三環系抗うつ薬

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最も初期の抗うつ薬であるイミプラミン三環式化合物である。
三環系抗うつ薬(TCA)の作用機序

三環系抗うつ薬(さんかんけいこううつやく、: Tricyclic Antidepressants, TCA)は、抗うつ薬の種類の一つで初期のもので、化学構造中にベンゼン環を両端に含む環状構造が3つある三環式化合物であることを共通の特徴とする。

三環系抗うつ薬は、ノルアドレナリンセロトニンなどの神経伝達物質に関与する神経細胞受容体に作用し、遊離するノルアドレナリン、セロトニンを増やす(正確には神経細胞による再取り込みを阻害する)働きをする。また、臨床効果が現れるのに飲み始めてから1~2週間はかかる。一般に、選択的作用が比較的低い。副作用(主に口渇便秘吐き気排尿困難など)を伴う場合がある。

三環系抗うつ薬では、鎮静的な副作用が多いものがあり、また過剰摂取した際の死亡率が高い[1]四環系抗うつ薬も三環系に近い時代に開発されたものである。

三環系・四環系以降の、新しい抗うつ薬には、選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)やセロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(SNRI)、ノルアドレナリン作動性・特異的セロトニン作動性抗うつ薬 (NaSSA) があり、鎮静的な副作用は少ないものの、24歳以下では賦活症候群による自殺率の増加や、高齢者での死亡率の増加、中止時のSSRI離脱症候群の問題が増えているといった副作用の違いがある[1]。近年、これら以外の薬理作用を示す抗うつ剤(トリアゾロピリジン系など)も登場している。

日本うつ病学会のうつ病の診療ガイドラインでは、緊急入院を要する重症例ではTCAが有効性に勝るのではないかと言う専門家の意見がある[1]

薬剤名[編集]

「一般名(商品名)」という形式で、具体的薬剤を列挙する。

第1世代三環系抗うつ薬[編集]

第2世代三環系抗うつ薬[編集]

議論[編集]

出典[編集]

  1. ^ a b c 日本うつ病学会 (26 July 2012). 日本うつ病学会治療ガイドライン (pdf) (Report) (2012 Ver.1 ed.). p. 28-30. {{cite report}}: 不明な引数|coauthor=は無視されます。(もしかして:|author=) (説明)

関連項目[編集]