プリミエラ

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イタリア
起源イタリア
人数2人以上
枚数40
デッキラテンスタイル
順番反時計回り
カードランク
(最高-最低)
7, 6, A, 5, 4, 3, 2, 絵札

プリミエライタリア語: Primiera)は、トランプを使ったイタリアの伝統的なカードゲームである。4枚の手札の内容のもっともよい者がチップを手に入れる。

歴史[編集]

プリミエラは非常に長い歴史がある。フランチェスコ・ベルニの「プリミエラ遊びに関する1章」(Capitolo del gioco della primiera[1]、1526年刊)や、カルダーノの『さいころあそびについて』(Liber de ludo aleae、書かれたのは1564年ごろ)などから16世紀のルールをある程度復元可能であるが、現在に至るまでほとんどルールが変わっていない。

同じゲームはイギリスにも伝わり、プリメーロ(Primero)と呼ばれた。シェイクスピアヘンリー八世にも出てくる。現在のイギリスにはブラグと呼ばれる3枚の手札を使った同様のゲームがあるが、プリメーロが元になっていると考えられている[2]

プリミエラは、ポーカーの起源のひとつと言われることがあるが、実際のゲームとしてはあまり似ていない。5枚のカードを使うポッヘンのほうが、ゲームの名前も実際の役もポーカーに近い。ただし、ポッヘンで認められる役が同じランクのカードだけだったのに対し、プリミエラでは複数の異なる役があって、互いの強弱関係が決められている点がポーカーに近い。

ルール[編集]

2人以上で競技する。

プリミエラにはラテンタイプの40枚のトランプを使用する。スートは棍棒・剣・カップ・貨幣の4種類からなり、各スートはAと2から7までの数札、および3種類(王・騎士・歩兵)の絵札からなる。

各カードはランクによって点数があるが、下記のように特殊なシステムになっている。役に関係するカードの点数のみを数える。

ランク 7 6 A 5 4 3 2 王・騎士・歩兵
点数 21 18 16 15 14 13 12 10

役の種類[編集]

プリミエラには低い方から順に、以下の4つの役がある。おなじ役どうしでは、その役を構成するカードの点数の合計が高いほうが勝つ。

  1. プリミエラprimiera) - 4枚のカードがすべて異なるスートからなる。
  2. 55(supremusとも) - 同じスートの 7-6-A。のこり1枚は何でもよい。
  3. フルクスス(fluxus) - フルッソflusso)とも。英語の「flush」と同じ。全部のカードが同じスートからなる。
  4. コルス (chorus) - フォーカード。

以上のどれでもない場合(4枚中同じスートのカードが2枚または3枚ある)、ヌメルス(numerus)またはプントpunto)と呼んで、各スートのうちでもっとも点数の合計の高いものがその手の点数になる。プントはプリミエラより弱い。

プレイの進行[編集]

ここでは、Parlett (1992,2004) にしたがって述べる。

各競技者はまえもって決まった額のチップ(ポーカーでいうアンティ)を置く。ディーラーは各競技者に4枚の手札を配り、残りは山札としておく。ここで、だれかにプリミエラ以上の3つの役のいずれかができていたら、すぐさま手札を見せ、もっともよい手の競技者が勝つ。勝った競技者がポットにあるチップをすべて取る。複数の人が同点のときは引き分けとなり、チップには手をつけないまま次のプレイに移る。

だれも役ができていないときは、各競技者は手札の一部を山札と取りかえる。ここで再びチップを出す必要がある場合もある。また、ポーカーのように賭けの額を釣りあげることもある。最後に手札を見せて、もっともよい手の競技者がポットにあるチップを全部取る。

古いルールとの違い[編集]

ベルニやカルダーノの記述しているルールでは、4枚のカードがすべて同じランクのときはフルッソよりも強い役にしていた。

脚注[編集]

参考文献[編集]

  • Parlett, David (1992,2004). The A-Z of Card Games. Oxford University Press. pp. 294-295. ISBN 9780198608707 

関連項目[編集]

外部リンク[編集]

古いルールを復元したものには以下のページがある