全国人民代表大会常務委員会
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全国人民代表大会常務委員会(ぜんこくじんみんだいひょうたいかいじょうむいいんかい)とは、中華人民共和国における最高国家権力機関および立法機関である全国人民代表大会(全人代)の常設機関。全人代とともに立法権を行使する。また、全人代閉会中に最高の国家権力を行使し、立法機能を代行する。
構成
委員長(1名)、副委員長(若干名)、秘書長(1名)、委員(約200名)によって構成される。毎期の全人代第1回会議における大会主席団が全人代議員から立候補者を指名し、大会の全体会議において選挙を行って選出される。任期は5年。構成員の連続当選の制限はない。ただし、委員長と副委員長の職に3期以上連続して就くことはできない。なお、常務委員会の構成員は国家行政機関・裁判機関・検察機関の職務の兼任を禁止されている。
権限
全国人民代表大会代表(議員)選挙を主宰し、全人代を召集するほか、現行の中華人民共和国憲法(1982年憲法)第67条において、以下の権限が規定されている[1]。
- 憲法を解釈し、憲法の施行を監督する。
- 全国人民代表大会が制定した基本的な法律[2]以外のその他の法律の制定および改正。
- 全人代閉会中、全人代が制定した法律に対して部分的な補充および改正を行う。ただし、当該法律の基本原則と抵触してはならない。
- 法律の解釈。
- 全人代閉会中、国民経済および社会発展計画、国家予算の執行過程において作成の必要が生じた部分的調整案を審査し、承認する。
- 国務院、国家中央軍事委員会、最高人民法院、最高人民検察院の任務遂行の監督。
- 憲法・法律に抵触する、国務院が制定した行政法規・決定・命令を取り消す。
- 憲法・法律・行政法規に抵触する、省・自治区・直轄市の国家権力機関が制定した地方性法規および決議を取り消す。
- 全人代閉会中、国務院総理の指名に基づいて、部長(大臣)・委員会主任(大臣級)・監査長(会計検査長)・秘書長を選出する。
- 全人代閉会中、国家中央軍事委員会主席の指名に基づいて、同委員会の構成員を選出する。
- 最高人民法院院長の指名に基づき、最高人民法院副院長・裁判員(裁判官)・裁判委員会委員および軍事法院院長を任免する。
- 最高人民検察院検察長の指名に基づいて、最高人民検察院副検察長・検察員(検察官)・検察委員会委員および軍事検察院検察長を任免し、かつ省・自治区・直轄市の人民検察院検察長の任免を承認する。
- 駐外全権代表の任免。
- 外国と締結する条約や重要な協定の批准および廃棄の決定。
- 軍人・外交要員の官等制度およびその他の専門職の官等制度の制定。
- 国家の勲章・栄誉称号を制定し、また授与を決定する。
- 特赦の決定。
- 全人代閉会中、国家が武力侵犯を受けたとき、あるいは国際的に共同して侵略を防止する条約を履行しなくてはならない状況にある場合、戦争状態を宣布する。
- 全国総動員または局部動員を決定する。
- 全国あるいは個別の省・自治区・直轄市に対する戒厳令を決定する。
- 全人代が常務委員会に付与するその他の職権。
常務委員長
全国人民代表大会常務委員会委員長は国会議長に相当し、全人代常務委員会の活動を主宰する。また、委員長・副委員長・秘書長で構成される委員長会議を招集し、全人代常務委員会の重要な日常業務を処理する。
国家主席制が廃止されていた1975年から1982年まで、全人代常務委員会が集団で国家元首の権能を行使し、全人代常務委員長が対外的に国家元首の職責を果たした。
歴代常務委員長
- 初代:劉少奇(1954年9月27日 - 1959年4月27日)
- 第2代:朱徳(1959年4月27日 - 1976年7月6日)
- 第3代:葉剣英(1978年3月5日 - 1983年6月18日)
- 第4代:彭真(1983年6月18日 - 1988年3月27日)
- 第5代:万里(1988年3月27日 - 1993年3月27日)
- 第6代:喬石(1993年3月27日 - 1998年3月16日)
- 第7代:李鵬(1998年3月16日 - 2003年3月15日)
- 第8代:呉邦国(2003年3月15日 - 2013年3月14日)
- 第9代:張徳江(2013年3月14日 - )
脚注
- ^ 条文は高橋和之編『新版 世界憲法集』(岩波書店〈岩波文庫〉、2007年)を参考にした。
- ^ 憲法第62条に全人代の権限として、「刑事、民事、国家機構およびその他の基本的法律を制定および改正する」とある。なお、曽憲義・小口彦太『中国の政治 開かれた社会主義への道程』(早稲田大学出版部、2002年)によると、憲法第62条に基づいて定められた基本法として、民法、民事訴訟法、刑法、刑事訴訟法、国務院組織法、地方各級人民代表大会および地方各級人民政府組織法、人民法院組織法、人民検察院組織法、選挙法、民族区域自治法、特別行政区の設立および特別行政区の管理制度に関する法律などが挙げられる。