アーンミーヤ

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アーンミーヤアラビア語:اللغة العامية アッ=ルガトゥ=ル=アーンミーヤ「通俗語」)とは、アラビア語の現代口語であり、文語であるフスハーの対義概念である。語義は「通俗語」であり、例えばラテン語に対する「俗ラテン語」のようなものである。アーンミーヤは多数の方言に分かれているが、これを「ラハジャ」(لهجة / Lahajah)と呼ぶ。実態としては、フスハーが中世以降娘言語としてのアーンミーヤに分裂し、口語としては死語となったため、アーンミーヤとフスハーの関係は、ヨーロッパでのロマンス諸語とラテン語、インドでの近代インド諸語とサンスクリット、中国での現代漢諸語と古典中国語の関係に相当する。

言語学者によっては、アラビア語の方言にマルタ語を含める場合もある。マルタ語はロマンス語からの借用語を非常に多く取り入れた点で特異であり、方言ではなく独自の言語であるとする学者も少なからずいるが、実態はその中間である。(アフリカーンス語オランダ語の関係に同じ。)アーンミーヤの正書法は確立されていないが、最も優勢なエジプト方言を中心に規範化の動きがある。 マグレブ方言(モロッコなどで使用される)・エジプト方言・アラビア半島の方言は、それぞれが意思疎通が難しいほど差がある。

アーンミーヤの起源としては、従来は古典北アラビア語の内のクライシュ方言(古典正則アラビア語や現代のフスハーの母体)が、イスラーム教と共に各地に広まり、長い年月の間に分化・変化していったと考えられていたが、現代ではイスラームを広めたアラブ戦士たちの母語にはさまざまな古典北アラビア語の方言が入り混じっており、それらが各土地ごとに交じり合い、土着の言語の影響も受けながら成立したのがアーンミーヤであるとする説もある。