アラン・ホールズワース

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アラン・ホールズワース
Allan Holdsworth
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基本情報
出生 1946年8月6日(68歳)
出身地 イングランドの旗 イングランド
ヨークシャー・アンド・ザ・ハンバー
ウェスト・ヨークシャー
ジャンル ジャズ
フュージョン
プログレッシヴ・ロック
担当楽器 ギター
活動期間 1969年~現在
共同作業者 イギンボトム・レンチ
イアン・カーズ・ニュークリアス
テンペスト
ソフト・マシーン
ニュー・トニー・ウィリアムス・ライフタイム
ゴング
U.K.
ブラッフォード
ゴードン・ベック
チャド・ワッカーマン
ソフト・ワークス
テリー・ボジオ
公式サイト The Real Allan Holdsworth.com

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アラン・ホールズワースAllan Holdsworth1946年8月6日 - )は、イギリス出身、アメリカ在住のギタリスト。主にロックおよびジャズフュージョン界で活躍。卓越した技巧を持ち、個性的な演奏を聴かせる。

略歴[編集]

イギリス・ウェスト・ヨークシャー出身。父は音楽家。最初の楽器はサックスクラリネット、17歳からギターを弾く。1969年に、イギンボトム・レンチのギタリストとしてデビュー(リード・ボーカルも担当している)。その後、イアン・カーズ・ニュークリアス、テンペストソフト・マシーンニュー・トニー・ウィリアムス・ライフタイムゴングなどといったプログレッシブ・ロックジャズ・ロックのバンドを渡り歩いて名声を高めた。

1978年には、プログレ界の大物が集ったU.K.に参加した。しかし、音楽的方向性の違いから、こちらもアルバム1枚で、ビル・ブラッフォードと一緒に脱退する。その後は、ビル・ブラッフォードとブラッフォードを結成したが、これもアルバム1枚で脱退する。

1980年代にはレコード会社と契約できない時期が続いたが、自主制作にて『i.o.u.』を発表後、ホールズワースに私淑するエディ・ヴァン・ヘイレンの助けを得て『Road Games』を発表してからは、ソロ・アーティストとして順調にアルバムを発表するようになる。音楽的にはフュージョンに分類されるが、数多いギタリストの中でも、屈指の高度な技巧を存分に発揮し、今日までジャンルにかかわらず、ミュージシャンズ・ミュージシャンとしてその名を広く知らしめるようになった。2003年には、ソフト・ワークスソフト・マシーンの元メンバーによるバンド)でも活動している。

2008年から2010年にかけてはソロでの活動だけでなく、テリー・ボジオトニー・レヴィンパット・マステロットとの連名バンド(HoBoLeMaとも称される)でもツアーを行っている(演奏曲はすべて即興)。

2009年、次回作がスティーヴ・ヴァイのレーベルフェイヴァード・ネイションズからリリースされることを仄めかしているが、現在[いつ?]の所具体的な動きは見られない。

2011年2月「彼は21世紀初めてとなるレコーディングを現在楽しんでいるよ」とギタリスト、ジミ・タナル 英語版がFacebookのコメントで語った[要出典]

演奏スタイル[編集]

コード演奏の際に、大きな手と長い指で弦を押さえるという、独特のワイドなストレッチを用いたコード・ボイシングは、彼の専売特許といわれ、一番の個性となっている。これは、彼がジャズ・ギターの複雑なコードをコピーする際に、彼自身の解釈でピアノのボイシングで弦を押さえたのがきっかけだったといわれている。それというのも、彼の父親はアマチュアのピアニストであり、幼いころから父の弾くピアノのコード音に感銘していたからだという。エディ・ヴァン・ヘイレンライトハンド奏法を始めたのは、ホールズワースの曲をコピーしたときに、左手の指が届かない音を右手の指でカバーしたのがきっかけだったといわれているが、この説に対してホールズワースは異論を唱えていて、実際ホールズワースがUKでアメリカツアーをした時、UKは無名時代のヴァン・ヘイレンの前座であり、そのとき既にエディ・ヴァン・ヘイレンはタッピングを行っていたらしい。

隣接する弦への移動が少ないのも特徴で、このテクニックはスキッピングと呼ばれる。1980年代のテクニカルギタリストブーム以降この技法は常套手段とされているが、彼はこのテクニックを、ほとんどその活動の初期から用いていたようである。

また、できる限りピッキングの音をたてず、まるで息を吹き込むように、レガート(滑らか)にフレーズを弾くのも特徴のひとつであり、彼独特の透明感や、浮遊感を醸し出している(初期の演奏では、比較的ピッキングを多用している。また、ここ数年はプリングオフを全くしなくなったのでピッキングの頻度が上がっている)。ピックは極力人差し指と親指で緩く持ち、撫でるようにピッキングする。使用しているピックは材質がナイロンで厚さが1mmのJim Dumlop製。コードやアルペジオをフィンガーピッキングで行う事もある。

左手のレガートテクニックは特徴的ではあるが、連続したプリング・オフはあまりしないようである。これは、プリングした際に出る、「猫の鳴き声のような音(プリングノイズ)」が気に入らないからとのこと。なお、プリングの際には下側に弦を引っ張るのではなく、指で上側に弾いている。

フィンガリングでは対応できないレンジでの音階移動等では稀にタッピングを行う。場合によっては両手で二つの音を鳴らす和音タッピングや、コードを鳴らした上に右手のタッピングでメロディを重ねるというテクニックを見せる。また、ローディにナット側の弦をミュートさせ、タッピングの際鳴らしていない他の弦が鳴って、音が濁らないようにすることもある。全体的に見て、タッピングを行う事は余り多くないと言っていい。

ポジションも頻繁にチェンジする。レガートに弾いているのは事実であるが、スキッピング、ポジションチェンジや複雑なスケーリング]、アルペジオなどの組み合わせで、単純に目で見たからといって、一概には解読不能な演奏を展開している。

ビブラートはロック系ギタリストに多い、フレットと平行に弦を揺らす激しいものは使用せず、もっぱらクラシックギターの様に、弦と平行にビブラートを掛けている。アーミングによるビブラートは、後述するスタインバーガートランストレムのアームを短く切った物(もっとも短い物では4cm程度)を使い、右手の手刀で微妙なニュアンスのビブラートを掛けている。時折アームを後ろに回して押さえてビブラートを掛ける事もある。トランストレムの和音の平行移動機能よりも、トランストレムの柔らかいアームのタッチが気に入っている様で、むしろアームでビブラートを掛けるのに最も適したユニットとしてこれを選んでいる。

彼はインタビューの中で「指板上の運指のイメージから新たな音階を発想する」と言った事があり、この事は、彼の音楽的発想の特長と独自性を示すものである(トーナル・センターなどの、他人が考案した無調的な作曲技法は嫌いであるとのこと)。また、新たなスケールの着想が得られた場合は、カードにメモを取るらしく、そうしたカードのストックは膨大らしい。

フレージングとしては数学的な手法を用いて、フィンガリングパターンを視覚的に組み立てる。

使用機材[編集]

また彼は、機材に対する探究心も旺盛で、初期の頃から市販品に彼独自のアイデアを盛り込んだ改造ギターを使用していた。現在主流である、ストラトタイプのボディに、平たい指板と太いフレットハムバッキングピックアップを搭載するなどの改造は、彼のアイデアが大元であると言われる。ホールズワースがストラトキャスターを改造することに着眼したのは、もともとのストラトのスケールの長さと弦間ピッチの広さにアドヴァンテージを感じたからであると言われている。

ピックアップは、パッシブタイプの比較的出力の低いハムバッカーを用いるが、彼がセイモア・ダンカンに造らせたモデルは、ネジになったポールピースが両側に並ぶという独特の構造であり、彼によると、そうすることによって偏りの無い音が得られると考えているらしい。そのモデルの市販品は4芯だったが、彼が愛用しているのは単なるビニールカバーの銅線ではなくエナメル線を使用した2芯シールドと呼ばれるものである。現在は生産されていないが(カスタムショップ製は現在も市販)、かつては単体で販売されていた。このモデルは型式がsh-ah1であり、このモデルには59モデルがベースのものとJBモデルがベースのものの2種類が存在するといわれている。つまり出力的には異なるヴァリエーションも存在している。型式がSH-AH1になる以前は59bといわれるモデルを使用していたが、これもダブルアジャスタブルポールピース仕様のピックアップである。ダンカン以前の改造ストラトキャスターにはオリジナルのGibson PAFが搭載されていたらしいが、それをダンカンに交換した理由として、両方の違いが聞き分けられなかったからだとしている。アジャスタブルポールピースをダブルにするというのもホールズワース自身のアイデアであるらしい。ディック・ナイト製作による改造ストラキャスターを使用していた時期、数本のストラトの内、何本かはそれらのピックアップがディマジオ社のPAFモデルであった。ディマジオのピックアップには当初から出力の比較的高いモデルも存在していたが、ホールズワースはやはりPAFモデルのような低い出力のモデルを当初から好んで使用していた。ピックアップのアジャスタブルポールピースをダブルにするというアイデアであるが、ディマジオのPAFなどはアレンタイプのスクリューではあるが当初からそれらがダブルに配置されそれぞれのポールピースがレンチで調整可能であったことから、それをマイナス螺子に応用したという事かもしれない。そういう意味ではまったくオリジナルなアイデアでは無いが、マイナス螺子のポールピースを二重にすると言うアイデアは間違いなくホールズワースの発案によるものだろう。

アンプも、現在までマーシャルメサ・ブギー、ヒュースアンドケトナー等様々な真空管式アンプを使用しているが、使用時にトラブルのより少ないデジタルアンプなどのトランジスタタイプのアンプも多用している。これは、彼の行う音作りに通じた考えである。それというのも、アナログ機材しか存在しなかった時代から、意図的に低域をカットしたような、高域が金属的であるホーンライクな音作りが好みであることもあり、デジタル機材特有の低域不足も気にならないためということが考えられる。

また、機材の自作も行う。有名なのは、彼が「ハーネス」と呼んでいたラックで、アンプとスピーカーの間に挟んで使用していた。「ハーネス」は彼の説明によると、市販のパワーアッテネーターとは違い、アンプの音質を一切損なうこと無く、ボリュームを下げることができるとしていた。つまり、機材の自作とともに回路の設計も行っていたことになる。このことからも、どういう音が欲しいのかを、彼なりに論理的に思い描いているということはいえる。このハーネスを市販化したものが、ロックトロン社のジュースエクストラクターである。ジュースエクストラクターは、3バンドパラメトリックイコライザーを備えて、信号をラインレベルに変換し、音量の15%をカットする。

「ハーネス」もそうだが、完全に平面な指板や、対称のポールピースを持ったピックアップ、ストラップピンをネックの延長上に取り付けるなど、周囲が理解できないようなこだわりも多くある。確かにスペックとしては試行錯誤のたまものであり、彼が一般化させたアイデアは、広範囲に及んでいる。

これまで主に使用していたギターにはビル・ディラップによるカスタムギターがある。これはスタインバーガーのパーツを流用したヘッドレスで、ボディおよびネックが木製(オリジナルのスタインバーガーは、ネックがグラファイトカーボンを独自の配合で混合した合成樹脂である)。ボディをチャンバー構造とすることで、弦のなりを生音から増幅する。これはもともとGLシリーズなどのコンパクトすぎるスタインバーガーの特徴的なボディデザインからくる予期せぬ欠点(鳴りの小ささ)を改良している。またトレモロアームを最も短いものでは4〜5cm程度まで短くカットし、それに独自のシェイプを持たせるような改造も取り入れられた(デヴィッド・ギルモアなどもアームをカットするような改造を近年では取り入れているが、恐らくこの手のモディファイも、それを最初に考え出したのはホールズワースだろう)。ピックアップはセイモア・ダンカンのアラン・ホールズワースモデル。前述の通り全てのポールピースがマイナスドライヴァーで調整できるようになっているのが特徴で、これはアラン本人がピックアップ自体を調整して、それぞれの弦に対してバラつきの無いフラットな音質を得るために採用している。ピックアップはブリッジ側のみ。このレイアウトを取り入れたのはエドワード・ヴァン・ヘイレンが最初だったが、それ以降変遷を経て、アランはこれを採用し続けている。其の理由として演奏中に音が変わることが、彼の観点からは好ましくないかららしい。

また、近年のインタビューでは磁力の低いピックアップを使う理由として、それが強い磁力のものでは弦の振動に悪い影響を与えるためと語っている。実際、ピックアップが一つだけのレイアウトやシングルコイルピックアップの不使用などはそうした理由からとも考えられる(一般的にシングルコイルピックアップは磁力が強い)。この他にも、ノーマルチューニングと完全五度チューニングのダブルネックギター、フルスケールのベースよりも長い超ロングスケールのバリトンギター、通常のギターより高い音が得られるピッコロギターなどをディラップにオーダーし、使用していた。またスタインバーガーGL-2Tのトップをサウンドホールを設けたスプルース材にする改造を施したギターもビル・ディラップの手によるものである。彼はかつて「木製のギターを弾くことに飽きていた」と語っていたが、「JAZZLIFE」誌のインタビューではディラップ製のギターを含め「これも実験の一つに過ぎない」と語っていた。

スタインバーガーからは極わずかながら、アラン・ホールズワースモデルのGL2Tが発売されていた。ピックアップが前述したセイモア・ダンカン製アラン・ホールズワースモデルが二つ、フラットな指板、そして従来GLシリーズに採用されたアクティヴサーキットが廃された、極めてシンプルな仕様となっている。近年は殆ど使用する機会が無かったが、現在も時折使用しているようである。ビル・ディラップのギターもそうであるが、非常にコンパクトな事から、ソフトケースに収めると航空機の座席に手荷物扱いで持ち込む事ができる。そうした利便性もスタインバーガーを気に入っている理由の一つである。

その他のギターとして、カーヴィン製のギターを使用している。テレキャスターに似たボディ形状、(バスウッドコアのトップを合わせたホロウボディ)と、カーヴィン製2ハムバッキングピックアップ、チューン・O・マチックブリッジとストップテールピースといった仕様になっている(ヴァリエーションとしてトレモロユニット付きも存在する)。カーヴィンとの契約関係は現在も継続しているが、ヘッドレスギターを求めているにもかかわらずそれを造ることがライセンスの問題で出来ないので、それが悩みの種と本人は語っていた。しかしライセンス関係の問題が解決した2011年より、ヘッドレス仕様のアラン・ホールズワースモデルがアーム付きとアーム無し(1ピックアップと2ピックアップのモデルが存在する)それぞれが登場した。カーヴィン製のギターの幾つかにはRolandのヘクサデヴァイディッドピックアップと其の回路が組み込まれている。これはRolandのVG-8をコントロールする為のもので、VG-8自体はミュージシャンとしても尊敬しているジョン・マクラフリンから勧められた。VG-8システムは謂うまでもなくシンタックスの代替的なシンセサイザーとしての役割の為にホールズワースに見いだされたもので、カーヴィン製のギターをツアーで使用していた時期はソロでも可成りの頻度でVG-8を使用している。

この他にも、ヤマハの新製品開発やアーティストリレーションを担当しているYGD(YAMAHA Guitar Development※現在は名称が改められている)のスタッフ、ジョン・ガデッシィが製作したヘッドレスギターを使用している。ボディが一見金属で出来ているようなルックスのギターで(実際はバスウッドボディ)、1フレットにアルバム"ウォーデンクリフ・タワー"のAHロゴのインレイが施されている他、ネックの側面にLEDが取り付けられているのが特徴である。彼曰く、「ジョンが工場の余暇時間に片手間で作っていたから、完成まで四年掛かった」との事。以前発売されていた「UD-Stomp」等のエフェクターやDGシリーズデジタルアンプの開発に参加するなど、彼はヤマハの製品をかなり高く評価している。特にDGシリーズのデジタルアンプはかなり気に入っていたようで、デジタルアンプが隆盛だった時期すべてのデジタルアンプを試したらしい。結果的にヤマハを使うようになったが、デジタルアンプ以前でトランジスタではあるがチューブ式のような音が出るとされたピアースというメーカーのアンプを一時期メインで使用していた。ヒュースアンドケトナー製のアンプではその使用の初期にZenteraというデジタルモデリングアンプをリズム用に使用していたが、その後真空管式のSwitchbladeモデルに変更している。一時期使用していたヤマハのデジタルアンプであるが、それはチューブの動作をこそシミュレートしているが他社のデジタルアンプのように既に存在しているアンプをシミュレートしたモノではなく、その部分こそがホールズワースが評価していた点であった。

また、ラインドライヴァー/ディストーションの使用であるが、ホールズワースはそのクリーンブースト機能を使用しているだけで、ディストーション機能は一切使用していない。ブースターによりクリーンブーストすることで、比較的低い磁力のピックアップでも十分なサスティンが得られるようで、歪みの少ないリード音を出力している。以前は軽いディストーションを使用することもあったが、本人は「あくまでもサスティンを得る為に使っているだけで、必要悪のような物」とまで言い切っていた。

かつてはギターシンセサイザーを頻繁に使用していたことがある。アルバム"アタヴァクロン"のジャケットでも見られるシンタックス(SynthAxe)を使用していたが、音源モジュールを含めた楽器自体が非常に高価な事と、シンタックスを生産していたメーカーが倒産してしまい、メーカーからのサポート(パーツや修理等)が不可能となった事からライヴでの使用を取り止めている(アルバム、Flat Tireはほぼ全編シンタックスによる録音である)。古いAtariのラップトップコンピュータを所有しているが、其の理由はシンタックスに接続できる唯一のコンピュータがそれであるため(ソフトウェアはCubase)。一時期はギターを完全に捨て、シンタックスのみを演奏する事も考えていたが前述の通りシンタックスの供給が途切れたためギターに戻る事にしたらしい。シンタックスは基本的には音源を操作するギター型のコントローラである。其の為にシンセサイザーユニットが別途必要になるが、初期の音源ユニットとしてのシンセサイザーはオーバーハイムOB-8とマトリックス12、およびヤマハのTX-16であった。特にマトリックス12については、鍵盤部分で操作していない事を示すため鍵盤部分が取り除かれていた。これらのオーバーハイム社製の機材もシンタックスの供給元の倒産を機に売り払われた。ライヴでヤマハのTX音源を鳴らす際にはブレス・コントローラーのチューブを口にくわえて抑揚をコントロールしていた。

かつてはグローバー・ジャクソンに特注したシャーベルや、アイバニーズのアラン・ホールズワースモデル等も使用していた。リアピックアップのみのストラトタイプであるが、フロントピックアップからリアピックアップ直前までが大きくくり抜かれた構造になっており、ピックガードでカバーをすることによって計量化と「箱鳴り」を得られる構造になっていたのが特徴である。またグローバー・ジャクソンとはボディ材の実験なども行っている。同じタイプのギターをそれぞれスプルース、ジェラトン、バスウッドと違う木材を用いてボディを製作し、電装系は全く同じ物を使用したところ、スプルースは全く使い物にならない酷い音質で、ジェラトンはまずまず、そしてバスウッドがアランの好みのフラットで自然な音質が得られたことから、以後の彼のギターは木製ボディに限ってはバスウッドが主体になっている。シャーベル製のストラトを使い出したのはIOUあたりの時期であったが、もともとストラトの改造オーダーはイギリスの製作者ディック・ナイトに依頼していた。結局そのときのストラトに盛り込むアイデアがもともとのストラトを改造するのでは不可能だったので、グローヴァー・ジャクソンに一から製作してもらうことにしたらしい。

弦は一貫してラ・ベラを使用している。メーカーが小規模ゆえ、ヘッドレスギターに対応したバリトンギターピッコロギター等の特殊な弦の彼からのオーダーにも柔軟に応え、供給している。

録音機材にコンピュータを使うのが好きではないらしく、レコーダーもスタンドアローンのデジタルハードディスクレコーダーにこだわっている。現在、フェイバードネーションズから発売予定の音源のレコーディングが進まないのも理由はその辺であるらしい(機材の未調達)。レコーディングのフォーマットはサンプルレートが96KHz。デジタルを使うと音質的にはデジタルボードのサミングの問題で、その点については気に入らないらしいが、それでもそれはアナログコンソールでの録音より好ましいと考えているようである。デジタルレコーディング自体は気に入っているものの現在の主流であるコンピュータベースのレコーディングには否定的である(2006年時点)。

俯瞰してみると、ギターの構造の変遷の中でも割合ほかのギターリストに見られないものがホロー構造の導入である。シャーベルのワンオフモデルなどからソリッドボディのギターにホロー構造となるルーティングを施し始めている。その後のアイバニーズ、スタインバーガー、ディラップ、カーヴィンでも同様の仕様が施された(例外あり)。ホールズワースが言うところでは、ギターにホロー構造を取り入れるとホロー独特の音響が得られると同時に音がある種減速して伝わる効果がありそこが気に入っているらしい。

現在、スタインバーガーのzt-3とともに古いスタインバーガーのGLモデルや新たにカントンというカスタムギタービルダーが制作したスタインバーガータイプのヘッドレスギターを使用している。(カントンの制作したギターの形状はスタインバーガーとは異なっている。)カントンギターはボディにホロー構造を取り入れた木製のギターである。カーヴィンのヘッドレス仕様のアラン・ホールズワースモデル登場後はその使用頻度が高くなっている模様。

ギター

ディスコグラフィー[編集]

スタジオ・アルバム[編集]

  • Velvet Darkness (1976) - 初のソロアルバムであるが、当人の意思に反して未完成のまま発売されてしまった。アラン自身はこのアルバムの存在を認めておらず、公式サイトのディスコグラフィーにも掲載されていない。
  • I.O.U. (1982)
  • Road Games (1983) - EP
  • Metal Fatigue (1985)
  • Atavachron (1986)
  • Sand (1987)
  • Secrets (1989)
  • Wardenclyffe Tower (1992)
  • Hard Hat Area (1993)
  • None Too Soon (1996)
  • Sixteen Men Of Tain (1999)
  • FLAT Tire: Music for a Non-Existent Movie (2001)
  • Against the Clock: The Best Of Allan Holdsworth (2005) - コンピレーション・アルバム

ライヴ・アルバム[編集]

  • I.O.U. Live (1997)
  • All Night Wrong (2002) - 六本木PIT INNでの演奏を収めたライヴ・アルバム
  • THEN! Live In Tokyo 1990 (2003)

その他[編集]

  • アランが推奨していた機材はしばしば、(Hughes & Kettner以外の)ほとんどが生産中止になってしまった。アラン自身もこのことをジョークにしている。
  • ビール好き。不遇時代にはビールの醸造所でアルバイトしていたことがある。(元の妻に慰謝料のかたに取られたスタジオはブリュワリー(ビール醸造所)スタジオという名前だった。)
  • ファースト・アルバム『ベルベット・ダークネス』のジャケットに映っている白いギブソン・SGは、ニュー・ライフ・タイム時代、当時のマネージャーが、アランに相談なしに売り払ってしまった。そのSG事件以来、ギター本体に思い入れするのをやめたという。
  • 離婚時に、それまで所有していた自分のスタジオを、前妻への慰謝料のかたに機材ごと取られてしまい、レコーディングにも事欠くようになった為、アルバム"Flat Tire"のレコーディングはやむなく前妻からスタジオを借りてレコーディングしたという。その際、スタジオは貸すけれど家には入らないようにと言われ、仕方なくスタジオの床で寝泊りして作業をしたと語っている。その為に"FlatTire"…「床の上でへとへと」という皮肉を込めたタイトルにしている。
  • 生活費のために自身のギター等の機材を売却する事も多々あり、日本のギターショップで彼の使用していたギターが販売されていた事もある。自分の手元に自分のギターが1本もない時期があり、その頃のインタビューでは「5万円のギャラをくれるなら日本でもどこでも演奏に行く」と言っている。エドワード・ヴァン・ヘイレンが不遇をかこっていた彼に協力を申し出て、レコード契約に漕ぎ着けたのは、アランが機材を全て手放してしまったという話を聞いたからだと言われている。2008年に来日した際のビル・ディラップ製のギターやアンプ等殆どの機材をレンタルで賄った。ギターはディラップ本人所有の物を借り入れ、アンプは国内でレンタルして調達した(使用したギターもその一本のみで通した)。
  • 本人の完璧主義に近い音へのこだわりから、ライブ音源が極端に少ない。六本木PIT-INNで収録されたライブアルバム"All Night Wrong"は、本人が適切にセッティングしておいたマイクを、食事に出かけている間に勝手に変えられてしまい、激怒したという。その時には「本当に音楽界から引退してやろうかと思った」と語っている。その皮肉を込めてタイトルを"All Night Long(一晩中)"を引っ掛けた"All NIght Wrong(夜通し間違っている)"としている。
  • セッションやソロアルバムでの音源にかなり好き嫌いが出ているようで、かつてアランのオフィシャルウェブサイトには「参加しなければよかったセッションリスト」が存在した。本人のアルバムで一番好きでは無いと語るアルバムはソロデビューとなった"Velvet Darkness"で、「私の意向を全く無視して完全に違法に製作された」とインタビューで述べている。逆に気に入っているアルバムは"I.O.U"と"Secrets"。ちなみにI.O.Uとは"I owe you"、つまり借用証書の意味。
  • エフェクターを床に置くのが嫌いなため、基本的にヴォリュームペダル以外のエフェクトはアンプの上かラックの上に置き手で操作する。
  • ギターのみならず、時折、ヴァイオリンもプレイしている。ソロ・アルバム "Velvet Darkness" でその腕を披露している他、ソフト・マシーンでのライヴでヴァイオリンを弾いている映像も残っている。
  • 彼のアルバムにはSEがジョークとして時折挟み込まれる事がある。アルバム"SECRETS"ではビールを注ぐ音やトイレを流す音が入っている。また"Wardencliffe Tower"には、"I hate Jazz!(俺はジャズが嫌いだ)"と騒いでいる男の声が入っている。アランいわく「たまたまスタジオに居たジャズが嫌いな男の声を使った(笑)。勿論、僕等はジャズが大好きだけどね」との事だ。
  • 趣味はパーツから集めて自作する自転車。ゴードン・ベックとの共演盤「The Things You See」のジャケット写真で彼が手にしているのは自転車のカタログ。またソロ・アルバムのジャケットや、彼のロゴなどに自転車の歯車を元にした形状のものが頻繁に使われているのも、彼のその趣味に由来している。

関連項目[編集]

外部リンク[編集]