BEAST (VAMPSのアルバム)

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BEAST
VAMPSスタジオ・アルバム
リリース
ジャンル ロック
時間
レーベル VAMPROSE (日本盤)
GANSHIN (欧州盤)[1]
Feria Music S.A. (南米盤)[2]
プロデュース VAMPS
チャート最高順位
VAMPS アルバム 年表
VAMPS
2009年
BEAST
(2010年)
SEX BLOOD ROCK N' ROLL
2013年
『BEAST』収録のシングル
  1. DEVIL SIDE
    リリース: 2010年5月12日
  2. ANGEL TRIP
    リリース: 2010年6月9日
  3. MEMORIES
    リリース: 2010年12月15日
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BEAST』(ビースト)は、日本ロックユニットVAMPSの2作目のアルバム2010年7月28日発売。発売元はVAMPROSE

解説[編集]

前作『VAMPS』以来約1年ぶりとなるアルバム。

アルバムタイトルは作詞を手掛けるHYDEが決めている。アルバムタイトルを『BEAST』にした理由についてHYDEは「第一に、すげぇ良いアルバムだなと思ったんです。それで、単純にスゴイ!ということを、タイトルでバシッと表現したくて[4]」「"最強の生命体"のようなイメージで『BEAST』に決めました[4]」と述べている。

レコーディングは、歌録り以外の全てがアメリカで行われ、サンフランシスコニューヨークのスタジオを使用している[5]。アメリカでの長期レコーディングに関し、HYDEは「今までVAMPSは、アメリカン・サウンドをずっと目指してたんですよ。ロックに目覚めた頃から聴いてきたのはヨーロッパの曲が多いけど、サウンドはリンキン・パークみたいな、アメリカの抜けのいい音が好きだったから。それに近づけるためのトライをずっとやってたんだけど、日本でやれることはやり尽くしたな、と思って。だからこのアルバムは、アメリカに行ってゼロから録りたかったんだよね[6]」と述べている。

また、本作ではエンジニアのジョシュ・ウィルバーがレコーディングの頭から最後まで参加しており[6]、この点がこれまでのアルバム制作体制との大きな違いだったという。アルバム制作について、HYDEは「アンビとか関係ないからね。そんなのお構いなしで、ドラムの音のデータとか、尋常じゃないくらいバッチバチ切って使っちゃう[6]」「レコーディングも、ドラムの次はベースよりもギターのほうが絶対いい、って言うんだよ。日本だと、ドラム、ベース、ギター、ヴォーカルの順番で音を重ねていくのが基本だけど、先にベースを録ると、ギターはコードで弾くから、当たる音を避けようとする。だから変なコードになっちゃう、って[7]」と述べている。K.A.Zも「ギターを先に録ると音のレンジも広げられるし、その後の音作りもスムーズでしたね。これは発見でした[5]」と述べている。また、本作は前作と異なり、ツアーのサポートメンバーである、Ju-kenとArimatsuが収録曲全てのベース、ドラムでそれぞれ参加している。

収録曲には、シングルとしてリリースされた「DEVIL SIDE」や「ANGEL TRIP」を含め全13曲が収録されている。また、アルバムで初音源化となった「MEMORIES」は、アルバム発売から約5ヶ月後にシングルカットされている。アルバム収録曲には、ピアノやホーンセクションを取り入れた楽曲が収録されており、前作以上に音楽性に幅広さがうかがえるアルバムとなっている[7]。12曲目に収録された「SAMSARA」と13曲目に収録された「MY FIRST LAST」では、インド太鼓の一種であるタブラが取り入れられている。ちなみに、12曲目の「SAMSARA」というタイトルは、かつてインドで使われていたサンスクリット語で「輪廻」を意味している。この曲ではコーラスとして坂本美雨が参加している。

本作の歌詞について、HYDEは「吹っ切れて書いた」と振り返っている。HYDEは「聴いてる人全員が良き理解者じゃないから。そういう人達に歩み寄った感じかな。(中略)今まで難解な歌詞を書いてきたりもしたから、しょうがないなと思う部分もあるんだ。でも、なかなかわかってくれないな、と思っていて。じゃあ自分が、かなり恥ずかしいと思うくらいの歌詞を書かないと、伝わらないんだなって。だから今回は踏み込んだ[7][8]」と述べており、これまでのような比喩表現を多用した歌詞から、わかりやすい直接的な詞表現に、大きく変化するようになっている。また、本作の収録曲には、HYDEの死生観を綴ったものが多い[8]。HYDEは「嘘くさい歌詞なんて書く意味ないじゃん。そしたら"死"について考えることが多かったというか、なんか昔よりも、死がリアルになってきている。昔からそのテーマは好きで、<死ぬ時にどうなるかな?>とか考えたり、歌詞にはしてきたし、今回はインドっぽい曲(「MY FIRST LAST」)が呼んだ部分もあるけど、やっぱ精神世界というか、"今の人生の次"、を考えたものが似合うなと思って[8]」と、"死"をテーマとする歌詞を書くに至った心境を述べている。

2010年7月1日には、前作に引き続き、フィジカル発売に先駆けアルバム収録曲全ての先行配信を開始した。先行配信から約4週間後の同年7月28日に、初回生産限定盤(CD+DVD)、通常盤(CD)、ライブ会場限定盤(CD+DVD)の3形態でフィジカルが発売された。初回盤は、本作に収録されたシングル表題曲2曲に、アルバムで初音源化となった「REVOLUTION」と「MY FIRST LAST」の計4曲のミュージック・ビデオを収めたDVDを付属したデジパック仕様となっている。通常盤には表紙デザインステッカーが封入されている。ライブ会場限定盤は、2010年に開催したライブツアー「VAMPS LIVE 2010 BEAST」の会場内に設置されたmu-moブースにて販売され、輸血パックに封入された仕様となっている。さらに、フィジカル発売週のプロモーション施策として、同年7月30日にフリーライブ「VAMPS FREE LIVE@ROPPONGI HILLS ARENA」が六本木ヒルズアリーナにて開催されている[9]

また、2010年8月13日には前作と同様に、GANSHINより欧州盤が販売されている。さらに、2010年10月1日にはチリのレコードレーベル、Feria Musicより南米盤が販売されている。VAMPSとして初の南米でのCDリリースであり、南米のセールスチャートにおいて日本人アーティスト初となる4位を獲得している[10]

収録曲[編集]

#タイトル作詞作曲編曲時間
1.「PLUG IN」 HYDEVAMPS
2.DEVIL SIDEHYDEHYDEVAMPS
3.ANGEL TRIPHYDEK.A.ZVAMPS
4.MEMORIESHYDEK.A.ZVAMPS
5.「EUPHORIA」HYDEHYDEVAMPS
6.「VAMP ADDICTION」HYDEK.A.ZVAMPS
7.「REVOLUTION」HYDEHYDEVAMPS
8.「THE PAST」HYDEK.A.ZVAMPS
9.「PIANO DUET」HYDEK.A.ZVAMPS
10.「RUMBLE」HYDEK.A.ZVAMPS
11.「GET UP」HYDEHYDEVAMPS
12.「SAMSARA」HYDEK.A.ZVAMPS
13.「MY FIRST LAST」HYDEHYDEVAMPS

初回生産限定盤、ライブ会場限定盤付属DVD[編集]

  1. DEVIL SIDE
    ディレクター:多田卓也
  2. ANGEL TRIP
    ディレクター:柿本ケンサク
  3. REVOLUTION
    ディレクター:喜田夏記
  4. MY FIRST LAST
    ディレクター:柿本ケンサク

参加ミュージシャン[編集]

  • HYDE:ボーカル
  • K.A.Z:ギター、プログラミング
    • Ju-kenベース
    • Arimatsu:ドラム
    • 斉藤仁:シンセサイザー・プログラミング
    • Salar Nader:タブラ (#12,#13)
    • 坂本美雨:ヴォイス (#12)
    • J:イングリッシュアドバイザー (#2,#3,#4,#6,#7,#10)
    • Rain:イングリッシュアドバイザー (#8)
    • 衛藤利恵:歌詞英訳 (#5,#11,#13,Booklet Story)
  • [Recording Engineer]
    • 斉藤仁:プリプロダクション
    • ジョシュ・ウィルバー:レコーディング、ミックス
  • [Produce & Mastering]

収録ベストアルバム[編集]

参考文献・サイト[編集]

脚注[編集]

  1. ^ a b VAMPS (4) – Beast / Gan-Shin - Discogs
  2. ^ a b VAMPS (4) – Beast / Feria Music S.A. - Discogs
  3. ^ 2010年08月第2週の邦楽アルバムランキング情報”. ORICON STYLE. 2012年6月3日閲覧。
  4. ^ a b VAMPS アルバム『BEAST』インタビュー(インタビュー02) - BARKS
  5. ^ a b VAMPS アルバム『BEAST』インタビュー(インタビュー01) - BARKS
  6. ^ a b c 『音楽と人』、p.31、株式会社音楽と人、2010年8月号
  7. ^ a b c 『音楽と人』、p.32、株式会社音楽と人、2010年8月号
  8. ^ a b c 『音楽と人』、p.33、株式会社音楽と人、2010年8月号
  9. ^ VAMPS本日開催フリーライブ詳細公開&1日限定Twitterも - ナタリー
  10. ^ VAMPS ユニバーサル ミュージックに電撃移籍!! LIVE NATIONから世界に本格進出するのは日本人初!!! - UNIVERSAL MUSIC JAPAN