ASM-3

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ASM-3
JASDF XASM-3-E left front view at Gifu Air Base November 19, 2017 01.jpg
XASM-3-E
種類 空対艦ミサイル
製造国 日本の旗 日本
設計 技術研究本部防衛装備庁
性能諸元
ミサイル直径 0.35m
ミサイル全長 5.25m
ミサイル全幅 1.19m
射程 百数十km - 200km[1]
推進方式 インテグラル・ロケット・ラムジェット[2]
誘導方式 慣性/GPS誘導(中間段階) + アクティブ/パッシブ複合誘導(終末段階)
飛翔速度 最大マッハ3以上
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ASM-3は、防衛装備庁[3]が開発した超音速飛翔の空対艦ミサイル対艦誘導弾[4]。開発中はXASM-3と呼称されていた。2018年(平成30年)1月に開発完了が報道されたが[5]、量産配備には至らず、さらに改良を加えた射程延伸型のASM-3(改)の開発を2020年(令和2年)度から2025年(令和7年)度まで行う予定である[6]

概要[編集]

ASM-3は、従来の国産対艦誘導弾と比較して大幅に性能を向上させることで迎撃されない確率を高めて、防空能力が大幅に向上しつつある敵艦艇をより確実に撃破出来るミサイルとして計画された[7]F-2戦闘機で運用する事[8]を前提に、1980年代末より開発の検討が開始された[9]。2013年時点では、2016年(平成28年)度の開発完了を目指していた[7]

最大の特徴は、インテグラル・ロケット・ラムジェット(integral rocket ramjet、IRR)による推進系で、構造としてはラムジェットエンジンの後部に固体ロケットブースターが統合(integrate)されている。推進時にはまず固体ロケットブースターが作動してラムジェットの動作可能速度まで加速した後、固体燃料が焼失した後のロケット部分がラムジェットの燃焼室となる。これによりマッハ3以上で超音速飛行し、敵の迎撃可能時間を減少させている[9]。また、ステルス性を考慮した弾体形状にすることで被探知性を低下させ、アクティブ・レーダー・ホーミング方式とパッシブ・レーダー・ホーミング方式の複合シーカー方式を採用しECCM能力を向上させることで、敵艦艇をより確実に撃破出来るようになっている[9]。さらに敵艦艇の艦対空ミサイルより長射程化させ敵の迎撃可能範囲外から誘導弾を発射できるようにすることで、発射母機の安全性が高まっている。

当初は赤外線画像、アクティブレーダー、パッシブレーダーの3方式の併用を予定していたが、赤外線画像誘導方式に関しては、これを省いても命中率・破壊力には大差ないと見られたことから、開発経費削減のため削除された[9]。これにより開発経費が10%程度削減されたとされる。2002年時点では、XASM-3は旧式化した80式空対艦誘導弾(ASM-1)のみを置き換えるものとし、誘導方式が異なる(赤外線画像方式を採用する)93式空対艦誘導弾(ASM-2)と併用し、対妨害性を確保するとして開発が検討されていたが[10]、2009年時点ではASM-2の後継ともされている[8][7]

2018年1月7日、XASM-3の計15回に及ぶ発射試験が終了し、2019年度から量産を開始することが報道されたが[5]、2018年度と2019年度の防衛予算に調達予算は計上されず、中国人民解放軍海軍艦艇の高性能化に対する射程の短さから改良型の開発が行われることとなり、2020年度から射程400km以上の射程延伸型のASM-3(改)の開発予算が計上される予定である[6][1]

またASM-3(改)の開発と並行して、2019年度から2025年度にかけて、さらに高速なマッハ5以上の極超音速で飛行可能なスクラムジェットエンジンで飛行する誘導弾の要素技術に関する研究を行うとしている[11][12]

開発経緯[編集]

ASM-3[編集]

F-2に搭載されたXASM-3
  • 1992年度(平成4年度)~2001年度(平成13年度)
    • 「将来空対艦誘導弾の研究試作」を行い超音速推進装置を試作[9]
  • 2002年度(平成14年度)
    • 2010年の実用試験を目指し、本開発開始を予定していたが、開発予算が承認されなかったため延期。
  • 2003年度(平成15年度)~2008年度(平成20年度)
    • XASM-3の開発を見据え、要素技術の一つである、IRRの小型化等を目的とした「超音速空対艦誘導弾用推進装置の研究・試作」を実施、F-2戦闘機からIRRを搭載した飛翔体の発射試験等を行う[9]
  • 2010年度(平成22年度)
    • 防衛予算で本開発である「新空対艦誘導弾(XASM-3)の開発」分の予算23億円が承認され開発を開始。今後総額325億円をかけ開発される予定[8][13]
  • 2017年度(平成29年度)

ASM-3(改)[編集]

  • 2020年度(令和2年度)~2025年度(令和7年度)
    • ASM-3(改)の開発[6]

脚注[編集]

[脚注の使い方]
  1. ^ a b “射程外から攻撃可能 空自ミサイル開発へ”. 読売新聞. (2019年3月17日). https://www.yomiuri.co.jp/politics/20190317-OYT1T50060/ 
  2. ^ 誘導武器の開発・調達の現状 平成23年5月 (pdf)”. 防衛省経理装備局 システム装備課. 2019年6月17日閲覧。
  3. ^ 統合装備”. 防衛装備庁. 2019年6月17日閲覧。
  4. ^ 長距離対艦ミサイル開発へ=中国念頭、20年度にも着手-防衛省”. 時事通信 (2019年3月24日). 2019年6月17日閲覧。
  5. ^ a b “超音速ミサイル:量産へ 国産「ASM3」、抑止力強化”. 毎日新聞. (2018年1月7日). オリジナルの2018年1月7日時点におけるアーカイブ。. https://archive.is/kjoJi 
  6. ^ a b c 令和元年度 政策評価 事前の事業評価 ASM-3(改)
  7. ^ a b c 平成25年行政事業レビューシート 新空対艦誘導弾(XASM-3) (pdf)”. 防衛省. 2013年9月1日時点のオリジナルよりアーカイブ。2019年6月17日閲覧。
  8. ^ a b c 平成21年度 政策評価書(事前の事業評価) 新空対艦誘導弾(XASM-3) (pdf)”. 防衛省. 2019年6月17日閲覧。
  9. ^ a b c d e f 宮脇 2013
  10. ^ 平成14年度 政策評価書(事前の事業評価) 新空対艦誘導弾(XASM-3) (pdf)”. 防衛省. 2019年6月17日閲覧。
  11. ^ “防衛省、極超音速ミサイル開発へ 敵基地攻撃能力懸念も:政治”. 東京新聞. (2018年9月19日). オリジナルの2018年9月20日時点におけるアーカイブ。. http://web.archive.org/web/20180920115203/http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2018091901001908.html 
  12. ^ 平成30年度 事前の事業評価 評価書一覧”. 防衛省. 2019年6月17日閲覧。
  13. ^ 政策評価書(要旨)(事前の事業評価)新空対艦誘導弾(XASM-3),平成21年10月
  14. ^ 艦型標的(その1)役務請負契約に係る公募の応募者募集要領

参考文献[編集]

  • 宮脇, 俊幸「新空対艦誘導弾”ASM-3”」『軍事研究』第48巻第6号、ジャパン・ミリタリー・レビュー、2013年6月、 38-50頁、 NAID 40019685606

関連項目[編集]


各国が保有する超音速ミサイル

ロシアの旗 ロシア

ロシアの旗 ロシア/インドの旗 インド

中華人民共和国の旗 中国

Kh-31を元に開発。2016年西沙諸島に配備した

中華民国の旗 中華民国

中華民国自力開発の対艦誘導弾、現在は射程300キロの増程型を開発している。

フランスの旗 フランス


外部リンク[編集]