IS-2

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動先: 案内検索
IS-2重戦車(後期型)
Is-2@kubinka.jpg
IS-2重戦車
ロシア・クビンカ戦車博物館の展示車両
性能諸元
全長 9.90m
車体長 6.77m
全幅 3.09m
全高 2.73m
重量 46t
懸架方式 トーションバー方式
速度 37km/h
行動距離 240km
主砲 122mm戦車砲D-25T(46.3口径
副武装 12.7mm機銃DShK×1
7.62mm機銃DT×2
装甲 砲塔
防楯 100-120mm 前面/側面 90mm
(車体)
前面 100-120mm 側面 90mm 後面 60mm
エンジン V-2-IS
液冷V型12気筒ディーゼル
513馬力/2,000rpm
乗員 4名
テンプレートを表示

IS-2ロシア語ИС-2, ウクライナ語ЙС-2, 英語ドイツ語ポーランド語:JS-2)は、ソビエト連邦で開発され、1943年12月から生産が開始された第二次世界大戦後期に赤軍が使用した重戦車日本語文献においても英語やドイツ語の表記に従ってJS-2と書かれることも多い。「IS/JS」とは第二次世界大戦時のソ連の最高指導者だったヨシフ・スターリンIossif Stalin/Joseph Stalin)のイニシャルであり、そのためスターリン重戦車などとも書かれることがある。

概要[編集]

赤軍T-34中戦車KV-1重戦車大量生産ドイツ軍に対抗したが、ドイツ軍がティーガーIパンターなどを投入するようになると、それらの戦車を凌ぐ重戦車が求められるようになった。そこで、85mm砲を搭載するIS-1(旧名称:IS-85)が開発されたが、T-34の新型砲塔にも85mm砲が搭載された上、鹵獲したティーガーIを調査したところ、85mm砲ではティーガーIの8.8cm砲の危険領域まで接近しないと撃破できないことが判明し、新たに122mm カノン砲を改造し搭載するように設計されたのがIS-2(旧名称:IS-122)である。

コンパクトにまとめた車体に122mm砲を搭載したため、車内はかなり窮屈な上、元来野砲である122mm砲は、閉鎖機試作時の隔螺式から半自動の鎖栓式に変更したものの、使用される弾薬は、薬莢弾頭を2つに分けた分離式で、弾頭だけでも約25kgもの重量があり、装填の際には、薬莢と弾頭を1つに纏めた後に発射されるため、装填に時間が掛かり、狭い車内での装填作業は極度の疲労を乗員に与えた。また、車内容積に余裕がないため、搭載弾薬は28発に止まった。当初、主砲防盾は85mm砲用のままで幅が狭かったが、耐久性や照準器の位置など使い易さに問題があったため、まもなく幅広の新型に変更された。また、砲塔上のペリスコープも、イギリス製のコピーであるMk.4に変更された。初期型のIS-2については、KB(KV)戦車以来の開閉できる操縦士用直視型バイザーブロック(覗き窓)に攻撃を受け撃破される事例が多かったため、後期型(古い資料では研究者によってIS-2m、またはIS-2 1944年型とも呼ばれる)では車体前面の傾斜角を変更した「直線化装甲」型にし、固定されたバイザーにすることで防御力を増した(同じく攻撃を受け撃破される事例が多かった傾斜角度の少ない鋳造製の車体前方下部装甲については改造は行われず、この部分には補助装甲を兼ねて予備履帯を常設装備とする事で対応された)。それでも錬度が高いドイツ戦車兵の中には砲塔防盾の下側を狙い砲撃し、砲塔リングや車体上面に跳弾させ撃破する者もいたという。また、砲弾の集中の衝撃で防弾ガラスにヒビが入って前方が見えなくなることがあり、代わりに操縦士用の2基のペリスコープを使おうにも、左右の監視用であり間隔が広いため使いにくかったという(これは、IS-3では改良されている)。また、操縦性はIS-1同様、ティーガーより劣るとソ連側、および鹵穫したドイツ側双方からの報告が記録されている。

なお、これまで後期型の前面装甲が「ローマ人の鼻」型と紹介されてきたが、これは、ロシアで前期型の前面装甲の呼称の1つである"ломаный нос "(ローマヌィ ノース:ジグザグの鼻)を誤訳した可能性がある。読み自体にはローマという発音が含まれているが、形容詞"ломаный"は「屈折した、壊れた」を意味する形容詞であり、ローマは無関係である。(「ローマの」を意味する形容詞は"римский")ロシアの文献では後期型の前面装甲に関しては"спрямлённый"(直線化された)という形容詞によって言及されているのみで、「ローマ人の鼻」"римский нос"と言及されている例はない。

IS-2は数々の欠点を抱えていたが、122mm砲弾の威力は凄まじく、榴弾での陣地に対する攻撃力はもちろん、弾頭重量25kgの徹甲弾は、ドイツ軍のティーガーIやパンターなどを十分に撃破しうる性能を秘めていた。例えば捕獲したパンターに対する射撃実験では、クルスク戦において45mm対戦車砲から85mm高射砲の攻撃に対し、一発の貫通も許さなかった車体前面80mm傾斜装甲を距離600-700mで貫通、1500mでは貫通こそしなかったものの叩き割ることができた。そのため大量に生産され、対独戦末期の重要な局面に投入され活躍した。もっとも、本車は独立親衛重戦車連隊に編成されて拠点突破に用いられることが多く、対戦車戦闘よりも対歩兵戦闘に活躍している。事実、本車の損害の6割は、歩兵の携帯兵器であるパンツァーファウストによるものである。

1956年、中国で行われたナショナルデーの軍事パレード

戦後は共産圏の各国へ供与され、エンジンの換装や、側面の装甲を雑具箱を兼ねた二重構造にしたIS-2Mに改修され、大戦中から引き続きチェコポーランド、戦後に中国キューバ北朝鮮に送られた。第一次インドシナ戦争時、フランス軍は中国からベトナムにIS-2が提供されたのではないかと警戒し、ドイツから鹵獲して運用していたパンターを1両派遣したが、実際にはIS-2の配備は無かった(一方、中東にもIS-2は送られていない)。 IS-2の欠点を改良し、全く異なる車体を持つ発展型としてIS-3、直接の拡大発展型であるIS-4が開発された。

画像[編集]

登場作品[編集]

アニメ[編集]

アンジュ・ヴィエルジュ
テレビアニメ版第7話に「青の世界の最新鋭兵器」としてIS-2後期型が登場。
ガールズ&パンツァー
プラウダ高校の使用戦車としてIS-2後期型が登場。副隊長のノンナが砲手を兼任。
ガールズ&パンツァー 劇場版
エキシビションマッチおよび大学選抜戦に登場。引き続き副隊長のノンナが砲手を兼任。

漫画[編集]

ウクライナ混成旅団
単行本「幻の豹 The Panther in Ukraina 1950」または「独立戦車隊」収録作品。ウクライナ混成旅団らがラーゲリから奪ったV号戦車パンター追撃するために赤軍重戦車大隊に所属している本車が登場し、夜間にV号戦車を包囲することに成功する。
しかし、不意打ちで1両がショットトラップを狙われて撃破されたうえ、夜陰に乗じてV号戦車に逃げられてしまう。最後の農村での戦闘でも8両が登場し、V号戦車を攻撃するが、隊長車を除く7両が撃破されてしまう。

ゲーム[編集]

War Thunder
IS-2・IS-2 1944年型・IS-2 (Revenge)がプレイヤーの操縦できる戦車として登場する。
World of Tanks
ソ連重戦車としてIS-1相当をIS-2相当(前期型車体)に改造できる。後期型車体のIS-2が販売。また、中国重戦車IS-2として開発可能。
スナイパーエリートV2
ソ連軍の戦車として登場。ときたま、指揮官がハッチから顔を出して指揮を執ることがある。
パンツァーフロント
IS-2とIS-2Mが登場。架空の車両としてIS-2をベースに152mm砲を搭載した重戦車IS-152が登場する(ISU-152とは別物)。
虫けら戦車
砲塔の識別塗装が再現されている。ゲーム内の解説では名前の由来に直接スターリンの名を出さず、ぼかして表されている。

関連項目[編集]