超大国

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超大国(ちょうたいこく、: superpower)とは、世界全体に対して、政治的にも経済的にも大きな影響力を及ぼす国家である。大国(great power)よりも影響範囲が大きい。

具体的には、冷戦時代にはアメリカ合衆国ソビエト連邦冷戦終結後はアメリカ合衆国が唯一の超大国とされ、第二次世界大戦以前の時代には大英帝国も超大国であったと定義されている。

目次

起源[ソースを編集]

左…超大国アメリカ合衆国の主力航空母艦ニミッツ級、右…海軍大国イギリスの主力航空母艦インヴィンシブル級
ベルリンのチェックポイント・チャーリーで対峙するソ連軍とアメリカ軍の戦車

1945年第二次世界大戦が終結した後、勝戦国の中でも共産主義一党制寡頭政治を敷く政府の下で国力を増強したソビエト連邦と、連合国において中心的な立場を果たし、自由主義資本主義を名目とするアメリカ合衆国の2国が、世界に対して大きな政治的・経済的影響力を持つようになった。

冷戦時代[ソースを編集]

共産主義勢力の拡大を目指すソビエト連邦(ソ連)と、自由主義を標榜するアメリカ合衆国(米国)のそれぞれの影響の下に、世界は、ソ連に与する東側諸国とアメリカ合衆国寄りの西側諸国へと二分され、冷戦時代が到来した。

これは、米ソ両国が世界各国に政治的に働きかけ、それぞれの傘下に置くことで双方に対する外交的牽制を行ったことによる。やがて、このソビエト連邦とアメリカ合衆国それぞれの世界情勢に対する影響力の強さから、両者は超大国と呼ばれるに至った。

冷戦後[ソースを編集]

1989年東欧民主化革命によって共産党政府が続々と倒され、1991年ソ連崩壊が起きると、アメリカ合衆国一国のみが唯一の超大国と認識されるようになり、特にブッシュ父子政権時代は極超大国(英: hyperpower)という言葉で定義されるようになった[1][2]。東欧民主化革命当時、タイム誌など一部のメディアでは当時の世界経済を席巻していた日本が超大国化するという予測もされたが、バブル崩壊以降は聞かれなくなった[3]

共産主義勢力の脅威が後退した現代社会においては、アメリカの一国主義に基づく諸紛争当事国への一方的な軍事介入がしばしば行われ、大きな国際問題へと発展している。とりわけ2001年アメリカ同時多発テロ事件以後はこの問題が顕著になっている。しかし、大統領制を布くアメリカでは、大統領の交代(大統領選挙)によって政府の外交が大きく変化するため、今後の大統領によっては同国の方針が大きく変化したり、好転することもあり得る。

超大国となる要素[ソースを編集]

過去、歴史的には二国の超大国しか存在した事がない為、超大国となるための条件を明確に規定する事は難しい。ただし試みにその要素を列挙するとすれば、下記のようなものが考えられる。

文化的要素[ソースを編集]

超大国は、世界中の文化に対して大きな影響力を持った国でもある。また、近年のインターネットの発達により、インターネットの規模、技術、文化発信力も要求される。また、超大国の言語が世界で広く話されている言語であるか、あるいは超大国の国民がそうした言語が得意であるかどうかも重要な要素となる。

地理的要素[ソースを編集]

超大国は、豊かで広い領土を保有し、食糧の自給自足と輸出ができる。また、近年では、弾道ミサイルの発達によって、超大国は、それに対立できるほどの国力を有する国からかなり離れていることが望まれている。

経済的要素[ソースを編集]

超大国は、その巨大な活動と、圧倒的な活動力の裏づけとして、非常に巨大な経済力を有している。また、世界の金融の中心でもある。

財政的要素[ソースを編集]

超大国は、経済的要素に裏づけされた豊富な財政力を有している。

人口的要素[ソースを編集]

超大国は、生産力、軍事力の裏づけとして、豊富な人口を有している。

資源的要素[ソースを編集]

超大国は、豊富な鉱物、エネルギー資源を保有している。例えば、鉄鉱石石炭石油天然ガスなどである。これらは自国の産業にとって重要である他、輸出により外交カードとしても重要である。

言語的要素[ソースを編集]

アメリカやソ連のように自国において統一された言語であるかも重要である

外交的要素[ソースを編集]

歴史的に見て、超大国は、「戦争を起こす国」ではなく、「戦争を支援する国」であることが多い。そうすることによって、自国の産業が発展し、支援した国の政府が自国政府に臣従するからである。こうして、超大国は、同盟国を実質的な「保護国」としている場合が多い。この超大国に臣従する「保護国」は、アメリカ合衆国に対する戦後日本ソビエト連邦に対する東ドイツが顕著な例である。

また、第二次大戦後、国際連合安全保障理事会の拒否権、すなわち安保理常任理事国の議席も重要な要素である。

諜報的要素[ソースを編集]

超大国は、諜報・防諜機関が非常に発達しており、諜報機関は、同盟国、対立国の別を問わず、世界中に展開している。

現代の超大国[ソースを編集]

アメリカ合衆国[ソースを編集]

世界の文化、経済の中心・ニューヨーク

アメリカ合衆国は、冷戦時代には資本主義陣営の超大国として、冷戦終結後の現在は世界で唯一の超大国として広く認識されている。唯一の世界覇権国、世界経済の中心国としての地位を維持している。

文化的要素[ソースを編集]

アメリカの文化発信力は非常に高い。大衆文化は、発祥元でもあるインターネット映画テレビコンピューターゲームなどの媒体を介して昼夜を問わずほぼ全世界に発信されている。上位文化に分類される学術分野についても、経済学経営学社会学法学生化学計算機工学システム工学医学薬学など、各分野の権威や発表の場である学術会議が集中している。またアメリカでは事実上の世界共通語である英語が使用されているほか、英語の話者人口の増加という優位をもっている。

しかし、アメリカはヨーロッパ文明から分かれ出てからの歴史が比較的浅く、独自の伝統文化が著しく乏しい。また、あらゆる民族によって構成される移民国家であり、移入民族による文化的多様性をもっている一方、アメリカ独自の文化では野球アメリカンフットボールのようなスポーツ、ハリウッドアクション映画に代表されるように画一化、規格化される傾向がある。大衆消費文化はアメリカ的自由の象徴として受け止められる一方で、その世界的な文化的影響力が批判の対象となる。

地理的要素[ソースを編集]

アメリカは周囲に対立する強国が無い。またユーラシアの強国からも離れているため、安易に弾道ミサイルや大規模侵攻、大規模揚陸を受けにくい。

しかし、テロリズムや、ロシア中華人民共和国が2007年までにアメリカの殆どを射程とする大陸間弾道ミサイルを配備することで、この優位が弱まりつつある。

経済的要素[ソースを編集]

100USドル紙幣

アメリカは世界最大の経済力をもつ経済大国であり、世界の経済生産の3割を有している。2010年におけるアメリカのGDP(国内総生産)は約14兆7995億ドルで世界第1位であり、2位の中華人民共和国(約5兆3648億ドル)の2.7倍以上に達する。

また、マイクロソフトマクドナルドなどの世界各国に影響力をもつ多国籍企業の輩出国でもある。

アメリカは世界の農場とも呼ばれており、世界最大の農産物輸出国でもある。

アメリカを代表する投資銀行・ゴールドマン・サックスの予測では、2050年のGDPは1位が中華人民共和国、アメリカが2位、インドが3位となり、アメリカの経済力の相対低下が心配されている。しかし、1980年代後半まで「2000年までに日本のGDPがアメリカを抜く」という予測もあったことを考慮すると、この予測がはずれる可能性も大きいとする見方も可能である。

2010年以降はついに中華人民共和国がGDP2位になり、それ以降日本と大きく差をつけ、2020年にはアメリカの半分以上にはなるとも思われる。

財政的要素[ソースを編集]

アメリカの通貨であるUSドル基軸通貨である。ただアメリカは、1970年代から続く「双子の赤字(財政・貿易赤字)」に頭を悩ませている。クリントン政権時代に一時、財政状態が好転したものの、対テロ戦争で再び巨額の「双子の赤字」に苦しみつつある。

また中華人民共和国は、対米貿易黒字で多額のアメリカ国債を保有しており、これを売ればアメリカの財政に打撃を与えうる。また、ロシアも中華人民共和国やインドが必要としている石油の一部をルーブル建てにしており、これを拡大することによって基軸通貨としての米ドルの地位に影響を与えうる。

人口的要素[ソースを編集]

アメリカは先進国ではほぼ唯一人口が将来に向けて持続的に増加しており、またその規模も世界第3位である。また、合計特殊出生率は2.05程度で非常に安定しており、また人口グラフが「釣鐘型」と言われる非常に理想的な形である。2006年には総人口が3億人に達したと公式発表された。

しかし、インド、インドネシアなどでの人口増加により、相対的に人口優位が低下するとの意見がある。しかしこれらの国の人口バランスは非常に不安定であり、エイズ伝染病の蔓延などの面からも、相対的にアメリカの人口動態は優れているといえる。

軍事的要素[ソースを編集]

アメリカ空軍ステルス戦略爆撃機B-2は、単価2500億円以上の世界最高値・最高性能の航空機であり、超大国の象徴である。

2008年現在、アメリカ合衆国の軍事力は他の国家全てを合わせた軍事力より強力であるとされる。このことは核戦力と通常戦力双方に言える。さらに世界中のあらゆる地域に同盟国を持ち、NATO米州機構などの集団的な安全保障体制を構築している。また世界中に駐留軍を置き、正規空母を中核とした空母打撃群によって7つの海の制海権を得ている。

核戦力での突出ぶりは大きく、ソ連の核兵器を受け継ぐロシア以外とは桁違いの保有量と運用能力をもっている。 通常戦力は特に外征能力の高さで突出しており、同時多発テロ後はアフガニスタン侵攻イラク戦争でそれを証明した。空海軍の優位が大きいほか、大規模な海兵隊が独立した軍として編成されており、柔軟かつ積極的な運用を可能にしている。

軍事力の独走ぶりは冷戦崩壊直後が絶頂であった。近年ではロシアの復調と中華人民共和国をはじめとする新興国の軍拡により差は縮まっているが、未だに2位以下と隔絶した戦力差を誇っており、これはソ連が崩壊した事によるロシアの大幅な軍事費の低下によるものである。2009年現在は中華人民共和国のGDPがアメリカの3分の1程度であるために、軍事費ランキングは2009年に1位アメリカが6070億米ドル、2位中華人民共和国849億米ドルとなっており、さらに中華人民共和国の軍事費が拡大してアメリカ一極支配が終結する可能性がある。

世界で取引される兵器の半分近くがアメリカ製で、軍事産業においても世界一になっている。

資源的要素[ソースを編集]

広大な土地によって、石油や石炭、天然ガスなど多くの資源に恵まれている。石油はテキサス州をはじめとするメキシコ湾一帯やカリフォルニア州アラスカ州などが、石炭はアパラチア山脈ロッキー山脈周辺やペンシルベニア州などが主要な産地となっている。その他、鉄鉱石、金、銅などの生産も多い。

ただ、エネルギー消費は西欧諸国や日本に比べ非効率であり、石油などは消費量の約半分を外国から輸入していた。近年、シェールガスの生産量が急増し、2012年にはロシアを抜いて世界最大の天然ガス生産国となった(シェールガス革命)。これにより天然ガス価格が大きく低下、安価な電力が豊富に供給されるようになり、米国製造業の競争力向上に結びついている。日本などに向けて余剰のガス輸出も許可され、エネルギー輸入国から輸出国となりつつある。

アメリカは農業従事者の人口に占める割合は少ないが大規模農業を発達させ、農業の生産性は高く、農産物は重要な輸出品目になっている。穀物は食糧援助に使われるなど政治的に重要である。ただしアメリカの農産物の競争力は膨大な政府支出に支えられており、土壌浸食や砂漠化など環境面での課題も多い。

外交的要素[ソースを編集]

アメリカは現在、国際関係において世界最大の発言力を有しており、国連安保理の常任理事国でもある。また、圧倒的かつ最先端の軍事技術を保持する事で、イギリス、日本、イスラエルなどのアメリカにとって最重要の「同盟国」に対し、優位な立場で接することが出来る。特に日本や韓国、中華民国(台湾)は安全保障の一部をアメリカに頼っており、保有している兵器も多くがアメリカ製品、もしくはそのライセンスである。

しかし、近年のロシアのプーチン政権による「強いロシア」の復活や、中華人民共和国の上海協力機構の出現・ウズベキスタンでの上海協力機構に対する外交的敗北は、アメリカの発言力が弱まりつつあることを示している。

諜報的要素[ソースを編集]

アメリカの諜報機関・CIAは、世界最大の諜報機関として広く認知されている。CIAのスパイは、世界中のあらゆる所で、諜報活動、破壊活動、宣伝活動に携わることが出来るとされており、事実、各国での左翼政権打倒・親米化クーデターの影にはその姿が見え隠れしている。日本でも自民党結党の際に資金援助を行い、右翼活動家を工作員に使い、50年代以降にも自民党有力者らに資金援助を行うなど、日本に対し内政干渉していたことを公式に認めている[4]

しかし、アメリカ同時多発テロ事件以降はテロリストの拘束を名目にFBIやCIAの裁量権が増え、国民のプライバシーを犯している事例が増えているとされており問題となっている。

過去の超大国[ソースを編集]

イギリス帝国[ソースを編集]

イギリス帝国統治下の経験を有する国・地域。現在のイギリスの海外領土は赤い下線が引いてある。
セシル・ローズの風刺画。カイロケープタウンに両足を置き、アフリカ大陸を制覇している

イギリスは19世紀のヴィクトリア朝にはイギリス帝国と言われるほどの超大国であった。

文化的要素[ソースを編集]

人類史上最初に産業革命が始まったのはイギリスであり、資本主義が勃興したのもイギリスである。ヴィクトリア朝時代には大衆文化が勃興した。

地理的要素[ソースを編集]

グレートブリテン島アイルランド島からなるヨーロッパの島国であり、ヨーロッパ大陸から海を隔ていることは外国からの侵略を阻むうえで有利に働いた。また島国であることがイギリスが海軍に重点をおいた海洋国家となる要因となり、その強力な海軍が世界に植民地を建設することになった。

経済的要素[ソースを編集]

産業革命が最初に起きた国であり、工業機械によって大量に生産される安価な消費財を海外に輸出し「世界の工場」と言われるようになった。産業革命がイギリスで起こった背景には、原料供給地と市場として組み込まれた植民地の存在が欠かせない。インドなどのイギリス植民地は自国の工業発展の可能性を奪われ、深刻な貧困に陥っていった。

財政的要素[ソースを編集]

イギリスは産業革命が最初に始まった国であると同時に、アダム・スミスに始まる経済学発祥の国である。アダム・スミスに続くデイヴィッド・リカードの経済理論やアルフレッド・マーシャルなどのケンブリッジ学派新古典派経済学はイギリスの財政・経済の運営に大きな役割を果たした。

人口的要素[ソースを編集]

グレートブリテン島とアイルランド島からなる本国の人口は少なかったが、植民地の人口を含めると当時の全人口の十分の一がイギリス帝国の支配下にいた。

軍事的要素[ソースを編集]

19世紀までには世界屈指の海軍を保有し、それらで本国と植民地を航行するうえで要衝となる拠点を押さえていた。本国とインドの植民地を結ぶためにジブラルタルキプロススエズ運河アデン湾を支配し、インドからマレー半島シンガポール香港を支配下に置いていた。またアフリカではアフリカ縦断政策をとり、北米ではカナダを植民地に南米諸国を非公式帝国としていたほか、カリブ海の島嶼にも植民地があった。またオセアニアではオーストラリアニュージーランドなどを植民地にした。

資源的要素[ソースを編集]

広大な植民地からさまざまな資源が産出していた。その中でインド帝国は「イギリスの王冠に嵌め込まれた最大の宝石」になぞらえるほどであり鉱業資源、農業資源においても豊かな土地であった。またプランテーションを各地に展開し効率よく熱帯の農産物を収穫していた。インド独立は、イギリス帝国が崩壊へと向かう決定打となった。

外交的要素[ソースを編集]

栄光ある孤立と呼ばれる中立政策を基調に、国益を追求した外交政策をとった。だが、19世紀後期以降のアメリカ合衆国やドイツ帝国の台頭によりイギリスの絶対的優位は揺るがされ、日本との間に軍事同盟(1902年 日英同盟)を締結した。さらに、フランス (1904年 英仏協商) およびロシア (1907年 英露協商) との間で相互に三国協商を形成して反ドイツの協調関係を築き、第一次世界大戦へと突入していく。

諜報的要素[ソースを編集]

全地球を網羅した植民地から世界各地の情報が首都ロンドン植民地省にもたらされていた。

ソビエト連邦[ソースを編集]

赤が社会主義国、薄い赤がその影響下にあった国

ソビエト連邦はかつて冷戦時代、アメリカ合衆国に対する東側陣営の盟主として絶大な影響力を誇った。

文化的要素[ソースを編集]

社会主義文化」として、社会主義陣営の中心文化を育んだ。19世紀後半にはチャイコフスキームソルグスキーなどの国民楽派の音楽家が名をなし、ドストエフスキートルストイなどの文豪を生んだ。ソビエト成立後は文化の大衆化が奨励され、ロシア・アヴァンギャルドが花開いた。

しかし、スターリン政権下でソビエト連邦共産党は「封建・反共産主義・宗教的な文化」を禁止、マクシム・ゴーリキーの生み出した社会主義リアリズムを国定の芸術観として、ペレストロイカが始まるまで言論の自由は厳しく制限された。また、ロシア語が世界共通語ではなかったために、文化力で大きくアメリカ合衆国に劣っていた。それでも、社会主義文化の中心ではあった。

地理的要素[ソースを編集]

世界最大の面積を誇る国ではあるが、国土には寒帯に属する寒冷地が多く、広大な乾燥地域もあり、農業や居住に適する地域の割合はその一部であった。それでも可住地の絶対的な面積は非常に広大で、食糧を自給する潜在的能力が十分にあった(しかし、農業生産や流通が非効率でそれが実現できなかった)。さらに、広大な非可住地の存在によって、大規模な開発、核実験や収奪的な林業(森林の回復を考えない伐採)もできた。多くの国と接する大陸国家であったために、常に近隣の強国に備える必要があった。

経済的要素[ソースを編集]

共産主義の偉大な実験として、そのイデオロギーを世界中に振りまく社会主義陣営の中心であった。世界恐慌の余波も受けず、第二次大戦後にはアメリカに肩を並べるほどの隆盛を誇った。だが、ブレジネフ政権下では保守的な政治・経済運営が続き、経済停滞をもたらした。最終的には農業政策の失敗によりカナダから穀物を輸入しなければならなくなったこと、アメリカ軍との軍拡競争に耐えきれなかったことにより、アメリカをはじめとする西側諸国に経済的に敗北した。1989年まで東西両陣営あわせてのGDPでソ連は世界2位の経済大国であった。

財政的要素[ソースを編集]

賄賂汚職の横行、アフガニスタン侵攻東側諸国への援助などによる財政難で共産主義が行き詰まっていった。ソ連は広い国土の開発や強制徴収によって財政を何とか維持していた。

ソ連崩壊後のロシアでは地下経済がさらに発展し、ロシアン・マフィアが台頭。ロシアン・マフィアは、ノーメンクラトゥーラオリガルヒとのパイプを利用して荒稼ぎを行ない、現在も強い影響力を保持している。

人口的要素[ソースを編集]

ソ連成立当時の人口はアメリカを上回り、豊富な労働力を生かした巨大開発が可能だった。しかし、スターリン時代の大粛清によって50万人とも700万人とも言われる死者が出たうえ、さらに独ソ戦ではナチス・ドイツによる虐殺や意図的な飢餓などが行われ、例えばレニングラード包囲戦だけでもソ連政府の発表によれば67万人、一説によれば100万人以上の市民が死亡した[5][6]。これは日本本土における民間人の戦災死者数の合計数(東京大空襲沖縄戦広島長崎を含む全て)を上回る。さらにソ連側も人的損害を顧みない人海戦術焦土作戦を採ったため、軍人民間人含めて当時の人口の内11.0%の2180万人から14.2%の2800万人にものぼる大量の死者が発生した、これらの大規模な人的損失は現代ロシアにまで続く大きな傷跡となった。ソ連解体とともにロシアは人口減少に悩むこととなる。これはアルコール依存症の増加、社会保障の崩壊、経済格差の拡大などが起こったためである。

スターリン時代以降、周辺諸国を武力で侵略し、国内の民族運動を無理やり押さえつけたため、やがてこれらの地域で民族紛争が深刻な問題となった。

陸軍大国ソ連の威信をかけて製造され、かつては賞賛された戦車T-72

軍事的要素[ソースを編集]

アメリカと同等の軍事力を有していたが、民間技術、商業技術、その他の面で圧倒的にアメリカに劣っていたため、軍事技術面でも数段劣っていた。東側諸国の武器が西側諸国に劣っているかを見せつけたのはベトナム戦争中東戦争などである。ソ連製の最新鋭の武器はアメリカ製の武器の性能に遠く及ばなかったため、ソ連製の兵器は常にアメリカ製の武器の十年以上は遅れていると言われた。ソ連もアメリカに質では勝てないことを重々承知しており、質より量を重視していた。

そのことを如実に現したミグ25事件が有名で、当時最新鋭だったミグ25はアメリカの最新鋭の戦闘機の速度を圧倒し、アメリカ側を驚愕させたが、実際の性能はかなりなおざりな物であった。アメリカはこれまで超高速戦闘機として恐れおののいてきたミグ25は実際それほど脅威に呼ぶに値せず、特にそれまで耐熱性のチタニウム合金製と考えられきた機体が、実は粗悪なステンレス鋼に過ぎなかったこと、真空管を多用した電子機器が当時の水準としては著しく時代遅れであったこと、一度飛ばすとエンジンが焼きついて故障トラブルが多かったなど、ミグ25はアメリカの科学者に失笑を買うほどだったという。対ソ戦略にも大きな影響を及ぼし、ソ連は苦汁を嘗めることになる。

冷戦後、ドイツが統一されると、ドイツ政府は大量に余った東ドイツ軍の武器(主にソ連製)の対応に苦慮した。廃棄するのが勿体ないため、しばらくドイツ軍は使い続けたが、次第に自国との武器の性能があまりにも違いすぎて、次第に弊害が出てきたため、隣国のポーランドに格安で売ることを決定するなど、かなり雑に扱われた。

湾岸戦争では多量のT-72戦車で武装したイラク軍に対し、アメリカ軍はT-72を「(容易に砲弾が誘爆して、砲塔が吹き飛ぶ)びっくり箱」と揶揄するほど圧倒し、ロシア製の武器の権威を失墜させたことがある。イラクに輸出されていた戦車はモンキーモデルと呼ばれる、本国仕様より性能を落としたモデルではあったものの、世界のロシア製兵器への信頼を失墜させ、その輸出に大きな影響を与えた。アメリカと軍事面で対等となろうと、国力に見合わない軍事力の増強はソ連財政の極度の逼迫を生みだし、国営企業の運営不能やインフラ整備の未開発という悪循環を生みだした。次第に国民への配給もおぼつかないようになり、電力不足、日常物資の不足、食糧不足など様々な弊害を呼ぶようになった。このような耐久生活に国民の不満が爆発し、ソ連は自滅の道へと進んだ。

資源的要素[ソースを編集]

世界一の広い国土に石油、石炭、鉄鉱石などの資源が非常に豊富であり、水産物や木材資源も豊富で、世界で最も資源的に恵まれた国だった。

ウクライナからロシア南部にかけて広大な穀倉地帯を有しており、小麦を輸出していたこともあったが、農業の生産性は非常に低かったうえ、流通過程で莫大な農産物が失われていた。このためカナダからの穀物輸入に追い込まれ、ソ連の貿易収支を著しく悪化させ、これがソ連経済のアキレス腱となっていた。

外交的要素[ソースを編集]

東欧などを共産主義化して衛星国とし、冷戦期には強い影響力を持っていたほか、国連安保理の常任理事国として大きな発言力を持っていた。これが超大国といわれた最も大きな理由である。また、アジアやアフリカなどの民族解放運動に積極的に援助を行ない、共産主義政権のバックアップを行うが、それらの大半は無理な政権運営や経済の破綻や内戦の激化を招き、失敗している。共産化が成功した国でも、のちに政権がソ連からの自立性を強めソ連との対立に至る場合があった。

諜報的要素[ソースを編集]

ソ連の諜報機関としては、KGBがあまりにも有名だった。当時日本でも恐れられたKGBは、CIAと力量では互角、大胆さではCIAを凌いでいたとされる。ベトナム戦争などでは日本やアメリカの革新政党や反戦団体を利用して戦況を優位に進めようと金銭援助を行っていたことが戦後に判明した。

その他[ソースを編集]

より古い時代において、地域全体を統一した大国について遡及的に「超大国」と呼ぶこともある。

潜在的な超大国と考えられている国、連合体[ソースを編集]

現在、潜在的な超大国と考えられている国として中華人民共和国インド共和国ロシア連邦(ソビエト連邦の後継国家でもある)、また複数国家の連合体としてヨーロッパ連合(EU)がある。

中華人民共和国[ソースを編集]

始皇帝以来、中国は世界の中心を自称してきた。

文化的要素[ソースを編集]

有史以来19世紀までは中国大陸で発展した中華文明の中心地として強大なソフトパワーを誇った。文化の力で周辺民族を同化していった歴史から、中国人自身が文化に強い執着と誇りを持っている。華僑・華人が本土を離れてもなお中国人意識を持ち続けるのも文化の力であろう。19世紀以降は、近代化で先行した欧米や日本の後塵を拝したが、中国大陸が完全に植民地化されることはなかった。21世紀現在、経済成長を後ろ盾に、政治・経済面での台頭は著しいが、文化面では欧米や日本に比べいまだ立ち後れている面は否めない。ただし食文化は発達しており、移民とともに拡散した中華料理店が世界中で営まれ、受け入れられている。

中国の文化面立ち遅れは経済的停滞のみが原因ではなく、1960年代に吹き荒れた文化大革命(文革)の後遺症もその原因の一つである。文革では多くの伝統文化の根絶が目指され、文化財の破壊と知識人の殺害がおこなわれた。その爪あとは深く、今なお文革により失われたままの伝統的価値観や文化は多いが、伝統工芸や習俗の再興が試みられている。

現在も表現の自由には政府による厳しい規制があり、マスメディアはもちろん、書籍やインターネットで政府の意に反する発言を行うことは難しい。また、知的財産権の保護が立ち遅れており、文化産業の発展を阻害している。

地理的要素[ソースを編集]

歴史的な漢民族居住地域である、いわゆる中国本土(チャイナ・プロパー)、特に沿岸部に人口と産業が集中している。第二次大戦後、チベットとウイグル(東トルキスタン)を併合し国土を大きく広げた。これら西方地域は人口が過疎であるが、中国に資源と戦略的な縦深を与え、核兵器施設などの重要拠点が設置されている。

ロシア・モンゴルと大きく北に国境を接しており、西は併合したウイグルを隔ててカザフスタンと接する。南西のインド・パキスタンとはチベットを隔てて面し、南はミャンマーベトナム、海を隔てて韓国・日本・台湾・フィリピンとそれぞれ接する。これらのうちミャンマーとパキスタンを除く諸国は仮想敵国であり、実際に国境紛争戦争が行われた。同じ社会主義陣営であった旧ソ連に対しても中ソ国境紛争に代表されるように例外ではなく、ソ連に対抗するために米国と協調する光景すら見られた。現在は、日米への対抗や国内の少数民族の民族主義への対抗のために、旧ソ連諸国とは基本的に共闘姿勢をとっている。パキスタンとの友好関係は、主にインドを牽制する意図によるものである。ミャンマーをインド洋への出口として利用する意図からミャンマーの軍事政権には多大な援助を行っているほか、朝鮮半島では北朝鮮を緩衝国として利用しており、同盟国としてその政治体制を支えている。

海洋は太平洋と南シナ海に面する。沿岸部の産業集積地帯を中心に経済発展をすすめる中国にとって海上交易路は生命線となっている。そのため中国政府は外洋進出に熱心であり、南沙諸島西沙諸島尖閣諸島などの領有を主張し、周辺国と係争になっている。

やがて中国にやってくるであろう巨大市場時代は、世界のエネルギー構造を根本的に変え、また工業の発展をもたらすだろう。

経済的要素[ソースを編集]

2010年GDPは日本を抜いて世界2位の経済大国に浮上した。フランスの大手銀行グループBNPパリバの予測によれば、2020年にアメリカを抜き世界最大の経済大国に浮上するとされている。[7]。ただし、1980年代後半まで「日本は2000年までにGDPでアメリカを抜く」という予測が存在していたことを考慮すると、予想が外れる可能性もある。

さらに共産党による自由主義経済政策による格差の拡大や、貧困層の暴動など、不安要素も非常に多い。中国共産党の一党独裁政権であるため、経済発展の為に強権的なことが出来るというのが強みであるが、権力が共産党に集中しており言論の自由がない中国では政権に対するチェックが働きにくく、腐敗が発生するリスクが高い。ちなみに世界の工場としての独占的地位は、インドなど南アジアの台頭によって失われつつある。通貨の固定的なコントロールについても国際的に批判が強く、輸入品や資源の割高さにより、産業の多様化が阻害されているばかりでなく、国内の設備投資の妨げにもなってきている。末端に至るまでの賄賂の横行、契約の不履行、突然の権力介入など、一企業では解決のしようがない問題で大損害を受けるケースも多く、投資先として考慮する場合、常に懸念材料となる(チャイナリスク)。 また、近年は「国進民退」の言葉に象徴されるように国営企業が規模・影響力とも拡大し続けており、資源の効率的配分やイノベーションを妨げる大きな制約となっている。

財政的要素[ソースを編集]

GDP拡大によって国家収入は増えているが、老朽化した軍備の刷新のために軍事費がGDP伸び率を上回って伸び、若干の財政赤字が発生している。経済発展で通貨自体の信用も上がっており、競争力は基底から上昇しているといえる。

人口的要素[ソースを編集]

世界最大の13億の人口を誇るが、人口を減らすために、強権的な一人っ子政策が行われており、着実な成果が上がっている。2040年ごろから人口減少に向かうとされており、また、文化的な理由から来る男女産み分けが問題としてあがっていることなどから、一人っ子政策の緩和も議論されている。2000年の段階で女性の出生100人に対して男性が117人と明確な男女の不均衡状態になっており、差は依然ひらく傾向にある。また一人っ子政策の結果としての超少子高齢社会の到来も危惧されている。このような影響で、人口バランスは安定しないと見られている。 しかし、貧困層の安くて豊富な労働力のために「世界の工場」の地位を築いており、この傾向は当分は維持されると考えられる。 中国においては、沿岸都市部への移住の自由はなく、貧困地帯から沿岸部に働きに出る場合、職業は単純労働に制限されている。これが貧困地帯に資本が流れ込むことを防いでおり、安い労働力が供給される体制を作ってきた。しかし、「不法移民」の増大や、沿岸部では資本の蓄積によって賃金が異常に高騰し、工業地帯を海運の便が悪い内陸に移さなければならないなど、近年限界が見え始めている。

軍事的要素[ソースを編集]

中国の軍事力は独自の核兵器と陸軍中心の通常戦力によって構成されている。安全保障上の脅威が無いにもかかわらず、経済成長を背景に軍拡を進め、20年連続で二桁成長を続けている。質はいまだ先進国に比べて立ち遅れているが、急速に近代化を進めている。海軍は沿岸防衛を中心に整備されてきたが、国是となっている台湾の併合のため上陸戦力を整備している他、西太平洋地域(いわゆる「第一列島線」以西)を影響下に収めるための外洋艦隊の建設をすすめている。

南沙諸島を実効支配する、友好国に軍港を建設するなど積極的な姿勢が目立ち、地域大国としてプレゼンスを発揮しつつあるが、太平洋への本格的進出には日本・韓国に駐留するアメリカ海軍第七艦隊の存在が最大の障壁となっている。核兵器を保有しており、それによる核弾頭を搭載した最新鋭大陸間弾道ミサイル東風31号Aは、2007年に配備された。このミサイルの射程にはアメリカのほぼ全土が入っているほか、同年にミサイルで周回軌道上の人工衛星を撃墜破壊する実験にも成功した[注釈 1]

資源的要素[ソースを編集]

地下資源には恵まれているが、人口もまた膨大なので一人当たりの資源量はさほどではない。中国のエネルギー効率は非常に劣悪なので、地下資源の減少が懸念され、海外からの資源の輸入を増やしている。欧米や日本からの環境技術の導入や、周辺の資源採掘には力を入れており、海洋資源の所有権を巡って日本やベトナム、フィリピンと対立している。

外交的要素[ソースを編集]

国連安保理常任理事国である。北朝鮮と同盟関係にあり政治姿勢の近い旧ソ連構成国とも提携している天安門事件の武力鎮圧で経済制裁を受けた。近年は2008年のチベット動乱を武力鎮圧した事で国際的な批難を浴びた。

諜報的要素[ソースを編集]

国家安全部と人民解放軍総参謀部第2部が諜報機関として知られ、世界的展開力を強めようと企図している。

ロシア連邦[ソースを編集]

クレムリンの大聖堂広場で行われる、メドヴェージェフ前大統領とプーチン新大統領によるクレムリン連隊の閲兵式(2012年)。1999年のプーチン体制成立以降ロシアはかつてのソ連はもとよりロシア帝国のころの大国の威光を回復させようとしている。

ロシアはソビエト連邦の崩壊で超大国の地位を失ったが、主な研究機関は未だロシアを大国とみなしている[要出典]。旧ソビエト連邦構成国への影響力維持も諦めておらず、グルジアやウクライナなどで対立に発展することもある。

文化的要素[ソースを編集]

2008年時点でのインターネット普及率は84位と先進国の中では大きく遅れをとっており、ロシア語がソビエト連邦の国々だった地域とその周辺国家以外の国では殆ど話されていないなどの弱点を持つ。ロシア周辺諸国ではロシア語の後退、西側文化の浸透が進み、ロシアの文化的地位は低下している。

地理的要素[ソースを編集]

ソ連崩壊後も76%の領土を受け継いでいる。その広大な領土には多くの地下資源を埋蔵しており、ロシアの国力を支える上で重要な要素となっている。EU25カ国の農地の合計に等しい広大な農地を擁し、漁業資源や木材資源も世界で最も恵まれた国の一つである。一方で欧州連合の東方拡大や中国の経済発展に圧迫されており、周辺国への影響力保持に心血をそそいでいる。

経済的要素[ソースを編集]

ソ連崩壊後、資本主義移行の過程でIMF主導の「ショック療法」を受け入れるが、その影響で急速なインフレが発生し、国民生活に大きな打撃を与えた。また、ソ連崩壊による各共和国の独立、東欧の勢力圏喪失により市場を西側に奪われることとなった。1998年ロシア通貨危機によりロシアの工業生産力は大きく低下した。

2000年代に入り、プーチン政権下で外国資本の積極的な導入や法人税の引き下げなどの経済改革が行われると経済は持ち直し、原油価格の上昇もあり成長軌道に乗るようになった。2009年ロシアのGDPは世界8位で2013年にはイギリスフランスを抜くほどになり、一人当たりは14,333ドルなど10年前に比べ大幅に増加し再び超大国化しようとしている。プーチン政権下では国家主導で外国資本の導入も利用しながら工業部門の立直しが図られている。

資本主義経済へと移行したものの、ソ連時代の一部の特権的官僚であったノーメンクラトゥーラが民営化された国営企業の幹部に成り代わり、オリガルヒと呼ばれる新興財閥になるなど、財閥は政治に大きな影響力をもつ。一方、ソ連経済の最大の弱点であった農業の生産性は依然低く、世界有数の広大な農地を擁するにもかかわらず食糧輸入国になっている。

財政的要素[ソースを編集]

エリツィン政権下において公務員への給与未払いが常態化するほどの財政崩壊に瀕していたロシアは近年、プーチン大統領主導で強いロシアの復活を目指して、財政を始め様々な改革に取り組み、持ち直してきている。

人口的要素[ソースを編集]

ソ連崩壊後、その約半分の人口を受け継ぎ、現在では1億4210万人と世界第9位の人口を誇っている。しかし、近年は毎年70数万人単位の人口減少が続いており、2050年には人口が1億人程度になると予想されていたが、近年人口減に歯止めがかかるようになっている。 このペースで回復が続けばその後も現在の人口(1.4億人)を維持できるのは十分可能である。ただし増やすには合計特殊出生率を2.1以上にするか、旧ソ連国を再びロシアに編入させるなどしなければいけない。

近年はロシア国内のイスラム教徒の比率が増大しており、多数派のロシア人との民族対立が懸念されている。ロシア政府は中央ムスリム宗務局を通じてイスラム教徒を自らの支配体制に組み入れる一方、イスラム教徒のチェチェン人などが関与するテロリズムの脅威には強硬な武力鎮圧をもって対応している。

軍事的要素[ソースを編集]

旧ソ連の軍事技術を受け継ぎ、高度な航空宇宙産業技術を保持している。また核兵器の保有数はアメリカに次いで世界第二位である。だが、ソ連崩壊後、軍事力の衰退が顕著になり、特にチェチェン紛争では軍事力の脆弱さを露呈することになった。ロシア連邦軍軍事費は兵器の調達と維持に偏重しており、人員の多さの割に人件費は極めて低く、汚職、恐喝、資材の横流しなどの犯罪が常態化するなど人材の質が悪い。冷戦時代に衛星国であった旧東側諸国の少なくない数がEUやNATO加盟したり米と協力関係を築くなど勢力圏の大きな後退を強いられている。また、核兵器の第三国への流出も深刻な問題となっている。プーチン政権は徴兵制を志願制に切り替えることを目指し、士官学校を各地に創設し、強力な愛国心教育を行い、近代的で強力な軍隊の創設に乗り出している。

旧ソ連構成国と独立国家共同体を結成して影響力の保持に努めているほか、グルジアの南オセチア独立紛争などに介入し緩衝地帯の建設に熱心である。国内の地域独立運動を抑えることに関しては強権的な姿勢で臨んでおり、同じ姿勢の中国やカザフスタンと上海協力機構を設けている。

資源的要素[ソースを編集]

ソ連崩壊に伴って、多くの資源が他のCIS国家の管轄下に置かれたものの、まだまだ多くの地下資源に恵まれており、依然世界一の資源国と言える。

また、外交カードとしても資源を大いに活用しており、欧州に莫大な電力や天然ガスを輸出している。人口が過剰でないために経済成長も著しいが、資源のみに依存した成長の危うさの危険性も指摘されている[要出典]

外交的要素[ソースを編集]

ロシアはソ連から国連常任理事国の座を引き継ぎ、また近年G8にも加盟した。CIS諸国との連携も悪くないが、EU諸国には警戒されている。また、旧来の社会主義の宗主国という立場は失われ、旧来の衛星国・保護国や同盟国が大幅に減少した。しかし近年反米路線を掲げている国と友好化が進んでいる。

諜報的要素[ソースを編集]

ソ連のKGBの組織を受け継いだロシア連邦保安庁や、ロシア対外情報庁が存在し、かつてほどの規模ではないが、ソ連の優れた諜報技術を継承している。

ヨーロッパ連合[ソースを編集]

欧州連合(EEC,ECなどその前の体制も含む)の歴史的な拡大の様子。フランス、ドイツ、イギリスといったかつてのヨーロッパの大国を含むヨーロッパ世界を包含する超国家組織である。

文化的要素[ソースを編集]

いち早く産業革命に成功し、世界の大半を支配下においた歴史を持つ欧州は、現近代において文化の中心地として君臨してきた。現代でも先進国が多く、高い文化発信力を持っている。特に旧植民地に対して強い文化的影響力を保持しており、北米も例外ではない。

地理的要素[ソースを編集]

緯度は高いが温暖で湿潤な偏西風のおかげで豊かな農業地帯となっている。地下資源にも比較的恵まれている。冷戦時代は旧東側陣営と、膨大な軍事力を突きつけ合う最前線であったが、ソ連が崩壊し、東欧諸国がEUに加盟するなど緊張緩和が起こった。しかし強いロシアの台頭は今後のヨーロッパに影を落とす可能性もある。また隣接するイスラム圈からの移民の流入により、国内での民族・宗教対立やテロリズムなどの問題が生じている。

経済的要素[ソースを編集]

EUは先進国・中進国の連合体であり、一人当たりGDPも高いが、構成国ごとの格差もそれなりに大きい。金融に強みを持つイギリス、製造業に強みを持つドイツやブランドに強い力を持つフランス等の中核構成国は安定した経済力を持つ一方で、ギリシャやスロバキア等の重債務国は経済後退に見舞われており、デフォルトを行った国もある。 ドルを脅かす統一通貨ユーロは近年台頭しており、非常に注目されていていたが、構成国の度重なる債務危機により信用不安に陥っておりその存在感を落としている。

財政的要素[ソースを編集]

財政的には緩やかな赤字国が多いとされている。PIIGSと呼ばれるスペインやギリシャなど、地中海沿岸諸国では土地バブルが危機的状況にあり、EU全体への波及が、国際的懸念事項になっているなど、行きすぎた金融システムの自由化による経済危機に対処することが求められている。

人口的要素[ソースを編集]

国により差が大きく、イギリスの人口は増加傾向、フランスや北欧、オランダなどの人口は安定しているが、イタリア・スペイン・ギリシアなどの南欧やドイツをはじめとする中欧の多くの国々では少子高齢化による深刻な人口減少が進行している。今後EU全体としては人口は減少していくと見込まれている。今のところ人口ではアメリカ合衆国を凌いでいるが、人口減少によって逆転するとも言われており、特にインドや中国に対しては、劣っていると言える。これを解決する手段としてトルコをEUに加盟させるという方法があるものの、歴史的・地理的経緯(トルコの国土の主要部の位置する小アジアは地理的にはアジアに属するとされてきたこと、歴史的にイスラム教国であり現在もイスラム教徒が多数を占めること、アルメニア人虐殺やギリシア人との対立の歴史からアルメニア人やキプロス人、ギリシャ人の人々の反発が強いことなど)から同国の加入には反発が強く、実現に至っていない。もう一つの方法は移民の積極的な受け入れであり、過去に各国が労働力としてEU外からの移民受け入れを活発に行って来た。現在、欧州の労働力は過剰であり、新たな移民はイギリスを除き、家族の呼び寄せと難民受け入れによるものが多くを占めるが、イスラム教徒の人口増加率が高いことから、一部地域では欧州系の住民と逆転するのではないかとすら言われている。現在の欧州は若年層の失業率が高く、中東・アフリカ系移民の多くは福祉に生活を依存する貧困層となっている。イタリアやスペインにおいては、中国人移民がマフィアとも絡んで多くの町で経済の実権を握り、在来の住民の顰蹙を買っている。同化しない移民との摩擦は深刻な社会問題となっている。

軍事的要素[ソースを編集]

アメリカ以外で唯一の原子力空母・フランスのシャルル・ド・ゴール

イギリス、フランス、イタリアスペインはそれぞれ一隻から数隻の空母を運用しており、これらを併せることによって、世界第二の空母機動部隊が出来る。 とはいえ、質量共に米国のそれとは比較にならず、一地域においても対抗出来るかどうか疑わしい程度である。 また、イギリス、フランスは核兵器を保有しており、両国とも原子力潜水艦を運用している。EU諸国はNATOに加盟しており、アメリカの同盟国であるため、少なくともアメリカと軍事的に対決することは考えられない。技術的には、陸上兵器やヘリコプターなど分野によっては世界トップレベルにあり、相応の影響力は持っている。ただし、航空兵器や核戦力において、米国との差は埋めがたい物がある。

資源的要素[ソースを編集]

世界的に広い地域で、鉄鉱、ウラン、石油、石炭など資源には比較的恵まれており、消費効率も世界で最も高いと言われている。しかし人口も多いためエネルギー資源の自給はできず、ロシアの天然ガス・電力への依存度が上がっている。

外交的要素[ソースを編集]

既にイギリスフランスは国連安保理の常任理事国であり、さらにドイツイタリアG8の一員である。EUとして団結することによって、更に国際的発言力が強まることが期待されている。

しかし、EUを構成する国同士でも対立する場面も多い。ドイツは日本、インドなどと常任理事国入りを目指しているが、理事国入りの難しいイタリアや、既得権の希薄化を恐れるイギリス、フランスに反対されている。またアメリカも、日本のみの常任理事国入りを支持する立場を崩していない。また、東欧から中東に掛けて存在する幾つかの国家には、親EU派と親ロシア派の勢力が存在し、それを介してロシアとの対立が生まれている。

言語的要素[ソースを編集]

アメリカやソ連のような超大国のように言語が統一されていない。

諜報的要素[ソースを編集]

イギリス、フランスでは優れた諜報機関が発達している。

インド共和国[ソースを編集]

文化的要素[ソースを編集]

欧米で大人気を博し、新たな市場を拓いたインド料理

中国に匹敵する伝統と歴史がある国家であるが、多民族国家であり、国内に多くの言語が存在し、カースト制の伝統が根強いうえに貧富の差が非常に激しく、インド映画などを除いて国民的な文化は比較的発達していない。またインターネットも、現在のところは普及していない地域が多いなど、情報手段は発展途上にある。しかし、アメリカのシリコンバレーに代表されるように海外に多くのインド人移民が存在すること、伝統的に数学の能力に秀でていると言われることから、インド人の国際的な存在感は大きくなりつつある。自由経済であるため、IT企業が開発拠点を置いて優秀な現地学生を雇用する例が増加している。このため近年は下層社会においても戦後日本のような教育熱が爆発的に高まっており、政府も優秀な学生に対する奨学制度など積極的に打ち出している。また、かつてイギリスの植民地であったため国民の多くは世界共通語になりつつある英語を理解することから、インド系移民向けを除き今のところあまり盛んでない文化の発信も盛んに行われるようになることが期待される。同じく、英国の影響下にあって議会制度に古くから接してきたため、自由選挙、議会制度、契約制度は信頼に足る物で、健全な外交経済関係が期待出来る。マクドナルドと同じように世界各地にインド料理店があることも注目に値する。

地理的要素[ソースを編集]

チベットを挟んで中国と面し、中国とロシアが主導する上海協力機構オブザーバーの地位にある。しかし中国は、その同盟国のパキスタンミャンマーを使って原潜をインド洋に進出させようと企図しており、潜在的な敵でもある。耕地面積や森林面積は日本の実数よりかなり多い。

経済的要素[ソースを編集]

BRICsの一員として、既に世界第十のGDPを誇り、高度成長によって、ゴールドマンサックスの予測によれば、2050年には世界第三の経済大国になるとされている。しかし、1980年代後半まで「日本は2000年までにGDPでアメリカを抜く」という予測が存在していたことを考慮すると、予想が外れる可能性も大いにある。BRICsの中で中国とロシアが驚異的に伸びているのに対しインドは遅れている。さらにカーストが経済成長の障害となっていたが、近年、カーストを意に介さない外資IT企業が開発拠点を置く例などが増えてきており、能力さえあれば経済的逆転も多く見られる様になってきている。このため教育熱は非常に高まっており、貧困の中でも日夜勉学を競う若者たちの姿が数多く紹介されている。彼らの第1世代による資本の蓄積も進んでおり、リーマンショック以後も成長が失速していない。エイズへの感染が今後爆発的に拡大することが(既にエイズ感染人口は世界第1位)今後の懸念材料である。

財政的要素[ソースを編集]

財政的には対外債務が多く、苦しいとされていたが、2004年以降慎重な財政運営により改善した。 その後再び借り入れはやや増加しているが、これは民間企業によるインド経済への投資の結果であるため、今後の懸念とはされていない。 ITのみならず、工業の柱と言われる国産自動車も、格安の自動車を発売するなど、国際的に販売力を持ち始めており、リーマンショック以降も高水準で経済成長が続いている。 自由競争も根付いていることから、投資先としての格付けも上がっている。

人口的要素[ソースを編集]

人口爆発が止まらず、政府が民主的であるのと、ヒンドゥー教のために、人口増加率が低下するのは2070年ごろであり、2040年ごろには中国を抜き、世界で最も人口が多い国となるとされている。また、人口バランスも非常に不安定な状態が持続する。特にヒンドゥー教の影響で、結婚する時妻の家から莫大な財が出される習慣があるので、男女産み分けがひどく、男女の人口バランスが悪い。

軍事的要素[ソースを編集]

ロシア、フランスとの軍事協力によって、(後進的ではあるが周辺地域と対立するには十分な)空母機動部隊を保有している。また核兵器を保有する。現在のところ、原子力潜水艦を保有している。財政的、技術的に、強力な外洋艦隊を創設する能力は無いが、地域覇権は十分握ることが出来ると考えられている。

資源的要素[ソースを編集]

石炭、鉄鉱に恵まれているが、今後の経済発展を養えるほどではなく、エネルギー効率の改善が必要。また、ブラジルとの協力によって、ガソリンの代用となり、安価で、雇用を大量に生み出す、サトウキビによるエタノールの生産が進められており、こちらは非常に期待されている。

外交的要素[ソースを編集]

国際連合安全保障理事会(安保理)常任理事国ではない。インドは日本などと組んで安保理改革を目指している。インドは核兵器を保有しており、アメリカもその外交政策上、提携せざるを得ない相手でもあるため、発言力はある程度ある。

諜報的要素[ソースを編集]

諜報機関RAWがあるものの、パキスタンに対する任務が主であり、超大国のレベルにはるかに届かない事は否めない。

関連項目[ソースを編集]

脚注[ソースを編集]

出典[ソースを編集]

  1. ^ Definition and Use of the Word Hyperpower
  2. ^ Tripathi, D. (2010). Overcoming the Bush Legacy in Iraq and Afghanistan. Washington, D.C: Potomac Books. p.114
  3. ^ time.com 1988 article "Japan From Superrich To Superpower"
  4. ^ CIA Records - Name Files
  5. ^ The Siege of Leningrad, Seventeen Moments in Soviet History
  6. ^ The Legacy of the Siege of Leningrad, 1941-1995, Cambridge University Press
  7. ^ http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2009&d=1124&f=business_1124_147.shtml

注釈[ソースを編集]

  1. ^ この実験によるスペースデブリの発生により、有用な衛星軌道が今後使用不能となり、きわめて長期間の国際的な損害が発生したが、中国政府は意に介していない。