チシマザサ

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チシマザサ
栽培種/ロシア極東部のサハリン州(樺太)にて撮影。
栽培
ロシア極東部のサハリン州樺太)にて撮影。
分類
: 植物界 Plantae
階級なし : 被子植物 Angiosperms
階級なし : 単子葉類 Monocots
階級なし : ツユクサ類 Commelinids
: イネ目 Poales
: イネ科 Poaceae
亜科 : タケ亜科 Bambusoideae
: タケ連(広義) Bambuseae
: ササ属 Sasa
: チシマザサ S. kurilensis
学名
Sasa kurilensis
(Rupr.) Makino et Shibata
和名
チシマザサ
ロシア極東部のサハリン州にて撮影。

チシマザサ千島笹学名Sasa kurilensis)は、イネ科タケ亜科ササ属英語版に分類される、大型のササ(笹)の一種。

[1]の基部が状に曲がっていることからネマガリダケ根曲竹根曲がり竹[2])の別名があるほか、コウライザサ(高麗笹)、アサヒザサジダケ(地竹)、ササダケササマゴ、などとも呼ばれる。

生態・形態

ササの仲間では最も北部に分布し、主な分布域は、朝鮮半島日本列島四国愛媛県本州鳥取県以北の日本海側、および、東北地方北海道)、千島列島南部、樺太(サハリン島)

山地に群生し、笹としては大型の高さ1.5- 3メートル、稈の上部でのみ枝分かれする。花は穂状で、約60年に一度とめったに咲かないが、咲くときは群落全体が咲き、結実後、枯死する。

日本では、モウソウチク(孟宗竹)が全国規模で普及する時代以前、すなわち、薩摩藩支配下にあった琉球王国経由でモウソウチクが移入されるより前の時代には、チシマザサは日本を代表する竹・笹類の一つであった[2]

分類

下位分類

チシマザサの、変種を含む品種を列記する。

フォーム
葉の先端が黄色の曙状。
稈が金明型(黄地に緑の縦筋)のタカラネマガリ。
1968年昭和43年)、兵庫県にある氷ノ山で、開花後の実生中から得られたものであり、葉に微小白点が霜降り状に無数に散在する。
稈や葉に黄緑条斑を持つ。
矮性のキンメイチシマ。
矮性のマキバネマガリ。
矮性のシモフリネマガリ。
葉がねじれる。
変種

利用

[1]農作物の支柱や竹細工に利用される。

チシマザサの筍(タケノコ)は5- 6月に収穫でき、伝統的には筍といえば初夏の食べ物であった。本種の筍は山菜として特に人気がある。灰汁が少ないので、皮を剥いて灰汁抜きせずに味噌汁煮物にしたり、皮付きのまま焼いたあと皮を剥いて食べたりする。北海道では、おでんの具として親しまれている。

長野県北信地方新潟県上越地方の山間部では、根曲竹(長野県側の呼称)または筍(新潟県側の呼称、姫竹とも)と呼ばれるチシマザサの新芽が採れる時期(=5月から6月にかけて)に、サバ(鯖)の水煮缶詰と一緒に味噌汁にして食べる習慣がある。作り方や材料は各家庭によって違うが、基本は沸騰した鍋の中に、チシマザサと、缶詰から取り出した鯖を入れ、しばらくしてから地元特産の信州味噌あるいは越後味噌を入れ、ひと煮立ちさせて完成する。この味噌汁は、当該地域では春の特産として風物詩として親しまれている。

また産地の一つ青森県津軽地方の山間部で採取されるものは筍と呼ばれ、当該地域では身欠にしんとワカメのみをともにした素朴な味噌汁として同様に親しまれている。

チシマザサは、アイヌ語ではトㇷ゚と呼ばれる。アイヌ民族はチシマザサをの素材として用いた。鏃にトリカブトの根から得た矢毒を塗りこめ、アマッポ(仕掛け弓)に仕掛けてヒグマなど大型の獲物を狩った。また、アイヌ音楽の楽器のひとつ・ムックリ口琴)はチシマザサから作られていた(現在では本州産の竹が使われる)。

シャープのラジカセでスピーカーに採用されていた「ホロファイン振動板」には、チシマザサの幼稈パルプが用いられていた[3]

脚注

  1. ^ a b (かん)とは、イネ科植物などに見られる、中空構造の
  2. ^ a b 食彩の王国』”. tv asahi (ウェブサイト). テレビ朝日 (2012年7月14日). 2012年7月14日閲覧。 “夏にタケノコ?と驚きますが、実は春に出回る孟宗竹は18世紀に中国から伝来した外来種。古来、日本の山林に自生していたのはこうした笹類のタケノコだったのです。”:第434回「夏たけのこ」 7月14日放送回(紹介記事は「食材のリスト」経由で閲覧可能)。
  3. ^ 大林国彦、鈴木晶久、廣島幸美「スピーカ用振動板素材ホロファイン」『シャープ技報』第51巻、シャープ研究開発、1991年12月、55-58頁、ISSN 02850362 

参考文献