無限の住人

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無限の住人
ジャンル 時代劇
漫画
作者 沙村広明
出版社 講談社
掲載誌 月刊アフタヌーン
発表号 1993年8月号 -
巻数 27巻(2011年1月現在)
アニメ
監督 真下耕一
シリーズ構成 川崎ヒロユキ
脚本 川崎ヒロユキ、金巻兼一
キャラクターデザイン 山下喜光
音楽 大谷幸
アニメーション制作 ビィートレイン
製作 浅野道場復興会
放送局 放送局を参照
放送期間 2008年7月13日 - 12月28日
話数 全13話
テンプレート - ノート
プロジェクト 漫画アニメ
ポータル 漫画アニメ

無限の住人』(むげんのじゅうにん)は、沙村広明による日本漫画作品。講談社月刊アフタヌーン』にて1994年から連載されている。作者のデビュー作であり代表作。

アフタヌーン四季賞1993年に四季大賞を受賞した同名の作品を連載化したもので、受賞作は同年に『月刊アフタヌーン』に掲載され、単行本第1巻に「序幕」として収録されている。単行本は講談社より2011年8月現在27巻まで刊行されている。

1997年に第1回文化庁メディア芸術祭マンガ部門優秀賞を受賞。また、英語版が2000年にアイズナー賞最優秀国際作品部門を受賞している。2008年夏よりテレビアニメ全13話も放送された。

概要

江戸時代を舞台にした剣客アクション。人物造形・所作などが写実的な絵柄で描かれている一方、主人公が不死の肉体を持つという設定や、時代考証を半ば無視した奇抜な衣装、様々なギミックを施した独創的な武器、擬音(描き文字)に漢字を使用するなどの作風から、しばしば「ネオ時代劇」という宣伝文句が謳われている。

連載初期は主人公・万次が敵を一人ずつ倒していくわかりやすい活劇ものであったが、連載半ばから登場人物が多数登場し、複数のエピソードが同時に進行する入り組んだ物語が描かれるようになった。また、初期にはパンクスのような出で立ちの人物が登場したり、戦闘シーンで背後に花や鳥を配して花札を思わせるような画面作りがなされたが、こうした派手な表現も連載途中より控えられるようになった。作風が変化した経緯については沙村広明#『無限の住人』を参照。

作品の大きな特徴として、作中の見せ場となる場面に鉛筆描きの絵が差し入れられていることが挙げられる。「鉛筆描き」といっても下描きのことではなく、ペンでは不可能な微妙な陰影を鉛筆の濃淡で表現した美麗もので、各話の扉絵もこの方法で描かれている。沙村広明#画風も参照。


注意:以降の記述には物語・作品・登場人物に関するネタバレが含まれます。免責事項もお読みください。


あらすじ

「剣道とは勝つことへの道」を標榜する剣客集団・逸刀流。彼らに両親を殺された少女・凜は仇討ちを遂げるため、不死の肉体を持つ男・万次に用心棒を依頼する。

※話数(第~幕)は単行本収録時のもの。

序幕

万次と凜が出会う数年前。「百人斬り」万次は、八百比丘尼によって与えられた不死の肉体を持て余しながら、気のふれた妹・町と生活していた。しかし、序仁魚仏を殺害したことから「新鮮組」四道菱安の恨みを買い、妹を拉致されてしまう。自分の不甲斐なさから目の前で妹を殺された万次は、その場で新鮮組を壊滅させ、「悪党を千人斬る」ことを誓う。(第1巻)

第一幕〜第二十幕

国中の剣という剣を滅ぼし、あらゆる流派を統一せんとする剣客集団、逸刀流。彼らに両親を奪われた少女・浅野凜。復讐を誓いながらも、己の剣技が逸刀流には遠く及ばぬことを八百比丘尼に諭された凜は、「最強の用心棒を雇え」という助言のままに万次と出会う。凜に妹の面影を見た万次は用心棒を引き受け、黒衣鯖人・凶戴斗・閑馬永空・乙橘槇絵・川上新夜ら逸刀流剣士たちと血みどろの戦いを繰り広げることとなる。(第1巻 - 第5巻)

第二十一幕〜第三十一幕

幕府の役人・吐鉤群の訪問を受けた逸刀流統主・天津影久は、逸刀流を幕府の指南役とすることを承諾する。同じ頃、各地で逸刀流の剣士が謎の集団・無骸流に襲撃されるという事件が起きていた。そんな折、万次と凜の元に無骸流の剣士・尸良が訪れ、加賀へ向かう天津影久を協力して討とうと持ちかける。(第5巻 - 第6巻)

第三十二幕〜第四十五幕

加賀へ向かう天津を待ち伏せる作戦は、敵の替え玉により失敗、さらに尸良の暴走により仲間割れという結果に終わる。しかし無骸流・百琳の言葉に感化された凜は、万次を置いて単身で天津影久を追ってしまう。天津を追う凜、さらにそれを追う万次は、それぞれ通行手形の入手に苦労しながら加賀の地を目指す。(第7巻 - 第8巻)

第四十六幕〜第七十九幕(加賀編)

無事に関を抜けた凜は、加賀の地でついに天津影久に出会う。剣では適わないと見た凜は、隙を窺うため強引に天津の道連れとなるが、その道行きで、天津が傘下に収めたはずの心形唐流剣士から襲撃を受ける。心形唐流の裏切りが幕府の差し金であったことを知り仲間の下へ急ぐ天津、その彼についていく凜だったが、心形唐流剣士によって彼らは次第に窮地へと追いやられる。

同じ頃、無骸流は尸良の裏切りによって逸刀流の剣士達に襲撃され、真理路が死に、百琳が誘拐される。百琳はそこで逸刀流剣士達から凄まじい拷問を受けるが、真理路が百琳を救うために命を賭して残したダイイングメッセージによりアジトを突き止めた偽一に、間一髪で救出される。

一方、傷を癒すために足止めを食らっていた万次は、かつて引き分けた逸刀流剣士・凶泰斗と鉢合わせる。凶は親しい女性を殺した尸良を探していた。尸良の襲撃を予想していた万次は凶と協力関係を結び、二人連れで加賀へ向かう。(第8巻 - 第13巻)

第八十幕〜第八十九幕

尸良の襲撃を切り抜けた万次・凶と乙橘槇絵の参戦によって、凜と天津は窮地を脱する。しかしその頃、吐鉤群の謀略により、統主不在の逸刀流は幹部9名が殺害されて剣士の多くが脱退。既に壊滅状態に陥っていた。さらに再会を果たし住処に戻った万次と凜の元に、いまや無骸流の黒幕であることが明らかとなった吐の使者として無骸流・偽一が訪れる。(第13巻 - 第14巻)

第九十幕〜第百三十四幕(不死力解明編)

偽一に連れられ吐邸を訪れた万次は、吐に謀られて監禁され、不死の源を解明するための人体実験に供されてしまう。万次が帰らないことを不審に思い、偵察を始めた凜の元に、宿を求めて逸刀流の残党・瞳阿と夷作が現れる。互いの素性を知らぬまま3人での生活を送ることになる凜たちだったが、ある日、瞳阿が狼藉を働いたことにより夷作が役人に引き立てられてしまう。偵察により万次たちが江戸城地下に監禁されていることを知った凜は、瞳阿と共に万次・夷作の救出に向かう。(第14巻 - 第20巻)

第百三十五幕〜(最終章)

万次の救出により、不死実験は失敗。江戸城を混乱に陥れた責任を問われ切腹を命じられた吐は、残された期日を逸刀流の殲滅に費やすことを決意、新たに私兵隊「六鬼団」を結成する。一方市中に潜伏していた逸刀流残党は、志を同じくする他流派の剣士を新たに引き入れ決起に臨む。逸刀流の顛末を見届ける旅に出る凜と万次、さらに百琳・偽一・尸良も巻き込み、物語は終結へ向かう。(21巻 - )

登場人物

卍/万次(まんじ)
主人公。隻眼の剣士。元は旗本・堀井重信の腰物同心だったが、堀井の不正を見かね、彼を斬殺したためにお尋ね者となった。その際に追っ手100人を斬ったことから「百人斬り」の異称で呼ばれるようになる。その後、八百比丘尼によって血仙蟲を身体に移植され、不死の肉体を持つに至った。着物の中に多数の武器を隠し持っており、しばしば気に入った敵の武器を自分のものにする。
浅野凜(あさの りん)
ヒロイン。無天一流統主・浅野虎厳の一人娘。16歳。天津影久率いる逸刀流に両親を殺害され、仇討ちを誓う。
宗理(そうり)
浅野虎厳の幼い頃からの友人。本業は絵師だが、実は幕府の隠密で非常に腕が立つ。芸術に人生を捧げており、隠密になったのも鎖国下で西洋の絵画を入手するためであった。
天津影久(あのつ かげひさ)
逸刀流二代目統主。22歳。色白で線の細い優男だが、祖父・天津三郎から幼少の頃より鍛錬を受けたことで、天才的な剣才を持つに至る。祖父の遺志を継ぎ、あらゆる流派の垣を取り除くことを目指す。黒衣鯖人・凶戴斗・川上新夜ほか計30人で無天一流の道場を襲撃し、門下生全員と凜の父親である統主・浅野虎厳を殺害する。幕府の軍事力を逸刀流の理念で染め上げることを悲願としていた。
凶戴斗(まがつ たいと)
逸刀流創設時からの古参で、逆立てた髪と口元を覆う覆面が特徴の青年剣士。西洋由来の「仕込み刀」を使う。もとは百姓の出で、「凶」の苗字は自分で付けたもの。山育ちのため地の利を生かした戦いを得意とする。また幼少時に妹を侍に殺されたという過去のために武士階級を憎んでいる。
乙橘槇絵(おとのたちばな まきえ)
天津影久が「揺籃の師」と仰ぐ人物で、彼のはとこに当たる女性。元の姓は春川。10歳のとき、次期無天一流統主と目されていた兄を剣術で破り、割腹に追い込んだことで母親と共に春川家から絶縁され、その後、遊女に身をやつしていたところを天津に身請けされた。
尸良(しら)
短髪・太陽柄の着物を着た剣士。長浜出身。16歳から金銭と引き換えに人を殺して生活していた。相手の四肢を切断し無抵抗状態にしてからの弄り殺しを好み、女を犯しながら刺殺するという手口で性的快楽を得るなど、残虐非道な性格の男。刀身の背が相手をいたぶるための鋸刃になっている刀を愛用する。剣の腕自体も相当なもので、百琳の半年ほど後に無骸流に入り、30人以上の逸刀流剣士を殺害。
百琳(ひゃくりん)
金髪・高下駄で姉御肌の女性。騙し討ち専門で真理路と組んで逸刀流を狩っていた。戦闘時は腕につけた折りたたみ式のボウガンのような武器で戦う。
偽一(ぎいち)
サングラスのような黒目鏡をかけた禿頭の男。手錠のような独特の鎖鎌を使い、60人もの逸刀流剣士を殺害した。冷静・寡黙な人物で敵には容赦しないが、使命で傷を負い戦えなくなった百琳を気遣うなど人情を解する面もある。
吐鉤群(はばき かぎむら)
幕府の新番頭にして無骸流の影の頭目。

テレビアニメ

2008年7月13日より、AT-Xにて放送。2009年3月5日からはテレ玉アニたま』枠にて放送された。物語初期から凛や無骸流が登場し、吐が天津影久に講剣所の師範を依頼するなど、ストーリーの時系列に一部変更がある。殺陣も原作の残酷な描写から、TV向けの極力押さえたものになっている。

スタッフ

  • 原作 - 沙村広明「無限の住人」
  • 監督 - 真下耕一
  • シリーズ構成 - 川崎ヒロユキ
  • キャラクターデザイン - 山下喜光
  • 得物デザイン - 肥塚正史
  • 色彩設計 - 小島真喜子
  • 特殊効果 - 加茂あゆみ
  • 美術監督 - 海野よしみ
  • 撮影監督 - 五十嵐慎一、斎藤仁
  • 音響監督 - なかのとおる
  • 音楽 - 大谷幸
  • エグゼクティブプロデューサー - 針生雅行、関澤新二、石川みちる
  • プロデューサー - 松下卓也、木下哲哉、森下勝司、山田昇
  • アニメーションプロデューサー - 村岡秀昭、丸亮二、清水孝泰、田中憲一朗
  • アニメーション制作協力 - Production I.G
  • アニメーション制作 - ビィートレイン
  • 製作 - 浅野道場復興会

主題歌

オープニングテーマ「赤いウサギ」
作詞 - 愛華 / 作曲 - 大谷幸 / 歌 - 枕草子 
エンディングテーマ「wants」
作詞 - 田中和将 / 作曲 - 亀井亨 / 編曲 - 長田進&GRAPEVINE / 歌 - GRAPEVINE 

キャスト

各話ごとのサブ・キャラクター

第一話『罪人』

第二話『征服』第三話『恋詠』

第四話『天才』

第五話『執人』

第六話『蟲の唄』第七話『三途』

第八話『爪弾』第九話『夢弾』

第十話『變面』 第十一話『羽根』

第十三話『風』

各話リスト

話数 サブタイトル 脚本 絵コンテ 演出 作画監督
第一話 罪人 川崎ヒロユキ 真下耕一 黒川智之 山下喜光
第二話 征服 澤井幸次 天崎まなむ
第三話 恋詠 有江勇樹 天崎まなむ
門智昭
第四話 天才 モリヲカヒロシ 津幡佳明
第五話 執人 黒川智之 佐々木睦美
第六話 蟲の唄 有江勇樹 天崎まなむ
第七話 三途 澤井幸次 山下喜光
第八話 爪弾 モリヲカヒロシ 落合瞳
第九話 夢弾 黒川智之 津幡佳明
第十話 變面 金巻兼一 澤井幸次
有江勇樹
澤井幸次 佐々木睦美
第十一話 羽根 澤井幸次 天崎まなむ
第十二話 斜凜 川崎ヒロユキ モリヲカヒロシ 落合瞳
第十三話 澤井幸次 黒川智之 山下喜光

関連商品

  • 無限の住人ポストカードブック 三十二幻唱(1996年、講談社
    • 作中のイラストを使用したポストカードブック
  • 無限の住人 イメージアルバム(1996年、ポニーキャニオン
    • 人間椅子によるアルバムCD。沙村広明が女性の背中に描いた凛のイラスト(浮世絵風)をジャケットに使用。
  • (2002年、プレイステーション2用ゲームソフト、スパイク
    • アクションゲーム。ゲーム自体は『無限の住人』の作品世界と何の関係もないが、隠しキャラとして万次が登場。一定の条件を満たすことで妹守辰政を携えた彼を操作できるようになる。21巻掲載の「おとづれ」にてこのゲーム最初の地点の川辺らしき場所が出ている。万次はそこに小屋を建て住んでいるという設定(ゲーム場面にも小屋がある)
  • 無限の住人 武器屋(えものや)24時間 武器コレクションフィギュア(2006年、ボーフォードジャパン
    • 登場人物ではなく、登場武器をフィギュア化するという異例の企画。沙村広明監修。前10種+シークレット1種。大きさ10~13センチ程度。
  • 艶浪 「無限の住人」画集(2008年、講談社)
    • 初の大判本格画集。カラー、鉛筆画100点強を収録。
  • 無限の住人 刃獣異聞(2008年、講談社)
    • 大迫純一によるノベライズ作品。内容は小説オリジナル。

外部リンク