GJ 1214 b

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GJ 1214 b
GJ 1214 bの想像図
GJ 1214 bの想像図
星座 へびつかい座[1]
分類 太陽系外惑星
スーパーアース
軌道の種類 周回軌道
発見
発見日 2009年12月16日
発見者 デイヴィッド・シャルボノーら[2]
発見方法 トランジット法
(MEarthプロジェクト)
軌道要素と性質
軌道長半径 (a) 0.01411 ± 0.00032 au[3]
(211万850 ± 4万7870 km)
離心率 (e) <0.27[2]
公転周期 (P) 1.58040456 ± 0.00000016 [2]
軌道傾斜角 (i) 88.17 ± 0.54°[3]
通過時刻 2454999.712703 ± 0.000126 HJD[2]
準振幅 12.2 ± 1.6 m/s[2]
GJ 1214の惑星
位置
元期:J2000.0[4]
赤経 (RA, α) 17h 15m 18.94s[4]
赤緯 (Dec, δ) +04° 57′ 49.7″[4]
固有運動 (μ) 赤経: 585.0 ミリ秒/[4]
赤緯: -752.0 ミリ秒/年[4]
年周視差 (π) 69.04 ± 0.54 ミリ秒[4]
距離 42 ± 3 光年[5]
(13.0 ± 0.9 パーセク[5])
物理的性質
直径 3万4160 km
半径 2.678 ± 0.13 R[2]
表面積 3.658×109 km2
体積 2.080×1013 km3
質量 6.55 ± 0.98 M[2]
平均密度 1,870 ± 400 kg/m3[2]
表面重力 8.93 ± 1.3 m/s2[2]
(0.911 ± 0.133 g)
表面温度 393-555 K[2]
(120-282 ℃)
年齢 60 ± 30 億年[2]
大気圧 不明
別名称
別名称
Gliese 1214 b[6]
LHS 3275 b
2MASS J17151894+0457496 b
Template (ノート 解説) ■Project

GJ 1214 bは、へびつかい座の方向に約42光年離れた位置にある恒星GJ 1214公転している太陽系外惑星で、2009年12月に発見された。2017年現在、GJ 1214 bは海洋惑星である可能性が最も高い候補である[2][7]。そのため、科学者たちはGJ 1214 bをThe waterworldと呼んだ[8]

GJ 1214 bは、木星型惑星よりも半径質量が有意に小さい惑星、スーパーアースであることが確認された系外惑星としては、CoRoT-7bに続き二例目である。この星は地球に似ている点と、21世紀初頭の技術を使って惑星が恒星の前を通過する様子を観測し、惑星の大気を研究できるという事実が意義深い[2]

発見[編集]

GJ 1214 bは、軌道上の惑星が恒星の前を通過する際、わずかに暗くなる恒星の明るさの変化を検出するMEarthプロジェクトによって発見された。2009年の初めに、MEarthプロジェクトの天文学者達は、恒星GJ 1214がわずかに暗くなる事を発見した。さらなる観測によって、GJ 1214が約1.58日周期に明るさが約1.5%、暗くなっている事が判明した。その後、チリラ・シヤ天文台にあるヨーロッパ南天天文台(ESO)の口径3.6メートルを持つ高精度視線速度系外惑星探査装置(HARPS)のスペクトログラフを用いて、ドップラー分光法による観測を行った。これらの観測によって、惑星GJ 1214 bの存在が確定した。その後、雑誌ネイチャーにて、その発見論文が発表された[2]

特徴[編集]

大きさの比較
海王星 GJ 1214 b
海王星 Exoplanet

GJ 1214 bの半径は、惑星が地球から見て恒星の前を通過する際の、恒星の減光割合から推測する事が出来る。質量は、恒星のドップラー効果によってスペクトルに生じる視線速度の変化から推測する事が出来る[2]。質量と半径から、密度を求める事も出来る。理論的モデルとの比較を通じて、密度は惑星の組成や構造などの限られた情報しか得られないが、これは惑星の素性を知るうえで重要な情報となる[2]


温度はおよそ393-555K摂氏120-282度)であり、2009年までにトランジット法で発見されたどの惑星よりも温度が低い可能性がある[9]。温度の範囲は惑星の反射率に依存し、555Kは反射能0の時の上限であり、393Kは反射能が0.75で金星と類似している場合の想定である[2]

惑星の質量と半径は一般的な海洋惑星の構造と一致し、(~75%)と岩石(~25%)で構成されている。また惑星の質量の0.005%を占める水素ヘリウムの大気によって覆われていると考えられている。いくらかの水は水圧によって氷VIIの形態で存在している[9]

惑星の通過はMEarthプロジェクトにおいてロボット制御のRC光学系 40 cm (16 in) 望遠鏡と市販されているカメラを使用して発見された[10]

大気[編集]

GJ 1214 bは、恒星が比較的小型のため、恒星面を通過中に分光観測を行う事が出来る。通過前と通過中に観測されたスペクトルを比較する事により、惑星の大気のスペクトルを推定する事が出来る。2010年12月には波長が750~1000nmには大きな特徴がない事を示す研究が発表された。木星型惑星のような、分厚い水素などで覆われた大気が表す特性が見られなかったため、大気は分厚い水素の層では構成されていないとされている。観測の結果、水蒸気や他の物質の明解な兆候は得られなかったが、天文学者達は、GJ 1214 bは主に水蒸気から成る大気を持っていると推測している。

老齢と推定される惑星系の流体力学的な散逸度合が9×105kg/sである事から、発見者のシャルボノー等は、惑星は生涯を通じて重大な大気の喪失を続け、現状の大気がどんなものであれ原始の性質を留めていることはないとしている[2]

2010年、ヨーロッパ南天天文台はGJ 1214 bの大気を観測した[11]。これはスーパーアースの大気が分析された最初の例である[11]。観測前までGJ 1214bは雲のない透明な水素の大気を持つと予想されていたが、観測結果は分厚い雲に覆われた水素の大気か、あるいは高温高圧の水蒸気の大気であることを示していた[11] 。さらに2012年にはハッブル宇宙望遠鏡の観測に基づいた研究で、GJ 1214 bが水蒸気の大気で覆われていることが確認された[12]

出典[編集]

ウィキメディア・コモンズには、GJ 1214 bに関するカテゴリがあります。

  1. ^ Roman, Nancy G. (1987). “Identification of a Constellation From a Position”. Publications of the Astronomical Society of the Pacific 99 (617): 695–699. Bibcode 1987PASP...99..695R. doi:10.1086/132034.  Vizier query form
  2. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r Charbonneau, David; Berta, Zachory K.; Irwin, Jonathan; Burke, Christopher J.; Nutzman, Philip; Buchhave, Lars A.; Lovis, Christophe; Bonfils, Xavier et al. (2009). “A super-Earth transiting a nearby low-mass star”. Nature 462 (7275): 891–894. arXiv:0912.3229. Bibcode 2009Natur.462..891C. doi:10.1038/nature08679. PMID 20016595. 
  3. ^ a b K. B. W. Harpsøe et al. (2012年9月10日). “The Transiting System GJ1214: High-Precision Defocused Transit Observations? and a Search for Evidence of Transit Timing Variation”. arXiv:1207.3064v2 [astro-ph.EP]. Bibcode 2013A&A...549A..10H. doi:10.1051/0004-6361/201219996. 
  4. ^ a b c d e f SIMBAD Astronomical Database”. Result for GJ 1214 b. 2017年4月25日閲覧。
  5. ^ a b van Altena, William F.; Lee, John Truen-liang; Hoffleit, E. Dorrit. The General Catalogue of Trigonometric Stellar Parallaxes. Yale University Observatory. ASIN B000UG5T6Y. Vizier catalog entry
  6. ^ Open Exoplanet Catalogue - Gliese 1214 b”. Open Exoplanet Catalogue. 2017年4月25日閲覧。
  7. ^ Kuchner, Seager; Hier-Majumder, M.; Militzer, C. A. (2007). “Mass–radius relationships for solid exoplanets”. The Astrophysical Journal 669 (2): 1279–1297. arXiv:0707.2895. Bibcode 2007ApJ...669.1279S. doi:10.1086/521346. http://www.iop.org/EJ/abstract/0004-637X/669/2/1279/. 
  8. ^ 10 Real Planets That Are Stranger Than Science Fiction”. 2017年4月25日閲覧。
  9. ^ a b David A. Aguilar (2009年12月16日). “Astronomers Find Super-Earth Using Amateur, Off-the-Shelf Technology”. Harvard-Smithsonian Center for Astrophysics. 2009年12月16日閲覧。
  10. ^ MEarth: looking for transiting, habitable super-Earths around small stars”. 2009年12月16日閲覧。
  11. ^ a b c Rachel Kaufman (2010年12月1日). “スーパーアースの大気は高温の水蒸気?”. ナショナルジオグラフィック ニュース. http://natgeo.nikkeibp.co.jp/nng/article/news/14/3469/ 2016年6月3日閲覧。 
  12. ^ “New Type of Alien Planet Is a Steamy 'Waterworld'”. SPACE.COM. (2012年2月21日). http://www.space.com/14634-alien-planet-steamy-waterworld-gj1214b.html 2012年2月22日閲覧。 

関連項目[編集]

外部リンク[編集]

座標: 星図 17h 15m 18.94s, +4° 57′ 49.7″