023年7月13日閲覧。
  14. ^ “走りのボルボ”「S60/V60ポールスター」発売”. web CG (2014年5月1日). 2023年7月13日閲覧。
  15. ^ ボルボ「S60」と「V60」に装備充実の特別仕様車”. web CG (2014年5月23日). 2023年7月13日閲覧。
  16. ^ ボルボS60/V60に安全機能満載の特別仕様車”. web CG (2014年8月19日). 2023年7月13日閲覧。
  17. ^ ボルボが「S60/V60/XC60」の安全装備を強化”. web CG (2014年10月2日). 2023年7月13日閲覧。
  18. ^ ボルボ、60シリーズ に特別仕様…価格はほぼ据え置きで装備充実”. Response. (2015年4月9日). 2023年7月13日閲覧。
  19. ^ ボルボ、S60/V60ポールスターを限定販売”. web CG (2015年6月2日). 2023年7月13日閲覧。
  20. ^ ボルボ、主要5車種にディーゼル車を追加”. web CG (2015年7月23日). 2023年7月13日閲覧。
  21. ^ ボルボ、一部ディーゼル車の価格を変更”. web CG (2015年12月28日). 2023年7月13日閲覧。
  22. ^ ボルボS60/V60/XC60に新エンジン搭載モデル”. web CG (2016年2月1日). 2023年7月13日閲覧。
  23. ^ 特別仕様車「Volvo S60 / V60 D4 Dynamic Edition」を発売』(プレスリリース)Volvo Car Japan、2016年7月26日https://www.vcj-press.jp/pressrelease/201607262023年7月13日閲覧 
  24. ^ ボルボの「60シリーズ」に装備充実の新グレード登場”. web CG (2017年8月22日). 2023年7月13日閲覧。
  25. ^ 最後の「ボルボS60/V60ポールスター」限定発売”. web CG (2017年10月27日). 2023年7月13日閲覧。

関連項目

[編集]

外部リンク

[編集]