国境の南、太陽の西
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『国境の南、太陽の西』(こっきょうのみなみ、たいようのにし)は村上春樹の長編小説。
概要
1992年10月、書き下ろし長編小説として講談社より発行。1995年10月講談社文庫刊。アメリカのプリンストンで書かれた。
『ねじまき鳥クロニクル』を執筆し、第1稿を推敲する際に削った部分が元になり、そこに更に加筆する形で書かれている[1]。
あらすじ
注意:以降の記述には物語・作品・登場人物に関するネタバレが含まれます。免責事項もお読みください。
本作は幼年時代から中年時代まで、一人の主人公の人生を丁寧に追っており、バブル絶頂期(1988年 - 1989年頃)の東京が主な舞台となっている。
僕(ハジメ)は一人っ子という育ちに不完全な人間という自覚を持ちながら育つが、成長と共にそれを克服しようとする。結婚、「ジャズを流す上品なバー」経営の成功などで裕福で安定した生活を手にするが、「僕」の存在の意味を改めて考える。そんな時にかつて好きだった女性が現われて―。
登場人物
- 始(ハジメ)=僕
- この物語の主人公。バーを2軒経営。一人っ子。1951年1月4日生まれ。大都市郊外(近畿地方と思われる)の中産階級の住宅地から大学入学を期に東京に移る。大学卒業後、教科書出版社勤務ののち港区青山にジャズバーを開業。音楽を聞くことや読書が好き。プールによく行く。一人っ子ということで何かが欠けていると思っている。
- 島本さん
- 「僕」の小学校5年生の時に転校してきた同級生。一人っ子。「僕」の家の近所に住んでいたために「僕」がケアをした為に仲良くなる。大柄で目鼻だちがしっかりしている。生まれてすぐに患った小児麻痺の為に左脚を軽く引きずっている。成績優秀、努力家。音楽を聞くことや読書が好き。親の仕事が移動が多く、彼女の転校も多く孤独を感じて育つ。青い服が好きで着るととてもよく似合う。
- 有紀子
- 「僕」の妻。5歳年下。教科書出版社勤務時代の夏休みの旅行の時に出会う。「僕」との間に二人の娘をもうける。穏やかで思慮深い女性。
- 有紀子の父
- 中堅建設会社社長。3人子供がいる(兄、有紀子、妹)。叩き上げでやり手である。良くも悪くも現実的である。
- 大原イズミ
- 「僕」の高校生時代の恋人。3人兄弟の長女、妹、弟がいる。自然に人の心を引きうけるような素直な暖かさが有るが、平凡で考え方に深みを欠く。「僕」が従姉と関係をもったため深く傷つき、「僕」と別れる。
- 大原イズミの従姉
- 京都在住。「僕」の2歳年上。「僕」が高校3年の時に出会い、関係をもつ(恋愛感情はない)。
脚注
- ^ 『新潮11月号』新潮社、1995年