アンザック級駆逐艦

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アンザック級駆逐艦
基本情報
種別 嚮導駆逐艦
運用者  イギリス海軍
 オーストラリア海軍
就役期間 イギリスの旗1916年 - 1931年
オーストラリアの旗1919年 - 1931年
前級 マークスマン級
次級 シェイクスピア級 (ソーニクロフト型)
要目
常備排水量 1,666~1,673トン
全長 99.0 m
最大幅 9.7 m
吃水 3.7 m
ボイラー 水管ボイラー×4缶
主機 蒸気タービン×3基
推進器 スクリュープロペラ×3軸
出力 36,000馬力
速力 34.0ノット
燃料 重油515トン
乗員 116名
兵装40口径10.2cm砲×4門
39口径40mm機銃×2門
・53.3cm連装魚雷発射管×2基
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アンザック級嚮導駆逐艦英語: Anzac-class flotilla leader)は、イギリス海軍嚮導駆逐艦の艦級。後期マークスマン級と称されることもあり[1]、また「パーカー」をネームシップとすることもある[2]

来歴[編集]

イギリス海軍では、水雷戦隊の指揮艦として偵察巡洋艦を配してきたが、駆逐艦の高速化に追随できなくなってきたことから、1913年より、駆逐艦を元に大型化した嚮導駆逐艦として、マークスマン級駆逐艦の建造に着手した。同級は1913-4年度計画で2隻、1914-5年度計画で5隻が建造された[2]

続く1915-6年度計画では、同級を元にした改良型の建造に移行した。これによって建造されたのが本級である[1][2]

設計[編集]

船体の基本的な寸法はマークスマン級と同様であるが、同級で問題になった横揺れ周期の短さを是正するとともに、乾舷の増大によって凌波性の向上を図った。また缶室を2室構成にすることで、艦橋構造物は13フィート (4.0 m)後方に移された。缶室の変更に伴い1・2番煙突が結合され、また艦橋と煙突が近づいたことから、排煙の逆流防止のため、煙突は増高された[1]

上記の艦上配置の変更に伴い、艦首甲板の4インチ砲は1門から2門に増やされ、背負い式に配置された。搭載砲は従来と同様の40口径10.2cm砲(QF 4インチ砲Mk.IV)であり、砲盾の後方が開放されていることから、1番砲の砲員を2番砲の爆風から守るため、2番砲を架しているプラットフォームの前縁に沿ってブラストスクリーンが設置された。また対空兵器としては、1915年に装備化された39口径40mm高角機銃(QF 2ポンド・ポンポン砲)を当初から搭載した[1]

水雷兵装は従来の駆逐艦の装備を踏襲しており、53.3cm連装魚雷発射管2基を搭載した[1][2]

同型艦[編集]

本級のうち「アンザック」は1919年にオーストラリア海軍に供与され、艦名はそのまま(艦船接頭辞はHMSからHMASに変更)に、1931年まで運用された[3]

  • グレンヴィル(HMS Grenville
  • パーカー(HMS Parker
  • ホスト(HMS Hoste
  • ソーマレズ(HMS Saumarez
  • セイモアー(HMS Seymour
  • アンザック(HMS Anzac) - 1919年にオーストラリア海軍へ供与。艦名はアンザック(HMAS Anzac[3]

参考文献[編集]

  1. ^ a b c d e 「イギリス駆逐艦史」『世界の艦船』第477号、海人社、1994年2月、40頁、ISBN 978-4905551478 
  2. ^ a b c d Randal Gray (1984). Robert Gardiner. ed. Conway's All the World's Fighting Ships 1906-1921. Naval Institute Press. p. 77. ISBN 978-0870219078 
  3. ^ a b Royal Australian Navy. “HMAS Anzac (I)” (英語). 2017年3月4日閲覧。