TOYOTA LONGPASS EXPRESS
TOYOTA LONGPASS EXPRESS | |
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概要 | |
国 | 日本 |
種類 | 高速貨物列車 |
現況 | 運行中 |
運行開始 | 2006年11月15日 |
運営者 |
日本貨物鉄道 名古屋臨海鉄道 |
路線 | |
起点 | 名古屋南貨物駅 |
終点 | 盛岡貨物ターミナル駅 |
運行間隔 | 1日2往復 |
使用路線 | 南港線・東港線・東海道本線・武蔵野線・山手線・東北本線 |
技術 | |
車両 | コキ100系コンテナ車 |
軌間 | 1,067mm |
電化 |
非電化(名古屋臨海鉄道線内) 直流1,500V(笠寺 - 黒磯間) 交流20,000V・50Hz(黒磯 - 盛岡貨物ターミナル間) |
最高速度 | 100 km/h |
線路所有者 |
名古屋臨海鉄道 東海旅客鉄道 東日本旅客鉄道 |
TOYOTA LONGPASS EXPRESS(トヨタ ロングパス エクスプレス)は、日本貨物鉄道(JR貨物)および名古屋臨海鉄道が2006年11月15日より運転している、トヨタ自動車の製品を運ぶために専用に組成されたコンテナ貨物列車の愛称。通称は「ロンパス」「トヨロン」「TLE」。
同列車は、愛知県をはじめとした中京圏に所在するトヨタ系諸工場で生産された部品を、トヨタ自動車東日本(旧・関東自動車工業)岩手工場がある岩手県胆沢郡金ケ崎町に運ぶため、名古屋南貨物駅と盛岡貨物ターミナル駅の間を1日1往復運行しており、同工場への部品輸送量の約8割を担っている。
自動車部品の工場間輸送は従来内航海運に多くを委ねてきたが、各種情勢の変化から輸送力が飽和しつつあり、増産分を鉄道輸送に移管する方針が採られたために設定された列車である。モーダルシフトの一環としての意義も有するが、厳密には本来のモーダルシフト(トラック輸送から鉄道・船舶輸送への移行)とは趣旨が異なる。
運行体系
[編集]名古屋南貨物駅(名古屋臨海鉄道) - 盛岡貨物ターミナル駅を東海道本線・東北本線経由で運行する。列車種別は最高速度100km/hの高速貨物列車で、所要時間は15 - 20時間である。
コキ100系コンテナ車コキ105形を主体とし必要に応じてコキ104・106・107形を増解結して編成を組成し、専用コンテナ(U55A形)を最大40個積載する。牽引する機関車は、名古屋南貨物駅 - 新鶴見信号場間はEF210形[注釈 1]、新鶴見信号場 - 盛岡貨物ターミナル駅間はEH500形を用いる。
運行経路は、名古屋南貨物駅 - (名古屋臨海鉄道南港線・東港線) - 笠寺駅 - (東海道本線) - 新鶴見信号場 - (武蔵野線) - 大宮操車場 - (東北本線) - 盛岡貨物ターミナル駅 である。現運行列車はすべて武蔵野線経由である[注釈 2]。途中停車駅は、運転停車を除き存在しない。運行開始時は、両側の駅を深夜に出発し翌日午後に相手側に到着するダイヤと、両側の駅を午前中に出発し、翌日早朝に相手側に到着するダイヤが組まれた。
運転開始当初は土休日(発駅基準)を除いて1日1往復の運行となっていたが、2007年10月22日からは土休日を除き1日2往復となった。その後、世界的な不況による工場の減産のため2009年3月からは1往復を運休扱いとした[1]が、エコカー減税などの優遇措置や生産体制の再編により同年中に2往復運行に戻った[2]。2016年には再び1往復が臨時列車となり、盛岡ターミナル行きは12両と8両の2便とされ、1本は定期列車、もう1本は八戸貨物駅行き定期列車4083レ後部に併結されて終着していた。2017年にはコンパクトクロスオーバーSUV車C-HR増産のため、再び増解結なしの2往復運行に戻った[3][4]。同年9月からは佐川急便が北東北向けの宅配便にコンテナ1個を占有し混載にて輸送を始めている[5]。
現列車番号は名古屋南貨物駅発の列車は新鶴見までと新鶴見から先が2050・4051列車(深夜発)と、盛岡貨物ターミナル駅発の列車は、新鶴見までと新鶴見から先が4052・2051列車(午前発)である。 2往復時代はこれに2052・4053列車(昼発)と4054・2053列車(深夜発)があった。
コンテナは盛岡貨物ターミナル駅で専用トレーラーに積み替え、東北自動車道・国道4号を経由して岩手工場まで運ばれている。
その他
[編集]- 東北地方において、20フィート(ft)以上の大型コンテナの取り扱いが可能なのは、太平洋側が八戸都市圏に八戸貨物駅、盛岡都市圏に盛岡貨物ターミナル駅、仙台都市圏に仙台港駅および仙台貨物ターミナル駅、郡山都市圏に郡山貨物ターミナル駅、いわき都市圏に小名浜駅、日本海側が秋田都市圏に秋田貨物駅となっている(太字は、さらに40ftコンテナの取り扱いも可能な駅)。日本のコンテナ輸送#鉄道輸送を参照。
- トヨタ自動車は、東北地方を東海地方・北部九州に次ぐ日本第三の拠点とみなして投資を開始しており[6]、セントラル自動車(現・トヨタ自動車東日本)が2010年に第二仙台北部中核工業団地(宮城県黒川郡大衡村・大松沢丘陵)に移転したのをはじめ、仙台都市圏北部を中心にトヨタ系諸工場の進出が相次いで決定している。また、仙台都市圏と宇都宮都市圏の中間点にある郡山都市圏にも、北関東と東北の双方の地区にある自動車工場への部品供給を目的とした工場の進出決定が見られる[7]。これらの進出企業が当列車をどのように用いるかについて正式発表はないものの、進出地域には大型コンテナの取り扱いが可能な貨物ターミナル駅が存在している。
- トヨタの東北拠点化を受け、貨物線(秋田臨海鉄道線)が埠頭近くまで引き込まれている秋田港(最寄ICは秋田自動車道・秋田北IC)をロシア向けの自動車部品(あるいは完成車)積出港と想定した環日本海シーアンドレール構想が生まれ[8]、仙台港駅と秋田港との間で北上線回りと東北本線 - 奥羽本線回りの2ルートでコンテナ貨物列車の運行実証実験も行われた[9]。
- 2008年10月6日、「きたかみ新貨物駅設置促進協議会」が設立された。現在、盛岡都市圏の貨物駅からトレーラーで北上都市圏のトヨタ系工場に部品を運んでいるが、より工場に近接した北上市相去町の東北本線沿い(中小企業基盤整備機構が所有する産業用地。旧・北上操車場)にJR貨物駅を新設して輸送効率化をすることを構想している。すでに2005年から岩手県がJR貨物との間で新駅について話し合いを行っているが、建設費や採算性などの課題が解決されていない[10]。
- 2017年9月11日、佐川急便が9月下旬から31フィートコンテナ1個を当列車を利用して同社の中継センターから北東北向けの宅配便を輸送すると発表した[11]。
出典
[編集]注釈
[編集]出典
[編集]- ^ 岩手日報. (2009年11月1日)
- ^ 『鉄道ファン』2010年2月。
- ^ 『平成29年3月時刻改正 新しい輸送サービスのご案内』(PDF)(プレスリリース)日本貨物鉄道、2016年12月16日。オリジナルの2017年3月4日時点におけるアーカイブ 。2020年11月19日閲覧。
- ^ “JR貨物ダイヤ改正「TOYOTA LONG PASS EXPRESS」2往復体制に - 機関車新製も”. マイナビニュース. (2016年12月18日)
- ^ “異業種共同モーダルシフト…宅配便と自動車部品を運ぶ鉄道貨物、トヨタの「LONGPASS EXPRESS」”. レスポンス編集部. (2017年9月13日)
- ^ “1)トヨタ進出、系列も / 国内第3の拠点に”. asahi.com. (2008年9月19日)
- ^ “トヨタ系続々進出 期待高まる相乗効果 東北”. 河北新報. (2008年9月22日). オリジナルの2009年4月29日時点におけるアーカイブ。 2022年7月22日閲覧。
- ^ “秋田港をモデルとした鉄道と港湾の活用による地域活性化策の検討 〜環日本海シーアンドレール構想検討委員会(第1回)の開催〜”. 国土交通省 東北地方整備局 (2007年11月29日). 2022年5月20日閲覧。
- ^ “環日本海シーアンドレール実証実験を実施 〜貨物積み込み〜仙台港駅〜秋田港〜ボストチヌイ港〜”. 国土交通省 東北地方整備局 (2008年2月5日). 2022年5月20日閲覧。
- ^ “貨物駅新設へ促進協 北上など岩手中部経済界”. 岩手日報. (2008年10月2日). オリジナルの2008年10月2日時点におけるアーカイブ。 2022年5月20日閲覧。
- ^ 『【佐川急便】TOYOTA LONGPASS EXPRESSを活用したモーダルシフト開始』(プレスリリース)SGホールディングス、2017年9月11日。オリジナルの2017年10月24日時点におけるアーカイブ 。2023年9月9日閲覧。
関連項目
[編集]- トヨタ自動車
- 貨物列車
- JR貨物M250系電車(スーパーレールカーゴ) - 当列車同様、一社貸切(佐川急便)の貨物列車。
外部リンク
[編集]- TOYOTA LONG PASS EXPRESS 運転開始(JR貨物東北支社) - ウェイバックマシン(2007年9月28日アーカイブ分)