タブレットPC

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動先: 案内検索
タブレットPCの一例 (コンバーチブルタイプ)
ヒューレット・パッカード TC1100シリーズ

タブレットPC(英語: tablet PC)とは、平板状の外形を備え、タッチパネルあるいはペン入力操作(タッチインターフェース[1])に対応したディスプレイを搭載し、タッチインターフェースに対応したマイクロソフト社のOSMicrosoft Windows XP Tablet PC Edition とその後継OS)がインストールされたPCの総称。

一般に「タブレットPC」といった場合、タッチパネル式などの表示/入力部を持った携帯可能なパーソナルコンピュータ全般を指す(タブレット (コンピュータ) を参照)もの、特に本稿では、所謂パソコン用OSである x86/x64版 Windows に対応したタブレットPCについて説明し、Windows MobileWindows RTやMAC OS、Androidがインストールされた製品群については除外する。

概要[編集]

タブレットPCでは携帯情報端末などと同様に指もしくはペン型のポインティングデバイス液晶ディスプレイの表面に実装されたタッチパネルをなぞることで、マウスと同様の操作と、手書き文字や絵・図形などの入力ができる。マウス操作に比べてコンピュータに不慣れな人でも直感的に操作できるとされ[2][3]、本体を片手で保持して立ち仕事などでも使用できる。

タブレットPCの構想は20世紀末からあったが、実際の製品は、2002年にWindows XP Tablet PC Editionが登場した時点でハードウェア各社から対応製品が登場した。

2010年にアップルがiPadを発売してタブレット端末の市場を開拓したことや、AndroidOSを備えたスマートフォンや一回り大きなAndroidタブレット端末が登場したことで大きく普及したが、 2012年に発売されたWindows8以降のWindows OSはインターフェースがタッチパネル操作を意識したものとなり、プリインストールされた廉価なWindowsタブレット端末も本格的に発売され、高価格帯のものも含めてさまざまなタイプの製品が普及するようになった。

これらの製品は、従来からの x86/x64版 Windows PC用ソフトウェアを利用でき、従来同様のパソコンとしての用途も必要としている利用者層の需要を考慮している[4]

分類[編集]

形態による分類[編集]

タブレットPCの形態としては大きくは「コンパーチブル型」と「ピュアタブレット型」の2つに分類でき[5]、コンパーチブル型はさらに下記のように分類できる[6]。これらは本体とキーボードを着脱したり折り畳んだりできる形態であり、タブレット端末としてもノートパソコンとしても利用できるため、2in1 と呼ばれる。タブレットとしての使い方をメインとするのか、ノートPCとしての使い方をメインとするのかでどのタイプを選ぶのか基準が変わってくる[7]

コンパーチブル型
  • ヒンジ部分が回転してキーボードが裏返る形態
キーボードが裏返るタイプはヒンジ機構以外は通常のノートPCとほぼ同じ形態であるが、タブレット形態で使うには嵩張るため、ノートパソコン形態メインでとりあえずタブレット形態でも利用できる使い方が想定されている。
かつてのタブレットPCは大半がこのタイプで、大抵の場合、ディスプレイとキーボードは1点支持の首振回転式ヒンジで繋がれており、キーボード打鍵面が内側にディスプレイ表示面が外側に向くよう折り畳めるようになっていた。かつてのUltra-Mobile PCの大半はこのタイプだった。 Windows 8が搭載されるようになった以降のものは、2軸ヒンジを使用して簡易的に360度回転する(キーボード打鍵面が外側に向く)ものがほとんどである。
  • 本体とキーボードが分離できる形態
分離タイプはキーボードドックを外してタブレット端末としても利用できるため、バッテリーやストレージが本体ディスプレイと一体となり、ディスプレイ部分の重量が重くなる傾向となる。キーボードドックのヒンジの部分に脱着機構が付き、爪または磁力で物理的に接続され、大抵の場合専用の接点で電気的に接続される。
通常のノートPCと同様な使い勝手ができる。キーボードドックにサブバッテリーやサブストレージ、USB端子等が備え付けられている場合が多い。しかし本体部分と合わせて重量が重くなるきらいがある。
ピュアタブレット型
Surface Proのようなタブレット形態メインの場合はキーボードドックが別売りになっている場合もあり、機構もヒンジがない簡易的なものが多いため、ノートPCとして使う場合はキーボード側で本体を支えられないため専用の衝立が必要となる製品もある。純粋にタブレット本体のみで、純正キーボードドックがない製品も存在し、その場合、BluetoothやUSBで接続する市販のキーボードを使用することとなる。


タッチパネルの認識方法による分類[編集]

タブレットPC用途としては下記の2種類が使用されている[8]

  • 抵抗膜方式(感圧式)
ペンを画面に押しつけた時の圧力で認識する。基本的にペンの先端形状・材質等の制約がなく、ペンだけでなく指などでも操作ができる。初期のタブレットPCやUMPCはこの方式が多い。
  • 電磁誘導方式(静電式)
スマートフォンやタブレット端末が普及してからはこの方式が主流になっている。 手からペン先まで通電する仕組みとなっており、ペンを近づけたときに電磁誘導を起こして認識し、指先でも反応する。導電性のない手袋を嵌めた状態では操作できないため、スマホ対応を謳っている導電性を持った手袋が市販されている。 本方式の場合、通電性があることは勿論、ある程度面積・太さがあるペン先のもので触れないと正確に反応・認識しない。スマートフォン対応として販売されているペンの多くが、ペン先がかなり太くなっている[9]


マイクロソフト社製オペレーティングシステムの対応[編集]

同様のカテゴリのPCで以前からタッチパネルPCという製品が存在していた。タブレットPCと異なり、ペン入力等の機能が標準でサポートされていなかったため、各社各様にインターフェースデバイスドライバユーティリティ文字認識機能等の仕様がバラバラで統一されていなかった。一部に小売されている物も存在はしたが、専ら産業用途に使われていた。しかし2005年に富士通より「P8210」というタッチパネル型のタブレットPCも登場した。2007年以降はタッチパネルを搭載したUltra-Mobile PCも各社から発売されたが、マシンスペックの問題等で、Windows VistaでもWindows XP Tablet PC Editionでもなく、Windows XP Home Edisionにドライバやユーティリティー等を実装して販売された製品も存在した。

Windows Vista 以降のWindows OSでは、標準でペンタブレット入力デバイスでの使用を考慮した設計となっており、ソフトウェア・キーボードの搭載やタブレットを用いた入力スタイルなどが自由に選択可能となっている。

Windows 8 以降ではUIそのものがタブレットPCなどタッチパネル式ディスプレイでの操作利用を前提とした設計(Modern UI)となっており、2010年代以降スマートフォンやタブレット端末で採用されているAndroid やiOSのインターフェイスを強く意識したものになっている[10]

以下にマイクロソフト社のオペレーティングシステムでの拡張機能を示す。

Windows XP Tablet PC Edition[編集]

マイクロソフト社のWindows XP Tablet PC Editionは、Windows XP Professional の全機能に加えて次の機能を持つ。

全てのタブレットPCユーザーは、Windows XP SP2 をインストールすることで Tablet PC Edition 2005 へアップグレードすることができる。 また、Microsoft 拡張パックPowerToysをダウンロードすることで、より多くのタブレットPC用プログラムを利用できるようになる。

Windows Vista[編集]

2007年1月末にリリースされた Windows Vista では、Home Premium 以上のエディションで Windows XP Tablet PC Edition の機能が標準機能として統合された。これにより Windows XP Tablet PC Edition という特殊オペレーティングシステムで稼働するマシンという概念が無くなるため、Windows Vista 発売後のノートPCでは「タブレットPC」という認識ではなく「ノートPC」の位置づけとして、ハード的にタブレット機能が標準で装備される機種も見本市などで確認されている。また、デスクトップPCでもタッチパネルディスプレイを接続することで同等の機能を実現できる。

Windows XP Tablet PC Edition と同様の機能のほかに下記の機能も搭載されている。

  • ペン フリック
ペンの動きで、ページの移動やコピー・貼り付けなどの操作を行うことができる。
  • ペン カーソル
マウスとは別に用意されたカーソル。画面をタップすると波紋が出る。ペンを画面から離すとカーソルは消える。
  • Microsoft Office のインク機能

Windows 7[編集]

2009年に発売された Windows 7では、Vista以上にタブレットデバイスに対応した機能が拡張されている。「Windowsタッチ」[11]機能が標準搭載され、2本以上の指による操作「マルチタッチ」によるズームや回転といった操作も行えるようになった。以降、タッチパネル液晶ディスプレイを備えたノートPCやディスプレイ一体型PCが多く登場するようになった。これらの製品はマルチタッチ対応のため、ペンではなく指で操作するのが主流となっていった。タッチパネルの他にキーボードとマウス/タッチパッドも備える場合が多い。このカテゴリに対して特定の名称があるわけではない。

Windows 8[編集]

Windows 10[編集]

Windows 8では、iOSやAndroidといったライバルOSのUIを強く意識した影響でModern UIが搭載されたが、スタートボタンが廃止されたため従来のパソコンスタイルで利用するユーザーには不評だった[12]。Windows 10ではスタートボタンが復活し、Modern UIの機能はデスクトップに統合された。ノートパソコン形態で使用する場合はスタートボタンを押すことでModern UIのようなデザインのスタートメニューが表示されるが、キーボードドックを外すなどしてタブレットモードに切り替えると、自動的にWindows 8/8.1のようなModern UIに似た表示に切り替わる機能「Continuum」が搭載されている[13]

脚註[編集]

関連項目[編集]

外部リンク[編集]