キア・グランバード

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キア・グランバード
現行モデル フロント
現行モデル リア
概要
製造国 韓国光州広域市光山区
販売期間 1994年 -
ボディ
駆動方式 後輪駆動
パワートレイン
エンジン F17E(1994年 - 2000年
EF750(1994年 - 2000年)
D6AC(1999年 - 2003年
パワーテック(D6Cシリーズ、2001年 - )
H型エンジン(D6Hシリーズ)
最高出力 440馬力
最大トルク 214kg・m
変速機 5速MT現代トランシス
6速MT(ZF
6速AT(ZFエコライフ)
系譜
先代 キア・AM939
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グランバードKia/Asia Granbird)は、韓国亜細亜自動車および吸収合併後のKIAが製造・販売しているハイデッカータイプの大型観光バスである。亜細亜自動車が発売した車種のうち、軍用車を除き唯一現在も生産されている車種であり、またKIAが現在も生産している唯一のバスである。

初代(AM948/AM949型、1994年8月 - 2007年11月)[編集]

グランバード[編集]

1994年8月に発売。当初は亜細亜自動車がAM948/AM949型グランバードとして製造していたが、KIAが現代自動車に買収された後はKM948/KM949型グランバードに変更された。亜細亜自動車が発売し、KIAに継承された車種の中で唯一現在も生産される長寿モデルであり、光州広域市光山区特殊車両工場で生産されていた。プラットフォーム初代FD/FS系日野・セレガをベースにしているが、当時の大宇バスや現代自動車は他国の技術とデザインを用いて韓国で製造していたのに対し、グランバードはエンジンとプラットフォームを除き独自のデザインで1995年に韓国の商用車としては初となるグッドデザイン賞およびSD賞を受賞した。2007年11月29日フルモデルチェンジされた2代目モデルのニューグランバードが登場するまで、ラジエーターグリルフォグランプダッシュボードなどが一部変更されただけで、全体的なデザインは大きく変更されていないという特徴があり、韓国においては現在もよく遭遇するバスである。典型的なRR方式で、エアサスペンションが標準装備されているが、リーフサスペンションは選択不可である。当初は日野自動車V型8気筒EF750型エンジンF17E型エンジンを搭載していたが、KIAが現代グループ傘下になってからは、現代自動車のQ型エンジンパワーテックの380馬力、410馬力のエンジンに変更された。パワーテックのエンジンは2000年からブルースカイ、サンシャインにオプションで設定され、その後グリーンフィールドではオプション、それ以上は標準装備になり、410馬力のエンジンは2004年にQ型エンジンが廃止された時点からグリーンフィールドを除くすべての車種にオプションで設定された。シートは、当初は亜細亜自動車独自のものを装着していたが、現在は現代自動車、大宇バスと同様のシートをオプションとして設定し、基本的には大宇バスのシートを装着するが、搬入時に追加費用を払えば現代自動車のシートを装着することもできる。また、2002年のワールドカップで使用された。

当初のモデルは前輪とドアとの距離が長く、従来のモデルのAM型バスと同一の角型のダッシュボードを採用していたが、1997年マイナーチェンジで前輪とドアの距離が短くなり、流線型のダッシュボードが採用された。

グランバードミニ

1995年ソウルモーターショーニューコスモスとして初出展。その後、2002年のソウルモーターショーで「グランバードミニ」として改めて出展したが、メーカーの都合で発売には至らなかった。大宇・BH090ロイヤルスターと同様の全長9mの中型バスであった。

グランバードサルーン

1995年のソウルモーターショーでグランバードサルーンとしてスーパーハイデッカーコンセプトカーを初出展。なお、国内実情に合わず発売には至らなかった。現在、光州工場に放置されている。

グランバードシティ

1997年直行座席バスとして試験的に生産された11.5mのモデル。グランバードグリーンフィールドをベースに開発された。1996年当時、エアロスペースLS大宇・BH115Hロイヤルエクスプレスの競合車として、エアサスペンションやスイングドアを標準装備した。 またAVシステム、などがなく、リクライニングも不可能なシートを採用し、料金箱降車ベルのみが設置された低価格の普及モデルであった。日野自動車のV型8気筒EF750型エンジンを搭載したため、他社の同級モデルと比較して燃費が悪く、市内バス会社の導入率は非常に少なく、韓国で唯一、ソウル特別市の企業で50番、51番、129番、129-1番など一部の路線に限り10台ほどが導入されたが、すぐに廃止された。後継車種はグランバードブルースカイをベースにしたニューグランバードマルチである。

グランバードSD1グリーンフィールド

1997年8月に発売された11.5mのスタンダードデッカーの下位モデル。主に市外バス会社が多数導入し、2004年にグランバードSD1スーパーグリーンフィールドにリニューアルされた。全299台である。

グランバードSD1スーパーグリーンフィールド

グリーンフィールドのリニューアルモデル。慶尚北道慶州市などの一部地域では、市内バスとしても導入されたことがある。

グランバードSD2パークウェイ

1997年のマイナーチェンジ時に初登場した、12mのスタンダードデッカー。競合車よりも多数生産された。パワーテックのエンジンを標準装備し、多数の市外バス会社や観光バス会社が導入した。2002年にグランバードSD2スーパーパークウェイにリニューアルされた。

グランバードSD2スーパーパークウェイ

12mのスタンダードデッカー。多数の空港バス会社や市外バス会社、観光バス会社が導入した。

グランバードHDマイルドブリーズ/ブルースカイ/サンシャイン

12mのハイデッカー。観光バスおよび自家用バスのマイルドブリーズ、一般高速バスのブルースカイ、優等高速バスのサンシャインの3種類で生産されていたが、その後一般高速バス・優等高速バスともにグランバードスーパープレミアムサンシャインに統合して生産された。なお、ブルースカイはフェイスリフトと同時に12.5mのスタンダードデッカーに変更して再販された。

グランバードスーパープレミアムサンシャイン

12mのハイデッカー。多数の高速バス会社が導入した。新型スーパープレミアムシャインも多数導入されている。一部は市外バスとしても導入された。観光バス会社にも好評であった。その後、ニューグランバードサンシャインとしてリニューアルを行った。また、現行モデルからはグランバードスーパープレミアムとなり、現行グランバードサンシャインも車名をグランバードスーパープレミアムサンシャインと改めることになった。

2代目(AM958/AM959型、2007年11月 - )[編集]

ニューグランバード  [編集]

2007年11月29日にフルモデルチェンジ[1]、車名をニューグランバードに改めた。元々搭載していた410馬力のQ型エンジンから425馬力のH型エンジンに変更した。トランスミッション現代ダイモスの前進5速/後進1速ギアやZFの前進6速/後進1速ギアのマニュアルトランスミッションをオプションで設定し、従来のモデルは大宇・FXヒュンダイ・ユニバースとは異なり、オートマチックトランスミッションは選択不可だったが、2015年のユーロ6モデルの発売とともにオートマチックトランスミッションがオプションとして設定された。また、シートは現代自動車、大宇バスと同一のシートをオプションとして設定し、基本的には大宇バスのシートを装着するが、搬入時に追加費用を払えば現代自動車のシートを装着することもできる。2010年、ニューグランドバードのマイナーチェンジモデルである2013年型ニューグランバードイノベーションが公開され、同年9月10日に正式に発売された。外観はHDのみ変更されたが、内装はSD、HD問わず変更された。2012年7月ポータブルカセットプレーヤーからオーディオCDへ変更、フロントガーニッシュとドアのシステムの改良、全席ELRシートベルトドアブザーの追加などの変更が加えられた。2014年12月2015年排出ガス規制がユーロ6に強化されることに備え、エンジンをパワーテックの440馬力のH430型エンジンに変更し、尿素SCRシステムが追加され、サイドマーカーランプの採用とLEDフォグランプやLED DRLなどの外観と内装が大幅に変更された2015年型モデルが発売された。2017年衝突被害軽減ブレーキのAEBSと車線逸脱防止支援システムのLDWSが追加された。2019年からはシートに3点式シートベルトが採用された。また、H型エンジン限定オプションだったZF・アストロニック12速セミオートマチックトランスミッションを廃止し、ZF・エコライフ6速オートマチックトランスミッションを新たにオプションとして設定した。ZF6速オートマチックトランスミッションはボタン式である。2020年7月に大幅改良されたグランバードスーパープレミアムが発売され、生産終了となった。

ニューグランバードグリーンフィールド

スーパーグリーンフィールドのリニューアルモデル。2010年運転席などマイナーチェンジがあり、2012年7月にはクロームメッキが施された。導入する会社はそれほど多くなく、2013年12月から受注生産方式に変更された。2014年12月2015年に排ガス規制がユーロ6に強化されることに備え、エンジンをパワーテックの440馬力のH430型エンジンに変更および尿素SCRシステムが追加され、サイドマーカーランプの採用など外観と内装が大幅に変更された2015年型が発売された。

ニューグランバードパークウェイ

スーパーパークウェイのリニューアルモデル。多くの観光バス会社や市外バス会社が導入し、2010年には運転席などマイナーチェンジがあり、2012年7月にはクロームメッキが施された。2014年12月2015年に排気ガス規制がユーロ6に強化されることに備え、エンジンをパワーテックの440馬力のH430型エンジンに変更および尿素SCRシステムが追加され、サイドマーカーランプの採用など外観と内装が大幅に変更された2015年型が発売された。

ニューグランバードブルースカイ

2009年に発売された12.5mのスタンダードデッカー。フェイスリフト前のブルースカイは、12mのハイデッカーで41/45席の一般高速モデルであった。2010年に運転席などマイナーチェンジがあり、2012年7月にはクロームメッキが施された。なお、高価なためあまり売れ行きは良くないのが現状である。慶尚北道亀尾市が1号車を導入し、それに続くように一部の市外バス会社や空港バス会社が導入した。2014年12月2015年に排気ガス規制がユーロ6に強化されることに備え、エンジンをパワーテックの440馬力のH430型エンジンに変更および尿素SCRシステムが追加され、サイドマーカーランプの採用など外観と内装が大幅に変更された2015年型が発売された。2015年11月には路線バスのマルチが発売された。

ニューグランバードサンシャイン

スーパープレミアムのリニューアルモデル。元々ブルースカイと統合されてスーパープレミアムサンシャインとして販売されていたが、サンシャインに変更し独立した。2010年ヘッドランプのデザインを変更、リアガラスの下部にサンシェードを装着するなど、マイナーチェンジを行った。韓国においては現在も一部の会社で遭遇することができる。高速バス以外にも、市外バスとしても一部導入された。また、シルクロードよりもサンシャインの方が好評である。2014年12月2015年に排気ガス規制がユーロ6に強化されることに備え、エンジンをパワーテックの440馬力のH430型エンジンに変更および尿素SCRシステムが追加され、サイドマーカーランプの採用など外観と内装が大幅に変更された2015年型が発売された。2019年1月にはプレミアム仕様が追加され、2019年末にはZF・エコライフ6速オートマチックトランスミッションを採用したサンシャインを初導入した。

ニューグランバードシルクロード

2007年11月のフルモデルチェンジ時に登場した、韓国初の12.49mの大型ハイデッカー。ホームページでは12.5mと表記されているが、実際は12.49mである。2010年、ヘッドランプのデザインを変更、リアガラスの下部にサンシェードを装着するなど、マイナーチェンジが行われた。主に観光バス、会社の送迎バスとして多数導入されている。2013年5月に一般高速バスとして初導入された。2013年10月、2回目は優等高速バスとして導入された。2014年12月2015年には排気ガス規制がユーロ6に強化されることに備え、エンジンをパワーテックの440馬力のH430型エンジンに変更および尿素SCRシステムが追加され、サイドマーカーランプの採用など外観と内装が大幅に変更された2015年型が発売された。高速バスや市外バスとしても利用できるが、高価なため顧客はパークウェイ、サンシャイン、2代目ブルースカイなどに流れていくのが現状である。フェイスリフト後もトリムは同一で、高速バスとしてサンシャイントリムが発売された。2016年11月にシルクロードがベースのプレミアム高速バスを発売する予定であったが、発売目前に電力関連の過負荷不具合が発見され、発売が2017年2月に延期された。2017年2月23日貸切バス会社に導入されたのを皮切りに、シルクロードプレミアムの正式販売を開始した。プレミアムゴールドエクスプレスと呼ばれるが、実際の車名はシルクロードのみである。

ニューグランバードスーパープレミアム[編集]

2020年5月14日にビッグマイナーチェンジモデルを発表。2007年登場の2代目モデルの発売以来13年ぶりに発表された新型モデルである。車名はニューグランバードスーパープレミアムである。事前予約5月14日からで、7月に正式発売した。従来のモデルより室内高を80mm高め、室内幅を120mm拡大した。同クラス初のとなる装備を含む多くのシステムを搭載。燃料タンク保護構造を採用し、エンジンルームの火災に備えた消火設備、非常口を採用した。室内は従来のモデルとは異なり、運転席のダッシュボードにステアリングリモコンが装備された他、アナログ時計が装備され、10.25インチの大画面のカーナビゲーションが搭載される。マニュアルトランスミッションは従来のモデルと同一の位置に設置され、オートマチックトランスミッション搭載車はマニュアルトランスミッション搭載車の変速機がある位置にカップホルダーが装備される。ZF6速オートマチックトランスミッションは、ユニバースと同じく、従来のモデルのボタン式からコラム式に変更され、操作方法もユニバースと同一のロータリー方式である。 ユニバースとは異なり、SDも些細な違いだけで、ほぼ全く同一のデザインで統合される。2020年末には、COVID-19の長期化に合わせ、シート間に抗菌レースカーテンなどを備えたグランバードプライバシー31を発売。シート間の前後距離を従来のモデルの845mmから900mmに拡大し、シートのサイズも480mmから630mmに増して乗客のプライベート空間を拡大し、空気清浄機自動換気装置で車内環境を整えた[2][3]2021年型からは新たなKIAのエンブレムを採用。2022年には、ユニバースプライムEXと同クラスのグランバードシルクロードカムが追加された。2023年6月型からは、ウインカーとサイドマーカーランプが連動して点灯するように変更された。

ニューグランバードスーパープレミアムグリーンフィールド

ニューグランバードグリーンフィールドのリニューアルモデル。

ニューグランバードスーパープレミアムパークウェイ

ニューグランバードパークウェイのリニューアルモデル。

ニューグランバードスーパープレミアムブルースカイ

ニューグランバードブルースカイのリニューアルモデル。

ニューグランバードスーパープレミアムサンシャイン

ニューグランバードサンシャインのリニューアルモデル。

初代グランバードサンシャインの2005年 - 2007年型もグランバードスーパープレミアムサンシャインと呼称していた。

ニューグランバードスーパープレミアムシルクロードカム

12.5mのハイデッカーのエントリーモデル。2022年11月にシルクロードの廉価モデルとして発売された。車体は既存のシルクロードと同じ12.5m HDだが、側面のBピラーを排除し、ルーバーもSDであるグリーンフィールド/パークウェイ/ブルースカイと同一で、室内側面のベルトラインもSDであるグリーンフィールド/パークウェイ/ブルースカイと同一の茶色になっている。シートもプレミアムユーロシートが装着されるサンシャイン/シルクロードとは異なり、グリーンフィールドに装着される基本のシートが装着される。価格差は既存のシルクロードより1000万ウォンから2000万ウォン低価格である。

ニューグランバードスーパープレミアムシルクロード

ニューグランバードシルクロードのリニューアルモデル。

脚注[編集]

  1. ^ 起亜自、高級大型バス新モデルを発売 - NNA ASIA・韓国・車両”. NNA.ASIA. 2024年3月28日閲覧。
  2. ^ 日本語ニュースチーム (2020年12月9日). “起亜自 「コロナ時代」の高級バス発売”. 聯合ニュース. 2024年3月28日閲覧。
  3. ^ 日本語ニュースチーム (2020年12月9日). “「非対面」仕様の高級バス”. 聯合ニュース. 2024年3月28日閲覧。

関連項目[編集]

外部リンク[編集]