ニカラグア運河

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1899年に描かれたニカラグア運河の地図

ニカラグア運河 (Canal de Nicaragua) は、カリブ海太平洋大西洋を結ぶ運河の計画。太平洋に近いニカラグア湖とそこからカリブ海に流れるサン・フアン川を利用するルートが想定されている。

歴史[編集]

アメリカによる運河構想[編集]

狭い中米地峡に運河を作る構想はスペインによるアメリカ大陸植民開始の直後からあり、19世紀始めにはナポレオン三世もニカラグア運河計画の実現可能性が高いことを著した。もう一つの有力ルートであるパナマ運河フランスが開鑿に着手したが、19世紀末に頓挫。20世紀になって大西洋と太平洋に国土がまたがるアメリカ合衆国が中米運河計画に乗り出したが、ニカラグア運河にはモモトンボの噴火による危険などを指摘する反対論があり、パナマ運河を1914年に開通させた。

日本への影響[編集]

1891年1月27日、東京地学協会例会において、アメリカ合衆国海軍アジア艦隊(Asiatic Squadron)所属アライアンス号(USS Alliance)艦長ヘンリー・クレイ・テイラー(Henry Clay Taylor)が行った演説「ニカラガ運河開鑿企業に就て」[1]によって、建設計画が日本に知られることとなった。在京各紙は演説内容を報じ、福澤諭吉が執筆した『時事新報』社説など、世界交通路の変化が日本に国際貿易上の好機をもたらすとの期待を生じさせた[2]1894年7月から翌年3月にかけて外務省が根本正を派遣した中南米調査報告のなかにも、ニカラグア運河についての記述が残る[3]

中国の参入[編集]

その後もニカラグア国内では運河の実現を夢見る動きが続いてきた。オルテガ政権は2013年6月、中国政府と関係があるとみられる香港系企業に新運河の計画・建設・運営を認めることを決定した[4]。この香港企業(HKニカラグア運河開発投資会社)は、中国で信威通信産業集団を経営する大富豪、王靖が経営しており、プロジェクトの資金として投資家から400億ドルを既に集めて2014年12月には着工を予定している[5]。最終的に決定されたルートは、大西洋側はプンタ・ゴルダ川の河口付近から始まり、ニカラグア湖を経由し、ブリト川を通って太平洋側に抜けるというもので、完成すれば全長 278km の世界最長の運河となる[5]。このプロジェクトの実現可能性を疑問視する声も多いが、オルテガ大統領側は工事が生み出す5万もの雇用の経済効果を強調している[5]

環境への影響[編集]

ニカラグア湖には、ノコギリエイオオメジロザメのような希少な生物をはじめとする豊かな水棲動物群が生息している。太平洋や大西洋を通ってきた船が行き来することがニカラグア湖の生態系に打撃を与えるとして、環境保護主義運動などから運河建設に対する心配が寄せられている[5]

脚注[編集]

  1. ^ 東京地学協会報告第10号、1891年1月。
  2. ^ 当該社説は、福澤諭吉著『実業論』(1893年刊)に再録されている。
  3. ^ 南米伯刺西爾・中米尼加拉瓦・瓦地馬拉・西印度ゴアデロプ探検報告』外務省通商局、1895年5月(同年3月付外務次官林董宛根本正探検復命書)のうち、第2編第13章
  4. ^ 産経新聞2013年6月25日
  5. ^ a b c d パナマ運河を超えるニカラグア運河、まもなく着工予定”. WIRED.jp (2014年7月27日). 2014年8月11日閲覧。

関連文献[編集]

  • 金澤宏明「中米地峡運河とハワイ--アメリカ海外膨張のレトリックと実態」太平洋学会誌98、2009年3月。