鉄腕アトム (実写版)

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鉄腕アトム
ジャンル テレビドラマ
放送時間 土曜18:15 - 18:45(30分)
放送期間 1959年3月7日 - 1960年5月28日(65回)
放送国 日本の旗 日本
制作局 毎日放送
フジテレビ
原作 手塚治虫
出演者 瀬川雅人
オープニング 「鉄腕アトムの歌」
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鉄腕アトム (実写版)』は、毎日放送制作・フジテレビ系列[1]で、1959年3月7日 - 1960年5月28日まで放送された、手塚治虫原作の漫画『鉄腕アトム』の実写版テレビドラマ。全65話、白黒作品。

概要[編集]

戦前から円谷英二特技監督と組み、東宝でプロデューサーを務めた松崎啓次の興した「松崎プロダクション」が、ロッテをスポンサーに迎え、毎日放送で制作した、特撮テレビドラマ。

特撮部分は、松崎によって旧知の円谷英二に企画が持ち込まれ、当初は円谷が特撮を担当する方向で広報が行われていた[2]。結局これは叶わず、円谷は「監修」の形にまわり、門下生たちによってミニチュア撮影などの特殊撮影が行われている[3]。アトムの飛行シーンの撮影には苦労していて、第一部と第二部以降のコスチュームに合わせて人形が作られ、この人形によるミニチュア撮影と、瀬川と背景の合成撮影を併用した。足からのジェット噴射描写は、各巻により煙だったり、火花だったりと統一されていない。

オープニング映像はアニメーションで制作されており、『鉄腕アトム』としてはアニメ第1作よりも早い初のアニメ化である[4]

ストーリーは原作のようなSF要素は薄く、ギャング団との戦いが中心となるなど当時の探偵ヒーローものに準じた内容となっている[4]。原作では、物語の舞台は21世紀となっているが、第二部最終回でのアトムの台詞によると、本作の時代背景は「1959年」、つまり放送年と同じということになっている。

「松崎プロ」では、1960年3月から、掲載紙『少年』で「アトム友の会」の会員を募集し、「瀬川を囲む会」の開催を予定していた。第一回開場は豊島園、「4月開催予定」と広報されたが、放映は5月で終了となり、開催も中止となった。

評価・影響[編集]

1年間に及ぶ人気作となったものの、手塚治虫は「原作のイメージと余りにもかけ離れている」として、自作漫画の実写化に不満を抱くこととなり、数年後の『鉄腕アトム (アニメ第1作)』制作の原動力となった。また1965年にうしおそうじから『マグマ大使』の実写化を持ちかけられた際には、こういったいきさつで手塚は当初、『ビッグX』の実写化を逆提案したという[5]。だが、このピー・プロダクション制作の実写版『マグマ大使』は手塚も絶賛する出来となり、実写化への悪印象が払拭された手塚は、1972年に自身によって『実写版アトム』の製作を検討したことがある[6]

番組スポンサーのロッテは後年、虫プロ制作の『鉄腕アトム (アニメ第1作)』でのスポンサーを画策したが失敗。結局、アニメ版のスポンサーにはライバル会社である明治製菓(現:明治)がつき、ロッテが手塚治虫原作のアニメ番組のスポンサーとなれるのは、1965年放送の『W3』まで待たなければならなかった。

キャラクター[編集]

本作の鉄腕アトムを演じたのは、当時『劇団こじか座』所属だった子役の瀬川雅人。原作漫画が連載されていた『少年』によると、当時、瀬川は、品川に住んでいて、この『少年』の記事には瀬川の住所も紹介されていた。

天馬博士によって造られ、御茶の水博士の世話を受けている少年ロボット。人間の数10倍の聴力や10万馬力のパワー[7]、ジェット飛行能力を持っている。指先から火花を出して扉などを焼き切るなどするシーンがあったが、これは手に花火を持って撮影されていた。

アトムが自動車を運転する場面では、演じる瀬川自身が運転を行っている[4]

衣装
アトムの特徴ある頭は、硬質素材のヘルメット状のカツラを使っているが、第一部で使われたものは真っ黒で耳が隠れたタイプだった。第2部では白っぽく、角状が荒く取りつけられた耳の露出したものになり、途中から色が黒く、耳の露出した成形の整ったものになった。
胴体部分は、第1部ではボルト止め表現のあるプラスチックのプロテクターが腕と上半身を覆い、4本指の手袋、ラバーブーツを履くことで原作に近いイメージを出した。アトムが服を着る場面では、プロテクターを外して服を着ており、頭にターバンを巻いたりもしている。
第二部からは黒いレザー風の上着にタイツを着て、ブーツを穿いたスタイルとなり、首にマフラーを巻いたことで原作とはイメージの異なったスタイルとなった。当時の連載誌『少年』は「この新衣装は評判が良い」と報じている。『火星に飛ぶ』での軍服スタイルでは、『少年』誌で火星隊員と敬礼するスチール写真が紹介されていて、「火星探検隊長になったので、軍服を着ました。かっこよいと評判です。」とアトムの台詞が載せられていた。
衣装の変更について、『全怪獣怪人 上巻』では着ぐるみの動きにくさやアトムにロボットのイメージを求める必要がなくなったことなどが理由ではないかと推測している[4]

キャスト[編集]

第一部
第二部
第三部
  • スパルタ博士:三鬼弘
  • フランケン:羅生門綱五郎
    • 巨体の怪物を演じた羅生門は、力道山門下のプロレスラーである。
  • スカンク:赤羽茂
  • コンク:龍断四郎
  • ルソー:小林正
第四部
第五部

スタッフ[編集]

主題歌[編集]

放送リスト[編集]

5部構成の各13回となっている。フィルムは、ほとんどが松崎プロダクションに保管されているといわれる。第一部の一話と第二部の二話のみ、近年[いつ?]に民放で放送された。

第一部 ZZZ団の巻(1話 - 13話)
絶海の孤島に発生する特殊な毒ガスで、世界の要人を狂わせる「ZZZ団」が、世界的科学者リヨン博士とその娘ミッシェルを狙う。アトムは単身「ZZZ団」の本拠地島へ乗り込むが……。
「ZZZ団」の秘密兵器として飛行自動車が登場する。この特殊車両が翼を伸ばすカットは、コマ撮りで撮影された。
第二部 メキシコの巻(14話 - 26話)
アトムの級友四部垣が、謎のロボット、ジェットマンによってメキシコにさらわれた。ピラミッド調査団に随行してメキシコに飛んだアトムは、調査団とサパタ夫人たちとの対立に巻き込まれる。調査団はインディアンとスフィンクス、夫人はジェットマンとカニ男を味方につけ、激しい抗争が繰り広げられる。エネルギーの切れたアトムのために、御茶の水博士もメキシコへ飛ぶ。調査団の狙いはピラミッドの中にあるある秘密にあった……。
この巻よりアトムのコスチュームが変更された。「ジェットマン」、「カニ男」、「スフィンクス」といった多彩なロボットが登場する。メキシコの砂漠を演出するため、砂丘地帯で撮影され、ステレオタイプインディアンが悪役で登場する。またこの第二部ではヘルメット・ベルトが変更されたが、オープニング映像は途中まで第一部のままで、ちぐはぐな印象となっていた。ゲストキャラのサパタ夫人は入江たか子が演じた。
第三部 フランケンとアトムの巻(27話 - 39話)
日本征服をたくらむ某国の「バラン団」が日本に上陸。首領のスパルタ博士は、御茶の水博士の作った怪力ロボット・フランケンを奪って「オメガ因子」を組み込み、意のままに操る。さらにスパルタは御茶の水の「空飛ぶ円盤」を狙って博士を拉致し、発狂薬「黄色い馬」をつかって都民を狂わせようとする……。
空飛ぶ円盤が登場するが、自動車に張りぼてをつけたものだった。同級生とアトムが綱引きをし、綱の後端を木に結びつけていたため、知らないアトムが引っ張ると木が倒れてしまったり、アトムに野球のピッチャーをさせたりと、アトムの日常生活が描かれた。「オメガ因子」や「黄色い馬」といった原作通りのキャラクターが登場する。本作オリジナルの「隼探偵」がスクーターで活躍する。アトムがロードローラーで襲われるシーンがあるが、このロードローラーには誤字なのか、「世田谷区所」と表記してあった。
第四部 アトム火星に飛ぶの巻(40話 - 52話)
火星探検の巻である。アトムが飾緒のついた短いダブルのボレロジャケットを、軍服としてコスチュームの上に着た回である。この巻だけ、スカーフはアスコットタイ風にして軍服の襟の中に入れている。原作と異なり、軍服はジャケットのみで、ズボンははかず、軍服の下はつなぎのパンツ、タイツ、ブーツといういでたちであった。
この回では火星で宇宙人と戦う事になるが、アトムは何度も壊れ、そのたびに腹部を開いてメカを修繕している。普段のコスチュームは腹部は開かないので、このシーンのたびに、軍服を脱いで腹部の開くコスチュームに着替えてから、また軍服を着て演じている。また、ロボットに対する偏見にも悩む姿が描かれた巻でもある。苦しい予算の中、レンコーンのロボットや宇宙ロケット等を登場させた。
宇宙人の声は、テープの早回しを用いていた。初めは早回しで、会話が聞き取れないのが、段々低速になり、その内聞こえるようになるという手法を取っていた。宇宙人は予算の関係故か、マスクをつけ、クリーンルームでの作業着のようなスタイルとしていた。同様に低予算のため、宇宙服を人間の隊員が火星で着ていなかった。また、アトムが宇宙に取り残されそうになった時に、「オーイオーイ」と、ロケットに向かって叫ぶが、原作通りとはいえ、宇宙で声が聞こえるはずはなく、違和感の残る描写となっている。レンコーンのロボットは、本格的な作りのものが使われている。
第五部 気体人間の巻(53話 - 65話)
アトムの両親が登場。アトムが宿題を忘れて居残りをさせられたりと日常風景も描いている。アトムがギャングに潜入した際にサングラスをかける場面がある。ヘルメット衣装を着けているため、耳たぶをかなり変形させてサングラスをかけていた。アトムに気体人間が乗り移り、悪人になったふりをする巻である。いまは無い「渋谷文化会館」のプラネタリウムや、渋谷駅前で撮影が行われている。

再放送[編集]

本作は、『鉄腕アトム (アニメ第1作)』が放映開始されるまで、何度も再放送された。夏休み期間等では、地方によっては午前と午後の二回放映された事もあった。再放送のスポンサーは、関西地区ではパルナス製菓だった。

映像ソフト化[編集]

  • 1980年代に第一部のダイジェスト版ビデオ(全1巻)が発売された。
  • 2009年10月23日に放送50周年を記念してDVD-BOXが発売され、完全な形での初ソフト化となった。全65話中、現存する58話が収録された。

脚注[編集]

  1. ^ 当時のMBSは関西テレビ放送とともにフジテレビとネットワーク関係があった
  2. ^ 『宇宙船 Vol.7』(朝日ソノラマ、1981年)
  3. ^ 『ぼくらが大好きだった特撮ヒーローBESTマガジン』(講談社)
  4. ^ a b c d e f g 全怪獣怪人』上巻、勁文社1990年3月24日、pp.44 - 45。C0676。ISBN 4-7669-0962-3
  5. ^ 『マグマ大使パーフェクトブック』(白夜書房)
  6. ^ 新デザインの衣装も制作され、アトム役は女子が演じた。この新デザインに合わせた『新・鉄腕アトム』も手塚によって漫画化された。
  7. ^ 『全怪獣怪人 上巻』では、「1千馬力」と記載している[4]
  8. ^ 『全怪獣怪人 上巻』では、名称を「ミシェール」と記載している[4]
  9. ^ 『全怪獣怪人 上巻』では、名称を「クラブマン」と記載している[4]
  10. ^ オープニングクレジットでは本人の映像つきで、別格扱いだった。
  11. ^ 低予算のため、シリーズ中、何度も役柄を変えて出演している。

参考文献[編集]

  • 『ぼくらが大好きだった特撮ヒーローBESTマガジン』 講談社、2009年4月ISBN 978-4-06-375707-1

外部リンク[編集]

フジテレビ 土曜18:15枠
前番組 番組名 次番組
(開局前)
鉄腕アトム
(実写版)