「リゲル」の版間の差分

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
削除された内容 追加された内容
Nikm (会話 | 投稿記録)
+ {{1等星}}
Darkicebot (会話 | 投稿記録)
m ロボットによる 追加: simple:Rigel
171行目: 171行目:
[[ro:Rigel]]
[[ro:Rigel]]
[[ru:Ригель (звезда)]]
[[ru:Ригель (звезда)]]
[[simple:Rigel]]
[[sk:Rigel]]
[[sk:Rigel]]
[[sr:Ригел]]
[[sr:Ригел]]

2010年1月30日 (土) 07:27時点における版

リゲル
Rigel
仮符号・別名 オリオン座β星
星座 オリオン座
見かけの等級 (mv) 0.12 / 8.44 等
変光星型 不規則(僅少)
発見
発見方法 目視
位置
元期:J2000.0
赤経 (RA, α) 05h 14m 32.3s
赤緯 (Dec, δ) -08° 12' 06"
視線速度 (Rv) 20.7 km/秒
固有運動 (μ) 赤経:1.87 × 10-3 秒/年
赤緯:0.56 × 10-3 秒/年
年周視差 (π) (4.22 ± 0.81) × 10-3
距離 800 光年(240 パーセク
絶対等級 (MV) -7.2 等
物理的性質
半径 70 R
質量 17 M
スペクトル分類 B8Iab
光度 85,000 L以上(放射光度
表面温度 11,500K以上
色指数 (B-V) 0.03
色指数 (U-B) 0.66
他のカタログでの名称
アルゲバル, オリオン座β星 (β Ori),
オリオン座19番星 (19 Ori), 0509-08,
BD -8°1063, BS 1713,
FK5 224, HD 34085,
HIP 24436, SAO 131907


Template (ノート 解説) ■Project
Computer generated image of Rigel compared to the Sun (to scale)

リゲル(Rigel)はオリオン座β星で、B型青色超巨星である。リゲルは僅かに変光する。また、実視連星でもあり、青白い6.8等の伴星を引き連れている。

質量が非常に大きいため(太陽の17倍以上)中心部での水素の核融合反応が急激に進んでおり、そのためあと数千万年でヘリウムの核融合が始まって赤色超巨星となり、更に重い元素の中心核が形成され、超新星爆発を起こすと言われている。

冬のダイヤモンドの一角を担っている。

物理的特徴

リゲルは、ヒッパルコスの時代より、明るすぎて正確な視差の測定が困難とされてきた青色超巨星である。 分光学的な推定値は、地球から700から800光年(210から280パーセク)にある。最も正確な値は773光年(237パーセク)誤差19%と言われている。

青色超巨星のリゲルは、太陽の17倍以上の質量があり、その輝きは約85000倍以上である[1]。天の川銀河中で最も明るく、一番近い恒星は、1100光年離れた船尾座ナオス星。

リゲルはおおよそ22~25日で変則的に0.03~0.3の範囲で等級を変化させる。リゲルは3連星として知られている。(等級変化の不規則性から)3番目の伴星を持つという議論はしばしばなされるが、一般的には星の表面の物理的な脈動によって引き起こされていると考えられている[2]

連星系

リゲルは、少なくとも1831年より、F.G.W.シュトルーベによって、実視連星として観測され、知られている。しかし、等級6.7とされるリゲルBは、それより500倍明るいリゲルAに近すぎて邪魔され、150ミリクラス以下の望遠鏡で観測するのは困難である[2]

二つのリゲル間の推定距離は、2200天文単位以上であり、互いに回りあう固有の軌道を持っている[2][3]

リゲルBはそれ自身変光する連星であり、2つの星の影響を受け、9.8日の周期で軌道の中心がずれていることが判っている。リゲルAとリゲルBのスペクトルクラスは共にB8Vに属している[2][3]

名称

固有名

リゲル
  • 語源
日本では、しばしば「巨人の左足」という意味だとされているが、実際には、アラビア語で「足」を意味する rijl (رجل, [リヂル]) が変化したものである。この星のアラビア名 Rijl al-Jawzā' ([リヂル・アル=ジャウザー]、「ジャウザーの足」 の意)から来ている。10世紀末から見られる、アラビア語起源の星の西洋名の一つである[4]
  • 表記と発音
日本での「リゲル」は、原綴りを綴字読み(ローマ字読み)したものからきている。英語では [ライジェル] というように発音される。
アルゲバル
リゲルの別名としては、同じアラビア語起源のアルゲバル (Algebar) またはエルゲバル (Elgebar) がある。これは、アラビアでの別名 Rijl al-Jabbār ([リヂル・アル=ヂャッバール],「巨人の足」 の意)から来たものである。リゲルが天文学でも広く使われていることもあり、アルゲバルは、現在では、ほとんど用いられることはない。

和名

一般的にはその星の色から、源氏の旗色になぞらえて「源氏星」(げんじぼし)とされている[5][6][7][8]。ただし、岐阜揖斐地方においてリゲルを平家星とする村の古老が一名いたことが野尻抱影によって報告されている[9][10]。また「銀脇」(ぎんわき)という地方もある[11]

天文民俗(和名・中国名)

その星の色から、岐阜揖斐地方平家星(へいけぼし)と呼ばれていた可能性がある。また滋賀虎姫銀脇(ぎんわき)といった名称が伝えられている[9][12]

リゲルが源氏星とされている事については、その伝承において疑問が持たれている。リゲルを平家星とした古老の証言をもとに、北尾浩一が再調査した結果、発見地とされる揖斐地方では一般的に認識されているの旗印の色とは逆であることが指摘されている[10]

中国では参宿第七星(參宿七)。

関連項目

脚注

  1. ^ Kaler, James. “Rigel”. 2007年2月4日閲覧。
  2. ^ a b c d Burnham, Robert, Jr. (1978). Burnham's Celestial Handbook. New York: Dover Publications. pp. 1300 
  3. ^ a b Jedicke, Peter; Levy, David H. (1992). “Regal Rigel”. The New Cosmos. Waukesha: Kalmbach Books. pp. 48–53 
  4. ^ Kunitzsch. P., Smart. T., A Dictionary of Modern Star Names: A Short Guide to 254 Star Names and Their Derivations, Cambridge, 2006, p. 46.
  5. ^ 三省堂『大辞林』810項
  6. ^ 『日本大百科全書』23巻リゲルより
  7. ^ 野尻抱影著『新星座巡礼』19項
  8. ^ 野尻抱影著『星三百六十五夜』上巻(1978年)38項
  9. ^ a b 野尻抱影 『日本星名辞典』 東京堂出版、1973年、154-155頁。
  10. ^ a b 北尾浩一 「『源氏星』と『平家星』」 - 星・人・暮らしの博物館
  11. ^ 野尻抱影 『日本星名辞典』 東京堂出版、1973年、154頁。
  12. ^ 野尻抱影 『星の方言集 - 日本の星』 中央公論社、1957年、265-269頁