主 (宗教)

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(しゅ)は、宗教上の用語である。

アブラハムの宗教[編集]

アブラハムの宗教ユダヤ教キリスト教イスラム教)での主は、ヤハウェ / アッラーフ)を指す。キリスト教の場合は特に、またはイエス・キリスト救世主イエス・キリスト)または聖霊を指す(三位一体も参照)。

英語のLord[編集]

英語圏では、多くのキリスト教徒聖書ジェイムズ王訳等の)で、ヘブライ語の名前 יהוהラテン文字化: YHWH)は、 LORD (en:All caps) または Lordスモールキャピタル)が当てられている。英語での最初期の用法は、ベーダ・ヴェネラビリスのようなイギリス聖書の翻訳者による。

この用法は、声に出して読み上げる時に、יהוה (YHWH) の代わりに口語のヘブライ語の言葉 אֲדֹנָי / יְהֹוָה / Adonai / アドナイ(「私の主」を意味する)を読み上げるユダヤ教徒の実践に従っている。ニュー・アメリカン・スタンダード聖書 (en:New American Standard Bible) は、次のように説明している。

「まだもうひとつの名前がある。特に彼の格別で正式な名前として当てられている。それは、神聖な4文字YHWH (יהוה)(出エジプト記 3:14 と イザヤ書 42:8)。この名前は、ユダヤ教徒に発音されてこなかった。偉大で不可侵の神聖な名前であることへの畏怖があるためである。このようにして、それは一貫してLordスモールキャピタル)と英語訳されてきた。YHWH (יהוה) の英語訳の唯一の例外は、その主の言葉のすぐ間近にあり、それは、Adonai(אֲדֹנָי / יְהֹוָה / アドナイ)である。その場合、それは混乱を避けるため規則的にGodスモールキャピタル)と英語訳される。」[1]

ヘブライ語での実践に従って、七十人訳聖書は専らギリシア語の言葉Κύριοςラテン文字化: Kyrios、キュリオス、「主」を意味する)を、יהוה (YHWH) の翻訳に使っていた。原始キリスト教旧約聖書の時、キリスト教徒による神聖な名前を「主」 (Lord) とした翻訳の実践は、直接それに由来する。

キリスト教の用例[編集]

ヒンドゥー教[編集]

ヒンドゥー教の、バガヴァーンヒンディー語: भगवान 英語: Bhagavan)という称号は「主」と日本語に訳される。ヒンドゥー教の神学で、多神教の神々の唯一神的な側面を表現するため、スヴァヤン・バガヴァーン(バガヴァーン御自身、Svayam Bhagavan、主)が使用される。バガヴァーンは、「幸いなる者」の意味で、神の尊号として使用されるが、バガヴァーン・クリシュナのように使用されるとき、「主クリシュナ」と日本語では呼ばれる。

その他の宗教[編集]

各言語の主[編集]

「ぬし」[編集]

日本神話および神道においては、「主」の読み方は「ぬし」である(そうでない場合もある)。神々や人物の名称に伴われる。

神々の用例としては、天地開闢に現れる天之御中主神(あめのみなかぬしのかみ)、大地を象徴する大国主、大国主の子孫である事代主(ことしろぬし)、天之甕主(あめのみかぬし)等がいる。

関連項目[編集]

脚注[編集]

  1. ^ NASB (1995年). “"Preface to the New American Standard Bible"”. ニュー・アメリカン・スタンダード聖書 (en:New American Standard Bible)(更新版). アナハイム: 財団出版 (Foundation Publications)(ロックマン財団 en:Lockman Foundation のために). 2006年12月7日時点の<span title="「"Preface to the New American Standard Bible"」のオリジナル">オリジナルよりアーカイブ。2006年12月7日閲覧。
  2. ^ 列王記上』の第18章、『列王記下』の前半部をそれぞれ参照。
  3. ^ 「主」以外の用法として、英語の「Lord」は仏教釈迦を指し、ジャイナ教ではマハーヴィーラを指す。ウィッカの宗教では、男の神はまた、「The Lord」(ザ・ロード)としても言及され、女の神は「The Lady」(ザ・レディ)としても言及される。
  4. ^ アドナイをיְהֹוָהで表記した場合、ニクダーを外すとיהוהである。ニクダーを外すと読みにならないので、ニクダーを付けてיְהֹוָה / アドナイと読ませる。יְהֹוָה(アドナイ)はאֲדֹנָי(アドナイ)という表記もする。さらにまた、ヘブライ語旧約聖書にてיהוהは、אֱלֹהִיםという変化をして記述されている場合がある。エロヒームまたはエロヒムとカナで表記され、と訳される。יהוהの前後にאֲדֹנָי(アドナイ)がある場合、יהוהに、יֱהוִהというニクダーを付け、エロヒーム(エロヒム)と読ませるが、その場合、旧約聖書ではאֲדֹנָי יֱהוִה / アドナイ、エロヒームというように、その2つの語が連続して並ぶことになる。和風に訳す場合「わが主よ、神」となる。または「神様、神様」という訳もできる。אֱלֹהִים / יֱהוִה / エロヒームは、אלוהיםと表記もする。さらに詳細はen:Tetragrammatonを参照。
  5. ^ 用例はSignore Dio(シニョーレ・ディーオ)。Dioは神。あるいはまた「Signore, dove vai?(シニョーレ、ドヴェヴァイ?)」(「主よ、どこに行かれるのですか。」 ) ; 出典: Vangelo secondo Giovanni 13:36 - バチカン公式サイト(イタリア語)
  6. ^ 間投詞で「主よ」。
  7. ^ 用例はDomine Deus(ドミネ・デウス)。Deusは神。さらにまた間投詞で「主よ」。用例は、最後の晩餐での、イエスに対するシモン・ペトロの問いかけ。「Quo vadis, Domine?(クォヴァディス、ドミネ?)」(「主よ、どこに行かれるのですか。」)