王様の仕立て屋〜サルト・フィニート〜

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王様の仕立て屋〜サルト・フィニート〜』(おうさまのしたてや サルト・フィニート)は大河原遁スーパージャンプに連載している服飾(主に紳士服)を題材にした漫画である。服飾に詳しくなくとも、その人間ドラマ(狂言?)で十分に楽しめる作品である。2008年5月現在、18巻まで刊行中。

目次

[編集] 内容

イタリアナポリの場末、泥棒市でサルト(仕立て屋)を開く若き日本人・織部悠(おりべゆう)。彼はナポリ中の職人達が「ミケランジェロ」と賞賛した伝説の仕立て職人・マリオ親方が唯一認めた弟子である。 彼が開くサルトには、他店が匙を投げてしまうような奇妙で難解な注文が次々と舞い込んで来るが、悠はそれらを優れた腕で解決していく。


注意以降の記述で物語・作品に関する核心部分が明かされています。


[編集] 登場人物

[編集] 主人公と居候たち

織部悠(おりべ ゆう)
主人公。ナポリの泥棒市でサルトを開く日本人。年齢は連載開始時点(マリオ親方が死亡した翌年)で26歳。連載中の時間経過は明確でないが、大体20代後半から30代前半の男性として描かれている。
ナポリの伝説の仕立て職人マリオ・サントリヨが唯一認めた弟子で、若輩ながらその仕立て屋としての力量や服飾に対する見識は非常に高い。他の職人と比べ仕事のスピードが異常に早く、また専門分野を持たずにジャケットからシャツ、スラックス、靴下まで幅広く仕立てることができ、客の見立てなども全て一人で行なってしまう(これは師匠が大抵のことを一人でやってしまう人だったことに起因する)。服飾以外にも非常に広範な知識を持ち、それを駆使して客の演出なども行ない、さらに古今東西の名言格言エピソードにも詳しい。彼が添えた一言が顧客の人生観や行動を変えたこともしばしば。
高品質の割に安いことと、客が望むなら無茶な急ぎの注文にも合わせる納期の短さが売り(その場合には「特急料金」と称して普通より高めの値段となる。ただ、それでも質に対しては安い)。とはいえ、外国人であることと年の若さがマイナスに働いて顧客が少ないため、基本的には骸骨磨きのバイトや他のサルトの下職で生計を立てている。特急が売りではあるが、ベリーニ伯に「師匠の猿真似」と指摘された要因でもあり、悠自身も外道と呼んでいる。
マリオ親方死亡時に、カモッラなどから日本円にして累計約一億円の借金を背負う。悠自身死ぬ気で働いたり、ペッツオーリが保証人となったりした関係で、今では危ない筋からのものはほぼ返済済みで数千万円程。この生活のお陰で、マフィアやカモッラにも顔が利くようになり、また彼の職人としての腕を上げることに繋がった(だが、先述のように個性の欠如を招く原因ともなる)。
基本的に穏やかな性格だが、一皮剥けば師匠譲りの職人気質が顔を出し、鋭く本質を突く言葉や黒い部分も持っている曲者である。特に物語初期では挑戦的な性格が目立った。語学に明るく、日本語、イタリア語は勿論、英語、仏語も日常会話を難なくこなせる。また無類の酒好きで、高価な酒に目ざとかったり、酒に釣られて厄介事に巻き込まれることもある。
東京都台東区にある自転車屋の三人兄弟の末っ子。幼い頃に実家の近くに住む足袋屋のお辰婆さんから裁縫の基礎を学び、それが縁で仕立て屋を志す。
物語初期では気に入った仕事以外はせず、代金を吹っ掛けるようなこともしていたが、マルコが居候し始めた辺りから現在の生活スタイルのベースができる。ジラソーレ社のナポリ進出で、ジ社と関わり合いを持つようになりヘルプとして働くことが多い。社長のユーリアに嫌われているとは言え、社のピンチを何度も救ったために今やジ社にとって無くてはならない存在となり、専属と勘違いされる時もある。女性運は今一つで、全く女性受けしないという訳では無いが、恋愛に対して不器用と見られているため恋仲に発展しない。しかし、(交際には至らなかったが)エレナからははっきりとしたアプローチを受けている。
マルコ・ジュリアーニ
ナポリの靴磨き兼靴職人見習いの少年。たまたま悠と知り合い、その後、押しの強さで悠の家に居候し始める。現在では悠の相棒役とも言える重要な存在。悠はよく「小動物」と呼ぶ。
まだ十代前半と思しき外見、言動であるが、長年の道端での靴磨きなどにより、革ソムリエと自称する程に革に対する造詣が深い。例えば、牛革を見て種類は当然のこと、その牛が生前何を食べていたかも当ててみせると言う。また行動力も高く、情報収集力もある。前述の知識と合わせて悠が助けられることもあるが、基本的にはトラブルを呼び込む方が多い。特に妹弟子であるヴィレッダが登場すると、2人で悪ノリするシーンが多くなる。幼くはあるが先述の図々しさなどのナポリ人らしい性格があり、美人を見つけるとナンパしてしまう。とはいえ、年相応の感覚も持っており、マンガやゲームなどの日本文化にも興味がある(それがそもそも悠の家に居候を決め込んだ理由の一つとも言える)。
悠との生活では炊事を担当。時を経るごとに料理に対する造詣が深くなっていき、悠に「方向性を見失ってないか」と言われる程に本業にも劣らない技術・知識となっている。
登場後しばらくしてから、扉絵に登場することが多くなり、様々な職種の格好(忍者等のコスプレに近いものから、時にスーパージャンプ掲載漫画のパロディと取れるものもある)をしている。料理人や忍者の格好は、本編でも度々見られる。
セルジュ・リヴァル
フランス人青年。自国では有名なモデル。フランスのモード服の大ブランド『リヴァル』の総帥、アラン・リヴァルの次男。後述の理由により家出し、ナポリの悠の家に居候する。
『リヴァル』の後継ぎであるが、当初は兄エリックが家業を継ぐことになっていたので(後に家出)、工房入りを免除されモデルとして活動していた。ジラソーレ社パリ支店長・エレナに秘かに惚れており、パリを訪れていた悠と彼女の仲が良かったことから、嫉妬して悠を罠にかけようとする。しかし、失敗した上に父に工房に入れられそうになって家出し、ナポリの悠の家に転がり込む。『リヴァル』の工房を地獄と呼んで父を恐れ、例え冗談でも「パリへ帰す」というような発言をすると、周りが心配するほどに動揺する。
居候後は悠の弟子のようなポジションにいる。当初は悠が過去にやっていた「骸骨磨き」のバイトで、人体構造を把握する修行をやらされていた。悠の時よりも早く人の骨格を見てとれるようになり(曰く「道行く人が骸骨に見える」)、悠を驚かせた。その後、ギルレーズ・ハウス編までには相手を見ただけでおおよその寸法を見切ることもできるようになっており、才能の高さをうかがわせている。
軽い性格でヘタレに見えることも多々あるが、例えばギルレーズ・ハウス騒動では、居場所がばれるのを覚悟の上でロンドン入りしたり、新ギルレーズ・ハウス側に挑戦をしかけたりと、肝の据わったところも垣間見せる。

[編集] ジラソーレ社(創立メンバー)

ジラソーレ社は若者向けカジュアル服ブランド(イタリア語表記は "girasole" でひまわりの意。社章もひまわりをモチーフにしている)。元々フィレンツェのバザーで服を売っていた女子大生の服飾サークルを事業化したものであるが、イタリア国内外に支店(ナポリ、フィレンツェ、ロンドンパリニューヨークなど)を持つほどに急成長を遂げた(後述の社史も参照のこと)。社長以下主要メンバーは弱冠20代の女性ばかり。若い女性の立ち上げた新興企業だけに対外的な苦労も多いようで、何でも内輪で解決しようとする傾向がある(工房の能力を越えた仕事を創立メンバーが残業して消化、自ら広告モデルを務める、資金難をコンスタンツェの財力で解決、など)。そのせいか仲間内の連帯感はとても強い。

創立メンバー各人が物語に登場した時点には少しばらつきがあるが、アンナの回想(単行本1巻)にて、ベアトリーチェ、エレナ、フェデリカ以外の顔が既にお披露目されている。

ユーリア・ペルッツィ(ナポリ)
ジラソーレ社社長。ペッツオーリの実娘。ペルッツィは母方の名字。母親が死んだ時に、ファッションショーで女性に囲まれる父親の映像の中継を見たことで父に対して心を閉ざし、現在は絶縁状態である(本当はペッツオーリは駆けつけたかったのだが、生中継の仕事がどうしても外せなかった。悠からそのことは聞いているが未だわだかまりは解けない)。
育ちの良さが無神経と映り仲間と軋轢を生む事もあるが、基本的には皆に愛されるお嬢様(マリエッタ曰く「誰もが持てる訳じゃない凄い力よ」)。
父親ペッツオーリを乗り越えることを人生の目標とし、ジラソーレ社の経営に精力を傾けている(サンドラ曰く「父親に振り向いて欲しくてダダこねてるだけ」)。良く言えば商魂逞しく、時に悠が個人で依頼された仕事を自社の宣伝に利用し、些細な情報やきっかけを糸口に営業をかけようとする。しかし、会社の業績の向上やペッツオーリ社への反抗心だけに目が行くあまり、無謀な事業の拡大や工房の限界以上の注文を受けてしまうことを繰り返し、一時期、創立メンバーを精神的・肉体的に追い詰めることになった。
悠に対してはナポリ展開直後から世話になり、個々の問題の解決や、工房のヘルプ(悠は、万能・仕事の早さ・業務時間外も働いてくれるなど重宝する)など、ジラソーレ社にとって重要な存在であることを認め、直接社に迎え入れようとしたこともある。しかし、その能力に対するコンプレックス、ペッツオーリとつながりが深いこと、悠の物の言い方などから、彼に反発する行動をとることが多い。悠に頼り切りな社の現状にも抵抗がある模様。
プレゼンティのピッツァが大好きで、仕事が終わった後頻繁に食べに行っている。そのせいでかなりカロリーオーバーになってしまったようで、隠れて服を仕立て直したりダイエットをする必要すらある様子。ちなみに、常にそばにいるマリエッタすら仕立て直しに気づかなかったことから、針糸の腕は父親譲りと考えられる。プレゼンティの店で食事することとサンドバッグを殴ることが、彼女のストレスの解消法らしい。
17歳のラウラに10歳年上と言われ怒った(『魔法の裾上げ』)事からラウラとの年齢差は9歳だと思われる。(曰く「じゃかァしい女20代の1年は地球より重いんじゃー!」)。また、プレゼンティの店へ行く時の会話から悠より年下と推測される。Gカップ。
マリエッタ・カルドゥッチ(ナポリ)
社長第一秘書。元は副社長だったが、社長自らがナポリに行く際に第一秘書となった(副社長はサンドラが継いだ)。感情にムラがあるユーリアを公私共々支えるしっかり者。得意技は(泥酔したユーリアに対する)ジャーマン・スープレックス
会社設立の折に、恋人よりもユーリア達と仕事をすることを選び婚約が破綻になった。その件もあって、周りの仲間達と比べると地味ではないかというコンプレックスに悩まされていた時期もある。
ユーリアと同い年。読書家。眼鏡着用。ラウラ曰く「オールドミス」。
アンナ・ミノッティ(ナポリ)
童顔でお下げ髪。総務。大人しい性格で若干行動がトロい。それを自覚してか、積極的にあちこちのサルトを取材して技術習得する勉強家の一面もある。
悠からは「お下げのお嬢ちゃん」と呼ばれている。背が低く童顔で、初対面のラウラに中学生呼ばわりされた。ユーリアの後輩にあたるが、ヴィレッダやイザベッラよりは年上。Cカップ。
コンスタンツェ・ゼルビーニ(ナポリ)
ユーリアの第二秘書。実家はジェノヴァの海運王(父が会長、兄が社長)。
ジラソーレ社の大株主で、ペッツオーリとの提携騒ぎまでは筆頭株主だった。社交界繋がりでイザベッラとも知り合い。ラウラ曰く「没個性」。以前は会社の資金繰りが苦しい時にお金を用意していたことがあったが、兄マッシモがジラソーレの大株主の一人になってからは、(介入のきっかけを与えかねないので)資金を容易に貸せなくなった。
ソフィア・ドルチーノ(ナポリ)
フィレンツェ出身。長身でラウラ曰く「ウド」。総務。パリ支店の足がかりを作るためにエレナ、サンドラと一緒にフランスでモデルをしていたこともある(パリ支店内にはファンクラブまである)。しかしそういったモデル活動は本人の本意ではなく、ショーなどの衣装を着る時にひどく抵抗したり終了後に落ち込んだりする。シスターの経歴があり、クリスマスには教会で手伝いをする事も。
モニカ・マルピーギ(ナポリ)
総務。子供の時から両親はいない。生きるためにスリ窃盗をしていた結果、前科持ちとなるが、更生施設で服飾の資格を取る。ジラソーレ創設メンバーはモニカの過去は知っているが、気にすることなく付き合っている。
その出自故手先は非常に器用で、ジラソーレが服飾サークルだった頃は、クラリッサと共に製作(クラリッサが裁断、モニカが縫製?)を担当していた。器用さを見込まれ手品師のアシスタントとしてスカウトされたこともある。ラウラ曰く「(胸を見て)……女?」とのことだが、それでも一応Bカップ。
クラリッサ曰く「我慢強い」との事(しかし一時期のジラソーレ社工房の忙しさは、我慢強い彼女ですらパンクしそうなほどであった)。
サンドラ・デストーニ(フィレンツェ)
副社長にしてフィレンツェ支店長、チーフデザイナー(パリ支店にいた際にはモデルも務めていた)。ペッツオーリに憧れている&(会社のためを思ってとはいえ)ペッツオーリ社との提携を独断で推し進めてしまったため、ユーリアとはやや折り合いが悪くなってしまっている(ただしユーリアを嫌っている訳ではない)。肌の色が褐色のため小さい頃から苦労してきたが、父親によって支えられてきた所があるので、父親を深く尊敬している。ユーリアがペッツオーリを嫌っていることについても「理由は分かるのだが、だからと言って今まで愛を注がれた時間を無駄にするのか」との思いを持っている。
ベアトリーチェの行動・言動にヒヤヒヤすることもしばしばある苦労人(「最近胃薬の減りが早いなぁ…」ともらしている)。トスカーナ地方の出身。ユーリアに負けず劣らずのナイスバディの持ち主。
ベアトリーチェ・パスコリ(フィレンツェ)
フィレンツェ支店長補佐で会社の金庫番(経済学部卒)。悠からは「オカッパ」と呼ばれている。ヴェネツィア出身。
以下に例を挙げるようにかなりの策士である。
  • 占いを信じる相手に対し占いに沿った提案をして注文を取る、疲れている相手が根負けしやすい環境で議論して自分の意見を通す、悠のサルトの鍵を開けられるピッキング技術を持つことや契約書を偽造できる能力を持つことを見せ付ける、など「相手を自分の意図通りに説得、誘導する」手段を複数心得ている。
  • 資金繰りのために仲間(サンドラ、ソフィア、エレナ)をモデルとして売り込んだり、(マッシモによるジラソーレ株買い付けを隠すために)やはり仲間であるコンスタンツェを誘拐して日本に隔離したりと、非情な行動をためらわない。
  • 緊張状態にあったナポリ店の動向をほぼリアルタイムで掴む、初めて耳にした職人の連絡先をすぐさま突き止める、秘密だったはずのソフィア達のバカンス宿泊先(日本)を知っているなど、情報収集能力が非常に高い。
  • パリでトラブルが起こることを早期に予見し、事が起きたらすぐに悠をパリへ移動させる段取りを行なっていたなど、高い実務能力をもつ。
彼女を制することが出来るのは、マリエッタ曰くサンドラかユーリアのみ(のはずだったが、最近ではその両者とも最早彼女の手綱は取れていない模様)。唯一対抗できるのは同じ策士のヴィレッダくらいである。だが日本の料理に関しては、肉じゃがを作ってマルコに試食してもらったところ、「65点」と点をつけられ「恐れ入りました」と頭を下げた。
買収・心理操作・時には犯罪まがいの実力行使と、目的のためには手段を選ばないので社内外で恐れられている。時折(漫画的表現として)頭に悪魔の角が描かれ、悠は「マジこえーあの女!」と怯え、拉致?された経験のあるコンスタンツェは彼女の姿を見ると怯えて物陰に隠れてしまう。
悠をジラソーレに引き込もうとするなど様々な画策をしているが、全ては会社のための行動である。店の成長を金庫番として肌で感じ続けたために店を思う気持ちは大きい。先の先を読んで、あえて他の支店を妨害したりすることもある。
エレナ・フォルミキーニ(パリ)
パリ支店長。スーパーモデルの経歴あり。
大学を首席で卒業。容姿・能力(家事含む)・性格ともに完璧で、言い寄る男は数知れず。しかし、完璧さが逆に男の劣等感を刺激してしまうので付き合いは長続きしない。悠の事を一人の男として気に入っており、フランス店への逗留を勧めていたが、最後には「お互い譲れないもののため」身を引いた。
寒村の生まれで、最初は医者を志していたが学費が無いため諦める。夢は故郷を丸ごと買い上げて面倒をみること。
ジュリア・ヴィスコンティ(ロンドン)
ロンドン支店所属で海外営業担当。ハイテンションでとびっきりノリのいい、八重歯が特徴のかしまし娘。ソフィア達曰く「体力バカ」で、39度の熱でもそのテンションは変わらないらしい。
生地を仕入れるために密林の奥深くや現地人でも酸欠で倒れるほどの高地に赴くことを厭わず、しかも平然として仕事できる。しかし針仕事そのものについてはさほど詳しくなく、苦労して手に入れた生地の質が「良過ぎて」社内が困ってしまったということも。
休暇中の仲間を仕事に巻き込んで引っ張り回したり、微妙な関係にある新ギルレーズ・ハウスに入り浸ったり、と図々しいところがある。また、ベアトリーチェの暗黒面を目の当たりにしても物怖じしない殆ど唯一の人物である。ちなみに、上記のようにむしろ下町娘のような行動を見せているが、生家は名門ヴィスコンティ家の家系(の端っこの方)に連なっているとのこと。
営業用の顔をしっかりと使い分けたり、波乱の予感を読み取って事前に先手を打とうとするなど、その性格とは裏腹に頭は切れるようだ。
クラリッサ・レオーネ(ロンドン)
ロンドン支店長。ジラソーレが服飾サークルだった頃は、前述のモニカと共に製作(クラリッサが裁断、モニカが縫製?)を担当していた。幼少期より親に仕込まれた針糸の技術は確かで、悠もその能力を認めている。(更にロンドンでは技術の研鑽も兼ねてサヴィル・ロウ(en:Savile Row)のテーラーの下職を手伝ったりしている)
針子修行に明け暮れていた為、世間やお洒落に疎く同年代の子達と話が合わないという暗い子供時代を過ごす。それだけに自分の得意分野を認めて服飾の表舞台に引き上げてくれたジラソーレの仲間達に深く感謝している。また仲間達の指導により、スタイル(10キロ減量した)・身だしなみも向上し、美人と称されるほどになった(それでも本人は未だ容姿に自信を持てない)。
育ちのせいか、生真面目で根に内向的な面を持つ。問題に対して自分を追い詰めがちで、仕事面では各方面如才なくこなすが、許容を超える問題が起きるとパニックを起こし根暗な面が顔を見せたりする。通称「絶望店長」(ラウラ曰く「うっわマジうぜーぇ」ジュリア曰く「これで正常」)。更に負荷をかけられると開き直って暴走?状態になってしまう。一方、職人にありがちな我の強さはあまりなく、忠告進言は謙虚に受け入れるタイプ(同じ妙齢の女性職人でもラウラとは大違いと評されている)。
長年の針子修行が祟って極度の近視。作業中は度の強い眼鏡をかけるため、普段の颯爽とした姿とは大きなギャップがあり、その「瓶底眼鏡っ娘」状態を見られるのを避けるために専用の個室を必要とする。気心の知れたジラソーレメンバー以外の他人にこの姿を見られる事はトラウマとなっており、偶然その姿を見てしまった悠との再会時に病的なほどヒステリックな対応をした。
針子一辺倒な生い立ちや職人としてのめり込む性格が自分と重なるのか、悠は彼女にエレナとは別の意味で好感触を抱いているように見える。初対面で針糸の腕前を見せろという挑発に近い言葉にも、劇中でも珍しく快く応じている。それだけに再会時の対応は堪えたようだ。
フェデリカ・テッサリーニ(ニューヨーク)
ニューヨーク支店長。ぱっちりした目とストレートの長髪が印象的な元気娘。アメリカで子供時代を過ごしたためか、アメリカ経済やアメリカ人の感覚・流行にも詳しい様子。
真正面からユーリアに自分の都合を主張して口喧嘩でき、感覚一つで決断する男前な性格。一方で自分の意見を通すために議論の最中にベアトリーチェに相談(する振りを)したり、裏から手を回して物事を動かしてしまうような辣腕ぶりを見せる。
ベアトリーチェと同じ経済学部出身でありながら、論理を置き去りにした動物的直感という、彼女とは真逆の方向性で相場を読んできた。そのためかベアトリーチェが苦手とする数少ない人物の一人であり、ジラソーレ創立メンバー12人中で唯一ヨーロッパ圏外勤務となったのも、ここに原因の一端がある。

[編集] ジラソーレ社(遊撃隊3人娘)

各支店に問題が起きた時の助っ人として、比較的自由な移動を許された開発チーム。ペッツオーリとジラソーレの業務提携騒ぎの際に提携反対派(社長派)として3人が集結したのが発端(開発第二課)。業務以外でも3人で動くことが多く連帯感は強い。臨時雇いの身分ではあるが、技術・策・人脈のバランスの取れた連携プレーにより、策士のベアトリーチェが本格的に取り込もうと企むチームでもある。

ラウラとヴィレッダの付き合いは悠のイギリス訪問中(一度目)から。その後悠の日本滞在中にヴィレッダがイザベッラと知り合い、3人の交友が始まっている。

ヴィレッダ・インパラート
靴職人見習いの女性でマルコより年上だが彼の妹弟子にあたる。元々は修復師だったが、同僚の異常な靴マニアに感化されて靴職人に転向。遊撃隊の司令塔。悠は「物知り姉ちゃん」と呼ぶことがある。
知識欲が極端に旺盛で、色々な事に首を突っ込みたがる。その上、面白い事好きで悪ノリしやすい性格なのでマルコと一緒に暴走したりと、結構性質が悪い。しかしながら、美術品やアンティーク等に造詣が深く、ヴァイオリンの銘柄をその色艶から見抜いたり、蚤の市で掘り出し物を見つけたりと鑑定眼は非常に優秀。また、頭の回転が早く、大小様々な問題を解決する策士という一面も持つ。ベアトリーチェほど露骨で無いものの、様々な奇手を打ち、彼女に「敵には回したくない」と言わしめる存在である。また策略を巡らすシーンでは、よく諸葛孔明を模した姿(白羽扇を手に持つ)で描かれる。
靴職人見習いとしてペピーノ親方に師事していながらジラソーレ社の社員となっている。靴については勉強していると本人はいうが、ジラソーレ社の業務や幅広い好奇心で靴に集中できていないようである。革の基本知識でマルコに叱られたり、革靴の基本知識で悠を呆れさせたりしている。
ラウラ・フォンターナ
代々ミラノ貴族に仕える仕立て屋の一人娘で、自他共に認める仕立ての天才。父親はペッツオーリ社の重役、アンドレア・フォンターナ。ユーリアに初めて会った時点で年齢は17歳。悠をライバル視している。通称はいつもの髪型から「ツインテール」(右側だけ毛先を巻いている)。
金髪のミラノ美人で胸も大きくスタイルも良い。性格は、超がつくほどの自信家で常に強気、相手のことを全く考えない自分本位な性分。だが、根は真面目な努力家で、流され易いところも見られる。服飾に関しては、14歳にして自分の究極の型紙を作ってしまう程の才能は悠やペッツオーリも認めているが、実のところ若いために経験不足が否めなく、また、相手のことを考えない性格のために仕立て全体を考える上では未熟である。とはいえ、ナポリで新しい技術に接したり、客との直接応対やビアッジォの下での接客などで徐々にキャリアをつんでいる。
ペッツオーリに憧れていて、ミラノでは父の野心に乗っかり、親子ほどの差があるペッツオーリと本気で結婚しようと考えていた。彼に実力を認めさせるために悠と勝負するが、完璧に打ち負かされてプライドを傷つけられ、以後悠を一方的にライバル視している。悠を追ってナポリへ移り、ことあるごとに悠に勝負を挑む(が、若過ぎて経験不足のために勝てない)。
  • 彼女自身の仕事であっても悠から助言をもらうことをよしとしない(そのため、ヴィレッダやイザベッラがお膳立てすることもしばしば)。
  • 悠が関わっている勢力の反対勢力に加勢しようとする。
だが、あくまで悠の腕前は認めており、自分以外の人物が悠の腕前について疑ったり否定したりする発言をすると、警告したり弁護する時がある。また、フランス編でやきもちを焼くシーンがあったり、ギルレーズ・ハウス編では助言に対してついに感謝の言葉を述べるなど、悠に対しての好意が大きくなっているところが見受けられる。
ナポリにやってきた直後は「未来の母親」と称して(ペッツオーリと本気で結婚するつもりだった頃なので)ユーリアの家に無理矢理同居し、高待遇でジラソーレ社に入り込む(この時は契約社員的な扱いに近い)。ジラソーレ社との関係は複雑で、その後離職(日本に一時帰国した悠の住まいでサルト開業)、正社員として復職(ジラソーレ御家騒動)、支店への派遣を経て遊撃隊として活動している。その後も経営陣との対立、辞表提出など問題を起こしている。
基本的に悠に災難を振る側の人間だが、流され易い性格によって自身が災難に遭うことの方が多い。英語が話せないために、イギリスで悠やヴィレッダにいいように振り回されたり、一念発起して弟子入りを決めたビアッジォには、コスプレさせられた挙句に、服飾と直接関係の無いパスタ店のウェイトレスをやらされていた。また、悠との関係においてたびたび弄られたりしている。
イザベッラ・ベリーニ
ベリーニ伯爵の娘でカルロの恋人。接客担当であるが、伯爵令嬢としての広い人脈や資金で遊撃隊と社に貢献。ジラソーレ社の大株主。
おっとりした性格で、育ちに見合った気品もあるが、時に大胆な行動を起こすこともある(特に恋人カルロが絡む話で顕著である)。また、食べることに関しても父親譲りの性格が見て取れる。
普段はあまり目立たず、基本的にヴィレッダやラウラを補佐したり、相打ちをする役回りだが、時折り難なく登場するその人脈は周囲の人間を驚かせる。相手の気持ちを汲んだ発言も多い。また、基本的に柔順なお嬢様であるが、庶民的な素養も持ち、日本でショックを受けたオタク文化は、その後、趣味になった模様。
カルロの件でかなり早くに登場はしているが、本格的な登場は日本編からである。

[編集] その他準レギュラー

[編集] イタリア(ナポリ)

ベリーニ伯爵
ナポリ貴族で、世界経済にも影響を与える実業家。ナポリの顔役でもある。伝統文化の保護、育成に尽力し、特にナポリ仕立ての保護に力を入れている粋人でもある。イザベッラの父。
基本的に公明正大な人物であるが、そのプライドに抵触した人間に見せる偏狭さ加減は、いささか度を過ぎた面もある。
ごく初期から登場し(第3巻)、悠の下に持ち込まれる依頼に直接・間接的問わずたびたび関わっている人物であるが、悠と直接会うのはかなり後(第14巻)である。過去マリオ親方と親交を結び、その後喧嘩して二度と会うことはなかった。作中では唯一、悠の仕事の欠点を正しく指摘した人物でもある。
カルロ・スパランツァーニ
トスカーナの没落貴族の当主。男爵。執事のニコラと行動し、よく悠に仕事を持ち込む。イザベッラの恋人。
悠の仕立てたスーツによりイザベッラと知り合い、更にベリーニ伯爵の知遇を得ることに成功、彼の紹介で商社に就職する。その後は持ち前の語学力(12種類もの言語を話せる)を駆使して世界中を飛び回り、時にベリーニ伯の直接指示で動くこともある。
仕事を始めてからは胃が痛むような苦労も経験し、有能で立派な青年と評価されているが、初登場時は誠実ではあるが世間知らずのお坊ちゃんであった。
二コラ・ロンギ
スパランツァーニ家に三代仕える初老の執事。カルロを孫にも等しい宝として、男爵家没落後も唯一スパランツァーニ家に仕える。悠は「三太夫さん」と呼ぶ。
主のことを第一に考える良い執事だが、逆にそれが行き過ぎて煙たがられることも多々ある。登場すると、まず顔面どアップで「ひかえおろう庶民!」とやるのが定番ネタとなっている。
プレゼンティ
ナポリの場末のピッツェリアの大将。店の看板のピッツァマルゲリータの絵がスイカに見えることから、通称ドン・メローネ・ロッソ(スイカおじさん)とも呼ばれる。
店の立地もあり客足は多くは無いが、彼の作るピッツァは大変美味しく、ユーリアを虜にし、その後、彼女を始めとするレギュラー陣のたまり場となっている。昔、マリオ親方のサルトが近くにあったために、修行時代からの悠をよく知っている。
ペピーノ親方
靴職人。マルコとヴィレッダの師匠。マルコ曰く「進化論も信じてないガチガチのクリスチャン」。
有名ではないが、ベリーニ伯爵など有力者の靴も手がけたことがあり、靴マニアからも絶賛される人物。良い靴を造るためなら水虫の足に触ることも辞さない。
マリオ・サントリヨ
故人。悠とペッツオーリの師匠。彫刻を刻むように客の体型に布を沿わせる技術により、ナポリ中の極めし職人に「ミケランジェロ」と絶賛された伝説の名仕立て屋。
偏屈で職人気質な性格、さらに経済観念の欠如でカモッラなどから多額の借金をしていた。悠が経営面を担うことで見通しがついた矢先に亡くなり、死亡時の借金は死の直前に受けた手術費込みで日本円にして約1億にも上っていた。
ジャンニ・ビアッジォ
マリオの兄弟子。礼服をフルオーダーで作れる数少ない職人。現在はカサルヌォボに隠居し、息子のパスタ問屋で生計を立てている。
かなり高齢であるが、その技術は衰えるどころか尚成長しており、悠を驚かせている。弟子入り志願してきたラウラに対し、ボケた振りをして自身が製作した猫耳メイド服などのコスプレまがいの服を着せ、自身の店で接客させたりするが、鋭い言動を放つこともあり、どこまで本気なのか不明。
ロドリーゴ・サンチェス
パンツ職人。パンツに限れば、悠が「俺すら足元にも及ばない」と言うほどの腕前。ナポリの旧市街にサルトを持つ。
実家が代々職人の家系であるが故に培われた技術を持つが、自身はそれで得られる収入の乏しさに嫌気が差して40歳手前にも関わらずアイドルを目指している。外見も良く、歌もそこそこ上手いが、その夢のためにカモッラ相手に大借金をして、首が回らないのが現状(一応、無謀だと自覚はあるため、年齢を指摘すると怒る)。正反対の境遇にいる(家が恵まれている、トップモデルである、フランス人である)セルジュに対して、初対面の際に激しい反応を見せた。
何故か悠との合言葉にはガンダムの台詞を用いてる。

[編集] イタリア(その他)

ジャコモ・ペッツオーリ
世界的ブランド「ペッツオーリ」の社長兼デザイナーで、ミラノ貴族の流れも組む人物。マリオ親方に師事していた時期もあり、形式上、悠の弟弟子にもあたる。
技術の習得に貪欲な性格で、既にファッション界のカリスマとして確固たる地位を築いていながらマリオに一時弟子入りしたこともある。その関係で、兄弟子でありその腕も認めている悠に何かと協力し、彼の借金の保証人となっている(本来は全額肩代わりするつもりだったが、悠が「そこまでお世話になれない」と断る)。そのため、悠にとっては亡くなったマリオ親方以外で頭の上がらない人物である。
娘のユーリアとは仲違い(ユーリアの一方的な思い込み)したままであるが、彼自身はいつも気にかけ遠回しに手助けすることもある。長年の針仕事で極度の猫背(正確には「屈伸体」)である。
アンドレア・フォンターナ
ペッツオーリ社のスーツ部門統括、服飾教室教頭を勤め、後に日本支店店長となる。ラウラの父。日本語が喋れる。
代々貴族に仕える職人の家系に生まれ、職人としては優秀だが上昇志向が強く、娘のラウラをペッツオーリと結婚させることで社内での立場を上げ、貴族という地位に近づこうとしていたりする。もっとも、ペッツオーリ本人には見透かされており、当の娘からも愛想を尽かされている。他にも色々と策略を立てるが全て見透かされ、失敗するどころか最初から手のひらで踊らされていることも少なくない。悪人では無いが、小悪党的な印象が拭えない人物である。
マッシモ・ゼルビーニ
ジェノヴァの海運王ゼルビーニ家の跡継ぎ。会社社長。コンスタンツェの兄。後にジラソーレ筆頭株主となる。
優秀なビジネスマンである一方、投資家としても才を持つ。以前はジラソーレの事を「女子大生の道楽」としか見ていなかったが、その成長ぶりを見て一転、ベアトリーチェらと手を組み、筆頭株主になった上で経営に介入しようと目論む(ジラソーレ御家騒動)。結局ベリーニ家の介入が起こり当初の予定通りとはいってないが、隙あれば手を出そうと耽々と狙っている。
悠の実力を買っており、個人的に仕事を依頼した事が数回ある。ビジネスに関してはドライな面を見せるものの、かつて家が困窮していた時に援助してもらったシモーネ・アゴスティの両親には恩義を感じている。
シモーネ・アゴスティ
造船業の大手アゴスティ造船の創業者の跡取り。アゴスティの倒産寸前の子会社の社長(後に倒産)。両親は立派な人物なのだが、一人息子で甘やかされて育ったため、典型的な馬鹿息子となった。
自分の出自や持ち物の価値を自慢することしかできず、また(交際女性含めた)人の評価も資産力で測る。「才覚すなわち財力」を公言し、言動全て金が基準であるが、裏を返せば金が無いと何の取り柄も無い駄目人間である(その金も親の稼いだ金で、自身は浪費するだけ)。一応、学位も持つが、有名大学に名前がそっくりの、いわゆる学位工場で習得したもの。何らかの打算があるわけでもなく、ただ純粋に馬鹿である。そのため、「白鳥さん」と呼ばれることもある。
自業自得とは言え、悠に無茶な注文をしてはヒドい目にあうことが多い。

[編集] イギリス(ロンドン)

フレデリック・ウォーレン
英国王家の外戚に当たる貴族。世界経済に影響を与えるほどの実業家でもある。サヴィル・ロウ(en:Savile Row)の保護にも力を入れる。
イタリア訪問中に悠と出会い、その腕を見込んでサヴィル・ロウの一角を任せようとする。その後、ギルレーズ・ハウスのお家騒動においては、旧店(保守)を陰ながら支援し、旧店派グループのリーダー的な立場で情報収集や対策の立案実行を行った。
パウエル親方
サヴィル・ロウで、もしくは世界で一番と言っていいほどのウェストコート職人。その職人然とした言動からは余り想像が付かないが本家筋は海軍のお偉いさんで、貴族筋。
彼の作るウエストコートは血が通っていると言われるほど出来がよく、そのためにサヴィル・ロウで引き抜き合戦が起きたこともある。その後、貴族が調停に入り、特にどこにも属さないサヴィル・ロウのご意見番的な役割となる。
一時期、ある事件のせいで引退を宣言していたが、悠との出会いにより再びサヴィル・ロウに戻る。その後、ギルレーズ・ハウスの騒動では、ウォーレン卿の足となって動き悠をロンドンへ呼び寄せる。ナポリから来た日本人という意味を込めて、悠のことを「ナポリタン」と呼ぶ。
チャールズ・エバンズ
イギリスの石油王にしてウォーレン卿の縁者。
若い頃女性に関するトラウマを負い、その反動で「女関係のもみ消しにMI6(英国情報部)まで動く」と揶揄されるほどの女たらしになった。ラウラやエレナにも振られた過去がある。ちなみにバツ3。
没落していた一族を復興させた事業家としての手腕や、エレナを巡る勝負の際の高い社交性や素直に負けを認める態度など、女性問題を除けばかなり紳士的で有能な人物である。
ヘンリー(ハリー)・ベーコン
サヴィル・ロウの庶民向けの老舗「ギルレーズ・ハウス(GIRULE'S HOUSE)」の(サブ)裁断師で、その後、同名の「ギルレーズ・ハウス」(以後、新店と表記する)を立ち上げギルレーズ・ハウスのお家騒動を引き起こした人物。
ギルレーズ・ハウスの後継者と目される程に腕の良い職人で先進的な人物。先代のオーナーの死後、チーフカッターと共同経営者になるも、経営方針の違い(典型的な保革対立)から対立し、最終的に独立し職人全員を引き抜いて新店を立ち上げる。騒動初期から、特に職人の確保や外国人の職人についてなどが争点となっており、その節操の無い引き抜きはロンドンの服飾業界はおろかナポリにまで火の粉が飛んでいた。新店の立ち上げでは、チーフカッターにフランス人であるエリック・リヴァルを採用し、技術力と方向性をアピールした。
クラリッサとは友人であったが、彼女を引き抜こうとして間接的に断られたため、新店設立後は対立関係になる。実は彼女を女性として意識しているのだが、気づいてもらえてない。
エリック・リヴァル
「ギルレーズ・ハウス」新店のチーフカッター。アラン・リヴァルの長男でセルジュの兄。
かつて「リヴァル」の工房で修行するも、過酷な生活やアランに全く認めてもらえないことから家出。後にイギリスでヘンリーに匿われ、新店のチーフカッターに選ばれる。結果として工房から逃げ出したとはいえ、その腕前はチーフカッターに選ばれるだけに確かである。
セルジュ同様に父をかなり恐れており、その父から匿ってくれたヘンリーには恩があるため逆らえない(ヘンリーの強引なやり方に全面的に賛同している訳ではない)。弟同様に心の何処かでは父親に認められたいと思っている。
ラルフ・ヒューイット
イギリス貴族ヒューイット家の当主。主に香港で活躍する実業家。英国人と香港人のハーフ。ヘンリー・ベーコンの影のスポンサー。
英国植民地であった香港で財を成したヒューイット家の子息だが、妾の子であったため、幼少期を香港の下層階級の中で過ごす。正当な後継ぎが皆早世したため、後継者としてイギリスに連れてこられて、貴族として教育を受ける。その後才覚を現わし、傾いていたヒューイット家を建て直す。このような出自から、自身の国というアイデンティティに悩んだこともある。その関係で伝統についてドライな面をみせるものの、中国への返還によって、香港から英国的雰囲気が失われていくことを危惧している。
ヘンリー・ベーコンに多大な援助を行なった、ギルレーズ・ハウス騒動の黒幕とも呼べる。ただ、その真の狙いは、先述の香港の伝統の保護に関係しているものであった。

[編集] フランス(パリ)

アラン・リヴァル
フランスのモード服の大ブランド「リヴァル」の総帥。セルジュとエリックの父。
ジラソーレ社設立初期にエレナ達がモデルのアルバイトをしていた縁で、以来ジラソーレと友好的な関係を保つ。ジラソーレとペッツオーリ社が提携を結んだ事から一旦態度が硬化したが、悠と仕立て勝負を行なったことでわだかまりが解け、悠とも交遊が生まれた。
実家は田舎の仕立て屋。画家を目指しパリに上京するが挫折し、後「リヴァル」を立ち上げ、現在の地位を築く。画家を目指した青年時代や「リヴァル」初期に辛酸を舐めた苦労人であるため、苦労知らずで順風満帆な人間、特に貴族出で同業のペッツオーリに強い反感を持っている(そもそも、ジラソーレとの友好関係もペッツオーリに対する対抗意識を評価していた面がある)。普段はそのような感情を押し殺しているが、酒が入ったりすると大人気ない態度として出てくる。強い劣等感も抱えており、極端に落ち込んだり、ライバルになりそうなものに態度が硬くなったりする。
苦労人だったことから、息子達や工房の弟子に対する教育方針は徹底的なスパルタであり、セルジュが「地獄」と呼ぶ「リヴァル」の工房に入った者は四分の三が辞め、跡取りの息子2人も家出するほど。例えその場に父が居なくても、怒っていると感じれば息子2人は怯える。本人曰く、確かに指導が厳しいのは事実だが、業界を生き抜く厳しさとは比較にならないし、厳しい指導をした分将来(アランの引退後)の成功を保証できる、とのこと。
マダム・ロスタン
フランスの高級紳士服ブランド「ロスタン」の創始者。御年九十歳近くの老婦人。生まれはシチリアであるが、結婚を機にフランスへ移住する。
元々は針子で、移住後に近所の子供達に作った服が評判となる。そこから夫の協力でブランドを立ち上げ、今日の「ロスタン」へ成長させた。
現在、会社の実権は息子のシャルルに譲り、半ば隠居という形であるものの、顧客の事情を勘案したり、揉め事の裁定者として動くこともある。悠のことを職人としても人としても気に入っており、できれば自社に迎えたいと思っていた。
名前の由来はおそらくエドモン・ロスタンから。初登場が「シラノ・ド・ベルジュラック」をモチーフにした「愛しのロクサーヌ(前後編)」の回だったためと思われる。
シャルル・ロスタン
「ロスタン」の2代目社長。エレナを巡る決闘で悠が仕立てたロスタンのコピー品を見て悠の腕を認め、以後、何とか悠を自社に迎えようとするが、ペッツオーリ社やジラソーレ社同様に断られる。
母の経営方針を継ぎ、服飾に対する見識も高いが、裁縫は苦手。

[編集] 日本(東京)

悠の父
東京下町にある織部自転車店の店主。若い頃、イタリアの自転車工房で修行していたため、イタリア語が話せる。
自転車の三大ロードレースで「いいとこ」まで行った機体を作ったことが自慢。
お辰
悠に裁縫のイロハを教えた師匠。人間国宝も贔屓にする足袋職人で、悠を頭ごなしに叱れる数少ない人間。
悠はお辰の元で足袋職人になるつもりだったが、お辰は悠の将来を考えて、実入りのいいスーツの仕立て屋になる事を勧めた。
卒中後遺症で手に麻痺が残ったために引退。以後、リハビリと称して海外旅行三昧。
ベアトリーチェによる悠をジラソーレに引き込む作戦の一端を担わされた形だが、結局失敗。 

[編集] ジラソーレ社社史(抄)

正確な年代は不明であるので、主要事項を時系列順に並べる。

  • ユーリアが大学の服飾サークルの面々とフィレンツェで起業する。社長がユーリア、副社長がマリエッタで、筆頭株主はコンスタンツェ。
  • ソフィア・サンドラ・エレナがリヴァルでモデルのアルバイト。スーパーモデルとして活躍し、パリ支店開店の下地となる生地の仕入ルートの確保、資金稼ぎと人脈作りを行う。
  • パリ支店開店でモデル3人が配属。その後、ロンドン・ニューヨーク(開店順序は不明)に支店を置く。
  • 若者向けカジュアル服に加えて高級婦人服も扱うようになる。
  • 紳士服業界に進出。ナポリに支店を構える。
    • 重要拠点として創業メンバーの多くを投入し、社長も常駐して指揮を執る。この時、副社長にサンドラが就任し、フィレンツェ本店の指揮はサンドラとベアトリーチェの手に移る。
    • ナポリのサルトに圧力をかけて傘下に納め、早期にナポリを制圧するという経営方針であったが、これに失敗する。当初の予定よりナポリのサルトに支援を受けられなくなったため、その分の負担が創業メンバーにかかり、彼女らはナポリ支店から離れられなくなる。
    • ペッツオーリへの対抗意識が発端のため、開店までは失敗を危惧する意見も多かった。
  • 「将来の社長の母」と名乗る娘(ラウラ)がナポリ支店に姿を現し混乱を引き起こす。その後、彼女は入社するが勤務態度と能力で更に混乱を引き起こす。
  • 地元のナポリ仕立てに対抗して、納期の早さを売りとして攻めの経営を行う。しかし、結果として自社工房の処理能力を越えた量の注文を受けるようになり、創業メンバーの残業が目立つようになる。
  • ラウラ、修行のため一旦ジラソーレ社から離れる。契約職人として関わる。
  • フィレンツェ本店とナポリ支店との間にお家騒動が勃発する。
    • フィレンツェ本店が独断でペッツオーリ社と接触(ベアトリーチェの計略)。秘密裏に業務提携を画策する。
    • マッシモが筆頭株主となり、株主として経営に介入される可能性が発生(コンスタンツェがナポリの社長側なのに対し、マッシモはフィレンツェ本店の副社長側の方針に賛同しているため、乗っ取りの可能性が出てくる)。
    • 業務提携の情報がナポリに伝わり(ペッツオーリ日本支社-ラウラ経由)、ナポリ支店は対応を迫られる。
    • 新たにベリーニ家が大株主となり(ヴィレッダの計略)、事態は更に混迷する。株主権限でヴィレッタ・ラウラ・イザベッラ(後のいわゆる遊撃隊)が幹部として送り込まれるが、混乱を嫌うナポリ店の意向により3人はひとまず開発第二課に配属(事実上の閑職)。
    • 業務提携に関する決定を売り上げ競争の結果で行うことになる。このため、フィレンツェに紳士服向けの第二支店を置き、アンナと遊撃隊を配属させる。
    • フィレンツェ本店が競争に勝利。ペッツォーリ社との業務提携決まる。以後、本社はナポリに移転し、第二支店と統合したフィレンツェ本店は一支店となる。遊撃隊はそのままフィレンツェに異動。
  • ペッツォーリ社との業務提携により、パリ支店とリヴァルとの関係が悪化。解決のため遊撃隊をパリへ派遣。その後、悠の働きでリヴァルとの関係回復。
  • パリ支店の強化を目的に一時的にソフィア・サンドラをパリへ派遣。恒例のファッションショーにて新たなビジネスモデルを確立する(それがナポリ本店の工房を更に圧迫する一因ともなる)。
  • 遊撃隊をナポリ本店へ異動。ただし、各店のヘルプの際には遊撃隊を向かわせる方針。
  • 依然ナポリ本店の仕事量が減らない中、大きな戦力である悠とラウラが当てにできなくなる(その後ラウラは辞表提出)。主要メンバーの残業も限界に達し、社長との対立が本格化。
  • 工房のヘルプとしてロンドン支店のクラリッサがナポリ本店に来る。が、すぐに帰る。
  • ギルレーズ・ハウスを発端とするロンドンの騒動にロンドン支店が巻き込まれる。復職したラウラを含む遊撃隊をロンドンに派遣する。
  • ギルレーズ・ハウス新店の攻勢の主要な標的とされ、ロンドン支店が苦境に陥る。
  • 超高品質のカシミアを調達してロンドンの貴族界に存在感をアピールするなど各自が奮闘、支店防衛に成功する。ロンドンの騒動終結。遊撃隊をナポリへ戻す。
  • 社長の鶴の一声で一時期工房の残業がやむ。

[編集] 漫画的表現についての付記

  • コマの背景には
    • イチゴ(白地に枠線なしのイチゴの絵が浮かんでいる)
    • 斜めの交差(×)または八角形状の渦巻きからなるタイルパターン
    • サボテンのパターン
    • 絵文字の列または象形文字の列

がしばしば描かれる。

  • 例を説明したり何かに喩えているコマにおいて、筆致を古い漫画(鳥獣戯画から水木しげるまで)に似せて描いている。
  • 顔の輪郭が丸・(逆)三角・四角の三人組がチョイ役を勤めることがある(輪郭以外の目鼻立ちや役柄は一定でないので、固定キャラではない)。
  • 一話限りのキャラが有名人(主に芸能人)に似せて描かれていることがある。
  • 顔のアップシーンを吹出しで約半分隠す。
  • 初期の扉絵は殆ど悠がメインだったが、マルコ登場後はマルコ単独の扉絵が多くなる。更にキャラクターの増加に伴い様々なキャラが扉絵を飾るようになる。
  • 主要キャラが省略形で表現されることがある(悠が丸や海老(ザリガニ?バルタン星人?)の輪郭にメガネで表現されていたり、ラウラがツインテールの片側で表現されたりする)。

[編集] 補足

  • 副題の「サルト・フィニート」とは『究めし職人』という意味で作中では使われているが、実際にナポリのサルトに確認したところそのような言い回しは存在しないとのこと。
  • コミックの表紙はスーツの襟から腰の辺りの写真を背景にタイトルと登場人物のイラストがつく。
    • 1-10巻--織部
    • 11巻以降--11巻マルコ、12巻ユーリア、13巻ラウラ、14巻ビアッジォ親方(猫耳!)、15巻ベリーニ伯爵、16巻セルジュ、17巻エリック、18巻アラン
  • コミックの帯には収録作の台詞の一部(身だしなみに対する指針、仕立ての哲学など)が引用される場合と、推薦文が寄せられる場合がある。
  • 各話タイトル(および話の内容そのもの)は様々なジャンルの有名な作品やエピソードを下敷きにしたものが多い。特に10巻以降に顕著。
    • 他の作品のタイトルそのもの - 「裸の王様」「シェルブールの雨傘」「青の別れ」など。
    • 他の作品中の語句 - 「連環の計」「一ポンドの胸肉」「刃傷松の廊下」など。
    • 他の作品のタイトルをもじったもの - 「兄貴の一番長い日」「鰻の作法」「ジェノヴァの商人」など。
    • 1巻丸々がベリーニ伯爵のスーツ編となる15巻(計6話収録)では、長編に合わせて全タイトルが忠臣蔵の時系列に沿ったものになっている。

[編集] 参考文献

  • 大河原遁 『王様の仕立て屋〜サルト・フィニート〜』第2巻、集英社〈ジャンプ・コミックス デラックス〉、2004年。
  • 大河原遁 『王様の仕立て屋〜サルト・フィニート〜』第3巻、集英社〈ジャンプ・コミックス デラックス〉、2004年。
  • 大河原遁 『王様の仕立て屋〜サルト・フィニート〜』第4巻、集英社〈ジャンプ・コミックス デラックス〉、2004年。
  • 大河原遁 『王様の仕立て屋〜サルト・フィニート〜』第9巻、集英社〈ジャンプ・コミックス デラックス〉、2006年。
  • 大河原遁 『王様の仕立て屋〜サルト・フィニート〜』第10巻、集英社〈ジャンプ・コミックス デラックス〉、2006年。
  • 大河原遁 『王様の仕立て屋〜サルト・フィニート〜』第13巻、集英社〈ジャンプ・コミックス デラックス〉、2007年。
  • 大河原遁 『王様の仕立て屋〜サルト・フィニート〜』第14巻、集英社〈ジャンプ・コミックス デラックス〉、2007年。

[編集] 外部リンク