UNDERWORLD (VAMPSのアルバム)
『UNDERWORLD』 | ||||
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VAMPS の スタジオ・アルバム | ||||
リリース | ||||
ジャンル | ロック | |||
時間 | ||||
レーベル | Virgin Music | |||
プロデュース |
Kane Churko(#1~#6,#10,#11) Howard Benson(#7,#8) Richard Z. Kruspe(#8) VAMPS(#9) APOCALYPTICA(#9) | |||
チャート最高順位 | ||||
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VAMPS アルバム 年表 | ||||
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『VAMPS』収録のシングル | ||||
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『UNDERWORLD』(アンダーワールド)は、日本のロックユニット、VAMPSの4作目のアルバム。2017年4月26日発売。発売元はVirgin Music。
解説[編集]
前作『BLOODSUCKERS』以来約2年半ぶりとなるアルバム。
アルバムタイトルの『UNDERWORLD』は、VAMPSの活動を始める上で、HYDEが当初考えていた世界観を表したワードとなっている。アルバムタイトルについて、HYDEは「今までも、ステージの背景を地下っぽく作ったりとか。街なんだけど下をスラムっぽくしたりとか。(VAMPSとしての活動の)最初から常に、まったくどこにもない世界観を作ろうとは思ってなくて、日常の中で普段は気づかないけど、よくみたら"あれ?"っていうようなところに実は入り口がある…っていうようなイメージ。でも、僕たちが表現しようとするその世界に名前がなかったんです。だからそこに付けたのが『UNDERWORLD』[2]」と語っている。ジャケットに描かれた扉は、HYDEの言うアンダーワールドへの入り口を表現している。
レコーディングはアメリカ・ラスベガスなどで行われ、ハワード・ベンソンやケイン・チャーコといったアメリカの音楽プロデューサーを迎え制作されたアルバムとなっている。新たにプロデューサーを迎えることとなったのは、アメリカのロックシーンを意識したアルバムを作るという目的によるもので、HYDEは「これまでアメリカをいろいろ廻ったりしてきた中で、アルバムが出て、向こうのマネージメントが決まったりしても、"このままだと自分たちの思ってるところになかなかいけないな"と痛感する部分があってね。とにかく短期間でそこへもっていくために、向こう(アメリカ)のアーティストと同じようなやり方で、プロデューサーも付けて、しっかりやりたいっていうところから始めました[3]」と語っている。また、K.A.Zも「例えば海外に出たとき、普通に自分たちの曲がラジオで流れるようなポジションに行きたいっていう。そういうことを考えると、向こうの第一線でやってるプロデューサーを付けてやってみたかった。いかにVAMPSの音楽にテイストとして落としてもらえるか、試してみたいっていうのがあった[3]」と語っている。
前作と比べ、より音楽的な方向性がデジタル色やラウドな部分に絞り込んだ作品となっている。また、前作よりも重ね録りも少なく、録音作業について、K.A.Zは「今回は明らかに重ねてる音が少ない。曲次第ではあるんだけど、以前はどっちかというとギターを重ねることでテンション感を出したりして構築する曲が多かった。でも、今回は本当にストレートにポーンと芯のテーマとなるフレーズを弾いて。重ねる音が少なくなった分、チューニングもそんなにシビアにならなくていいなっていうところが大きかった。逆に「BREAK FREE」とかだと、逆にチューニングを狂わしてやろうっていうぐらい、ラフな弾き方をしたところもあったりした[4]」「ギターは何小節かを延々にループさせている上で、自分はそこに集中して何回も弾いて。例えば4テイク録ったら、そこから2テイク良いのを選んで。その後、今度は音を変えてもう4テイク録ったら、また2テイク選んで、それを左右に振り分けたりとか。バッキングはそういう作業の繰り返しで構築していった[5]」と述べている。また、ボーカル録りもギター録りと同様に、1行だけのフレーズをずっとループさせ歌録りしている[3]。さらに、3曲目に収録された「BREAK FREE」や、4曲目に収録された「DON'T HOLD BACK」などでは[6]、これまでの作品以上にボーカルに歪みのエフェクトをかけており[6]、HYDEは「ずっと試行錯誤してて、毎年歌い方が違うとは思うんですけど。歪ませ方が今まで安定しなくて、あんまりやってなかったところを、今回どうやったら安定させられるかっていうのを考えながら歌ったらうまくいった気がします[6]」「今回、"あぁ、外国人ってこういう風に歌ってるんだな"っていうのが、ちょっと分かった気がしますね。"日本人の歌い方はキンキン来る"って言われるところをずっと研究してたんですけど、今回"あぁ、こういうことか"って思う部分があった[6]」と語っている。
収録曲には、シングルとしてリリースされた「INSIDE OF ME」や「CALLING」に加え、ドイツのインダストリアル・メタルバンド、ラムシュタインのギタリストであるリヒャルト・Z・クルスペとの初のコライトソングとなる「RISE OR DIE」、フィンランドのヘヴィメタルバンド、アポカリプティカとのコラボレーションソング「SIN IN JUSTICE」を含めた全11曲が収録されている。本作の特徴として、ヘヴィかつキャッチーな楽曲が多いこと、そして前作まで比べ、収録曲全体で曲調に統一感のある曲が多くなっている。このことについて、HYDEは「これまでのVAMPSは自分の好きな曲、自分なりのロックを好き勝手に作ってきた感じがあったけど、今回は"いい曲"っていうのがものさしじゃなくて。言ってしまったら、同じような曲でもいいから1つのVAMPS色っていうものを出すことが重要かなって思ってた[7]」「アメリカのシーンにおいて自分たちがどう戦うべきかということを考えたとき、なるべくハードでキャッチーで、散漫にならないよう同じような曲調っていうのが良いと思った[8]」と語っている。
3曲目に収録された「BREAK FREE」には、ロックバンド、MAN WITH A MISSIONのベーシストであるKamikaze Boyがベース演奏で参加している。Kamikaze Boyの参加の経緯について、K.A.Zは「たまたま彼ら(MAN WITH A MISSION)がLAにレコーディングで来てて、オフのときにラスヴェガスに来るっていうから、"じゃあ、何か弾いてもらおうよ"っていうぐらいの声掛けで(笑)[9]」と述べている。
本作は、初回限定盤A(SHM-CD+BD)、初回限定盤B(SHM-CD+DVD)、初回限定盤C(SHM-CD+BD+DVD+GOODS)、通常盤(SHM-CD)の4形態でリリースされた[10]。初回盤A及び初回盤Cには2016年9月17日に行われたライヴツアー「VAMPS LIVE 2016」のZepp Tokyo公演の模様を収録されたBlu-rayが付属し、初回盤Bび初回盤Cにはシングル表題曲2曲のミュージック・ビデオとリリック・ビデオ2作、メイキング映像、ツアードキュメンタリーなどが収録されたDVDが付属している。ジャケットデザインは、前作『BLOODSUCKERS』に引き続き、ロッキン・ジェリー・ビーンが描き下ろしており、初回盤Cには同氏の手掛けたイラストを使用したオリジナルスカジャンが付属している。
収録曲[編集]
# | タイトル | 作詞 | 作曲 | 時間 |
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1. | 「UNDERWORLD」 | Kane Churko, HYDE | HYDE | |
2. | 「CALLING」 | Kane Churko, HYDE | K.A.Z | |
3. | 「BREAK FREE feat. KAMIKAZE BOY of MAN WITH A MISSION」 | Kane Churko, HYDE | K.A.Z | |
4. | 「DON'T HOLD BACK」 | Kane Churko, HYDE | HYDE | |
5. | 「BLEED FOR ME」 | Kane Churko, HYDE | K.A.Z | |
6. | 「IN THIS HELL」 | Kane Churko, HYDE | HYDE | |
7. | 「INSIDE OF ME feat. Chris Motionless of Motionless In White」 | HYDE, Howard Benson, Lenny Skolnik, Seann Bowe | HYDE | |
8. | 「RISE OR DIE feat. Richard Z.Kruspe of Emigrate / Rammstein」 | Richard Z. Kruspe, HYDE, Howard Benson, Lenny Skolnik, Seann Bowe | Richard Z. Kruspe, HYDE, Howard Benson, Lenny Skolnik, Seann Bowe | |
9. | 「SIN IN JUSTICE feat. APOCALYPTICA」 | HYDE | K.A.Z | |
10. | 「B.Y.O.B (BRING YOUR OWN BLOOD)」 | Kane Churko, HYDE | K.A.Z | |
11. | 「RISE UP」 | Kane Churko, HYDE | HYDE |
初回限定盤A、C付属Blu-ray[編集]
- 2016年9月17日にZepp Tokyoで開催されたライヴツアー「VAMPS LIVE 2016」の模様を収録
- INSIDE OF ME
- LIPS
- COUNTDOWN
- EVIL
- VAMPIRE DEPRESSION
- EUPHORIA
- DEVIL SIDE
- PIANO DUET
- GHOST
- RISE OR DIE
- AHEAD
- ANGEL TRIP
- SIN IN JUSTICE
- BLOODSUCKERS
- MIDNIGHT CELEBRATION
- THE JOLLY ROGER
- MEMORIES
- LOVE ADDICT
- SEX BLOOD ROCK N' ROLL
初回限定盤B、C付属DVD[編集]
- INSIDE OF ME feat. Chris Motionless of Motionless In White -Music Video-
- ディレクター:斎藤渉
- CALLING -Music Video-
- ディレクター:Nick Peterson
- SIN IN JUSTICE -Lyric Video-
- ディレクター:Craig Gowans
- RISE OR DIE feat. Richard Z.Kruspe of Emigrate / Rammstein -Lyric Video-
- ディレクター:Craig Gowans
- CALLING -Making Video-
- VAMPS LIVE 2016 -Tour Documentary-
参加ミュージシャン[編集]
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参考文献・サイト[編集]
- 『GiGS』、シンコーミュージック・エンタテイメント、2017年6月号
- 『VAMPS最新作『UNDERWORLD』:HYDEが語る、海外進出における戦術とは』、Rolling Stone Japan
脚注[編集]
- ^ “UNDERWORLD”. Oricon. 2017年5月3日閲覧。
- ^ 『GiGS』、p.30、シンコーミュージック・エンタテイメント、2017年6月号
- ^ a b c 『GiGS』、p.14、シンコーミュージック・エンタテイメント、2017年6月号
- ^ 『GiGS』、p.15、シンコーミュージック・エンタテイメント、2017年6月号
- ^ 『GiGS』、p.26、シンコーミュージック・エンタテイメント、2017年6月号
- ^ a b c d 『GiGS』、p.22、シンコーミュージック・エンタテイメント、2017年6月号
- ^ 『GiGS』、p.21、シンコーミュージック・エンタテイメント、2017年6月号
- ^ VAMPS最新作『UNDERWORLD』:HYDEが語る、海外進出における戦術とは - Rolling Stone Japan
- ^ 『GiGS』、p.31、シンコーミュージック・エンタテイメント、2017年6月号
- ^ VAMPSが2年半ぶりアルバムリリース、6月からは全国ツアー - ナタリー