クロロキン

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クロロキン
クロロキンの構造式
識別
ATCコード P01BA01 (WHO)
KEGG D02366
化学的データ
化学式 C18H26ClN3
分子量 319.88 g·mol−1
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クロロキン (chloroquine) は抗マラリア剤のひとつ。マラリアの治療もしくは予防のために用いられる。1934年ドイツで最初に合成された。

現在ではクロロキンに耐性を持つマラリア原虫が出現している。そのためクロロキン単独で用いることはあまりなく、他の薬剤と併用されることが多い。

ドイツでは合成に成功したものの毒性の強さから実用化を断念した。しかし1943年アメリカ合衆国で独自に開発し、抗マラリア薬として発売した。

M.D.アンダーソンがんセンターの研究グループによると、休眠状態のがん細胞をクロロキンでオートファジー(がん細胞の自食作用のスイッチ)を遮断したところ、癌細胞の再成長が阻害されたとの報告がある。

副作用[編集]

1959年にクロロキン網膜症という重篤な副作用が報告された。クロロキンの長期投与により眼底黄斑が障害され、網膜血管が細くなり視野が狭くなってしまう。クロロキン網膜症には治療法がなく、薬の服用を中止しても視覚障害が進行する。

日本でのクロロキン網膜症患者は1,000人以上に及んだ。アメリカでの報告や警告があったにも関わらず、厚生省(当時)が情報公開や製薬会社に対する指導など適切な対応をとらなかったために被害を拡大するという他の薬害事件と同じような経過をたどった。また、日本では、1955年頃から使用され、マラリア以外にも、慢性腎炎や、てんかんなどに効果があるとされた(実際はこれらに対し何ら効果はなかった)ことが、薬害患者の大量発生につながった。なお、全身性エリテマトーデス皮膚エリテマトーデス英語版関節リウマチの治療薬として有効性と安全性が認められ、日本以外の世界各国では広く使用されている。

クロロキンの代謝産物でもあるヒドロキシクロロキンが同様の適応で使用されている。

外部リンク[編集]