UEFA欧州選手権1984

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
UEFA欧州選手権1984
大会概要
開催国 フランスの旗 フランス
日程 1984年6月12日 - 6月27日
チーム数(UEFA連盟)
開催地数(7都市)
大会結果
優勝 フランスの旗 フランス (1回目)
準優勝 スペインの旗 スペイン
大会統計
試合数 15試合
ゴール数 41点
(1試合平均 2.73点)
総入場者数 599,669人
(1試合平均 39,978人)
得点王 フランスの旗 ミシェル・プラティニ(9点)
 < 19801988

UEFA欧州選手権1984: 1984 UEFA European Football Championship)は、第7回目のUEFA欧州選手権であり、ヨーロッパ各国の代表チームによって争われるサッカーの大会である。UEFA欧州選手権はヨーロッパで行われる欧州サッカー連盟主催の大会で、4年毎に開催される。

ユーロ1984の本大会は、フランス1984年6月12日から同年6月27日。予選を突破した7カ国と開催国であるフランスの間で争われた。

大会前の状況[編集]

当初から開催国のフランスが優勝候補筆頭と目されていた。1982年スペインW杯のメンバーからDFのマリウス・トレゾールが引退したものの、1983年度欧州最優秀選手ミシェル・プラティニアラン・ジレスジャン・ティガナの攻撃陣が好調を維持していた。

これに続くのがスペインW杯準優勝の西ドイツと、前回大会準優勝のベルギーだと思われていたが、西ドイツはカール・ハインツ・ルンメニゲが健在なもののベルント・シュスターの代表拒否とフェリックス・マガトが不調を理由に落選した事でゲームメーカー不在の状況に陥り、このポジションを誰が務めるのかが問題となった。

ベルギーは従来のジャン・マリー・プファフヤン・クーレマンス達に、18歳のMFエンツォ・シーフォが新たに加わった、だがディフェンスの中心エリック・ゲレツを怪我で欠いていたことが不安材料であった。またダークホースにイングランドを予選で下したデンマークが挙げられた。

運営面ではイングランドとオランダが予選で敗退したことで当時、深刻化していたフーリガン問題は一先ず忌避出来ると考えられた。

総論[編集]

大会はフランスの圧倒的な強さでの優勝で幕を下ろした、元々パスサッカーを得意としていたフランスだったがそれに加え、プラティニが毎試合得点の9ゴール、全ての試合で決勝ゴールを決める活躍をみせた。またGKのジョエル・バツ、守備的MFのルイス・フェルナンデスが加入しディフェンスの弱点が補強されたことも要因にあげられる。長い間、フランスを率いてきた監督のミシェル・イダルゴはこの大会を最後に勇退した。

これに対して西ドイツは期待を裏切る形に終わった。ゲームメーカー不在問題を、そのポジションにルンメニゲを置くことで解決しようとしたが機能せずグループリーグ敗退、責任を問われた監督のユップ・デアヴァルは解任され、監督資格を持たないフランツ・ベッケンバウアーを「チーム・シェフ」と言う役職で代表に迎えることになった。

また次の時代を担う若手選手も多数現れた。ベスト4進出と旋風を巻き起こしたデンマークのミカエル・ラウドルップ、ベルギーのシーフォは1986年のメキシコW杯でも活躍した。他にはまだ無名だったがユーゴスラビアのドラガン・ストイコビッチ、ルーマニアのゲオルゲ・ハジら80年代後半以降に頭角を現す選手もこの大会に出場している。

また、前回のワールドカップで発生した「ヒホンの恥」の影響により、この大会からグループリーグ最終節は同時開催となった。これ以降、多くの国際大会で採用されている。

予選[編集]

予選は32か国(アルバニアが3大会ぶりに出場)を7つのグループに分けて、それぞれホームアンドアウェー方式の総当たり戦を行い、勝利には勝ち点2、引分けには勝ち点1、敗北には勝ち点0が与えられた。各組の1位が本大会への出場権を獲得した。

出場国[編集]

グループ A

グループ B

会場一覧[編集]

スタジアム名 所在地 収容人数
パルク・デ・プランス パリ 48,527
スタッド・ジェルラン リヨン 42,000
ラ・ボージョワール ナント 34,647
スタッド・フェリックス・ボラール ランス 42,000
スタッド・ル・メノ ストラスブール 29,000
スタッド・ジェフロワ=ギシャール サン=テティエンヌ 36,600
スタッド・ヴェロドローム マルセイユ 59,140

グループリーグ[編集]

1984年当時における勝ち点の計算方法は、勝利の場合勝ち点2、引き分けの場合1であったため、以下この勝ち点を適用して結果を記す。

グループ A[編集]

チーム 試合 勝利 引分 敗戦 得点 失点 得失差 勝点
 フランス 3 3 0 0 9 2 +7 6
 デンマーク 3 2 0 1 8 3 +5 4
 ベルギー 3 1 0 2 4 8 −4 2
 ユーゴスラビア 3 0 0 3 2 10 −8 0


フランス フランスの旗 1 – 0 デンマークの旗 デンマーク
プラティニ 89分にゴール 89分
パルク・デ・プランスパリ
観客数: 47,570人


フランス フランスの旗 5 – 0 ベルギーの旗 ベルギー
プラティニ 4分にゴール 4分74分にゴール 74分 (pen.)89分にゴール 89分
ジレス 33分にゴール 33分
フェルナンデス 43分にゴール 43分

デンマーク デンマークの旗 5 – 0 ユーゴスラビア社会主義連邦共和国の旗 ユーゴスラビア
アルネセン 8分にゴール 8分69分 (pen.)
ベアグリーン 16分にゴール 16分
エルケーア 82分にゴール 82分
ラウルドセン 84分にゴール 84分
スタッド・ジェルランリヨン
観客数: 34,745人


グループB[編集]

チーム 試合 勝利 引分 敗戦 得点 失点 得失差 勝点
 スペイン 3 1 2 0 3 2 +1 4
 ポルトガル 3 1 2 0 2 1 +1 4
 西ドイツ 3 1 1 1 2 2 0 3
 ルーマニア 3 0 1 2 2 4 −2 1


ドイツ ドイツの旗 0 – 0 ポルトガルの旗 ポルトガル


ドイツ ドイツの旗 2 – 1 ルーマニアの旗 ルーマニア
フェラー 25分にゴール 25分66分 コラス 46分にゴール 46分

ポルトガル ポルトガルの旗 1 – 1 スペインの旗 スペイン
ソウザ 52分にゴール 52分 サンティリャーナ 73分にゴール 73分

ドイツ ドイツの旗 0 – 1 スペインの旗 スペイン
マセーダ 52分にゴール 52分
パルク・デ・プランスパリ
観客数: 47,691人

ポルトガル ポルトガルの旗 1 – 0 ルーマニアの旗 ルーマニア
ネネ 81分にゴール 81分

決勝トーナメント[編集]

 
準決勝決勝
 
      
 
6月23日 - マルセイユ
 
 
フランスの旗 フランス (延長)3
 
6月27日 - パリ
 
ポルトガルの旗 ポルトガル2
 
フランスの旗 フランス2
 
6月24日 - リヨン
 
スペインの旗 スペイン0
 
スペインの旗 スペイン (p)1 (5)
 
 
デンマークの旗 デンマーク1 (4)
 

準決勝[編集]

フランス フランスの旗 3 – 2
(延長)
ポルトガルの旗 ポルトガル
ドメルグ 24分にゴール 24分114分
プラティニ 119分にゴール 119分
ジョルダン 74分にゴール 74分98分

決勝[編集]

フランス フランスの旗 2 – 0 スペインの旗 スペイン
プラティニ 57分にゴール 57分
ベロン 90分にゴール 90分
パルク・デ・プランスパリ
観客数: 47,368人

最終結果[編集]

 UEFA欧州選手権1984優勝国 

フランス
初優勝

得点ランキング[編集]

9得点

3得点

2得点

関連項目[編集]