ジャン=リュック・ピカード

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ジャン=リュック・ピカード

ジャン=リュック・ピカード: Jean-Luc Picard)は、テレビドラマ、映画『スタートレック』シリーズに登場する架空の人物で、『新スタートレック』および『スタートレック:ピカード』の主人公である。パトリック・スチュワートが演じる。日本語版での声優は吉水慶、後に麦人が担当する。交代は吉水の引退によるものである。

略歴[編集]

前半生~艦長時代[編集]

新スタートレック』と映画シリーズによって語られる。フランス出身の地球人。2305年生まれ。モーリス・ピカードの次男として生まれる。惑星連邦宇宙艦隊大佐で、U.S.S.エンタープライズDおよびEの艦長を務めた[1]。本人は冒険家を自称している。

両親(モーリス、イヴェット)ともに既に他界している。幼年期は星を仰ぎ見ながらその向こうに思いをはせ、ピカード家で初めて太陽系を飛び出す。兄のロベールが地球の実家で妻と共に家業のワイン製造業を継いでいたが、2371年[2]、火災によって兄のロベールと甥のレネを失い、ジャン=リュックは大きなショックを受ける(『スタートレック ジェネレーションズ』)。ロベールはボーグとの交戦で傷心したジャン=リュックがその苦悩と悲しみを打ち明けられた唯一の人物であり、レネは宇宙艦隊士官に憧れるピカード家の唯一の跡取りだった(TNG76話S4E2『戦士の休息』)[3]

少年時代は兄のロベールが羨むほどの成績トップ、宇宙艦隊アカデミー時代も優等生ではあったが、自信過剰で血の気が多かった。アカデミーを卒業してすぐ、ノーシカン人らとの私闘騒動を起こす。その際に心臓をナイフで貫かれて瀕死の重傷を負い、人工心臓を移植される[4](TNG141話S6E15『運命の分かれ道』)。実は宇宙艦隊アカデミーの受験に一度失敗しているが、その事はウェスリー・クラッシャーにしか話していないようである(TNG43話S2E17『愚かなる欲望』)。

大尉時代、ブリッジ士官を務めたU.S.S.スターゲイザーNCC-2893で、当時の艦長の殉職を機に後継の艦長として28歳で艦長に就任する。以来長く同艦を率いたが、2355年に当時未知の種族であったフェレンギ船と交戦、同艦が甚大な被害を受け、これを放棄する。その時にとった戦術は「ピカード作戦(ピカードマニューバー)」として宇宙艦隊の学校の教科書にも記載されている。

2364年、ギャラクシー級最新鋭艦U.S.S.エンタープライズNCC-1701-Dの艦長に就任する。

2366年以降、クリンゴン帝国総裁の後継争いに巻き込まれた結果、当時のクリンゴン最高評議会の総裁クンペックや、その次に総裁となったガウロンといったクリンゴン帝国の重鎮に貸しを作ったため帝国に顔が利くようになる。後にクリンゴンの戦艦を借りる時などにそのコネクションを最大限利用する。部下であるウォーフのために弁護人を務めたこともある。これらはピカード自身が翻訳機無しでクリンゴン語を話すことができ、クリンゴン文化に詳しいために出来たことであり、彼の外交官としての有能さを示すものであるという描写がされている。

2367年、危険な敵性種族ボーグ集合体は惑星連邦侵略の際にジャン=リュックを拉致し、彼はボーグに改造される(TNGS3E26 『浮遊機械都市ボーグ・前編』)。ボーグは彼の戦略的知識や交渉能力が惑星連邦侵略に必要と判断したためで、彼はボーグの上級ドローン「ロキュータス」にされ、ボーグの代弁者として仲間の宇宙艦隊と対峙させられる[5]。この時、ウルフ星域でボーグ船と戦うために結集した40隻からなる宇宙艦隊艦のうち39隻が破壊される(ウルフ359の戦い)。エンタープライズの艦長を引き継いだウィリアム・ライカー副長の戦術によって救出され、ボーグ船も破壊されるが、この経験はジャン=リュックに大きな心的外傷を与える(TNGS4E1 『浮遊機械都市ボーグ・後編』)。しかしこの経験で彼が得たボーグの戦略的情報は、2373年のボーグ集合体の第2次侵略阻止に役立つ(『スタートレック ファーストコンタクト』)。

2371年、ヴェリディアン3号星軌道上にてU.S.S.エンタープライズNCC-1701-Dを消失し(『スタートレック ジェネレーションズ』)、翌2372年にソヴェリン級宇宙艦U.S.S.エンタープライズNCC-1701-Eの艦長に就任する(『スタートレック ファーストコンタクト』)。2379年、長らく惑星連邦と敵対するロミュラン帝国にて自身のクローンのシンゾンと対決し、ロミュラン帝国との和解の第1歩とする(『ネメシス/S.T.X.』) 。

提督時代および退役後[編集]

スタートレック:ピカード』によって語られる。

2387年の超新星爆発によるロミュラン帝国母星・ロミュラス崩壊の前には提督として副長のラフィとともにロミュラン人救出作戦を指揮する。しかし2385年の人工生命体による火星襲撃により宇宙艦が不足し、仇敵であったロミュランの救出に対し10以上の連邦加盟国が反対したために、惑星連邦はロミュラン人の救出から撤退する。ピカードはこれに抗議して辞職する。辞職時の階級は大将である。

退役後は生家のワイナリー「シャトー・ピカード」に隠棲する。

2399年、火星襲撃を受けて連邦では人工生命が禁止される中、殉職したデータ少佐(『ネメシス/S.T.X.』)からクローニングで作られた有機体人工生命の女性、ダージに助けを求められる。しかしダージはロミュランの秘密警察タル・シアーの中の秘密組織ジャット・ヴァッシュに暗殺されてしまう。ダージに双生児の片割れソージがいることを知ったピカードは、不治の難病・イルモディック症候群を抱えながらも、旧知のつてをたどりフリーランスのリオス船長の小型宇宙船ラ・シレーナでラフィ、ロミュラン人の護衛エルノア、人工生命研究者のアグネスとともに地球を離れる。セブン・オブ・ナインブルーディアナ・トロイウィリアム・T・ライカーらに助けられる。休眠したボーグ・キューブでソージに出会う。人工生命を憎むジャット・ヴァッシュが火星襲撃を引き起こし、人工生命の禁止を招いたことを知る。人工生命たちが製作されて住む惑星コッペリウスに来る。ソージら人工生命たちは"高度な人工生命"に接触して有機体に対する破滅的な戦争をはめようとするが、ピカードは説得してやめさせ、タル・シアーの艦隊も宇宙艦隊を前にして引き下がる。ピカードは病死するが、意識を新しい人工の有機体に転送される。シミュレーションに保存されていたデータの意識と再会し、望み通りに死を与える。ソージ、セブン・オブ・ナインを乗せラ・シレーナで出発する。

人物[編集]

趣味は考古学と乗馬で、休暇時に古代文明の発掘調査に行くほか、艦内にまで自分のを持ち込んでいる[6]。宇宙考古学の他にも哲学・歴史・芸術などに造詣が深く、よくウィリアム・ライカーウェスリー・クラッシャーに「宇宙考古学を勉強したまえ」などと言ったり、発掘調査で発見した遺物をウキウキしながら部下に見せたりする。艦長室の水槽ではリビングストンと名づけたミノカサゴを飼っている。

アールグレイ紅茶を好み、エンタープライズのフード・レプリケーターに「Tea Earl Grey hot.」と注文するシーンがよくある。このレシピは当初ライブラリに入っていなかったため、自分で作成した。また実家のワイン農園産の「シャトー・ピカール」という銘柄のワインを特別な時に部下と飲む。

ホロデッキ(娯楽用の施設)では架空の探偵の役やシェークスピア劇を好んで演じ、部下に芝居の助言をした事もある[7]。読書は『パッド』(タブレット端末)ではなく、古典的な紙の本を好む。艦内のバーで時折開催される演奏会にはレッシカン・フルート[8]で参加する。

苦手なものは小動物、子ども[9]Q、および部下の母親であるラクサナ・トロイであるとされている。

上陸任務を好む(もっとも、艦隊規則では基本的に艦長が上陸任務を行うのは禁止されている)。短距離ワープによって敵艦を幻惑する「ピカード戦法」を編み出すなど、冷静沈着で名指揮官と名高いが、頑固で融通の利かない所もある。父モーリスは厳格な人物、兄ロベールは頑固な宇宙嫌いでピカードと仲が悪い(ただし、これは愛情の裏返しで、帰郷時の殴り合いの喧嘩も全ては弟の心中を察しての事)。厳格で頑固なのはピカード家の血筋であるとのロベールの妻マリーの言もある。それに、兄も禿頭なのでそれもピカード家の遺伝かも知れない。ピカードの禿頭は作品内でもたびたびネタにされる。

独身で通してきたが、親密な仲になった女性がいないわけではない。「一筋縄ではいかない」タイプの女性を好む傾向があるとされ、例としては歴史家のバッシュや天体観測チームのダレン少佐らが挙げられるが、いずれの人物もピカードの艦長としての美学や責任感を交際の障害として別れる。ビバリー・クラッシャーとは友達以上恋人未満的な関係である。しかし彼はストイックであるとされ、部下の勧めで行った性的に開放的なリゾート地(『ライサ星』)で辟易とする描写がある。

アンドロイドである部下のデータ少佐は、人間に近づこうとするモデルの筆頭にピカードを挙げ、本人を慌てさせた。

年齢と実績の為に、何度も提督への昇進を打診され、宇宙艦隊アカデミーの校長ポストまで提示されたこともあるが辞退している。現場に留まるために昇進を拒んでおり、物語内では英雄とされているジェームズ・T・カークが「昇進なんて、するもんじゃない」と言った際にも特に反論はしなかった(『スタートレック ジェネレーションズ』)。同年代には提督や艦長(大佐)が多く、上官である提督にもファーストネームで呼べるぐらいの友達がいる。

強情、折れにくく不屈の精神を持っている。席から立ち上がるときに見せる制服の弛みを伸ばす仕草[10]はそうした性格の現れとして描かれている。

戦闘、交渉ともに長けているが、本人は外交が主体の任務は好きではないとされ、「我々は探検家のつもりなんだがなぁ」と、こぼす描写もある。

自分の鞍を艦内に常備してあるのは「いつ、どこで乗馬のチャンスがあるかわからない」からだが、実際には休暇を取らないことで艦内では有名であるとされている。

エンタープライズに乗り組んでいる主な士官たちの中で、なぜかピカードだけ新スター・トレックのシリーズの最終回以外ではポーカー・ゲームに参加しない。

他の『スタートレック』作品の主人公と最も多く共演している[11]

出身地[編集]

地球・フランスのオート=ソーヌ県ラ・バールフランス語: La Barre

経歴[編集]

家族[編集]

特に断りがない限り、映像作品における設定である。

  • モーリス・ピカード(父、故人)
  • イヴェット・ピカード(母、故人)
  • ロベール・ピカード(兄、2371年死去)
  • レネ・ピカード(甥、2371年死去)
  • ビバリー・クラッシャー(妻)(TNG S7E25, E26『永遠への旅』)

スタートレック:ピカード[編集]

2020年1月からはピカードを主人公とする新しいテレビドラマシリーズ『スタートレック:ピカード』がCBS All Accessによって製作・配信されている[17]、映画『ネメシス/S.T.X.』の20年後の2399年を舞台とする[18]

脚注[編集]

[脚注の使い方]
  1. ^ 英語では大佐も艦長も「キャプテン」である(アメリカ海軍方式に準ずる)。ちなみに、『新スタートレック』クルーの最終映像作品(2011年現在)『ネメシス/S.T.X』ではU.S.S.エンタープライズEの艦長だったが、『Star Trek Countdown』(『ネメシス/S.T.X』の後日譚と2009年版『スター・トレック』の前日譚を兼ねたコミック)では惑星連邦大使になっており、さらにゲーム『Star Trek Online』によれば連邦大使も辞任している(「経歴」の項も参照)。
  2. ^ Robert Picard@公式サイトのデータベースより。
  3. ^ オンライン・ゲーム『Star Trek Online: The Needs of the Many』によると、ピカードは後年、ビバリーと結婚して、一子レネ・ジャック・ロベール・フランソワをもうけている。
  4. ^ 後年、その道の権威でもあり、当時エンタープライズDの医療主任だったキャサリン・ポラスキー中佐によって、欠陥があった人工心臓を新品に交換してもらった。さらに後年、出席した会議で圧搾テトリオン銃で撃たれ、人工心臓を溶解破損するが、超時空的な生命体『Q』によって天然の心臓を与えられている。
  5. ^ ウルフ星系における戦いの後日譚も兼ねている劇場版『スタートレック ファーストコンタクト』で、ボーグ集合体の当時のリーダーが「(ピカードの)自我をわざと残してボーグの共同指導者としてのチャンスを与えた」と明かした。
  6. ^ 劇場版『スタートレック ジェネレーションズ』で使われたのは演者パトリック・スチュワート本人所有の鞍である
  7. ^ ピカード役のパトリック・スチュワートはロイヤル・シェイクスピア・カンパニー所属俳優である。
  8. ^ 第5シーズンの『超時空惑星カターン』で初登場した古代文明の楽器で、ピカードにとっては文字通り「一生の思い出」の品。パトリック・スチュワートは実際にこの楽器を練習・演奏した。
  9. ^ 子どもに対する苦手意識を克服したのも『超時空惑星カターン』がキッカケである。
  10. ^ パトリック・スチュワートがアドリブで最初に行ったので、これもスタッフやキャストの間で「ピカード戦法」と呼ばれるようになった。
  11. ^ ジェームズ・T・カークベンジャミン・シスコキャスリン・ジェインウェイの3人
  12. ^ a b サンディエゴ・コミコン2019で行われた特設展示「Starfleet Museum Jean-Luc Picard: The First Duty」で公開された『スタートレック:ピカード』におけるピカードの経歴
  13. ^ 具体的な階級は不明
  14. ^ STO公式サイトのTwitter2019.11.27.
  15. ^ Star Trek: Picard Reveals Picard's New Starshipcomicbook.com 2019.11.27.
  16. ^ Star Trek Online: Path to 2409』では2402年とあるが『スタートレック:ピカード』とは矛盾する
  17. ^ Patrick Stewart to Reprise 'Star Trek' Role in New CBS All Access Series”. The Hollywood Reporter. The Hollywood Reporter. 2018年8月5日閲覧。
  18. ^ Patrick Stewart’s Picard to return in new Star Trek series”. Polygon. Polygon. 2018年8月5日閲覧。