Mk 12 5インチ砲

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フレッチャー級駆逐艦搭載のMk.30単装砲塔
運用・開発
開発国 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
設計 1932年
配備期間 1934–1990年
配備先 アメリカ海軍, アメリカ沿岸警備隊, イギリス海軍, デンマーク海軍, イタリア海軍, 海上自衛隊, ベトナム共和国海軍
関連戦争 第二次世界大戦, 朝鮮戦争, ベトナム戦争, 湾岸戦争, フォークランド紛争
諸元[1]
口径 5in (127mm)
砲身長 190in (4.826m)
砲弾重量 55.18lbs (25.0kg)
初速 2,600fps (792m/s)[2]
最大射程 AAC:18,200yd (16,642m)
RAP:23,770yd (21,735m)
射高[3] 37,200ft (11,339m)
発射速度 通常:12-15発/分
最大:15-22発/分[4]

Mk 12 5インチ砲は、アメリカ海軍が1934年に制式化した38口径長5インチ砲。各種の砲架砲塔と組み合わされて艦載両用砲システムを構成する。

概要[編集]

1920年代、アメリカ海軍では、5インチ口径の砲としては、51口径長の平射砲を戦艦の副砲として、また、25口径長の高角砲を各種艦艇の対空砲として運用していた。しかし、特に対空射撃能力の相対的陳腐化もあり、これらを兼用できる新型の両用砲が求められた。これに応じて開発されたのが本砲であり、1934年よりファラガット級駆逐艦に搭載されて装備化されたのち、駆逐艦級艦艇の主砲、あるいは大型艦の対空砲として広く搭載された[5]

基本的には38口径長5インチ口径のMk.12砲身を、旋回砲座上の砲架に搭載したかたちとなっており、この上にガンハウスを搭載するものと、搭載しないものがある。このうち、特にガンハウスを有する単装砲塔であるMk.30には多くのサブタイプがあるが、おおむね、砲座の下に揚弾薬機構を有するものと、これを持たないものとに分けられる[5]

本砲システムは、アメリカ海軍が採用した砲としては最多の生産数を達成したものと見られており、5インチ38(5"/38)の通称で有名である。本砲システムは、多くの場合射撃指揮装置としてMk.37 GFCSと組み合わされて、武器システムを構成することとなった[5]

仕様[編集]

5inch/38 Mk.12 Mod.1[1]
諸元
種別 後装式ライフル砲
口径 5in (127mm)
砲身長 38口径長 190in (4.826m)
重量 3,990lbs (1,810kg) (砲尾を除く)
全長 223.8in (5.685m)
作動機構
砲尾 垂直鎖栓式閉鎖機
反動 油圧式駐退復座装置
砲架 露天砲架、単装砲塔、連装砲塔など多数
砲弾・装薬
弾薬 分離装薬筒
砲弾重量 55.18lbs (25.0kg) (AAC Mk.49)
炸薬重量 7.5lbs (3.4kg) (AAC Mk.49)
装薬重量 15.2-15.5lbs (6.89-7.03kg) SPD or SPDN
性能
砲口初速 New gun:2,600fps (792m/s)、Average gun:2,500fps (762m/s)
最大射程 AAC:18,200yd (16,642m) / RAP:23,770yd (21,735m)
最大射高 37,200ft (11,339m)
発射速度 12-15発/分(通常)、15-22発/分(砲塔統合ホイスト使用時)
砲身命数 約4,600発[6]
砲弾数/門
(設計)[7]
BBCV:450発
CBCACL:500発[8]
DD:300-420発[9]
各種砲塔[1][10]
タイプ 砲数 構成 重量 装甲・シールド 俯仰角 俯仰速度 旋回角 旋回速度
Mk.21 Mod.0 単装 露天砲架 29,260lbs (13,272kg) -15/+85° 15°/s 300° 25°/s
Mk.21 Mod.1 単装 砲塔 31,520lbs (14,297kg) 0.125in (3.2mm) -15/+85° 15°/s 300° 25°/s
Mk.22 Mod.0 連装 砲塔 75,250lbs (34,133kg) 0.125in (3.2mm) -10/+35° 11.6°/s 300° 14.7°/s
Mk.24 Mod.0 単装 露天砲架 31,200lbs (14,152kg) -15/+85° 15°/s 300° 27.75°/s
Mk.25 Mod.0 単装 砲塔 42,000lbs (19,051kg) 0.125in (3.2mm) -15/+85° 15°/s 300° 28.7°/s
Mk.28 Mod.0 連装 砲塔 156,295lbs (70,894kg) 2in (50.8mm) -15/+85° 15°/s 306° 25°/s
Mk.28 Mod.1 連装 砲塔 134,000lbs (60,782kg) 1.25in (31.8mm) -15/+85° 15°/s 300° 25°/s
Mk.28 Mod.2 連装 砲塔 170,635lbs (77,399kg) 2.5in (63.5mm) -15/+85° 15°/s 306° 25°/s
Mk.29 Mod.0 連装 砲塔 108,000lbs (49,000kg) 0.75in (19.1mm) -15/+85° 15°/s 180° 25°/s
Mk.30 Mod.0 単装 砲塔 40,900lbs (18,552kg) 0.125in (3.2mm) -15/+85° 18°/s 300° 34°/s
Mk.30 Mod.1 単装 露天砲架 33,500lbs (15,195kg) -15/+85° 18°/s 300° 34°/s
Mk.32 Mod.0 連装 砲塔 105,600lbs (47,899kg) 0.75in (19.1mm) -15/+85° 15°/s 306° 25°/s
Mk.32 Mod.2 連装 砲塔 118,000lbs (53,524kg) 0.75in (19.1mm) -15/+85° 15°/s 306° 25°/s
Mk.32 Mod.4 連装 砲塔 120,369lbs (54,598kg) 0.75in (19.1mm) -15/+85° 15°/s 306° 25°/s
Mk.37 Mod.0 単装 露天砲架 34,700lbs (15,740kg) -15/+85° 15°/s 330° 30°/s
Mk.38 Mod.0 連装 砲塔 95,700lbs (43,409kg) 0.125in (3.2mm) -15/+85° 15°/s 328° 25°/s
各種砲弾[1]
砲弾 砲弾重量 炸薬・弾頭 弾速 射程 その他
AAC Mk.34/35/47/49/52/56 55.18lbs (25.0kg) 7.50lbs (3.4kg)[11] 2,600fps (792m/s) 18,200yd (16,642m) 対地/対空弾。PD/MT/VT信管。
Common Mk.32 54.00lbs (25.0kg) 2.58lbs (1.2kg) 2,600fps (792m/s) 18,200yd (16,642m) 対艦弾。
AAVT Mk.31 55.12lbs (25.0kg) 7.25lbs (3.3kg) 2,600fps (792m/s) 18,200yd (16,642m) 対空弾。CVT信管。
Special Common Mk.38/46 55.18lbs (25.0kg) 2.04lbs (0.9kg) 2,600fps (792m/s) 18,200yd (16,642m) 対艦弾。
RAP Mk.57 54.30lbs (24.6kg) 3.50lbs (1.6kg) 2,600fps (792m/s) 23,770yd (21,735m) 射程延伸弾。
illumination Mk.27/30/44/45 54.39lbs (24.7kg) 2,600fps (792m/s) 17,575yd (16,071m) 照明弾。
WP Mk.46 53.00lbs (24.0kg) 2,600fps (792m/s) 17,575yd (16,071m) 発煙弾。
Chaff Mk.78 55.30lbs (25.1kg) 2,600fps (792m/s) 17,575yd (16,071m) X/Sバンド用チャフ。

採用艦艇[編集]

 アメリカ海軍

 アメリカ海軍

 アメリカ沿岸警備隊

51口径5インチ砲より後日換装
※FRAM時に76mm単装速射砲へ換装

 イギリス海軍

デリー英語版のみ改装時に搭載

 イタリア海軍

Naval Ensign of Japan.svg 海上自衛隊

 スペイン海軍

 デンマーク海軍

 ユーゴスラビア海軍

 ブラジル海軍


登場作品[編集]

映画[編集]

沈黙の戦艦
アイオワ級戦艦ミズーリ」に搭載されたMk.28 mod.2が登場。16インチ主砲の夜間射撃を支援するために使用され、照明弾を発射して敵潜水艦の位置を丸裸にする。実物大のモックアップが撮影に使用されている。

参考文献[編集]

  1. ^ a b c d 5"/38 (12.7 cm) Mark 12
  2. ^ 砲身命数(約4,600発)までの平均初速は2,500fps (762m/s)
  3. ^ 初速2,500fps (762m/s)
  4. ^ 砲塔統合ホイスト使用時
  5. ^ a b c 梅野和夫『世界の艦載兵器 砲熕兵器篇』光人社、2007年、91-94頁。ISBN 978-4769813590
  6. ^ フレッチャー級USS Hall (DD-583)及びUSS Richard P. Leary (DD-664)が砲身の摩耗が精度に及ぼす影響を調べるために約4,270発の発射試験を行った結果、6,000yd (5,486m)で260yd (238m)、12,000yd (10,973m)で470yd (430m)の誤差を示した。
  7. ^ アイオワ級戦艦では搭載砲弾数は595発/門となっていたといったように初期設計とは違っていた艦船は多々ある。
    戦前の駆逐艦は通常では約100-150発/門 + 照明弾100発であったが1940年以降は照明弾を200発へと変更している。
    戦争が進行するにつれて新設計の搭載数に見直され、フレッチャー級では525 + 50(即応弾)発/門、アレン・M・サムナー級では422 + 50(即応弾)発/門となっている。照明弾は1隻ごとに292 + 40(即応弾)発が搭載されていた。
    しかしファラガット級などの戦前設計の駆逐艦では搭載数の増加は見込めず、1944年のDD-355 USS Aylwinでは250 + 50(即応弾)発/門にとどまった。
  8. ^ アトランタ級のみ450発
  9. ^ ファラガット級、シムス級:300発
    ベンソン級、グリーブス級:320-360発
    フレッチャー級:350発(後期型は420発)
    アレン・M・サムナー級、ギアリング級:360発
  10. ^ Gun Mount And Turret Catalog
  11. ^ Mk.34/35:7.25lbs (3.3kg)、Mk.47:7.11lbs (2.8kg)、Mk.49/56:7.5lbs (3.4kg)、Mk.52:8.4lbs (3.8kg)