ヘナタリ
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左ヘナタリ・右カワアイ。成貝は殻口の形で区別できる
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| 分類 | |||||||||||||||||||||||||||
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| 学名 | |||||||||||||||||||||||||||
| Cerithidea(Cerithideopsilla) cingulata (Gmelin,1790) |
ヘナタリ(甲香)、学名 Cerithidea cingulata は、吸腔目キバウミニナ科に分類される巻貝の一種。インド太平洋暖海域の砂泥干潟に生息する塔形巻貝である。類似種とともにいわゆる「ウミニナ類」に含まれることが多い。和名末尾に「貝」をつけ、ヘナタリガイと呼ばれることもある。
目次 |
[編集] 特徴
成貝の貝殻は殻高40mm・殻径12mmほどで、塔形・堅質である。巻きの各層は膨らまず、全体の形は円錐形に近い。各層には3-4本の黒い螺肋(巻きに沿って走る溝)が走り、これが浅い縦肋で区切られてタイル状になる。特に縫合(巻きの繋ぎ目)下の肋が強い。成貝では殻口がラッパ状に外反し、水管が背中側に曲がり、殻口の左側に瘤ができる。殻の色は黄白色から橙色だが、黒褐色のものもいる。
日本産ウミニナ類の中では、殻に膨らみがなく円錐形に近いこと・黄色っぽく横しま模様が強いこと・殻口が独特の形になることで区別できる。ただし若い個体で黒みが強いものはカワアイとの区別がつけにくい。
[編集] 生態
インド太平洋の熱帯・亜熱帯域に広く分布し、基産地はインド・トランケバールである。日本では房総半島以南の暖流に面した地域で見られる。
河口など汽水域の干潟に群れをなして生息し、干潟を好む生物群落の構成種となる。本種は淡水の影響がやや強く、澪筋や水たまりのある砂質か砂泥質の区域を好む。転石帯・岩礁地や、乾燥するほど高所の砂地には出現しない。本種より低所にカワアイ・ヤマトオサガニ・ヒメヤマトオサガニ、同所的にチゴガニ・アシハラガニ、高所にハクセンシオマネキ・ウミニナ・フトヘナタリなどが観察される。
干潮時に干潟を這いデトリタスを摂食する。摂餌後は砂泥上でじっとしているが、満潮時には砂泥の中に潜る。産卵期は夏で、泥地に紐状卵塊を産みつける。子供は幼生で孵化し、しばらく海中でプランクトン生活を送る。
[編集] 人間との関係
和名の由来は不明だが、日本ではかつて本種の角質の蓋をいぶして香に利用しており、漢字表記も「甲香」が充てられる。「へなたり」の名は鎌倉期の随筆『徒然草』第34段にも登場している。
人や地域によっては他のウミニナ類と同様に漁獲され、塩茹でなどで食用にされる。なお本種は異形吸虫 Heterophyes heterophyes の第1中間宿主として報告されている。ヘナタリの体内で成長したものが第2中間宿主のボラ・メナダ・ハゼ類などの汽水魚に入り、魚を生食したヒトの腸に寄生する。
[編集] レッドリスト掲載状況
- 準絶滅危惧(NT)(環境省レッドリスト)
- 絶滅危惧I類 - 千葉県・兵庫県・高知県・福岡県・佐賀県
- 絶滅危惧II類 - 徳島県・愛媛県
- 準絶滅危惧 - 愛知県・熊本県・鹿児島県・沖縄県
河口域の砂泥干潟を生息地としているが、埋立・干拓・浚渫などで生息地が減少している。
[編集] 参考文献
- 日本のレッドデータ検索システム ヘナタリ
- 波部忠重監修『学研中高生図鑑 貝I』1975年
- 肥後俊一『日本列島周辺海産貝類総目録』長崎県生物学会 1973年
- 奥谷喬司編著『日本近海産貝類図鑑』(カニモリガイ上科執筆者 : 長谷川和範)東海大学出版会 2000年 ISBN 9784486014065
- 三浦知之『干潟の生きもの図鑑』南方新社 2007年 ISBN 9784861241390
- (異形吸虫関連)海外邦人医療基金 寄生虫ミニ辞典
- (異形吸虫関連)蒲原稔治著・岡村収補『エコロン自然シリーズ 魚』保育社 1966年初版・1996年改訂 ISBN 4586321091
