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ハンドヘルドコンピュータ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
NEC製PC-8201
1983年発売で8ビットパソコンの機能縮小版として開発された

ハンドヘルドコンピュータ (英: Handheld Computer) とは、片手で持てるサイズのコンピュータのこと。通常は、フルキーボードを備えながらもノートパソコンより小さいものや、フルキーボードがなく縦長の手帳型をしたもの(「パームサイズコンピュータ」)を指す。略記はHC。日本語ではハンドヘルド機とも。場合によっては、ノートパソコン、ポケットコンピュータなど形状を問わず、携帯型のコンピュータ全般を指す。この用法については広義のモバイルを参照。

1982年ころから使われるようになったカテゴリ名である。

日本では1990年代後半ころからは、ハンドヘルドコンピュータよりも小型化が進み通信機能も標準装備した装置を指す用語「モバイル情報端末」に話題が移り、次第に使用されなくなっていった。日本で使用頻度が減っても米国では比較的使用されていたが、2000年代にPDAから派生したスマートフォンの普及により米国ではスマートフォン以外の携帯型コンピュータや携帯型ゲーム機を指してよく使用される用語になっており、日本でもPDAという単語は使用されなくなり、ハンドヘルドは米国と同様の意味で使われるようになった。

類似する用語に「ハンドヘルドPC」があるが、これは1996年から2000年代初頭までマイクロソフト社が、同社のWindows CEオペレーティングシステムを搭載しキーボードを備え片手で持てる小型コンピュータを指すために使用していた、同社の製品カテゴリ名である。同社ではH/PCと略記した。

歴史

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ハンドヘルド以前

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1981年、Osborne 1が発売された。重さが12kgもあり、バッテリー駆動ではない。かろうじて持ち運んで複数の場所で使うことができる世界初のコンピュータであり、ポータブルコンピュータと分類された。まだハンドヘルドコンピュータではなかった。

ハンドヘルド機の登場

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HC-20。写真は海外版
TRS-80 Model 100

1982年、エプソンがハンドヘルドコンピュータHC-20を発売。これが世界初のA4サイズのハンドヘルドコンピュータである。キーボードと液晶ディスプレイ、プリンタ、RS-232Cポートを備えていた。

ハンドヘルドコンピュータ市場を作ったと言えるのは、タンディラジオシャックから1983年に発売された TRS-80 model 100 である。同社の家電量販店ラジオシャックや同社提携ディーラー網を使い世界各地で販売したところ、人気商品となり全世界で600万台以上を売り上げた。この成功を見て各社がこぞってハンドヘルドコンピュータ市場に参入した。その中には、NEC の PC-8201[1]、カシオ計算機 の FP-200[2][3]、シャープの PC-5000(英語版)[4]、三洋電機のPHC-8000[5](69,800円[6])、パナソニックのRL-H1400[7]、キヤノンのX-07(英語版)[8][9]などが含まれる。

MicrosoftのハンドヘルドPC規格

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ハンドヘルドPC (Handheld PC) はマイクロソフトの用語であり、Windows CEを搭載したPDA(Personal Digital Assistant)端末用のハードウェア設計の正式名称であった。

マイクロソフトの定義するハンドヘルドPCの条件は以下の通り。

ほとんどのものは、簡易webブラウザ、メールソフトを搭載し、パソコン用の文書制作および表計算ソフトで生成されるものと同じファイル形式を扱えるソフトを搭載しているものも多い。横長のモノクロまたはカラーの液晶が搭載されている。当時既に完成していた技術をただ組み合わせただけのものであり、機能的には何ら見るべきものがなく、結局優れたソフトも登場しないまま短期間で消滅した。

機種としてはNECの「モバイルギア」、シャープの「テリオス」、カシオの「カシオペア」、日本ビクターの「インターリンク」、日立製作所の「ペルソナ」、ヒューレット・パッカードの「Jornada」、NTTドコモが販売する「シグマリオン」(製造はNEC)などが代表格だが、いずれも生産終了している。

広義のハンドヘルドコンピュータ

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なお1980年に、広義のハンドヘルドコンピュータであるポケットコンピュータが登場していた。ポケットコンピュータは省電力優先でCPUの処理能力が狭義のHCより低く、画面がさらに小さく、キーボードがフルサイズではなく通常速度の打鍵は困難という弱点があったが、フルキーボード搭載の狭義のハンドヘルドコンピュータよりも小型・軽量・安価なので世界的に販売好調で、狭義のHC市場よりも大きな市場を形成していた。日本では、小型・軽量・安価であることが評価され1980年代に教育市場、特に工学系の専門学校のプログラミング講座で採用され多くの学生が使用した。

位置づけ、代わりのカテゴリ

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なお、当時のマイクロプロセッサの処理能力で可能なことは限られておりディスプレイの表示能力も低いなど、デスクトップ機と比べると性能的には劣る点は多く、フルサイズのフルキーボード付きのコンピュータを持ち歩きたい人々の需要に応える機種、という位置づけのものであり、HCはコンピュータ市場全体の中ではニッチな市場ではあった。

サイズの大きなディスプレイを蝶番で折り畳めるラップトップパソコンが販売されていても、当初は重すぎ、ハンドヘルドコンピュータの売れ行きには影響がなかったが、1989年に東芝のDynaBookやNECのHANDY98(PC-98HA)などハンドヘルドコンピュータ並に軽量化したノートパソコンが発売となり、さらに軽量化・高性能化・バッテリ性能向上が年々進むと、ユーザはノートパソコンを選び、狭義のハンドヘルドコンピュータの市場は縮小していった。

広義のハンドヘルドコンピュータのポケットコンピュータも、ポケコンより高性能のノートパソコンで、1993年に日本IBM「ThinkPad 220」、1994年に東芝「DynaBook SS433」、1996年にパナソニック「Let's note(AL-N1)」などB5サイズ以下の「サブノート」の発売が増えるとライバルとなり「どうせならWindowsを搭載したものを」とB5サイズノートパソコンが選ばれることが増えポケコン販売は鈍化し、2010年代のスマホやタブレットの普及により2015年の機種でポケコンも途絶えた。

脚注

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参考文献

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  • 「ASCII 1982年9月号」第6巻第9号、株式会社アスキー出版、1982年9月1日。 
  • 「ASCII 1983年4月号」第7巻第4号、株式会社アスキー出版、1983年4月1日。 
  • 「ASCII 1983年8月号」第7巻第8号、株式会社アスキー出版、1983年8月1日。 
  • 「ASCII 1983年9月号」第7巻第9号、株式会社アスキー出版、1983年9月1日。