Bloom Energy Japan

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Bloom Energy Japan株式会社
種類 株式会社
市場情報 非上場
本社所在地 105-7303
東京都港区東新橋一丁目9番1号
汐留東京汐留ビルディング
設立 2013年5月29日
業種 電気機器
法人番号 8010401102519 ウィキデータを編集
事業内容 燃料電池電力の供給、販売事業
代表者 代表取締役社長 三輪 茂基
資本金 1億円
純利益 ▲1億3064万9000円
(2021年03月31日時点)[1]
総資産 9億4303万8000円
(2021年03月31日時点)[1]
決算期 3月
主要株主 Bloom Energy Corporation 50%
SBパワーマネジメント株式会社 50%
外部リンク http://www.bloomenergy.co.jp/
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Bloom Energy Japan株式会社: Bloom Energy Japan Ltd.)は、K. R. Sridharが設立した米国Bloom Energy CorporationソフトバンクグループのSBパワーマネジメントの折半出資子会社。燃料電池Bloom Energy Serverから発電される電力を販売している。親会社の一つソフトバンク孫正義社長は「システムを買う必要はない。システムにかかるコストや変動するガス料金のリスクはわれわれが吸収して25円で提供することをコミットする」と紹介している。[2]

Bloomエナジーサーバー

都市ガス天然ガスバイオガスを燃料とするSOFCであり、定格発電効率(LHV)は60%を超えるが排熱を更なる化学反応に利用するため他で加温利用できないモノジェネレーション型である。[3] 発電効率では日本で普及しつつある家庭用燃料電池コジェネ型エネファームのLHV約40%に対して高効率。[4](ただしエネファームは排熱を加温利用できるため総合LHVは約90%となる上、業務用と家庭用の差異があるため一概に優劣はない。)従来の燃料電池に用いられてきたPEFCでは触媒としてプラチナが必須であり高コストであった。触媒に酸化ジルコニウムを用いる事ができる[5] SOFCの実用化は1980年代後半よりウェスティングハウス・エレクトリック等により研究が行われ期待されていたが、800度の高温維持による構成材料コスト増や耐久性低下問題に阻まれてきた。しかしエナジーサーバーはブレイクスルーにより課題を克服し大幅なコストダウンを可能にしたとされる。[6][7] PEFC型やSOFC型国産製エネファーム2011年モデル(0.7kW・270万円)と2010年に発表されたES-5000エナジーサーバー(100kW・1台70万〜80万ドル『80円換算で5600万円〜約6400万円』)のkW単価を比べると国産製386万円/kWに対してエナジーサーバー56〜64万円/kWと価格面で優位に立つ。2012年の時点でBloom Energy Corporationは「家庭用として1kW程度のシステムを3000米ドル(24万円)以下の価格で今後5〜10年の間に提供したい」と意欲を見せている。[8]

日本国内の展開

国内ではエナジーサーバーを販売せずイニシャルコストメンテナンスコストをゼロにして長期契約の電気料金で回収するリースに近いビジネスモデルで普及を目指す。当面は法人のみを対象として個人事業者や一般家庭には提供行わない予定。[9] 3モデルのうちES-5700(最高出力210 kW定格出力200kW)のみ導入される。このモデルの寸法は9.16mx2.62mx2.06mで重量は19.9トン。シェールガス革命により天然ガス価格が下がった米国では一般電気事業者の13セント/kWに対して8〜10セント/kWに電気代を抑えられ採算が取りやすいが、天然ガス単価が高止まりしている日本国内においては一般電気事業者の15円/kWに対して25円/kWと割高である。しかし災害時の分散電源になる事や、長期契約により電気代値上がりリスクを抑えられるメリットがある。[10]

二酸化炭素の排出

現行のエナジーサーバーは水素供給の課題からメタンを用いて水素を製造する水蒸気改質法を用いているため発電に伴い二酸化炭素が排出される。[11]

しかしこの化学反応を用いて発電する方法は、燃焼を伴いタービンを回転させる既存の火力発電と比べ二酸化炭素排出量を50%程度削減できるとされている。[12] また、太陽光発電風力発電から得られる余剰電力を利用して水素と二酸化炭素から生成されたメタンを用いる事で電力の需要供給のバランサーとしての役割が期待される。[13]

沿革

脚注

  1. ^ a b Bloom Energy Japan株式会社 第9期決算公告
  2. ^ ソフトバンクが燃料電池発電、企業・官公庁へ売り込み”. Reuters (2014年6月18日). 2015年1月25日閲覧。
  3. ^ 業務・産業用燃料電池について”. 資源エネルギー庁燃料電池推進室 (2014年2月3日). 2015年1月25日閲覧。
  4. ^ 家庭用燃料電池について”. 資源エネルギー庁燃料電池推進室 (2014年2月3日). 2015年1月25日閲覧。
  5. ^ 日本触媒、ジルコニアシート・セルの生産倍増”. ITmedia (2012年2月22日). 2015年1月25日閲覧。[リンク切れ]
  6. ^ グーグルも導入!Bloom Energy社の奇跡の「箱」”. Gizmodo (2010年3月1日). 2015年1月25日閲覧。
  7. ^ 固体酸化物形燃料電池について”. Bloom Energy Japan (n.d.). 2015年1月25日閲覧。
  8. ^ 燃料電池よ、お前もか -- 「エネファーム」好調の先に潜むワナ”. 日経テクノロジー Japan (2012年6月20日). 2015年1月25日閲覧。
  9. ^ 導入・運用費用がゼロの電力源、ソフトバンクと米社がデータセンターやオフィス向けに提供”. ITmedia (2013年7月19日). 2015年1月25日閲覧。
  10. ^ アップル、グーグルも導入 米国で足場固める燃料電池”. 日経新聞社 (2014年8月13日). 2015年1月25日閲覧。
  11. ^ 燃料電池がもたらすのは水素社会よりメタン社会?”. 日経テクノロジー (2014年1月20日). 2015年1月25日閲覧。
  12. ^ 日本の電力不足にも使えそうなBloom EnergyのEnergy Server”. ITmedia (2011年3月30日). 2015年1月25日閲覧。
  13. ^ なぜ水素をメタンに変えるのか、高効率変化へ一歩前進”. ITmedia (2014年3月11日). 2015年1月25日閲覧。
  14. ^ Bloom Energy社が燃料電池「Bloom Box」を発表、すでに20の大企業が導入済み”. EE Times Japan (2010年2月25日). 2015年1月25日閲覧。
  15. ^ GoogleやWal-Martが導入した燃料電池,米ベンチャー企業のBloom Energyが公開”. 日経テクノロジー (2010年2月26日). 2015年1月25日閲覧。
  16. ^ ブルームエナジージャパン、福岡で都市ガス使い発電開始-電力需要最大75%供給”. 日刊工業新聞 (2013年11月26日). 2015年1月25日閲覧。[リンク切れ]
  17. ^ 料金値上げの不安なし、慶應大学とソフトバンクが燃料電池を採用”. ITmedia (2014年6月19日). 2015年1月25日閲覧。
  18. ^ 1.2MWの燃料電池を導入、大阪の卸売市場が国内最大規模”. ITmedia (2014年12月4日). 2015年1月25日閲覧。
  19. ^ 見えた製造業の導入メリット、日本初の燃料電池の活用事例”. ITmedia (2017年2月13日). 2017年2月19日閲覧。
  20. ^ 韓国南東発電会社のブンダン発電所に 「Bloomエナジーサーバー」が採択”. Bloom Energy Japan (2018年1月9日). 2018年1月10日閲覧。
  21. ^ 福井県の化学工場がBloom Energyの大規模燃料電池を導入、契約電力の25%をまかなう”. SmartGrid (2018年1月25日). 2018年2月2日閲覧。

関連項目

外部リンク