任命権者
任命権者(にんめいけんじゃ)とは、公務員の任命、休職、免職及び懲戒等について権限(任命権)を有する者のこと。ここでは、日本の公務員の任命権者について解説する。
任命権者の一覧
任命権者と主な任命対象者。なお、任命にあたり、他の公職による指名、助言、同意、承認等を必要とするものもある。
※(任命権者)→(任命対象者)
天皇
「認証官」も参照
行政府
- 内閣→副大臣、内閣官房副長官、大臣政務官、内閣総理大臣補佐官、内閣官房副長官補、最高裁判所長官以外の裁判官、検事総長、次長検事、検事長、人事官、人事院総裁、検査官、内閣法制局長官、内閣危機管理監、国家安全保障局長、宮内庁長官、侍従長、式部官長、東宮大夫、特命全権大使、特命全権公使、国家公務員倫理審査会会長及び委員
- 内閣総理大臣→国務大臣(日本国憲法第68条)、公正取引委員会委員、国家公安委員会委員、中央選挙管理会委員、内閣広報官、内閣情報官、内閣府職員、内閣官房職員、中央労働委員会委員、公安審査委員会委員長及び委員、公害等調整委員会委員長及び委員、原子力規制委員会委員長及び委員、カジノ管理委員会委員長及び委員、日本学術会議会員及び事務局職員
- 各省大臣→その省の職員(外局については外局の長のみ※例外あり。下記外局の長の記述参照)
- 会計検査院長→会計検査院職員
- 人事院総裁→人事院職員
- 宮内庁長官→宮内庁職員(侍従長、式部官長、東宮大夫を除く)
- 外局の長→属する外局の職員(※例外①外局に置かれる審議会等の委員は、その府省の大臣が任命権者とされていることがきわめて多い。②厚生労働省の外局である中央労働委員会の中で、事務局職員及び地方調整委員は厚生労働大臣が任命権者である。)
- 国家公安委員会→警察庁長官、警視総監、道府県警察本部長、地方警務官
- 警察庁長官→警察庁職員
- 内閣法制局長官→内閣法制局職員
立法府
- 衆議院→衆議院議長
- 参議院→参議院議長
- 衆議院議長・参議院議長→国立国会図書館長(両議長の連名)、属する議院の議院法制局長
- 国立国会図書館長→国会図書館職員
- 各議院事務総長→属する議院事務局の職員
- 各議院法制局長→属する議院法制局の職員
- 裁判官訴追委員会委員長→事務局職員
- 裁判官弾劾裁判所裁判長→事務局職員
司法府・検察
- 最高裁判所、各地の高等裁判所、各地の地方裁判所、各地の家庭裁判所→その裁判所の裁判官以外の職員
- 最高裁判所→各地の検察審査会事務官及び事務局長
- 各地の検察審査会事務局→各地の検察審査員(くじによる)
- 検察審査員→各検察審査会の会長(委員の互選による)
地方公共団体
※選挙によって決められる委員を除く。具体的には、選挙管理委員会委員全員、海区漁業調整委員会委員・内水面漁場管理委員会委員の一部は選挙による。
- 地方議会の議長、選挙管理委員会、代表監査委員、教育委員会、人事委員会、公平委員会、→事務局職員または事務職員(教育委員会にあってはその所管に属する教育機関の教員も)
- 警視総監→東京都警察職員(地方警務官を除く)
- 道府県警察本部長→属する道府県警察の職員(地方警務官を除く)
- 消防長→属する消防の職員
- 地方公営企業管理者→属する企業職員
- 農業委員会会長→属する農業委員会職員
一般職の任命に関する規定
- 国家公務員法(昭和二十二年十月二十一日法律第百二十号)
- 第五十五条 任命権は、法律に別段の定めのある場合を除いては、内閣、各大臣(内閣総理大臣及び各省大臣をいう。以下同じ。)、会計検査院長及び人事院総裁並びに宮内庁長官及び各外局の長に属するものとする。これらの機関の長の有する任命権は、その部内の機関に属する官職に限られ、内閣の有する任命権は、その直属する機関(内閣府を除く。)に属する官職に限られる。ただし、外局の長に対する任命権は、各大臣に属する。※「別段の定め」の一例は、国家公安委員会の警察庁長官任命権(警察法)。
- 2 前項に規定する機関の長たる任命権者は、その任命権を、その部内の上級の職員に限り委任することができる。この委任は、その効力が発生する日の前に、書面をもつて、これを人事院に提示しなければならない。
- 3 この法律、人事院規則及び人事院指令に規定する要件を備えない者は、これを任命し、雇用し、昇任させ若しくは転任させてはならず、又はいかなる官職にも配置してはならない。
- 第六十一条 職員の休職、復職、退職及び免職は任命権者が、この法律及び人事院規則に従い、これを行う。
- 第五十五条 任命権は、法律に別段の定めのある場合を除いては、内閣、各大臣(内閣総理大臣及び各省大臣をいう。以下同じ。)、会計検査院長及び人事院総裁並びに宮内庁長官及び各外局の長に属するものとする。これらの機関の長の有する任命権は、その部内の機関に属する官職に限られ、内閣の有する任命権は、その直属する機関(内閣府を除く。)に属する官職に限られる。ただし、外局の長に対する任命権は、各大臣に属する。※「別段の定め」の一例は、国家公安委員会の警察庁長官任命権(警察法)。
- 地方公務員法(昭和二十五年十二月十三日法律第二百六十一号)
- 第六条 地方公共団体の長、議会の議長、選挙管理委員会、代表監査委員、教育委員会、人事委員会及び公平委員会並びに警視総監、道府県警察本部長、市町村の消防長(特別区が連合して維持する消防の消防長を含む。)その他法令又は条例に基づく任命権者は、法律に特別の定めがある場合を除くほか、この法律並びにこれに基づく条例、地方公共団体の規則及び地方公共団体の機関の定める規程に従い、それぞれ職員の任命、休職、免職及び懲戒等を行う権限を有するものとする。※「特別の定め」の一例は、国家公安委員会の警視総監・警察本部長任命権(警察法)。
- 2 前項の任命権者は、同項に規定する権限の一部をその補助機関たる上級の地方公務員に委任することができる。
- 第六条 地方公共団体の長、議会の議長、選挙管理委員会、代表監査委員、教育委員会、人事委員会及び公平委員会並びに警視総監、道府県警察本部長、市町村の消防長(特別区が連合して維持する消防の消防長を含む。)その他法令又は条例に基づく任命権者は、法律に特別の定めがある場合を除くほか、この法律並びにこれに基づく条例、地方公共団体の規則及び地方公共団体の機関の定める規程に従い、それぞれ職員の任命、休職、免職及び懲戒等を行う権限を有するものとする。※「特別の定め」の一例は、国家公安委員会の警視総監・警察本部長任命権(警察法)。
外部リンク
- 日本国憲法 - e-Gov法令検索
- 国家公務員法(昭和22年法律第120号) - e-Gov法令検索
- 地方公務員法(昭和25年法律第261号) - e-Gov法令検索
- 幹部公務員の給与に関する有識者懇談会第1回(2003年)資料(首相官邸HP):特別職について、「誰が任命権者か」「誰の任命権者か」がまとめられている。