たらい回し
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たらい回し(たらいまわし、盥回し)とは、たらいを足などで回す曲芸。転じて、面倒な案件などを部署間で押し付け合って責任逃れ(俗に言う「責任のなすり合い」)や責任転嫁などをすることをそう呼ぶようになった。
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[編集] 曲芸における「たらい回し」
明治、大正時代にかけて隆盛した曲芸の1つ。鉄割熊蔵による鉄割一座による足芸が有名。
次第に欧米との文化交流が活性化していく中で、海外ではその芸の価値を認められ、優れた芸人は欧米に招聘されてエンターティナーとして活躍した。かのエジソンにも感銘を与えたと言われ、その撮影した映像が残っている。
一方で、日本では欧米ほどにはその芸の価値を認められず、むしろ社会的に軽んぜられため、優れた芸人の海外への移住を促し、現在の日本ではもはやかつての優れた足芸の伝統を継承する者は途絶えてしまったという。
[編集] 外部リンク
- サーカスの夜明け-軽業芸人の海外交流
- Kawana Trio - 1919 - YouTube:たらい回しを樽で行っている。海外での撮影。
- Japanese Acrobats 1904 - YouTube:エジソンにより撮影された貴重な動画。
[編集] 医療における「たらい回し」
[編集] 概念
医療における「たらい回し」は、近年独特の意味で用いられているマスコミ用語である。報道で見られる用法のほとんどは「受け入れ不可能」の言い換えであり、119番通報した患者の元へ救急車でかけつけた救急隊員が、医療機関に受け入れ可能かを問い合わせ、「受け入れの人手・物資が足りない」などの理由で断られること、また医療機関がより高次の別の医療機関に搬送可能かを問い合わせて同様に断られることなどの事例がある。
近年では慢性的な医師・ベッドの不足などに端を発する医療崩壊により、患者がなかなか病院に受け入れてもらえず、最悪手遅れとなり死に至るケースもある。だが、実際にはかなり多くの例が、不可避な理由での「受け入れ不可能」な事例であり、それらを考慮せず一方的に病院・医師側が加害者であるかのごとく報道されてしまっているのが現状である[1]。また仮に万全ではないが患者を受け入れることができたとしても、患者を救命できなく訴訟になった場合に病院側が敗訴する可能性があることも「受け入れ不可能」の原因になっていると考えられる。
なお、救急受け入れ要請は救急隊が現場で患者をケアしつつ複数の病院に要請を行うのが常であり、患者の身柄があちこちへ「回されて」いる訳では無い。むしろ、受け入れ困難な病院に無理矢理押し込めば、その後の急変或いは入院ベッドが無いと言う理由で結局救急車を使って転院することになり、この場合は実際に患者の身柄が「たらい回し」される事となる。
この用法に関して医療側からは「不適切な用法で読者・視聴者の印象を歪めるものだ」と強い反発が出ている。また、真の原因である医療費削減問題や医療制度の不備といったシステム上の問題から目を背け、病院への安易な印象批判へと繋げることで医療崩壊の本質から国民の目を逸らしている、との批判がある。医療関係報道の問題に関連して、西川京子厚生労働副大臣は、「安全で安心な食物にコストがかかるという意識は国民の間に育ってきたが、医療の分野では国民の意識が育っていない。(中略)すべて受け入れる側が悪いという指摘の仕方ではなく、一緒に医療を構築するという方向性を持たないと不毛の議論になっていく」とコメントしている。
[編集] 現状
総務省の全国的調査によれば、「たらい回し」の主な原因は、「処置困難」が2~4割、「ベッド満床」が2割前後、「手術中・患者対応中」が2割前後、「専門外」が1割前後、「医師不在」が1割以下程度となっている。なお、ここでの「処置困難」とは医療機関が、傷病者の症状に対処する設備・資器材がない、手術スタッフが不足している、傷病者の症状から手に負えないことを理由に受入できないと回答したものを表す。近年の産科医療崩壊を反映して、照会回数4回以上の産科・周産期傷病者搬送事案は、平成16年の255件から平成19年の1084件と、4倍にも増加している。
最近の医療訴訟でも、<医師が専門的な知識を持っていたら救命できた>とか<専門医がおれば救命できた>などという病院側敗訴判決が連発され、それを反映して専門医がないのでその患者は受け入れできない(受け入れてはいけない)という解釈が医療側に定着しつつある。
[編集] 対策
[編集] 個人レベルで出来る対策
- 妊産婦の場合
妊娠してから出産まで一度も検診を受けていないまま救急車で病院に向かう、いわゆる「飛び込み出産」は妊婦の状態を医師が事前に知ることが出来ない上に、出産費用の踏み倒しや子供を置き去りにする事例も多く、産科医に忌避される傾向がある。早めに妊婦検診を受け、計画出産に持ち込むことが重要である。里帰り出産の場合は、出産予定日ギリギリに里帰りすることを避け、余裕を持って出産予定病院を事前に受診しておくことが重要である。問題が生じる可能性がある妊婦は早めに入院先を確保し、多少出産費用が高額になっても計画的な入院が望ましい。また、高度な治療を必要とするハイリスク妊娠は高齢妊娠例に多いため、産科医療崩壊から身を守る方法として個人レベルで出来る最も効果的な手段は出来るだけ若いうちに子供を産むということだと言える。
- その他の場合
2007年に兵庫県姫路市の男性が夜間吐血して18の病院を「たらい回し」された後に死亡したという事件があった。しかし、後の調べでこの患者は肝硬変症に起因する食道静脈瘤破裂で、消化器内科の疾患だったが、救急車に登場していた救命士は外科の当直医がいる病院を探していたことが判明した。しかも、当直医が消化器内科だと知るとそれ以上話さず、救命士の方から電話を切っている例もあった。肝硬変症などの持病がある場合は、急変時にどこの診療科に行くべきか事前に調べておき、救命士に伝えるようにしておけばこのような混乱は防げる。
[編集] 国家レベルで出来る対策
アメリカでは、1986年以降EMTALA(緊急的診療・分娩法)という法律があり、救急・出産に関し病院が症状安定の義務を負うため、たらいまわしができない構造になっている。病院は優先順位の高い患者から順に振り分け受け入れなくてはならないし、この症状安定の義務に反した場合厳しい罰則を受けることとなる(ただし医療過誤よりはるかに軽い)。この法律は、病院の救急車であっても病院の所有物とみなされ適応されるし、病院以外の救急車を調達する事は特別な理由を除き許されないとされている。しかし、米国では救急専門医による一次~三次まで兼ね備えた北米型救急救命室による万全の体制での診療であるのに対し、我が国では非救急専門医の当直体制により救急診療をまかなっていること、米国では患者転送を断る主な理由が経済的事情であるのに対し、我が国では人員不足・ベッド数などの設備不足であることなど、米国とは事情が決定的に異なっており、現状のままではそのような法律を適用することは難しい。
[編集] 外部リンク
- 平成20年中の救急搬送における医療機関の受入状況等実態調査の結果 (総務省消防庁, 2009/3/19)
- 救急搬送における医療機関の受入状況等実態調査の結果について (総務省消防庁, 2008/3/11)
- 「たらい回し」「搬送拒否」は適切な言葉? (All About, 妊娠・出産・教育 )
- 奈良「産科たらい回し」報道 マスコミの異常「医療バッシング」 (livedoorニュース 2007年09月03日)
- 「奈良心タンポナーデ事件」の判例 (大阪高等裁判所)
[編集] 文献
[編集] 関連項目
[編集] たらい回し関数
竹内関数の別名。たらい関数とも。

