五大国
五大国(ごたいこく)とは、ある範囲(通常は全世界だが例外もあり)を政治経済・軍事の両面でリードする5つの大国のことである。五大国の内訳は時代や分野などによって変化してきた。現在においても、五大国といっても複数ある。
世界の五大国
現在
国連における五大国(第二次世界大戦 戦勝国)
国 | 現在の国連大使 | 現在の代表国 | 元の代表国 | 元首 | 政府の長 |
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アメリカ | ニッキー・ヘイリー | アメリカ(1946–現在) | — | ジョー・バイデン大統領 | |
イギリス | マーク・ライアル・グラント | イギリス(1946–現在) | — | エリザベス2世女王 | ボリス・ジョンソン首相 |
フランス | ジェラール・アロー | フランス(1958–現在) | フランス第四共和政(1946-1958) | エマニュエル・マクロン大統領 | ジャン・カステックス首相 |
中国 | 馬朝旭 | 中華人民共和国(1971–現在) | 中華民国(1946–1971) | 習近平国家主席(総書記)[注釈 1] | 李克強総理 |
ロシア | ピョートル・イリイチョフ | ロシア(1992–現在) | ソビエト連邦(1946–1991) | ウラジーミル・プーチン大統領 | ミハイル・ミシュスティン首相 |
現在の首脳
第二次世界大戦の戦勝国のうち、国際連合の設立に中心的な役割を果たし、なおかつ常任理事国である「Permanent 5」と呼ばれるアメリカ合衆国、イギリス、フランス、ソビエト連邦(ソビエト連邦の崩壊後は、ロシアに代わる)、中国(1971年に中華民国から中華人民共和国に代表権が代わった)。この常任理事国のいずれもが核拡散防止条約で特権的に核兵器の保有が認められており、軍事参謀委員会を構成する。また、これら常任理事国の国語である英語、フランス語、ロシア語、中国語は、国際連合の公用語である。第一次世界大戦後の列強のうち、敗戦国となった日本とイタリアが脱落し、戦勝国となったソビエト連邦と中国を加えた5ヶ国が世界五大国と称された。
日本、ドイツ、インド、ブラジルには、自国が常任理事国に加わろうとする動きがある(G4諸国)。冷戦時代には、アメリカ合衆国とソビエト連邦が五大国の中でも抜きん出た存在であった。しかし、1989年の東欧革命・冷戦終結によりソビエト連邦の影響力は大きく低下し、更に1991年にソ連自体も崩壊したことから、2000年代初頭まではアメリカ合衆国による一極支配と言われる状態になっていた。
その後、アフガニスタン紛争やイラク戦争でアメリカ合衆国の国力は相対的に低下し、中華人民共和国の経済成長と急速な軍備拡大・海洋進出、ロシアの天然ガスを用いた資源外交・経済成長と軍備拡大によって、アメリカ合衆国による一極支配は弱まっている。
先進5か国(G5)
いずれもかつて「先進国」と称され、現在も世界に経済影響を与えている国である。
第二次世界大戦前も先進工業国として認識され、さらに戦後も民主主義国として先進工業国としての地位を維持、もしくは回復したアメリカ、イギリス、フランス、西ドイツ、日本を対象とした先進国首脳会議が1975年に計画され、その5か国が先進5か国(G5)と呼ばれる。実際の会議にはイタリアも参加し、さらに翌年にはカナダも加わった。この7カ国をもって「G7」と呼ばれる。1990年にはドイツ再統一により西ドイツがドイツとなる。ソ連崩壊後に加入したロシアを入れると「G8」となるが、これに伴い先進国首脳会議は主要国首脳会議に名称が変更された(当時のロシアは1人あたりのGDPが1000ドル台であり先進国とは言い難かった)。
過去の五大国
ウィーン体制下
ナポレオン戦争後のウィーン体制下での五国同盟(1818年四国同盟より改称)加盟国(イギリス、フランス王国、オーストリア帝国、プロイセン王国、ロシア帝国)を五大国としている。
国際連盟体制下
第一次世界大戦後はヴェルサイユ条約に基いたヴェルサイユ体制が国際関係の柱となった。戦前の列強のうち、敗戦国となったドイツ、オーストリアと、共産化によって国際社会から孤立したソビエト連邦が排除され、戦勝国となったアメリカ、日本、イタリアを加えた5ヶ国が世界五大国と称された。このうち、アメリカ合衆国を除く4ヶ国は、国際連盟発足時の常任理事国であった。
ドイツとソビエトが国力を回復させて軍備を増強し、再び列強の一員に加わった1930年代後半になると、従来の「五大国」という括り方はされなくなっていった。
地域の五大国
統一前のイタリア
統一前のイタリアでは有力な都市国家をさして五大国と呼んでいた(フィレンツェ共和国(メディチ家)、ミラノ公国、ヴェネツィア共和国、ローマ(ローマ教皇領)、ナポリ王国)。