青いブリンク

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青いブリンク(あおい- )は、手塚治虫が原案・監督を務めたアニメ作品1989年4月7日 - 1990年3月16日にかけてNHKで放送。NHK・NHKエンタープライズ手塚プロダクション製作。全39話。

概要

ソ連で製作された長編アニメ映画『せむしの仔馬』を現代版にアレンジした作品。

5話までのあらすじを仕上げたところで手塚が急逝し、『ジャングル大帝』と並んでアニメにおける遺作となってしまった。手塚はメインキャラクターデザイン、物語構成(20話分のストーリー案)、そしてパイロットフィルムの絵コンテと原画を担当した。パイロットフィルムの一部は、カケルとブリンクの出会い、ブリンクとの再会と旅立ち、ホロ王子の城での戦いの場面、と、第1話に使用されている。

NHK総合の毎週金曜日の19時30分から20時までに放映され、前番組は『アニメ三銃士』、後番組は『ふしぎの海のナディア』になる。

※第1回(初回)放送時は、裏番組では通常では無いはず(通常は夜7時30分放送終了)の「ドラえもん」(テレビ朝日系列)が、春の1時間スペシャルを放送したため事実上、手塚プロ(NHK)vs藤子プロ(ANNという形になった。このときドラえもんで放送したのは「南海の大冒険」である。

本放送時には、本編終了後、人形のブリンクが案内役を務める「ブリンクの不思議大図鑑コーナー」があった。しかしこれらは、再放送のときはカットされ、DVD版にも収録されなかった。ちなみにNHKアーカイブスで登録されている1話目では見ることができる。

また、本放送の1週間前(1989年3月31日)に同じ時間帯(夜7時30分~)で、「“青いブリンク”出発進行 -手塚アニメの魅力-」と題して、当番組の特番を放送した。当時のNHKにしては珍しいことである。このときは、ゲストに石ノ森章太郎を迎え、案内役を丹波役の小林克也や、ブリンク役の土家里織等の出演者が務めた。なお、朝日新聞の縮小版、1989年4月7日付け朝刊(東京本社版)には、写真付で当番組の紹介文が掲載されている。写真のタイトルは、「ブリンクと少年カケル」。

中国地方5県の各放送局管内(広島岡山山口松江鳥取)では、当時木曜日の同時間帯に放送されていたブロックネット番組「どこかでなにかが中国路」が特別企画として帯放送となった週が一度あり、その週の放送分は日曜午後に遅れ放送となった。


注意:以降の記述には物語・作品・登場人物に関するネタバレが含まれます。免責事項もお読みください。


ストーリー

謎の組織に誘拐された父親を助けるため、仲間たちと共に旅をすることになった少年カケル。弱虫だったカケルもブリンクや仲間たちとの交流を通じ、次第に困難に立ち向かう勇気を身につけていく。はたして彼は父を救い出すことができるのだろうか。

主な登場人物

四季カケル (声優野沢雅子
主人公。グロス皇帝に誘拐された父親の晴彦を助けるためにブリンクと共に旅立つ。とても心優しく正義感があり相手を気遣う。しかしいざ怖い場面などに出くわすと途端に臆病で頼りなくなってしまうがブリンクの発する雷球を受けることで人が変わったように果敢な行動をとる。しかしこの電球はそのような効果はなくいわゆる自己暗示のようなものからで心の奥底には素晴らしい勇気があることが伺える。ブリンクや丹波たちの協力を得ながら様々な人達と出会い旅をすることで終盤ではカケル自身大きく成長することになる。ブリンクとの友情関係は固くオペラタウンでブリンクが操られていた時は身を挺してブリンクに呼びかけブリンクからピラミッドパワーを追い出したほど。
四季春彦 (声優:納谷悟朗
カケルの父親で童話作家。グロス皇帝の秘密や行動などがテレパシーという形で分かるらしく(本人はそうだとは気づいていない)それ元に話を書いていた。晴彦自身この童話はライフワークにするつもりだったので自費出版予定だったがバレるのを恐れたグロス皇帝の命令を受けたオートバイ集団に誘拐される。助けにくるカケルから完全に離すためほぼ毎回幽閉先を変えられている。終盤では春彦とグロス皇帝の意外な関係が明らかになる。
ブリンク (声優:土家里織
宇宙からやってきた青い毛色の雷獣。弱っていたところをカケルと晴彦に助けられる。雷獣であるためエネルギー源は電気(コンセントや落雷から吸収できる)。姿を消したり(人を乗せて)空を飛ぶことができる。ウサギの様な長い耳から電撃を射出して攻撃する。また頼りなくなったカケルに「カケルくん、勇気をあげる(よ)!」と電球を射出し勇気を与える(ただしそのような効果はない。だがカケルの眠る勇気の成長を大きく促す結果に繋がった)。とても純粋な心の持ち主で自身に対する欲望はなくコバルト島でみんなが幻覚を見ている中ブリンクだけは幻覚に騙されていなかった。命の恩人であるカケルの父親を助けることがブリンクにとっての一番の望み。そのために自身の命をかける覚悟まで持っている(ミルキーホワイトの空中神殿にてカケルの願いが叶うならと自ら生贄になろうと考えていた)。普段は充電(または電気を補充)のため毛玉の様に丸くなってカケルの腕の中にいる。
キララ姫 (声優:伊藤美紀
ローズ館の幼きお姫様。六歳という年齢もあってかとてもわがままなで珍しいもの(ブリンクなどの動物含め)をすぐ欲しがる。またなんでもお金で決めてしまうくせがあり欲しいものはもちろん気分を害したり迷惑をかけたことに至るまで全てお金で決めてしまう。だが相手の気持ちを理解できる心優しいところもある。ダンスが得意。ローズ館にて晴彦を幽閉していたことでカケル達に出会い外の世界を初めて目にしその好奇心からカケルたちに同行することに。グロス皇帝の姪であり真実を知って一時ショックを受けてしまうが「叔父様でも悪い奴は悪い奴」と自らそれを理解しその後もカケル達に同行するのだがグロス皇帝からもらった王冠を大切にするなど完全に決別はできなかった。後にその王冠がホロ王子によって自分をカケル達に敵対するよう操るためだと知りこれをきっかけに完全にグロス皇帝と決別した。
丹波 (声優:小林克也
旅の移動手段となるおんぼろボンネットバスの運転手。たまにカケル達以外の客も乗せることもある。腕っぷしが良く力持ち。力関係時には一番の頼りになる。女性にはかなり弱いところがあるがキララ姫のお世辞に簡単に乗ってしまうところを見ると女性全般からのお世辞に弱いとも思われる。バスの後部パネルには「お迎えでごんす」が描かれている。策略にはまったときなどに言う「やってくれるぜ!」が定番の台詞。途中からカケルの旅の為だけに、職を投げ打つ覚悟でコースを外して走ってくれていた。
ニッチ (声優:緒方賢一)とサッチ (声優:吉村よう
丹波のバスの中で出会った二人組の泥棒。痩せて背の高い方が兄貴分のニッチ、丸っこい方が弟分のサッチ。初めはブリンクを狙ってカケル達の旅に付いてきていたがいつの間にか(終盤までだが)カケルの父親探しのメンバーになってしまっていた。たまに成り行きで悪いことに手を出すが大概は失敗に終わっている。しかしこの泥棒としての行動が時として敵の情報仕入れ、晴彦の安否確認など役に立つときもある。二人が会話をするとボケとツッコミで漫才している様。他の手塚作品にも登場している。
グロス皇帝 (声優:加賀谷純一
自身の秘密、計画などの発覚を恐れカケルの父親春彦をさらった人物。全身黒い兜やマントの姿で素顔を隠していてカケル達の前に姿を現すこともあるがいつも実体がない(ホログラム映像のようなもの)。キララ姫、ホロ王子の叔父にあたる。晴彦の幽閉先を次々かえそれを追うカケル達の行く手を毎回刺客を送り阻む。カケル達が向かう街や村が場所によっては何かしらの支配や悪影響を及ぼさせている。また大の虫嫌いである。終盤で春彦との驚愕の関係が明らかになる。

その他の登場人物

ナナ(声優:安永沙都子

スカーレット川付近で暮らしている女性。元は昆虫学者。虫嫌いのグロス皇帝に虫を殺されてからその復讐のため生き残ったホタル蝶を密かに増やし続けていた。集団羽化すると凶暴になるホタル蝶を利用しその隙をついてグロス皇帝に挑んだが爆発で死んだホタル蝶達を見て間違いにようやく気づく。ホタル蝶の凶暴化を防ぐ研究と保護のためそのまま残った。

クスネール(声優:上田敏也
スピカ(声優:真柴摩利

ディビーズグレイ村に向かう途中であった冒険四人組の一人で連絡係。洞窟の中でメンバーと逸れてしまっていた間カケルをリーダーとして慕っていた。最年少のため怖がりで泣き虫なのでキルダからはいつまでたっても連絡係止まりなのだと言われている。

パティ(声優:池本小百合

プルシャンブルーで弟と二人で飛行機を作っている泣きぼくろのある美しい女性。飛行機でグロス皇帝に支配されている村を出るつもりだったが亡き父の写真の裏から飛行機の設計図を見つけ二度と出られない刑務所の人達を救うために作っていたことを知る。父の意志を継ぎカケル達の協力で無事助け出すことに成功した。

ボー、カネアリ、秘書(声優:荒川太郎
ホロ王子(声優:速水奨

年中雨が降り続けるビリジアン村を支配していた王子。グロス皇帝の甥にあたる。カケル達が最初に戦う相手で天気を自在に操れる仮面太陽を使ってカケル達を苦しめたが敗れてしまう。終盤で再登場しキララ姫を操ったりブリンクの力利用して機械を操ったりと前以上にカケル達を苦しめたが勇気あるカケルを前に完全敗北した。行く手を阻む敵の中ではかなり強い。

メイド(声優:安藤ありさ
ヨー、守衛の声(声優:小野健一
ジュリー、アンドレ(声優:折笠愛
黄金の鳥、母馬(声優:宗形智子

ブリンクの母親。ブリンクより大きな体で黄金の毛色。一話にてカケルをブリンクを助けてくれた人とは知らず襲ってきた。後に闇の城への入り口を見つけた時にはブリンクを見守るため黄金の鳥に姿をかえ登場する。

ロックベラー(声優:寺島幹夫

エメラルドタウンで本物の花を乱獲し荒稼ぎしている富豪。また珍しい花を押し花にして集めているコレクターでもある。欲に目が蔵んでしまっているせいで娘のフラとの関係は良くない。闇の花の存在を知り森の中に取りにいくが底なし沼にはまってしまうが必死で助けようとするフラを見てようやく目を覚ました。フラが言うには本当は純粋に花が大好きとのこと。

男A(声優:福田信昭
客(声優:井上喜久子
フラ(声優:高田由美

ロックベラーの一人娘。本物の花は大好きだが商売道具に使うことは好まず造花を作って売っている。闇の川に関係する闇の花のことを知っていて咲く場所をカケル達に教えてくれるのだがそれを父親に聞かれてしまう。父親との関係は意見の衝突からあまり良くないが底なし沼にはまった父親を必死で助けに行った行動を見ると欲に目が眩んでしまっているだけということを理解していて決して嫌っているわけではない。

子供(声優:天野由梨
女の子(声優:こおろぎさとみ
キャット(声優:高山みなみ

パティの弟。二人で歩行機を作り村を出て行こうとしていた。刑務所にいる父を助けて欲しいと頼みにきていたパースとよく口喧嘩をしている。

ヘンリー(声優:富山敬

モスグリーン・カーレースの参加する老人。外れの港町に住む漁師なのだがカーレース拡大の為だけに造られた橋のせいで魚が取れなくなり優勝して領主に橋を無くしてもらおうとしていた。人々の生活がかかっていたためカケルを人質に脅すことをしてしまうがキララ姫の機転でカケルと同時に領主に願いを叶えてもらった。

ラクルル(声優:渕崎ゆり子

人工太陽が三つあるテラスに住む少女。家がパン屋さん。カケルの父親探しに快く協力してくれるが人工太陽の光の影響で人格を変えられ突然カケル達を襲ってくる(これは町の人達全てに影響)後にカケル達が破壊したことで元に戻った。影響がなくてもラクルル自身はとても優しい性格のようだ。

ポロン(声優:水谷優子

丹波のバスに乗り込んだ少女。病で寝たきりの母親のためにどんな病にも効くイノチダケというきのこを探しにセピアの森に向かう。不思議な笛を持ちその笛を吹くのが得意。このことがセピアの森で悪さをしていたゴロポックル達とそれに困っていたゴロポックル達を仲直りさせるきっかけを作った。

アフロ(声優:水谷優子

海底都市パールムーに住む長老の一人娘。外の世界に興味津々でよく人魚の姿になって海を泳ぎ回ったりカケルから地上の話を聞きたがっている。パールムーという球体に悲しみ、苦しみを吸い取ってもらい幸せに暮らす長老たちの考えや行動にそれで本当に幸せなのかと疑問を抱いている。カケルと間違えられて敵に捕えられた時も強気の態度を見せておりかなり勇敢な性格。

係員、ジャン、子供(声優:渡辺久美子
ジョー(声優:関川真佐美)
チッピ(声優:田中真弓

レッドバルの若き王子。戦うなど争い事は嫌いでの心優しい性格だが力が全てのこの国では王子として資格がないとみなされ父親から勘当されていた(父親としては体を鍛えてもらいたいという考え)カケルの父親の情報を教える条件としてサンドタイガーを倒してくるよう言われ住処へと向かうが怪我をしていたサンドタイガーを助けたことで手懐けた。この行動により父親に優しさも必要だということを気づかせ城に帰ることができた。

編集者(声優:稲葉実
じっちゃん(声優:伊井篤史

主題歌

オープニングテーマ:「瞳のなかの未来
作詞:田口俊/作曲:上田知華/編曲:萩田光男/歌:南野陽子
エンディングテーマ:「負けないで勇気」
作詞:森雪之丞/作曲:後藤次利/編曲:米光亮/歌:中山忍

スタッフ

放送リスト

全39話

  1. はるかなる出発(たびだち)
  2. グレイ牧場の秘密
  3. ローズ館の人質
  4. 傾いたアイボリー城
  5. イエロー砦の妖怪ドギツラ
  6. ブルータウンの不思議な果実
  7. 激突!モスグリーン・カーレース
  8. 誘惑の島・コバルト
  9. 戦う国・レッドバル
  10. 不思議な森・セピア
  11. 三原色の町・テラス
  12. パープルタウンのハート泥棒
  13. ブラウンタウンの要塞列車
  14. 子供だけの町 レインボータウン
  15. ゴールドバレーの光の箱船
  16. 占いの町・ミントグリーン
  17. ミルキーホワイト・空中神殿の秘密
  18. 咲くか!?エメラルド森の闇の花
  19. 闇の川へ! 不思議なウルトラマリンの草原!!
  20. 動物王国・ハービーグリーン
  21. イエローオーカー・緑と花の消えた町
  22. 愛の飛行機! プルシャンブルーの空を飛べ!!
  23. ディビーズグレイの伝説! ブリンクが化石になった!!
  24. 海底都市 パールムーの人魚姫
  25. オペラタウンに消えたブリンク
  26. よみがえれ! スカーレット川のホタル蝶
  27. 不思議!冒険の城インジゴ
  28. 愛よ再び! ワインレッド海の死闘
  29. 敵か味方か!? オレンジストーンの名探偵
  30. さがせ真実の鍵! ダークパープル湖の遺跡
  31. 黄金のゴールドアンバー谷
  32. さかさまの町スカイブルー
  33. 再会!闇の牢の母と子
  34. カケルひとりぼっち! 悪夢と闇の海!!
  35. 最強の戦士・黒い武者
  36. 闇の城へ! 勇気を持って立ち向かえ
  37. ホロ王子・ブロンズのワナ
  38. 光と闇のグロス城
  39. 果てしない旅 さようならブリンク

余談

  • 「カケルがブリンクから『勇気』をもらって困難を乗り越える」というコンセプトだったが、「勇気は自分自身を奮い立たせて得られるものであって、他者から貰うものではない」という批判が放送当時『アニメージュ』の読者欄に寄せられた。ただし、「勇気をあげる!」としてブリンクの発する光は実はただの電気であり、いわば暗示によって自らを奮い立たせている。
  • 『アニメ三銃士』の成功から製作された作品で全体的な評価や最終回の評価には賛否両論があるものの作品としては非常に良質なものとして仕上がっている。
  • ブリンクの姿は同原作者の「ユニコ」と良く似ているが関連は特にない。
  • 次回作の『ふしぎの海のナディア』でもやや頼りない少年にしっかりとした神秘的な少女(ブリンクは不明)、デブと痩せの凸凹コンビ、お転婆な年若い娘、寡黙な中年、物語に大きく関わる謎の組織と鉄仮面、冒険、番組終了後の特集コーナーという部分は継承されている。

ゲーム

放送終了後の1990年4月27日PCエンジン用のアクションゲームとして発売。TV本編とは違ったもう一つのEDも収録。メーカーはハドソン、形式はHuCARD。定価は6200円。

外部リンク

NHK総合 金曜19:30枠
前番組 番組名 次番組
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