フルフェナジン

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フルフェナジン
Fluphenazine2DACS.svg
Fluphenazine3Dan.gif
IUPAC命名法による物質名
臨床データ
販売名 Prolixin, Modecate
Drugs.com monograph
MedlinePlus a682172
胎児危険度分類
  • AU: C
  • US: C
法的規制
投与方法 oral, IM, decanoate
薬物動態データ
生物学的利用能 2.7% (Oral)
代謝 Hepatic (via CYP2D6)[1]
半減期 14.7 hours, 6-9 days (decanoate)[1]
排泄 Urine, faeces
識別
CAS番号
69-23-8 チェック
ATCコード N05AB02 (WHO)
PubChem CID: 3372
IUPHAR/BPS 204
DrugBank DB00623 チェック
ChemSpider 3255 チェック
UNII S79426A41Z チェック
KEGG D07977  チェック
ChEBI CHEBI:5123 チェック
ChEMBL CHEMBL726 チェック
化学的データ
化学式 C22H26F3N3OS
分子量 437.523 g/mol

フルフェナジン(英:Fluphenazine)は定型抗精神病薬英語版の一つであり、統合失調症等の慢性精神病の治療に用いられる[2][3]フェノチアジン骨格を持ち、側鎖にはピペラジン骨格を有する。脳内のドーパミンD2受容体英語版を阻害する。運動障害(パーキンソン症候群アカシジア等)やプロラクチン増加等の副作用も持つ。錠剤、散剤があるほか、デカン酸エステルは筋注デポ剤英語版(海外では皮下注射の場合もある)として使用される[1]。デポ剤のみが入手可能な国もある[2][3]。他の抗精神病薬と比べて、鎮静低血圧抗コリン作用は少ないが、運動障害の頻度は高い[1]。日本では商品名フルメジンあるいは注射剤フルデカシンで販売される。

WHO必須医薬品モデル・リストに収載されている[4]

効能・効果[編集]

効力の強さは低力価の抗精神病薬に相当すると思われる[8]

禁忌[編集]

経口剤と注射剤で禁忌となる患者が異なる[5][6]

  • (経口)昏睡状態、循環虚脱状態の患者 / (注射)昏睡状態の患者
  • (経口)(注射)バルビツール酸誘導体・麻酔剤等の中枢神経抑制剤の強い影響下にある患者
  • (経口)(注射)フェノチアジン系化合物およびその類似化合物に対し過敏症の既往歴のある患者
  • (経口)(注射)アドレナリンを投与中の患者
  • (注射)重症の心不全患者
  • (注射)パーキンソン病の患者
  • (注射)妊婦または妊娠している可能性のある婦人
  • (注射)クロザピンを投与中、あるいは投与を検討されている患者

原則禁忌[編集]

皮質下部の脳障害(脳炎、脳腫瘍、頭部外傷後遺症等)の疑いがある患者では高熱反応が現れる危険があるので、特に必要とする場合にのみ慎重に使用するよう定められている[5][6]

副作用[編集]

フルフェナジンの重大な副作用は、悪性症候群(o:頻度不明、i:0.1%未満)、無顆粒球症(o,i:頻度不明)、白血球減少(o,i:頻度不明)、麻痺性イレウス(o,i:0.1%未満)、抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(SIADH)(o:0.1%未満、i:頻度不明)、遅発性ジスキネジア(o:0.1〜5%未満、i:頻度不明)、眼障害(角膜・水晶体の混濁、角膜の色素沈着)(o:頻度不明、i:記載無し)、肺塞栓症(o,i:頻度不明)、深部静脈血栓症(o,i:頻度不明)がある[5][6](o:経口、i:注射)

そのほか、経口剤または注射剤で5%以上(または頻度不明)に現れる副作用は、

  • 血圧降下、頻脈、心疾患悪化、
  • 白血球減少症、顆粒球減少症、リンパ球減少、単球減少、血小板減少性紫斑病、
  • ビリルビン上昇、アルブミン減少、
  • 食欲不振、悪心・嘔吐、便秘、
  • パーキンソン症候群(手指振戦,筋強剛,流涎等)、ジスキネジア(口周部,四肢等の不随意運動等)、ジストニア(眼球上転,眼瞼痙攣,舌突出,痙性斜頸,頸後屈,体幹側屈,後弓反張等)、アカシジア(静坐不能)、視覚障害、
  • 不眠、眩暈、頭痛、不安、興奮、易刺激、過敏症状、光線過敏症、口渇、鼻閉、けん怠感、浮腫

である[5][6]。その他豪州[7]、米国[9]、英国[10]の添付文書にも副作用が記載されている。

発売年[編集]

フルフェナジンは1961年に経口剤がドイツで発売された。1968年にはデポ剤が発売された[11]。米国では1967年に発売された。

日本では経口剤が1960年10月[5]に、注射剤が1993年6月[6]に発売された。

出典[編集]

出典[編集]

  1. ^ a b c d Brayfield, A: “Fluphenazine”. Martindale: The Complete Drug Reference. London, UK: Pharmaceutical Press (2013年12月13日). 2014年7月14日閲覧。
  2. ^ a b Joint Formulary Committee (2013). British National Formulary (BNF) (65 ed.). London, UK: Pharmaceutical Press. pp. 237, 238. ISBN 978-0-85711-084-8. 
  3. ^ a b Rossi, S, ed (2013). Australian Medicines Handbook (2013 ed.). Adelaide: The Australian Medicines Handbook Unit Trust. ISBN 978-0-9805790-9-3. 
  4. ^ WHO Model List of Essential Medicines”. World Health Organization (2013年10月). 2014年4月22日閲覧。
  5. ^ a b c d e f フルメジン糖衣錠(0.25)/フルメジン糖衣錠(0.5)/フルメジン糖衣錠(1)/フルメジン散0.2% 添付文書” (2015年4月). 2015年10月19日閲覧。
  6. ^ a b c d e f フルデカシン筋注25mg 添付文書” (2015年4月). 2015年10月19日閲覧。
  7. ^ a b PRODUCT INFORMATION MODECATE (Fluphenazine Decanoate Oily Injection) (PDF)”. TGA eBusiness Services. Bristol-Myers Squibb Australia Pty Ltd (2012年11月1日). 2013年12月9日閲覧。
  8. ^ Tardy, M; Huhn, M; Engel, RR; Leucht, S (Aug 3, 2014). “Fluphenazine versus low-potency first-generation antipsychotic drugs for schizophrenia.”. The Cochrane database of systematic reviews 8: CD009230. doi:10.1002/14651858.CD009230.pub2. PMID 25087165. 
  9. ^ FLUPHENAZINE HYDROCHLORIDE tablet, film coated [Sandoz Inc]”. DailyMed. Sandoz Inc (2011年10月). 2013年12月9日閲覧。
  10. ^ Modecate Concentrate Injection 100mg/ml - Summary of Product Characteristics (SPC)”. electronic Medicines Compendium. Sanofi (2013年1月11日). 2013年12月9日閲覧。
  11. ^ epsy.de: Psychopharmaka Zeittafel.