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無政府資本主義

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無政府資本主義の旗

無政府資本主義(むせいふしほんしゅぎ、: Anarcho-capitalism:アナルコ・キャピタリズム、アナーコ・キャピタリズム)は、資本主義市場経済の機能を重視し、経済への政府の介入を否定する主義思想である。アナキズムおよびリバタリアニズムの一類型に分類される。

マリー・ロスバードデヴィッド・フリードマンが有名。

功利主義による無政府資本主義

無政府資本主義では個人の自由と資本主義市場経済システムが尊重される。政府の役割は最低限に限定されるべきで、国防司法・治安維持に限られるべきとする(夜警国家論)。さらにこの論を進めた自由市場無政府主義では、政府の行う社会福祉や国防・治安維持、司法に至るまで市場経済に任せることが可能であるとする。これらの機能は政府により独占的に供給されてきたが、政府が税収を基にこれらのサービスを供給するよりも、市場による供給に委ねた方が効率的に行うことができる、とする。政府の廃止論や、政府によるサービスの全廃論ではなく、政府によるサービス部門の徹底的な民営化論である。

彼らの主張では、鉄道電気ガス郵便教育電話、国によっては水道、ゴミ回収などの事業は、従来は政府によって運営されるのが当然と考えられていたが、民間企業でも供給可能であり、政府による硬直的な独占的供給よりも民間の競争による提供の方が効率も良くサービス水準も高い、とする。更には警察軍隊、監獄も民間企業によって運営されることが望ましいとする。

自然法論による無政府資本主義

正義の絶対的な基準に自然法を選択する思想。全ての人間は、自己所有権を持っており、労働をすることで得た収入は全てその労働をした人のものであるとしている。しかし、政府は自己所有権を強制的に(徴税、戦争、法律、命令によって)侵害するため政府の正当性を認めず、政府は最大の犯罪組織だと非難を主張する。

無政府資本主義への批判

代表的な批判としては、このシステムは結局のところ前近代の豪族大名軍閥の復活に等しく、強者による弱者の搾取が正当化され、民主社会が破壊される、というものである。この批判に対しては、現在においても一部の者が特権的立場にあり、搾取の状況に変わりはない。政府による不公正かつ場当たり的な分配によって生じる搾取ではなく、競争原理の結果として生じる搾取のほうがより公正さが保たれるとの反論がある。

関連項目

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