JR貨物19G形コンテナ

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JR貨物19G形コンテナ
19G-55
19G-55
基本情報
製造メーカー 東急車輛製造総合車両製作所CIMC
製造初年 2001年平成13年)
製造数 18,602個
主要諸元
外面色 赤紫色(JRFレッド)
全長(内寸法) 3,715 mm (3,587 mm)
全幅(内寸法) 2,450 mm (2,325 mm)
全高(内寸法) 2,500 mm (2,232 mm)
荷重t
内容積 18.8 m3
自重 1.6 t
扉位置 片側側面、片側妻面
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JR貨物19G形コンテナ(JRかもつ19Gがたコンテナ)は、日本貨物鉄道(JR貨物)が配備している、鉄道輸送用長さ12 ftの5トン積み有蓋コンテナである。

概要

本形式は、19E形および19F形の改良型である。最大の相違点は19D形で始めて採用されるも、前記二形式では一旦廃止された船積用のツイストロック式の隅金具を下部四隅取り付けた。これは従来から内航用コンテナ輸送で使われているトラックは、鉄道12 ft形コンテナ専用の特殊な緊締金具をほぼ付けていないので、有事の際に内航船による鉄道コンテナの代行輸送時では、応援輸送することが出来ない。これを解消するために内航用コンテナでも広く使われているツイストロック式の隅金具を取り付けて、代行輸送トラック不足の解消も図っている。またクレーン吊り用の簡易形隅金具を上部四隅へとそれぞれに設置したことであり、設置スペースの限られるコンテナの角部位へも設置しやすくするために、通常はサイコロ状のホールブロック六面のうち、本来は片長手側の外面側に「 0形 」状に見えている穴表面を極限まで切り落とし、さらに外側に出ないように逆L字に加工した外柱を埋め込み外側からは穴面が見えない。また進行方向に面した片妻壁側は「 U形 」状の穴面に加工している。このために、数十 t級の重量物コンテナには安全面の観点により設置はできない。これは、鳥取県西部地震をはじめ、近い将来に起こりうる首都圏直下型地震南海トラフを震源とする大規模震災のほか、異常気象による災害などで年々高まる「有事の物流確保」危機に対応するために、復活となった。

2022年令和4年)1月5日現在、10,008個が使用されている。製造は、東急車輛製造[注 1]総合車両製作所中国中国国際海運集装箱(CIMC)が担当。

登場時は、旧型の国鉄コンテナや18C形などのJR初期に製造されたコンテナの老朽取換用として製造していたが、JR貨物になってから製造した19F形も置き換えている。また以後も仕様変更を重ねながら、JR貨物の主力コンテナ形式として2017年度までは19D形とともに増備が続いていたが、2018年3月17日のダイヤ改正でコキ50000形の営業運転が終了し、背高コンテナの運用上の制限がなくなった[注 2]ために、2018年度より20G形へ製造が移行した。

2013年(平成25年)以降、初期に製造された個体は経年による老朽化が進んでおり、近年新たに製造された固体および、その後に登場した20G形などでこれらの老朽化による安全上の瑕疵や、多額の補修費が掛かる固体の置き換えが進み、廃棄あるいは死重用途の、ZD19G形に転用改造したりしている。

構造

L字二方向開きの二枚ドアは平面仕様(手前の19G-15225)で、ドアのないL字二方面はリブの凹凸面仕様(奥側の19G-4230)のために、形式番号表記は縦書きとなっている。

19F形に引き続き、片側妻扉・側扉の二方開きで、外法寸法は高さ2,500 mm、幅2,450 mm、長さ3,715 mm、自重1.5 t。内容積は18.8 m3。最大積載量は5 t。

外観上は扉のない面にリブがあるなど、19F形とよく似ている。また、あらたにクレーン吊り荷役用に取り付けられた上部四隅の隅金具部分だけ、コンテナ内部には出っ張りがあり、雨漏り対策も取られている。

塗装は19F形に準じており、赤紫色(JRFレッド)一色に、白抜きで側面および妻面の右上にJRFマーク、側面中央には横長で菱形状の線が配されている。

量産途中で妻面荷役扉の右下と側面荷役扉左下に、エコレールマークシールが貼り付けられるようになり、既存のコンテナもエコレールマークのシールを順次貼り付けた。

さらに量産が進むと、妻面荷役扉の右上と側面荷役扉左上に「環境にやさしい鉄道貨物輸送」(前期)、「環境にやさしい鉄道輸送」(中期)、「環境にやさしい鉄道コンテナ」(後期)と、キャッチコピーが書かれたステッカーが製造当初から貼られるようになった。

老朽化が目立つ個体は、内張りを交換する更新工事が施されている。同時に塗装も専用のものに塗り直されており、白線が消されたうえに、JRFマークが小さくなっている。また更新施工を示す表記は、製造番号の後ろに「◇(ひしがた)」の記号が付いたものや、「更新」の英訳である「Renewal」の頭文字「R」を追記したものがあり、中には目印がない個体があるなど、多種多様である。また、追記位置についても、製造番号の末尾、製造番号最下位の数字の直上、同じく直下など、もしくは製造番号の先頭など個体によって異なる。

最新ロットからは、塗装が大きく変更されている。赤紫色を基調としている点は従来と変わらないが、JRFマークと白線が廃止され、側面右上にJRマーク、その下に「JR貨物」の文字が入れられている。また、妻面右上にも「JR貨物」の文字がある。そのほかには、キャッチコピーのステッカー貼り付けも省略されている。 19G-1は2014年7月に廃棄が確認された。

沿革

  • 2001年(平成13年)- 東急車両大阪製作所にて第一号が落成。
  • 2004年(平成16年)- 台枠形状が変更となる。
  • 2007年(平成19年)- 15000番台の製造開始、基本設計が変更となり外見やリブ形状が大幅に変更される。
  • 2008年(平成20年)- CIMC製の16500番台にエラーロゴ個体が登場。のちにロゴを小タイプに変更される。
  • 2011年(平成23年)- 後半に試作コンテナとして、19G-90001と19G-90002の2個が東急和歌山製作所で製造された。側面荷役扉のドアロッドが4本となっており、荷票受・表示票受の位置や、リブの形状も既存のものとは大きく異なっている。塗装は黄緑6号を基調とし、側面左上にJRマーク、その下に「JR貨物」の文字が入れられており、左下にはエコレールマークを貼り付けている。これらの個体は宇都宮貨物ターミナル札幌貨物ターミナル苫小牧貨物駅→宇都宮貨物ターミナル間の限定運用となっており、のちに限定運用を示す表記が側面右上に追加されている。19D形でも同じ仕様の試作コンテナが2個製造されている。
  • 2013年(平成25年)- 18000番台より日本製の製造所が東急車両製造から総合車両製作所へと変更になる。
  • 2014年(平成26年)- CIMCの製造した18500番台からは、塗装が大きく変更されている。基調としている点は従来と変わらないが、JRFマークと白線が廃止され、側面右上にJRマーク、その下に「JR貨物」の文字が入れられている。妻面右上にも「JR貨物」の文字がある。また、キャッチコピーのステッカー貼り付けも省略されている。
  • 2017年(平成29年)- 製造終了

番台区分

新造区分

0番台

2001年(平成13年)より製造されている。2006年(平成18年)までに10700個が製造された。旧東急車輛製造の個体(1~200と、2001~2900と、3901~4900までの2100個)は、アスベスト含有の為、順に解体処分されている。又、それ以外についても老朽化のため、2014年(平成26年)度より置き換えが進んでいる。

15000番台

2007年(平成19年)より製造されている。妻面のリブが太いものになり、その代わりとして7本から6本に削減されている。又、今回の区分より新製当時よりエコレールマークシールが貼り付けられている。2017年(平成29年)までに7900個が製造された。2008年(平成20年)に製造された固体の一部はエラーロゴとなっている。2013年(平成25年)以降に製造された日本製の固体は総合車両製作所にて製造されるようになり、2014年(平成26年)以降に製造された固体は塗装が簡略化され、特に左側はエコレールマークシール以外何も張り付けられていない。

90000番台

2011年(平成23年)に2個が製造された。ドアロッドが4本となっており、荷票の位置や、リブの形状が異なる。塗装は黄緑6号を基調とし、側面左上にJRマーク、その下に「JR貨物」の文字が入れられており、18D形に似たデザインとなっている。左下にはエコレールマークを貼り付けている。これらの個体は宇都宮貨物ターミナル駅札幌貨物ターミナル駅苫小牧貨物駅→宇都宮貨物ターミナル駅間の限定運用となっており、のちに限定運用を示す表記が側面右上に追加されている。

現状

2022年令和4年)1月5日現在、25,481個が使用されている。

注釈

  1. ^ 初期は大阪製作所が製造を行い、同工場の閉鎖後は和歌山製作所が製造を担当している。
  2. ^ ただし、トラック輸送時に特別輸送許可証の必要がない最大地上高(トラックに積載した状態の時)である、3.8 m以内に収まる事を指している。


参考文献

  • 貨車技術発達史編纂委員会(編著)『日本の貨車 技術発達史 明治5(1872)年〜平成16(2004)年』社団法人日本鉄道車輌工業会、2008年3月。全国書誌番号:21465967 
  • 「JRコンテナ」『貨物時刻表2022』鉄道貨物協会、2022年3月、199頁。全国書誌番号:23204476 

関連項目