奥新川駅
奥新川駅 | |
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駅舎(2008年4月) | |
おくにっかわ Oku-Nikkawa | |
◄作並 (5.1 km) (8.7 km) 面白山高原*► | |
所在地 | 仙台市青葉区新川字岳山1 |
所属事業者 | 東日本旅客鉄道(JR東日本) |
所属路線 | ■仙山線 |
キロ程 | 33.8 km(仙台起点) |
電報略号 | オク |
駅構造 | 地上駅 |
ホーム | 2面2線[1] |
乗車人員 -統計年度- |
16人/日(降車客含まず) -2007年- |
開業年月日 | 1937年11月10日[1] |
備考 |
無人駅[1](乗車駅証明書発行機 有) 仙台市内駅 |
* この間に面白山信号場有り(当駅から7.7 km先)。 |
奥新川駅(おくにっかわえき)は、宮城県仙台市青葉区新川字岳山(だけやま)にある、東日本旅客鉄道(JR東日本)仙山線の駅である[1]。鉄道駅としては、宮城県内で最も西に位置する。
歴史
江戸時代に開山したと言われる銅鉱山の新川鉱山が[2]、大正初期に秋保鉱山として開発され[2]、近接する当地には小学校・病院・飲食店も備えた、戸数200戸、人口600人の新川集落が形成された[3]。
1936年に仙台営林署が生産事業所を設け、木材輸送のために当駅付近を起点とする新川森林鉄道を開業させた[4]。翌1937年に、仙台から延伸させてきた仙山東線と、山形から延伸させてきた仙山西線との間が接続され、仙山線として全通した。この際に開通した区間の宮城県側最西端の駅として、当駅は開業した。仙山線建設中は千数百人の工事作業員が働いていたため、当地は工事集落として賑わったものの、鉄道開通と共に作業員は減少した[3]。
1960年に新川森林鉄道が廃止され[4]、1961年には秋保鉱山が閉山した[2]。これらの影響で、1960年代末には主に日本国有鉄道の職員が住む、人口約300人の鉄道関係者の集落に変化した[5]。
一方で、1960年代初頭にはハイキングコースの「新川ライン」および「奥新川ライン」を国鉄が整備して観光地化が進められ、ハイキング・芋煮会[6]・紅葉狩り等での駅利用者が増えた[3]。しかし、駅周辺人口は減少し続け、1985年に当駅は無人化された。駅から徒歩1分の場所に有り、年間1000人ほどが利用していた市営の奥新川キャンプ場(営業期間:4月1日 - 11月30日[7])は、老朽化を理由に2016年11月に営業を終了した[8]。また「新川ライン」及び「奥新川ライン」も安全上の理由により、「奥新川ライン」の南沢A橋手前までを除いて2020年12月に廃止されている[9]。 2017年時点における奥新川地区の住民は、3世帯3人であった[8]。
年表
- 江戸時代、後の当駅付近に新川鉱山(銅鉱山)が開発された[2]。
- 大正初期、後の当駅付近に秋保鉱山(銅鉱山)が開発された[2]。
- 1936年(昭和11年):当駅付近を起点とする新川森林鉄道(約5.1 km)が開通[4]。
- 1937年(昭和12年)11月10日:仙山線に当駅開業[1](名取郡秋保村)。
- 1955年(昭和30年)4月1日:当駅の住所が、名取郡秋保村から宮城郡宮城村に変更[※ 1]。
- 1960年(昭和35年):新川森林鉄道が廃線[4]。
- 1961年(昭和36年)
- 1963年(昭和38年)
- 1971年(昭和46年)4月1日:貨物取り扱い廃止[10]。出改札業務を廃止して旅客の取り扱いについては駅員無配置駅となり[11]、運転要員のみ配置[12]。
- 1974年(昭和49年):奥新川キャンプ場が開設[13]。
- 1985年(昭和60年)3月14日:無人化。
- 1987年(昭和62年)
- 1989年(平成元年)4月1日:仙台市の政令指定都市移行に伴い、当駅の住所が仙台市青葉区に変更。
- 2015年(平成27年)3月14日:ダイヤ改正で一部停車していた快速の通過が発表され、以後、快速は全て通過するようになった。
- 2016年(平成28年)11月:奥新川キャンプ場の営業が終了(冬季休業)[8]。
- 2017年(平成29年)3月31日:奥新川キャンプ場が閉鎖[13]。
- 2020年(令和2年)10月1日:愛子駅の業務委託化に伴い、仙台地区センター管理下となる。
- 2020年(令和2年)12月1日:「新川ライン」及び「奥新川ライン」が一部を除いて廃止・通行止め[9]。
- 2022年(令和4年)
駅構造
相対式ホーム2面2線を有する地上駅である[1]。互いのホームは、羽前千歳方の構内踏切で連絡している。
仙台地区センター管理の無人駅で[1]、乗車駅証明書発行機が設置されている。JRの特定都区市内制度における「仙台市内」に含まれる。
のりば
番線 | 路線 | 方向 | 行先 |
---|---|---|---|
1 | ■仙山線 | 上り | 仙台方面 |
2 | 下り | 山寺・山形方面 |
(出典:JR東日本:駅構内図)
1番線は上下双方に場内・出発信号が設置されており、列車交換が無い場合に下り列車が使用する場合がある。
利用状況
駅開業の頃から1950年代末まで、仙台営林署が木材を伐採して送り出した。2007年度の1日平均乗車人員は16人であった。なお冬季の利用者は、ほぼ0に近い。
乗車人員等推移[17] | |||
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年度 | 1日平均乗車人員 | 貨物発 | 貨物着 |
1957 | 190 | 6.7 | 2.9 |
1960 | 192 | 2.3 | 4.9 |
1970 | 78 | ||
1980 | 31 | ||
1999 | 26 | ||
2000 | 15 | ||
2001 | 15 | ||
2002 | 14 | ||
2003 | 21 | ||
2004 | 20 | ||
2005 | 19 | ||
2006 | 20 | ||
2007 | 16 |
駅周辺
駅は奥羽山脈の山間に位置し、新川川に面する。駅周辺に集落は無い。上記の通り、奥新川キャンプ場は封鎖、ハイキングコースの奥新川・新川ラインは一部を除き廃止されている。
冬は積雪のため付近の道路の通行が困難なので、駅周辺を担当する郵便配達員(現在は愛子郵便局。2007年までは作並郵便局)は鉄道を利用して郵便物の集配を行っている。
Suica運賃計算の特例
当駅はSuicaの利用はできないが、山形駅・山寺駅からSuica改札機で入場し、仙台市内発の乗車券類と併用して仙台駅の新幹線乗換改札口の自動改札機を通過する場合のみ、山形駅・山寺駅から当駅までのIC運賃が自動的に差し引かれる。
隣の駅
- 東日本旅客鉄道(JR東日本)
- ■仙山線
脚注
注釈
出典
- ^ a b c d e f g 『週刊 JR全駅・全車両基地』 23号 盛岡駅・平泉駅・山寺駅ほか74駅、朝日新聞出版〈週刊朝日百科〉、2013年1月20日、26頁。
- ^ a b c d e f “日曜地学の会「秋保鉱山」”. Sphinx Broadcasting Station (1996年9月29日). 2022年8月15日閲覧。
- ^ a b c “みやぎ会 平成21年春号 (vol.13)”. 東北地域づくり協会. 2022年8月15日閲覧。
- ^ a b c d 『仙台市史 通史編8 現代1』 P.354~P.357
- ^ 『宮城町誌』本編702-703頁、改訂版本編も同頁。
- ^ “私の広瀬川インタビューvol.16 東北大学加齢医学研究所教授 川島隆太さん「第2回 ハードでタフな芋煮会の思い出」”. 仙台市「広瀬川ホームページ」 (2010年7月29日). 2022年8月15日閲覧。
- ^ “奥新川キャンプ場 作並温泉近くの森林に囲まれたアウトドアエリア”. 公益社団法人 宮城県観光連盟. 2017年3月30日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年8月15日閲覧。
- ^ a b c “仙山交流の拠点に 奥新川自然振興会発足”. 河北新報 (2017年3月30日). 2017年3月31日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年8月15日閲覧。
- ^ a b “奥新川ライン・新川ラインの廃止について”. 仙台市ホームページ (2020年12月1日). 2022年8月15日閲覧。
- ^ “日本国有鉄道公示第135号”. 官報. (1971年3月30日)
- ^ 「通報 ●仙山線陸前落合駅ほか3駅の駅員無配置について(旅客局)」『鉄道公報』日本国有鉄道総裁室文書課、1971年3月30日、7面。
- ^ 「国鉄各線で営業近代化」『交通新聞』交通協力会、1971年1月31日、1面。
- ^ a b “奥新川キャンプ場(平成29年4月1日閉鎖)”. 仙台市 (2016年9月20日). 2017年3月30日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年8月15日閲覧。
- ^ 石野哲(編)『停車場変遷大事典 国鉄・JR編 Ⅱ』(初版)JTB、1998年10月1日、475頁。ISBN 978-4-533-02980-6。
- ^ a b "仙山線 奥新川駅および面白山高原駅における一部列車の通過について" (PDF) (Press release). 東日本旅客鉄道仙台支社. 15 December 2021. 2021年12月15日時点のオリジナル (PDF)よりアーカイブ。2021年12月15日閲覧。
- ^ "冬期期間における仙山線の一部列車通過について" (PDF) (Press release). 東日本旅客鉄道東北本部. 15 November 2022. 2022年11月15日時点のオリジナル (PDF)よりアーカイブ。2022年11月20日閲覧。
- ^ 1957年から1964年までは『宮城町誌』本編704頁。
参考文献
- 宮城町誌編纂委員会『宮城町誌』本編、宮城町役場、1969年。仙台市「宮城町誌」改訂版編纂委員会による改訂版は仙台市役所により1988年発行。
関連項目
- 秘境駅
- 日本の都道府県の東西南北端の駅の一覧
- 中山平温泉駅 - 宮城県内から山形県へ抜ける陸羽東線における、宮城県内の最西端の駅。
外部リンク
- 駅の情報(奥新川駅):JR東日本