ヒル (動物)
| ヒル綱 | |||||||||
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ヒルの一種 Haemopis sanguisuga?
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| 分類 | |||||||||
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| 学名 | |||||||||
| Hirudinea Lamarck, 1818 |
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| 和名 | |||||||||
| ヒル(蛭) | |||||||||
| 英名 | |||||||||
| leeches | |||||||||
| 下綱 | |||||||||
ヒル(蛭)は、環形動物門ヒル綱(学名: Hirudinea)に属する生物の総称。体の前後端に吸盤を持つのが特徴である。
目次 |
[編集] 概説
ヒル類は大型動物の血を吸うものがよく知られているため、その印象が強いが、それ以外の生活をするものもある。共通の特徴は体の前端と後端に吸盤を持つことであるが、その発達の程度は様々である。また、細長いぬめぬめするもの、動物の生き血を吸うものといった印象の動物にヒルの名を付ける場合もある。コウガイビル、肝蛭などはその例であるが、分類上は全く異なったものである。
[編集] 形態
環形動物一般に共通するが、体は細長い。この類の特徴として、外部形態の退化傾向が挙げられる。口前葉はほとんど確認できない。疣足はなく、貧毛類にはある剛毛すらほとんどが持たない。代わりに、口周辺と肛門の下側が吸盤になっており、捕食活動にも運動にもこれを用いる。どちらか一方だけを持つものもある。一部に外鰓を持つものがある。
体は外見上は非常に多くの体節を持つように見えるが、そのほとんどは表面に環状のしわがあるだけで、実際の体節はより少なく、普通は34である。しわがあるために明確ではないが、ミミズ類に見られるような環帯が体前方にあり、その腹面に雌雄の生殖孔が開く。雌雄同体である。
外見的には感覚器は見えないが、体前方の背面に眼点(光の強弱を感じるセンサーで、電子顕微鏡で見える表面が凹んだ器官)があるものが多い。
[編集] 生息地域及び生態
体長0.2-40cmで、多くは淡水に住むが、陸上や海水に住む種類もいる。肉食性で、主に小動物を食べるもの、大型動物の血を吸っているものなどがある。長く大型動物にたかって暮らすものは、寄生性と見なされる。小さい方では、例えばカイビルなどは1cmに満たない小さいもので、水草の上などを這いながら、小さな巻き貝などに頭を突っ込んで食べている。また、特に大きなものには、ヤツワクガビルがいる。全長は伸びると50cmを越え、全身は鮮やかな黄色に黒色の縦スジがある。湿った陸上に住み、これまた40cmにも達するシーボルトミミズなどの大型ミミズを丸飲みにする。
哺乳類に対しては、これを攻撃対象として吸血する種がある。ヒトについては川に入っているときや沼地やコケの生えている森林などを登山中に吸われていることがある。水田にはチスイビルが多く、水田での作業時に血を吸われる被害が普通であったが、これは農薬などによって減少している。ヤマビルは、サル、イノシシ、シカなどの増加につれて分布域を広げているとの話もある。2008年までに、日本でヤマビルによる被害が確認されていないのは埼玉県、大阪府、福井県、石川県、青森県、北海道、山口県、北部九州、四国である。ヒルは靴につくとシャクトリムシのように体の上の方に上がって行き、服の隙間(裾、袖口、靴下と肌の間、靴のひもの合わせ目)等から、もぐりこんで、肌に吸い付く。かまれてもヒルの唾液に麻酔成分があるため、それほど痛みはない。そのため、ふと気がつくと足が血まみれになっておりショックを受けることがあるが、実際に吸われたり流れたりした血の量はそう多くない。また、ヒルの唾液には、血液の凝固作用を妨げる成分が含まれているため、1時間程度は血が止まらない。通常、傷は数日で治るが、こじらせた場合には数か月長引くこともある。ただし、ヒル自体に毒性はないといわれる。しかし、まれに噛まれて強いアレルギー反応を起こす場合がある。主な種類は、チスイビルやヌマビル、ヤマビルなど。なお、ヒルに血を吸われた際の処置の詳細については後述。
[編集] 利害
基本的に人間は吸血生物に対して嫌悪感を持つ。特にヒルは、カやアブなどのような他の吸血性動物と異なり、ヌメヌメした容姿に対する生理的嫌悪感や、噛まれた傷口から長く出血することへの不快感も加わって、木の上から狙って降りてくるとか、体を揺すって飛びつくというように、誇張された誤認識がつきまとう。
他方、血の凝固を防ぐ力があることから、古来より瀉血などの医療用としても用いられてきた(英語版Wikipedia:ヒルの医療利用)。漢方では乾燥したヒルの生薬名を水蛭(すいてつ)と呼ぶ。滋養強壮に効果があると言われ、ヨーロッパでも古くから薬用とされてきた。1884年にイギリスの生理学者ジョン・ヘイクラフトが、薬用ヒルの唾液腺からペプチドで構成される血液抗凝固成分ヒルディンという成分を発見した。日本では水蛭やヒルディンを使用した製品に薬効を謳うことは許可されていないため、健康食品として販売されている。
ヒルは悪い血を吸い出すものとして、インドのアーユルヴェーダなどでデキ物などにたからせて血を吸わせるなどの行為が行われた。また、ヒルの唾液は、膝関節症に効果があるという[1]。現在外科医療用のヒルとして、接合した四肢の端部に大型の無菌化したヒルを付けて血を吸わせ(ヒルは数時間毎に交換)、血管の再生を促す治療法がイギリスを初めとして用いられつつある。
このような効用から、脳内出血で倒れたヨシフ・スターリンの額にはヒルが数匹吸い付いていたという俗説が存在する。
日本の山間部の雑貨屋や、よろず屋などの生活用品雑貨店では、マムシに咬まれたときヒルに毒を吸い出してもらうために売っていた。しかしここ近年では見かけなくなっていた。
[編集] 対策
帽子・長袖・長ズボン・厚手の靴下・長靴(あるいはしっかりした登山靴)を着用し、首筋にタオルを巻いたり、靴とズボンの隙間をガムテープを巻くなどして極力肌の露出を避ける。ただし、ズボンを着用している状態であっても、ズボンを這い上がったのちに上着の隙間から入り込んで腹部に吸着する場合があるので、なお一層の注意が必要である。
市販のヒル忌避薬を使用すると効果的である。また、木酢液を足元や首筋に塗ったり、蚊取り線香を焚くと忌避効果があると言われている。また、上記ヒル忌避薬の主成分はディートであるため、ディート含有率の高い虫除けスプレーでも代用でき、ディート含有率の低いものであっても一時的ながら効果がある。最近では、子供を持つ母親によるディート離れの活動が起きている。現在ディート無添加のヒル忌避剤も発売されている。
[編集] 処置
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ヒルに食いつかれたとき、掴んで無理矢理剥がそうとすると傷口を広げて出血量を増やす危険性があるので、無理に引き剥がしてはならない。一般に、無理矢理剥がそうとすると歯が残ると言われることがあるが、これは迷信である。似た環境に棲むマダニと混同している可能性が高い、マダニは頭部が千切れ残る恐れがある。
ヒルにタバコの火を尻に押し付ける、ライターで尻尾を炙るなど刺激を与えると自分から離れて落ちる。食塩、食塩水、消毒用エタノール、酸性水をかける方法も有効である。しょうゆ、ソース、食酢でも離れる。この時ヒルは吸った血を吐き出し、血だらけになる。
ヒルを取り除いた後は、ヒルに注入されたヒルディン(ヒルジン)を傷口から指を使って絞り出す。ヒルディンは血液が固まらないようにする酵素なので、この処置を怠ると出血が長引いてしまう。次に傷口を水で洗い流し、きれいにする。市販の抗ヒスタミン剤を塗布する。この時にアンモニアが入った消毒液を使用してはならない。アンモニアはヒルによる傷を悪化させて、数か月に及び回復しない症状をひきおこしてしまう。
吸血したヒルが皮膚から離れた後、ヒルの体液に含まれる抗血液凝固物質へパリン様物質の作用により、咬傷部からは数時間ほど出血が続く。放置した場合、ヒル腸内の常在菌 (Aeromonas hydrophila) による創傷感染も報告されている。報告は局所の軽度感染例が多いが、敗血症や患肢切断に至った重傷例もある。したがって、患部から血を絞り出し、ヒルの分泌物を排出し、水洗い、消毒した後に絆創膏等で止血をするとよいとされる。特に湖水(河川、溜池、田圃)は感染症の危険が大きい。また、まれにアレルギー反応を起こす場合があるので、症状が出た場合は救急車を呼ぶ。近時、ハイカーが大量のヤマビルに噛まれる「事件」が関東の登山道で報告されている。
[編集] 分類
3亜綱に分ける。そのうちのヒルミミズ亜綱は、かつて貧毛綱として扱われたもので、ヒル綱と貧毛綱との中間的な性質が見られる。
他の分類は
[編集] 脚注
- ^ (2003). “Leeches To Treat Knee Osteoarthritis”Annals of Internal Medicine 139 (9): I-22. American College of Physicians. ISSN 0003-4819.
[編集] 参考文献
[編集] 関連項目
[編集] 外部リンク
- “Hirudinea Lamarck, 1818”. ITIS. 2011年11月17日閲覧。 (英語)
- Hirudinea - National Center for Biotechnology Information (NCBI) (英語)
- Hirudinea - Encyclopedia of Life (英語)