シソ

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シソ
シソ
分類
: 植物界 Plantae
: 被子植物門 Magnoliophyta
: 双子葉植物綱 Magnoliopsida
: シソ目 Lamiales
: シソ科 Lamiaceae
: シソ属 Perilla
: エゴマ P. frutescens
変種 : シソ var. crispa
学名
Perilla frutescens (L.) Britton var. crispa (Thunb.) H.Deane
シノニム

Perilla frutescens var. acuta

和名
シソ(紫蘇)
英名
Red Shiso
品種、栽培品種

本文参照

青紫蘇(アオジソ)の葉(大葉)
赤紫蘇(アカジソ)の実と花
シソ(葉、生)[1]
100 gあたりの栄養価
エネルギー 155 kJ (37 kcal)
7.5 g
食物繊維 7.3 g
0.1 g
飽和脂肪酸 0 g
一価不飽和 0 g
多価不飽和 0 g
3.9 g
ビタミン
ビタミンA相当量
(110%)
880 µg
(102%)
11000 µg
チアミン (B1)
(11%)
0.13 mg
リボフラビン (B2)
(28%)
0.34 mg
ナイアシン (B3)
(7%)
1.0 mg
パントテン酸 (B5)
(20%)
1.00 mg
ビタミンB6
(15%)
0.19 mg
葉酸 (B9)
(28%)
110 µg
ビタミンB12
(0%)
(0) µg
ビタミンC
(31%)
26 mg
ビタミンD
(0%)
(0) µg
ビタミンE
(26%)
3.9 mg
ビタミンK
(657%)
690 µg
ミネラル
ナトリウム
(0%)
1 mg
カリウム
(11%)
500 mg
カルシウム
(23%)
230 mg
マグネシウム
(20%)
70 mg
リン
(10%)
70 mg
鉄分
(13%)
1.7 mg
亜鉛
(14%)
1.3 mg
(10%)
0.20 mg
他の成分
水分 86.7 g
%はアメリカ合衆国における
成人栄養摂取目標 (RDIの割合。
出典: USDA栄養データベース(英語)

シソ紫蘇学名Perilla frutescens var. crispa)は、シソ科シソ属の植物。かつてはエゴマをこれと同属異種の植物(P. ocymoides)と分離したが、現在の遺伝子学研究で両者を同種「ペリラ・フルテスケンス」の変種とすることが確定している。
なお、シソには品種が多く、それらの総称「広義のシソ」として用いる場合と、基本品種である P. frutescens var. crispa f. crispa (チリメンジソ)や代表的な品種であるアカジソ P. frutescens var. crispa f. purpurea を「狭義のシソ」として用いる場合がある。本稿において特に明記しない限り「紫蘇」または「シソ」とは、「広義のシソ」の意味である。

和名の由来

次のような逸話が伝えられている。後漢末、洛陽の若者がの食べすぎで食中毒を起こした。若者は死にかけていたが、名医・華佗が薬草を煎じ、紫の薬を作った。薬を用いたところ、若者はたちまち健康を取り戻した。「紫」の「蘇る」薬だというので、この薬草を「紫蘇」というようになった。

特徴

ヒマラヤビルマ中国などが原産。日本には中国から伝わったとされている。一年草で、高さ1m程になる。は対生につき、広卵形で先端は尖り、緑色または赤みを帯びる。品種によっては葉が縮れる場合もある。花序は総状花序で、白から紫色のを多数つける。

独特の香りのため本来は虫がつきにくいが、ハスモンヨトウの幼虫だけは葉を好んで食べるため、栽培に当たっては注意が必要[2]

品種・栽培品種

シソには多数の品種栽培品種がある[3]

  • チリメンジソ f. crispa (Thunb.) Makino - 縮緬紫蘇。狭義のシソ。基本品種。葉は両面とも赤色でやや縮れる。
  • マダラジソ f. rosea (G.Nicholson) Kudô - 斑紫蘇。葉の表面は緑色、裏面は赤色で縮れない。
  • アカジソ f. purpurea (Makino) Makino - 赤紫蘇。単にシソとも呼ばれることがある。葉の両面とも赤色で縮れない。
  • アオジソ f. viridis (Makino) Makino - 青紫蘇。葉の両面とも緑色で縮れない。
  • カタメンジソ 'Discolor'(栽培品種) - 片面紫蘇。葉の表面は緑色、裏面は赤色。
  • チリメンアオジソ 'Viridi-crispa'(栽培品種) - 縮緬青紫蘇。葉の両面とも緑色で縮れる。

食材

通常、食用にするのはアオジソとアカジソである。ペリルアルデヒドに由来する特有の香りと辛味がある。

青紫蘇
日本ではを香味野菜として刺身のつまや天ぷらなどにする。青紫蘇の葉は野菜としては「大葉(おおば)」とも呼ばれる。西日本の一部では「青蘇(せいそ)」とも。
赤紫蘇
日本では梅干しなどの色づけに使う。また葉を乾燥させたものは香辛料として(特に京都で)七味唐辛子に配合されることもあるほか、ふりかけなどにも用いられる。また、熟さない実を付けた「穂じそ」、花が開き掛けの「花穂じそ」も刺身のつまに用いることがある。箸または手指で茎からこそげ落として使用する。
日本では萼ごと食用とし、茶漬けなどの風味付けに用いる。ぷちぷちした食感と独特の風味がある。

漢方

漢方医学では、主に赤紫蘇の葉を「蘇葉」(そよう)または「紫蘇葉」(しそよう)といい、理気薬(気が停滞している状態を改善する薬物、精神を安定させる目的もある)として神秘湯半夏厚朴湯香蘇散などに配合される(日本薬局方では、チリメンジソ(狭義のシソ、学名P. frutescens var. crispa f. crispa)の葉及び枝先を「蘇葉」としている)。

また熟した果実を「蘇子」(そし)といい、喘息便秘などの治療に用いる。

シソのロズマリン酸、葉とにはルテオリン(フラボノイド酵素)という成分を含み、アレルギー疾患に有用として健康食品としても利用されている。

アメリカ産しそ

アメリカに自生しているシソは日本とは異なり、香りも異なる。日本のシソの香りはペリルアルデヒドという化学成分であるのに対し、アメリカのシソではペリラケトンが主成分であり、外見の見分けはつかない。ペリラケトンは肺気腫を起こす毒性があり、家畜が被害を受けることからアメリカでは毒草扱いである。 (→※関連:ペリラケトンの機序についてはエゴマ#概要を参照。)

シソ油

種子からはシソ油が取れる。シソ油には抗酸化作用のあるα-リノレン酸を多く含むため最近では健康食品としても注目されている。リノレン酸は酸化し易いため、同食用油の開封後は早めに消費する事が勧められる。また2004年には国民生活センタースチロール製容器を使用するカップ麺に入れた場合、容器が溶ける事があるとして注意を呼びかけている[4]

脚注

参考文献

  • 白井祥平著 『沖縄園芸植物大図鑑 3 有用植物』 沖縄教育出版、1980年、134頁。
  • 多和田真淳監修・池原直樹著 『沖縄植物野外活用図鑑 第2巻 栽培植物』 新星図書出版、1979年、68-69頁。

関連項目

外部リンク