ABUロボコン
ABUアジア・太平洋ロボットコンテスト(英: ABU Asia-Pacific Robot Contest, ABU Robocon)、略称ABUロボコンとは、アジア太平洋放送連合(ABU)が主催する、大学生が製作したロボットによる競技会である[1]。1988年に日本放送協会が主催する日本国内向けのアイデア対決・全国高等専門学校ロボットコンテストが始まり[2]、1991年にNHK大学ロボコン(アイデア対決・ロボットコンテスト 大学部門)が開催されるようになった[3]。1993年、NHK大学ロボコンにタイの大学が参加するようになったのを皮切りに参加国が少しずつ増加した。一時はアメリカ合衆国の大学が参加したこともあったが、次第にアジア太平洋各国が参加するようになり、2002年アジア太平洋放送連合が主催するABUロボコンとして生まれ変わった[4]。NHKが地上波で放送する[5]ため、一般への認知度が高いロボット競技会の一つである。この種の競技としてはロボカップに匹敵する世界有数の国際大会である。
なお、NHK大学ロボコンは第10回を最後に海外チームの参加ができなくなり、ABUロボコンの日本代表選考会となった。
対戦方法
毎年競技課題は変更され、ホスト国のABU加盟局が中心に作成される[6]競技内容は開催国の文化、風習を反映した競技になる場合が多い[7]ボールを運んだり、投げたり、ブロックを運んだりして、いかに速く目的を達成するかを競う。相手の妨害も可能な場合もあり、大会によっては2台以上のロボットを使用することがある。基本的に、3チーム以上の複合戦はなく、1チーム対1チームの対決である。まず、6~7グループ程度に分けたリーグ戦形式の予選を行い、各グループの1位及びワイルドカードを含めた計8チームでトーナメント形式の決勝を行い、優勝が決定される。
参加国・地域
ABUに加盟する放送局を通じて、各国・地域の大学、工科大学、高専生(4年生以上)、高専専攻科生の学生によるチームが出場する。開催年度によって参加数には変動がある。原則各国・地域より1チームが出場し、さらに開催国・地域からは2チーム出場する[8]。
日本からはNHKを担当放送局として、第1回の2002年より毎年ABUロボコンに出場している。他、全ての年度(2015年まで)のABUロボコンに出場している国を以下に示す。カッコ内は担当放送局である。
- インド(インド国営テレビ)
- インドネシア(インドネシア国営テレビ)
- タイ(チャンネル 9 エムコット・エッチディ)
- ネパール(ネパールテレビ)
- フィジー(フィジーテレビ)
- ベトナム(ベトナムテレビジョン)
- マレーシア(マレーシア国営放送)
- モンゴル(モンゴル公共ラジオテレビ)
開催履歴
各年度における優勝、準優勝大学、ABUロボコン大賞受賞大学ならびに日本代表大学の成績を示す。
回(年) | 開催地、開催国 | 大会テーマ | 優勝、準優勝、ABUロボコン大賞 | 日本代表 |
---|---|---|---|---|
第1回 (2002年) |
東京 日本 |
"Reach for the Top of Mt. Fuji" 「富士山頂をめざせ」[9] |
ホーチミン市工科大学 中国科学技術大学 金沢工業大学 |
豊橋技術科学大学 金沢工業大学 (共にベスト4) |
第2回 (2003年) |
バンコク タイ |
"Takraw Space Conqueror" 「タクローの覇者」[10] |
スワンデンディン技術専門学校 キングモンクット工科大学 チュンナム大学 |
愛知工科大学 (ベスト4) |
第3回 (2004年) |
ソウル 韓国 |
"Reunion of Separated Lovers, Gyeonwoo & Jiknyeo" 「織姫と彦星」[11] |
ホーチミン市工科大学 西南科学技術大学 モンゴル科学技術大学 |
東京大学 (予選リーグ敗退) |
第4回 (2005年) |
北京 中国 |
"Climb on the Great Wall Light the Holy Fire" 「万里の長城を照らせ!」[12] |
東京大学 北京科学技術大学 テンス オブ ラマダンシティ工科大学 |
東京大学 (優勝) |
第5回 (2006年) |
クアラルンプール マレーシア |
"Building the World’s Tallest Twin Tower" 「ツインタワー・ビルダー」[13] |
ホーチミン市工科大学 サムットソンクラーン技術大学 マレーシア工科大学 |
東京農工大学 (ベスト8) |
第6回 (2007年) |
ハノイ ベトナム |
"Halong Bay Discovery" 「ハロン湾の伝説」[14] |
西安交通大学 スラバヤ電子工学ポリテクニック 10月6日大学 |
金沢工業大学 (ベスト8) |
第7回 (2008年) |
プネ インド |
"Govinda" 「ゴヴィンダ」[15] |
西安交通大学 テンス オブ ラマダンシティ工科大学 西安交通大学 |
豊橋技術科学大学 (ベスト4) |
第8回 (2009年) |
東京 日本 |
"Travel Together for the Victory Drums" 「旅は道づれ 勝利の太鼓を打て」[16] |
ハルビン工業大学 香港大学 ハルビン工業大学 |
豊橋技術科学大学 (ベスト4) 金沢工業大学 (ベスト8) |
第9回 (2010年) |
カイロ エジプト |
"Robo-Pharaohs Build Pyramids" 「ロボ・ファラオ ピラミッドを築け」[17] |
電子科技大学 ラクホン大学 電子科技大学 |
金沢工業大学 (予選リーグ敗退) |
第10回 (2011年) |
バンコク タイ |
"Loy Krathong, Lighting Happiness with Friendship" 「ロイ・クラトンの火をともせ!」[18] |
トゥラキット・バンディット大学 カンペンペット工科大学 東京大学 |
東京大学 (ベスト8) |
第11回 (2012年) |
香港 | "In Pursuit of Peace and Prosperity" 「平安大吉(ペンオンダイガ)」[19] |
電子科技大学 ラクホン大学 東京大学 |
東京大学 (ベスト4) |
第12回 (2013年) |
ダナン ベトナム |
"THE GREEN PLANET" 「グリーン・プラネット」[20] |
金沢工業大学 ラクホン大学(チーム1) スラバヤ電子工学ポリテクニック |
金沢工業大学 (優勝) |
第13回 (2014年) |
プネ インド |
"A SALUTE TO PARENTHOOD" [21] |
ラクホン大学 名古屋工業大学 ラクホン大学 |
名古屋工業大学 (準優勝) |
第14回 (2015年) |
ジョグジャカルタ インドネシア |
"ROBOMINTON: BADMINTON ROBO-GAME" [22] |
フンイエン技術師範大学 香港科技大学 フンイエン技術師範大学 |
早稲田大学 (ベスト8) |
第15回 (2016年) |
バンコク タイ |
"Clean Energy Recharging the World" [23] |
マレーシア工科大学 東北大学 東京大学 |
東京大学 (ベスト4) |
第16回 (2017年) |
東京 日本 |
"The Landing Disc" | ラクホン大学 マレーシア工科大学 ラクホン大学 |
東京工業大学 (ベスト4) 東京大学 (ベスト8) |
第17回 (2018年) |
ニンビン市 ベトナム |
“NÉM CÒN” | ラクホン大学(ベトナム2 LH-Galaxy) 東北大学 東京大学 |
東京大学
(ベスト4) |
第18回 (2019年) |
ウランバートル モンゴル |
"GREAT URTUU" | 香港中文大学 モンゴル科学技術大学 |
京都大学
(ベスト8) |
第19回 (2020年) |
スバ フィジー |
"ROBORUGBY 7S" | (中止) | |
第20回 (2021年) |
中国 | 武漢大 | ||
第21回 (2022年) |
インド | 香港中文大学 |
2020フィジー大会
ABU ロボコン2020フィジー大会は新型コロナウイルス感染拡大の収束が見込めないため、中止された[24]。代替イベントとして正式なコンテストではないが、オンラインによる「ABU ROBOCON FESTIVAL」が2020年12月12日に開催された。結果は1位が東京大学、2位が香港科技大学、3位が豊橋技術科学大学であった[25]。
出典・参照
- ^ ロボコン公式ホームページ内 ABUロボコン トップ
- ^ [高専ロボコン History 第1回大会]
- ^ [大学ロボコン History 第1回大会]
- ^ NHK会長会見資料 ABUロボコン2016 タイ・バンコク
- ^ ABUアジア・太平洋ロボコン 世界王者決定戦 「激突!ロボミントン・ドリーム」 | 保存番組検索結果詳細 | NHKクロニクル
- ^ ABUロボコンニュース No.114。
- ^ ABUロボコンニュース No.130。
- ^ ABUロボコンニュース No.167
- ^ [ABUロボコン History 第1回(2002年)大会]
- ^ [ABUロボコン History 第2回(2003年)大会]
- ^ [ABUロボコン History 第3回(2004年)大会]
- ^ [ABUロボコン History 第4回(2005年)大会]
- ^ [ABUロボコン History 第5回(2006年)大会]
- ^ [ABUロボコン History 第6回(2007年)大会]
- ^ [ABUロボコン History 第7回(2008年)大会]
- ^ [ABUロボコン History 第8回(2009年)大会]
- ^ [ABUロボコン History 第9回(2010年)大会]
- ^ [ABUロボコン History 第10回(2011年)大会]
- ^ [ABUロボコン History 第11回(2012年)大会]
- ^ [ABUロボコン History 第12回(2013年)大会]
- ^ [ABUロボコン History 第13回(2014年)大会]
- ^ [ABUロボコン 2015年大会結果]
- ^ [ABUロボコン 2016年大会結果]
- ^ ABU ロボコン 2020 の中止とオンラインイベントについて
- ^ ABU ROBOCON FESTIVAL Award List in the order of presentation
関連項目
- アイデア対決・全国高等専門学校ロボットコンテスト - NHKが主催に関与する、高等専門学校生を対象としたロボット競技。競技形式や本大会におけるロボコン大賞をはじめとする各賞など、本大会の運営フォーマットの原型となっている。
- NHK大学ロボコン - 本大会の日本代表選考会。
- 海老沢勝二 - 本大会の開催に関与した人物。ABUロボコン開始当時、NHK会長およびABU会長であった。
外部リンク
- ABUロボコン - NHKエンタープライズ
- Asia-Pacific Broadcasting Union(英語) - アジア太平洋放送連合公式ウェブサイト
- nhk_robocon (@nhk_robocon) - X(旧Twitter)
- 高専 & 学生 & 小学生ロボコン (事務局公式) (@OfficialRobocon) - X(旧Twitter)
- 学生ロボコン (nhk.student.robocon) - Facebook
- ロボコン事務局 (@robocon.official) - Instagram
- ロボコン事務局 - cluster
- ロボコンチャンネル - ニコニコチャンネル
- ロボコン公式 - YouTubeチャンネル