おもらしフェチ

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おもらしフェチ(おもらしふぇち、英語: Omorashi fetishism)は、性的嗜好フェティシズムの一種であり、広義のスカトロジーの中の一つとされる。また、それらの広義のスカトロジーとの違いとしては特に「被服を着用した状態での排泄失禁行為」に対して性的興奮を抱くという特徴が挙げられる[1][信頼性要検証]

おもらしフェチの根源に関する説[編集]

肛門期に根差すとする説[編集]

人がこの性癖を持つようになる要因や理由には様々な説が存在する。例を挙げれば、かつてのオーストリア精神科医思想家ジークムント・フロイトは、自身の研究である心理性的発達理論において子供自我形成やリビドー幼児性欲口唇期に始まり肛門期男根期潜伏期を経て性器期に統合されるように発達していくと考えた。そしてフロイトの主張によるとその一つが肛門期であるが、この時期は約一歳半から四歳頃までを指し、またトイレットトレーニング等といった排泄や清潔のしつけが行われる時期であり、排泄物の保持と排泄に密接に結び付いた対象関係がつくられる。その関係性の中では排泄物は象徴的な意味を持ち、自己の一部として認識され、その意味では外界への贈り物と考える事もできるため、排泄をする事はに贈り物をする事となり、逆に排泄せずに貯めておく事は親のしつけに反抗する事になるのだという。更に、後のドイツの精神科医カール・アーブラハムによれば肛門期は二つの時期に区分され、前期は対象である排泄物を排泄し破壊する事に喜びを感じる時期であり、後期は逆に対象を保持し所有することに喜びを感じる時期であるという[2]

しかし未熟な幼児にとって排泄行為をコントロールする事は容易な事ではなく、失禁して羞恥心が起きたりする。そして親の要請に応じてうまく排泄できるようになると、自分は親を喜ばせる事ができる贈り物を所有する価値ある存在であると感じるようになり、自律性を獲得することができるという。またその過程において、トイレットトレーニングがあまりに過酷であった場合、そこから生じる葛藤を解決するため吝嗇、頑固、几帳面といった肛門性格が形成されるという[2]

また、同時に肛門期は子供にとって排泄の延期とそれに伴う排泄物の体内での保持や、尿といった排泄物の通過による肛門粘膜尿道への刺激性的快感となる時期でもあり、この時期になるとこの快感をできる限り高めるため排泄をできるだけ延期し、ぎりぎりまで貯めこんで一挙に排泄しようとする子供もいるという[2]

また柳内伸作は著書『糞尿大全 糞尿変質奇談』で、幼児にとって排泄物を体内で作ることは創造的な行為であるとしている。

フェロモンに根差すとする説[編集]

他にもこの性癖の由来には様々な説があり、前述の幼児性欲の肛門期に由来するという説の他には尿とフェロモンに由来するという説がある。人を含む多くの動物繁殖の相手を発見するのにフェロモンを使用する事が多く、人の性フェロモンされる物質に関しては未だ解明されていない部分も多くあるものの、他の動物を用いた実験においては尿が性的興奮を喚起させる事もあるのだという[3]

このような説に則った場合、人の場合にもネズミ等他の動物と同様の仕組みが尿に備わっている可能性があり、そうであった場合は尿を性的興奮の対象として捉える事は生物学的にも当然の反応であるとも考えられるのだという。また、他の動物の場合は尿に含まれるフェロモン物質は揮発性の物質であり、地面等に排尿する事によってフェロモン物質が揮発してなどの受容体を通して興奮が起こると考えられている[3]

広義のスカトロジーとの違いや外国語[編集]

前述したようにおもらしフェチは広義のスカトロジーに含まれる嗜好の一種とされるが、スカトロジーとの違いは何かという疑問に対してはさまざまな説が提唱されており一説に断定されているわけではない。また実際にはスカトロジーとおもらしフェチは全く趣向が異なり、前者では「排泄物そのもの」を興味対象とするのに対し後者では状況成立のためには排泄物はもちろん必要ではあるものの、具体的には「排泄物によってもたらされるシチュエーション」を興味対象とし重要視する。またそのシチュエーションとしては尿意を我慢している姿や漏らす寸前あるいは漏らしてしまった瞬間の絶望と羞恥心、そしておもらしをしてしまったという受け入れがたい現実などが挙げられ、つまりこれは尿意や羞恥心を楽しむというスカトロジーと言うよりはどちらかと言えばSMに近いフェティシズムと言えるのである[4][信頼性要検証]

またこのフェティシズムは極めてマイナーかつ変態的な嗜好とされ、日本語の「おもらし」を正確に伝える英語表現は存在しない。そのためローマ字の「omorashi」をそのまま使用するかそれを略した「omo」が用いられる。因みに日本以外の国や地域ではおもらしフェチはフェティシズム系のサブカルチャーとして扱われるという[4][信頼性要検証]

このフェティシズムを持つようになる原因[編集]

学校での失禁は時に性の目覚めのきっかけとなる(写真はイメージ)

おもらしフェチに限らず、どのような性癖やフェティシズムにもそれを持つようになる(目覚める)きっかけというものがあるものだが、ここでは人がおもらしフェチを持つようになるきっかけやその経緯を一例を用いて解説する。ここで解説する一例の人物はかつて小学生時代、なんとなく授業中に「トイレに行きたい」と言いづらい雰囲気があったという。当然休み時間にトイレに行っておけば良いのだが、折角の休み時間なのでまずは遊びたいという気持ちが先に立つためトイレに行き忘れる事もあったという。更に「一番右端の蛇口が一番うまい」などといった話をしながら水分補給だけは過剰にするためそのまま授業に突入した折、授業中に突然尿意に襲われるなどという事態が発生するのである[5]

とはいえほとんどの場合はなんとか授業時間を乗り切る事ができ授業が終わると同時にトイレに駆け込む事になるのだが、しかし人間の体というのは時として融通が効かないものであり特に尿意というものは非常にコントロールがしづらいもので、最悪の場合授業の終わりに間に合わず、さりとて授業中にトイレに行きたい旨を伝える事もできないまま失禁という結末を迎えてしまう事もしばしば存在するのであった。そしてこの事象、つまり意図しない授業中の異性の失禁を二度ほど目撃し、その人が回想するには小中学生時代には明確でなくともなにか正体不明な感情が湧き起こっていたという[5]

そのような中でも決定的だったのは二度目の体育の時間に尿意を我慢できなくなった異性の生徒が失禁してしまった事例を目撃してしまった事であるというが、とにかくその頃からなんともいえない感情が育ってきていたとしている。つまりそれこそがその人にとっての性の目覚めであり、性的なフェティシズム(ここではおもらしフェチ)が決定した瞬間なのであった[5]

社会的反応や刑法上の問題[編集]

またおもらしフェチに限らず性行為に関しては刑法上の問題も存在する。例えば公共の場である野外などでおもらしプレイや放尿プレイ等を行った場合、日本では刑法第174条によって公然猥褻罪に問われる。実際にこのような事例は過去において存在しており、電車内で女性に放尿させてアダルトビデオ(AV)を撮影したとしてAVメーカーの男が逮捕されている。詳細としては2015年6月23日福岡県福岡市のAVメーカーの会社役員の男と社員の男が福岡県警察によって逮捕された。2人は2013年10月から11月にかけて同県内を走行する西日本鉄道(西鉄)の電車内で公募した23歳から28歳の女性3人に対して性器露出させた上、放尿させるなどしてAVを撮影したという。またこのAVは『場違い排泄』などと言ったタイトルで2014年1月DVDで発売され、この事件はこれを鑑賞した者が西鉄に連絡し西鉄側が警察に通報した事で発覚。また警察は出演した女性3人に対しても同容疑において任意の取調を行った[6]

また上記の事件においては実際に露出や放尿を行った女性らではなくそれらをさせてAVを撮影した男らが逮捕されたのであるが、弁護士の松原祥文に拠れば猥褻行為を自ら行うだけではなく他人に「させた」場合においても公然猥褻罪は適用されるという。具体的には日本の刑法第174条においては公然と猥褻な行為を行った者に対して懲役罰金等といった刑罰が規定されているが、実際に猥褻行為を行った場合だけではなく共謀して他人に猥褻な行為をさせた場合にも共同正犯として公然猥褻罪に問われる。この共同正犯とは2人以上の者が共同で犯罪を行った場合にその行為自体は行っていなくても犯罪計画を立案するなど、それを行うために本質的に関与した場合には自分も犯罪を行ったと見做されるシステムである。またこの事件においては公然猥褻罪のみならず福岡県迷惑防止条例6条(卑猥な行為の禁止)違反にも該当する可能性があり、その場合にも共同正犯として扱われるという[6]

なお、この事件においては男らが女性らに電車内で放尿させた事が特徴的であるが、その放尿により電車を汚した場合には、人々が乗車する電車を尿で汚染する行為は電車の効用を侵害するものであるとして器物損壊罪に問われる。しかし、この事件のような場合には放尿は猥褻行為の一環であるため前述の公然猥褻罪が適用され、この事だけを取り上げて器物損壊罪として検挙される可能性は低いという[6]

実際の事例と官能小説[編集]

都心部等、都会地方などでは電車内にトイレが設置されていない場合も多く、そのような状況での失禁もしばしば官能小説の題材とされる。(写真はイメージ)

おもらしフェチに限らず、ありとあらゆる性癖やフェティシズムにおいて実際に起こった事件や事例を基にした官能小説などの作品が製作される事はしばしばあるが、おもらしフェチもその例外ではない[要出典]

このフェティシズムを持つとされる主な人物[編集]

数多くの性的嗜好やフェティシズムの中ではマイナーな部類とされるこの性癖であるが、意外に知られていないが身近な人物や比較的著名な人物がこの性癖を持っていたという事例も多く存在するとされ、一例としては『P.S.すりーさん』等多くのゲーム関連の漫画の作者として知られ[7]、また秋田県特産品を宣伝する企業で同県の特産品の擬人化キャラクターデザインにも関わった[8]経験を持つ漫画家IKaもおもらしフェチを持っているとされ、かつて同人誌作家として活動していた時代には『ののちゃん大好王』(「ののちゃんだいすキング」と読む[9])というホームページを開設しており、その中の「おもらし掲示板」では約50以上のおもらしフェチ系イラストを公開していた。なおIKa本人はこれに関して「普段エロ絵を描かない」「僕は基本的にエロ描きに向いていないと思う」などと書いており、あくまで自分がこのような性癖イラストを制作するのは例外的であるとしているが、同人誌時代からそのようなイラストを描いていた事は事実である[10][11][12][13]

関連項目[編集]

脚注[編集]

  1. ^ おもらし”. アニヲタWiki(仮) (2014年8月18日). 2023年7月4日閲覧。[信頼性要検証]
  2. ^ a b c 肛門期”. コトバンク. 2023年7月4日閲覧。
  3. ^ a b \日本ハジマタ/ おもらし入門書 「はじめてのおもらしガイド」発売”. アキバBlog (2014年8月26日). 2023年7月4日閲覧。
  4. ^ a b おもらし”. 通信用語の基礎知識 (2003年7月1日). 2023年7月10日閲覧。[信頼性要検証]
  5. ^ a b c 【コラム・ネタ・お知らせ】 「はじめてのおもらしガイド」や「文庫版 30歳の保健体育」「文庫版 30歳の保健体育 恋のはじまり編」など、ディープな本が発売になりますよ!”. アキバBlog (2014年8月25日). 2023年7月10日閲覧。
  6. ^ a b c 電車内で女性に「放尿させて」AV撮影、男性が「公然わいせつ」容疑で逮捕されたワケ”. ニコニコニュース (2015年7月8日). 2023年12月1日閲覧。
  7. ^ プロフィール”. IKa (2000年1月1日). 2023年7月4日閲覧。
  8. ^ 秋田の名産品キャラで地元PR-地元男性が脱サラで会社設立”. 秋田経済新聞 (2010年12月2日). 2023年7月4日閲覧。
  9. ^ koko (2001年11月1日). “曼珠沙華コラム過去ログ”. 曼珠沙華. 2023年7月4日閲覧。
  10. ^ IKa. “■GALLERY■”. ののちゃん大好王. 2023年7月4日閲覧。
  11. ^ つめあわせ3(R-18)”. IKa (2009年10月18日). 2023年7月4日閲覧。
  12. ^ つめあわせ4(R-18)”. IKa (2009年10月19日). 2023年7月4日閲覧。
  13. ^ つめあわせ5(R-18)”. IKa (2009年10月21日). 2023年7月4日閲覧。